連載「YouTubeで学ぶ英語」も40回を迎えました。今日は、誘拐され、9カ月監禁されるという筆舌に尽くしがたい経験をした14歳の少女が、トラウマを乗り越え、充実した人生を送る女性として行ったスピーチで学んでいきましょう。
今回のスピーチはdefault で英語のcaption(字幕)が付いています。ただし、学習者の場合、この速さで4分半、読んですぐ内容を理解するのが難しいという人も多いと思います。listening もreading も、誰かの言葉を認識し、理解するというinputの作業ですから、早く読める(英語の語順のまま理解できる)ようになれば、英語を聴いて理解することにつながるわけです。今回は、早く読むコツも一緒に学んでいきましょう。
最初のワンセンテンスだけ、字幕に少し言葉を足した文章が語られています。聴き取ってみましょう。
- I ( 1 ) ( 2 ) be known as the girl that was kidnapped. 私は常に、誘拐された少女として知られているのかもしれません。
14歳で自宅から誘拐されたエリザベスさんは、犯人夫婦に9カ月監禁されました。夫は妻に命じてエリザベスさんを着替えさせ、風呂に入れた後に、結婚を宣言。たった14歳のエリザベスさんがどう思ったかという部分を聴いて下さい。
画面にも英語字幕が出ますが、意味のかたまりのところにスラッシュを入れ、訳をつけたのが下にあるスクリプトです。いつもこのようにして、英語の語順のまま意味を理解し、目を戻さずに一度で読み取れるようにしてみて下さい。リスニングの時は言葉は一度で消えていくわけですから、リーディングの時も目を戻さず、一度で理解するのが、インプットの力をつける大切な練習になります。
- Well, / そうですね、as a 14 year old girl, / 14歳の女の子として、I remember just stopping and thinking, /ただこんな風に考えたことを覚えています。
- “Wait a second,”/ 「ちょっと待って」and I had this thought /こう思ったんです。of what he could possibly mean./ この人がそんなに卑劣だなんてあり得るかしら。
- I had it come to mind. /そんな考えが浮かびました。
- I remember thinking, /こう思ったことを覚えています。
- “NO, /いいえ、that’s not possible. /そんなことあり得ない。
- One human being couldn’t possibly do that/ひとりの人間がそんなことを出来るわけがないわ、to another one. /他の人間に対して。
- No one’s that evil.” /誰もそんなに邪悪なわけがないもの。
- And I quickly found out that, /そして私はすぐに分かったんです。
- yes,/ そう、as a matter of fact, /実際には、there are people out there /世界にはそういう人たちがいるということ。that are that evil./ 彼らはそんなにも邪悪なんです。
決して諦めなかったご両親や、警察、ボランティアの尽力で、エリザベスさんは救出されます。犯人夫婦は捕まりますが、彼女のトラウマは想像することも出来ません。そんな娘にお母さんがした素晴らしいアドバイスの部分を聴いて下さい。
この文章も、カンマやピリオドまでが長いので、日本語の語順に直そうとすると目が何度も行ったり来たりしてしまいます。英語の語順のまま理解できるようにスラッシュを入れています。スラッシュの部分ごとに、自分で訳してみて下さい。
- Elizabeth,/ what these people have done to you/ is terrible. /
- And there aren’t words strong/ to describe how wicked and evil they are./
- They have stolen nine months/ of your life away from you/ that you will never get back. /
- But the best punishment / you could ever give them/ is to be happy, / is to move forward with your life, / to do all the things/ that you want to do/ because by feeling sorry for yourself, /by holding on to the past, / by reliving in it, / that’s only allowing them /to steal more of your life away from you./
- And they don’t deserve that. /
- They don’t deserve a single second more /so you need to be happy./
- And you need to move on /with your life./
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■スラッシュリーディングの訳
■ エリザベス・スマート財団
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■聴き取りの答えと解説
I may always be known as the girl that was kidnapped. 私は常に、誘拐された少女として知られているのかもしれません。
●be known as ~として知られている
■スラッシュリーディングの訳
- Elizabeth,/ エリザベス、 what these people have done to you/ あの人たちがあなたにしたことは is terrible. / 恐ろしいことだわ
- And there aren’t words strong/ そして、そんな強い言葉は存在しないの to describe how wicked and evil they are./ 彼らがどんなに不道徳で邪悪かということを表すための言葉はね。
- They have stolen nine months/ 彼らは9カ月を奪ったわ of your life away from you/ あなたの人生から that you will never get back. / それをあなたが取り返すことは出来ない
- But the best punishment / でも、最高の罰、 you could ever give them/ あなたが彼らに与えることが出来る罰は、 is to be happy, / あなたが幸せになることよ、 is to move forward with your life, / あなたが人生を前に進めることよ、to do all the things/ 全てやることよ、that you want to do/ あなたがやりたいことを because by feeling sorry for yourself, / だって自分を憐れむことで、by holding on to the past, / 過去に囚われることで by reliving in it, / (あの恐ろしいことを)追体験することで that’s only allowing them / 彼らに許すことになるの to steal more of your life away from you./ あなたの人生からもっと奪っていくことを。
- And they don’t deserve that. / あの人たちはそれに価しないでしょ。
- They don’t deserve a single second more / 彼らはもう一秒もあなたから受け取る資格がない人たちでしょう、so you need to be happy./ だから、あなたは幸せにならなくちゃ。
- And you need to move on /あなたは前に進んでいかなくちゃ with your life./ あなたの人生とね。
■ エリザベス・スマート財団
エリザベスさんは自分の経験から、犯罪を未然に防ぐことが大切だと訴えます。子どもが行方不明になる理由は様々です。単なる迷子から、家庭内の問題、貧困、災害。エリザベスさんは、ひとりでもそんな子どもを救いたいと、財団を作りました。ホームページにはこう書かれています。
- What if we could prevent future crimes against children ? もし、子どもたちに対する犯罪を未然に防ぐことができたら?
- Wouldn’t it be worth it to do everything to bring home that one child ? ひとりの子どもを家に連れて帰るというのは全てをかけて行う価値があることではありませんか?
2015年の大地震で大きな被害を出したネパール。エリザベスさんは災害後の混乱の中で、性的なサービスを含む児童労働につくネパールの子どもを救おうと活動しています。財団のホームページの最初に、エリザベスさんが、なぜこの活動を始めたかを語っている動画をご覧ください。
Elizabeth Smart Foundation ホームページ→ https://elizabethsmartfoundation.org/