2019年4月9日(火)開幕の音楽劇『ライムライト』に出演する矢崎広さんのインタビュー、後半です。ミュージカルに出演することや歌への思い、『ジャージー・ボーイズ』を経ての変化や今後への活かし方などを伺いました。昨年末のFNS歌謡祭で、『ジャージー・ボーイズ』チームとして出演した際のことなども伺っています。
――矢崎さんがミュージカルに出ることがもう意外ではないと思うんですが。
本当ですか?
――シアタークリエのポスターに石丸(幹二)さんと実咲(凜音)さんと3人で一緒に出ていることも違和感を感じません。
これはいまだに慣れないですね。
――『ジャージー・ボーイズ』も4分割で出ていましたよね。
4分割はいいんです。
――4と3は違うんですね(笑)。
3分割はちょっと。慣れないです。僕自身は、全然ミュージカルにしっくり来ていないんですよね。
――まだ、しっくりきていないですか?
はい。
――矢崎さんのミュージカル出演に対して、観客側はもう“新鮮”ではなくて、“納得”じゃないかなと。ご自身ではミュージカルにキャスティングされることについて、どう思っていますか?
どこまでもミュージカルに対しては挑戦的な気持ちでいるんです。僕はそこまで皆さんと同じように歌の経験がないので。例えば、音大も出ていなければ……。
――音大を出ていなくても、すごい方は沢山いますよね。
でも、宝塚の音楽学校も出ていませんし……。
――中川(晃教)さんも、海宝(直人)さんも出ていませんね(笑)。
いや、僕は歌手でもないですし、ヤングシンバをやったわけでもないですし(笑)。バンド活動もしたことなくて。それを考えると、僕はやはり挑戦をしている段階で、多分このスタンスで、45歳くらいまでミュージカルにいけると思うんです。
――常に挑戦だという気持ちで、あと15年弱はいけると。
そうでないと、だめだと思います。どこかで甘んじていたら、歌なり、芝居なりが絶対に止まってしまうと思うので。いま45歳と言いましたが、そのときに自分がどうなっているかも分かりません。ミュージカルをやっているかどうかも分からないですが、僕自身はミュージカルがまだしっくりはきていないです。
――まだ自然に泳げていないということですか。
うまい言葉が見つからないですが、未だに「出させて頂いている」という感じです。
――なるほど。「呼んでもらえた」とか。
そうです。
――それはお芝居のときは「呼んでもらえた」とは思わないということですよね。
お芝居のときは本当に人間勝負だと思っているので。でも、ミュージカルはまず前提として歌やダンスがありますからね。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、歌への思い、昨年末のFNS歌謡祭に『ジャージー・ボーイズ』チームとして出演した際のこと、『ジャージー・ボーイズ』全国ツアーなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■喉はあとから成長してくるので10年スパン。10年やるまで、落ち着けない
■『ジャージー・ボーイズ』は、実はニックのために作っていたりする
■今は色々な技術が必要な時代。YouTubeもそうだし、そこは意識して
■『ライムライト』には、響く言葉がたくさんあります。それを感じて頂ければ
<音楽劇『ライムライト』>
【東京公演】2019年4月9日(火)~4月24日(水) シアタークリエ
【大阪公演】2019年4月27日(土)~4月29日(月) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【福岡公演】2019年5月2日(木)~5月3日(金) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【愛知公演】2019年5月5日(日)~5月6日(月・休) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
公式サイト
https://www.tohostage.com/limelight/
<関連リンク>
矢崎広 -Tristone Entertaiment Inc.
http://tristone.co.jp/actors/yazaki/
矢崎広 Twitte
https://twitter.com/hiroshi_yazaki
矢崎広 Instagram
https://www.instagram.com/hiroshi_yazaki/
- 【動画】チャップリンの傑作映画を舞台化、音楽劇『ライムライト』ゲネプロ 2019年4月11日
- 「死と同時に避けられないこと…それは生きること」、石丸幹二&実咲凜音対談(下) 2019年4月5日
- 「踊りではなく、人生を見せる」、音楽劇『ライムライト』石丸幹二&実咲凜音対談(上) 2019年4月4日
- 2020年12月以前のプレゼント 2021年6月16日
- 『晦日明治座 納め・る祭』10月25日23:59まで無料配信、『大江戸鍋祭』は11月1日 2020年10月25日
- 2019年以前の有料会員登録のきっかけ 2020年8月18日
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■喉はあとから成長してくるので10年スパン。10年やるまで、落ち着けない
――ご自身でも歌の技術が向上したと発言されたり、実際に舞台を拝見していてもそう思いますが、そういう状況のなかで、ミュージカルに「出させて頂いている」という感じではなくなるためには、何かを積み上げていくのか、それとも「出させて頂いている」気持ちを大事に持っていたいのか、いかがですか?
同時進行だと思います。
――同時進行?
悔しさと嬉しさを内在してミュージカルをやっていかないと、自分としての成長には繋がらないんじゃないかと思います。積み上げていかないと自信にはならないので。難しいんですよね。歌だけについていえば、歌を知れば知るほど、耳がよくなっていくんですよね。
――耳も成長しますよね。
耳がよくなってくると、周りの人の歌の上手さに気づくんですよ。さらに技術も入ってくると、周りの人の歌のうまさの秘密が分かるわけですよ。じゃあ、いざ自分がやろうと思ってできないときの絶望感がすごいんです。
――なるほど。
喉はあとから成長してくるので。今、僕が通っているボイストレーニングの先生にも、本当にやはり歌に関しては、そもそも10年スパンだと言われています。多分、この10年をしっかりやるまで、落ち着けないと思います。歌をちゃんとやろうと思ったのもここ数年なので。それも含めて、やはり初心的な気持ちだと思います。
――昨年末はFNS歌謡祭に出演されましたね。私もテレビにかぶりついて見ました。
緊張で死ぬかと思いましたけどね(笑)。
――ツイッターも大騒ぎでしたね。
僕のファンの方々が、皆、手に汗握って観てるんですよ。
――FNS歌謡祭に出演してみて、いかがでしたか?
『ジャージー・ボーイズ』で全国ツアーをやったじゃないですか。あれで相当鍛えられたお陰で、本番を乗り切れました。FNS歌謡祭ではリハーサルを何回もやって、その音は最高だったんです。でも、本番は音のバランスが違っていて、聞こえ方が全然違ったんです。皆で目を丸くして「やべぇ」と思って歌いだして。でも、あとで聴き直してみると、ちゃんとピッチも取れていてよかった。多分、地方の劇場での色々な聞こえ方を聴いていたのでできたことなんだなと。ちょっと耳の力だけ上がっているんですよね。
――『ジャージー・ボーイズ』再演で、矢崎さんの歌が向上されていたことは観客の共通認識だと思うんです。「矢崎さん、すごいことになってた」って。
ありがとうございます。海宝直人とダブルキャストでなかったら、ここまで努力しなかったかもしれません。そういう意味でも僕は恵まれていると思います。
■『ジャージー・ボーイズ』は、実はニックのために作っていたりする
――そのうえで全国ツアーを拝見して思ったのは、やはりさっきおっしゃっていた、劇場によって音響や照明が違う。しかも各地で1回だけやって次の会場じゃないですか。
そうですね。
――その状況で、チームBLUEがそれでもブレないというのを、ツアー全部を通して感じたことなんです。じゃあチームWHITEがブレるのかといわれると、それも違うんですが。ただどこの劇場に行っても、どこの席で観ても、ある意味、感想は変わらなかった。もちろん緻密なところは違うんですが。ご自身では色々なことが変わるなかで、意識したことはありますか?
そもそも作品構成の話し合いがチームBLUEはものすごくあったんですよ。皆が何を目指して、どの季節は誰のためにやってという話をすごくしたんですね。多分、そこでできた地図のおかげだと思います。
――なるほど。その地図が整っているから、どこへ行っても、何があってもブレない。
そうだと思うんですよね。基本的に皆、フランキーのためにやっているんですが、もうひとつチームのためという軸があるんですね。そこの目線が網目状になっている。彼がブレても、こっちはブレないみたいな。
――縦糸と横糸で編まれている生地みたいですね。
芝居の出来が多分そうなっているんじゃないかな。spiの芝居がブレない限り、大きく外さない限りは全然大丈夫。実は、皆spiというか、ニックのために作っていたりするんです。僕はニックへのアンサーを秋でやっているし、夏は理想の自分を演じている。ニックに見えたのはこういう自分だということで、spiに影響を与えている。伊礼(彼方)さんもずっとニックとの関係性を重要視しながら作っていました。アッキー(中川)さんも最終的にニックへの思いからスタートする。ニックと話していてもそう。だから、割とそこが共通点なんですよね。
――なるほど。網目っておもしろいですね。どこかがズレても、その網目があるからズレていかない。
ちなみに、僕がどんなに自由にやっても心がズレないのは、やはりニックから見えたボブを演じたいし、フランキーに寄り添うボブも演じたいし、トミーを憎いだけで切ったわけではないところも演じたかったので、僕はブレようがないというところもあります。どこかと繋がっているので、そういう作り方を今回は綿密に心がけました。
――矢崎さんは、初演でチームRED、再演でチームBLUE、FNS歌謡祭ではチームWHITEも経験されて、チームごとの経験を経て、きっと確実に技術の向上というか、経験値として貯まっていますよね?
『ジャージー・ボーイズ』の歌に関しては、ですね。
――それが『ライムライト』に活きたりしないんですか?
それをどう活かそうかなと、今考えているところです。
■今は色々な技術が必要な時代。YouTubeもそうだし、そこは意識して
――例えば出るようになった高い音のための喉や、育った耳など、「ここは使える」というようなところは出てきていますか?
基礎をやって、応用編をやりながら、また基礎をやっているという段階なので、じゃあ違うミュージカルの曲をやってみようかという段階です。別になんのオーディションを受けるわけでもないのに、ただ知っている歌を歌うだけなんですが。
――手にした色々な技術が「こんな曲だとこんな風に使えるんだ」ということを実証させていくようなことですか?
そうです。
――歌えたぞという曲はありますか?
それはないですが、難しいなと思ったのは、「サンセット・ブルーバード」。拍子が難しいですね。喋るように歌うけれど、もちろん音楽も入っている。『レ・ミゼラブル』の曲をやると、「オーディションを受けるの?」と思われるかもしれませんが、受けないですよ(笑)。
――でも、そういう歌も歌ってみると、それが積み重なって、いつかまた、何かに役立つかもしれないですよね。
そうです。
――目指す方や、こういうものに出てみたいという目標などは?
憧れの俳優さんはたくさんいます。目指している方もいるんですが、具体名を挙げることによって弊害も出てくるので。
――なるほど。あえて言わずいる。
僕自身、コメディーもやりたいですし、ミュージカルも映画もドラマもできるようになりたいです。今はNetflixやHulu、Amazonプライムなど配信系でたくさん作品が製作されているなかで、色々な技術が必要な時代になってきているので、YouTubeもそうだし、そこは意識して生きています。
――いつ、どこで、何に呼ばれても結果を出せる役者というか。
そうですね。だから、たまにYouTuberのモノマネとかしますもんね。
――観ながら?
そう。例えば、商品紹介をするとか、やっておいた方がきっと何かに使えるんですよ。
――おもしろい! すごいですね。将来、なにをやるか分からないですね(笑)。
でも、YouTubeの裏を見てみると、編集だらけで。ただ話しているだけではダメで、切って、切って、繋いでいるから、上手く見えるんです。
――最初に伺ったチャップリンの話もそうですが、結構客観的に色々なことを観ていますね。
そうですね。自分でやるときは主観的になってしまいますが(笑)。
――なるほど。
客観的と主観的、両方があります。
■『ライムライト』には、響く言葉がたくさんあります。それを感じて頂ければ
――分かりました。では、最後に『ライムライト』へ向けての意気込みとメッセージをお願いします。
自分自身が役者をやっているので、『ライムライト』という作品に対しては演じ手として、色々な思いが乗ります。芸人カルヴェロもそうですし、作曲家、バレリーナ、皆芸術に携わっている者として、僕自身役者をやっているからなのかと思ったのですが、それだけではないメッセージや愛の形、人生があって、響く言葉がたくさんあるなと思っています。それをお客様に感じて頂ければと思います。チャップリンの言葉で、「自分の最高傑作は次回作だ」という言葉がありますが、本当にそうだなと思うんです。どんどん成長していきたいですし、そんな僕自身も感じて頂ければ。そのつもりで頑張るので、よろしくお願いします。
※矢崎広さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは3月25日(月)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
後半は歌についてやJBについてなど聞きたかった話を聞いてくださってありがとうございました。
記事を読んでストプレ、ミュージカル、映画、ドラマなど矢崎さんのこれからがますます楽しみになりました。
岩村さんの記事と写真大好きです。
また矢崎さんの特集をしてください。よろしくお願いします。
矢崎広さんの存在は、「スカーレット ピンパーネル初演」で知りました。耳なじみの良いお声と、キュートな
演技にノックアウトされました。もちろん、「ジャージーボーイズ」も拝見しました。歌と演技に一層魅力が増してました。次回作「ライム ライト」も大好きな作品です。矢崎さん加入で、今から、石丸さんとの共演を楽しみにしています。
矢崎広さんの大大大ファンです。10代20代30代とずっと応援しております。矢崎さん出演の舞台は地方も含めほぼ全通するほど好きです。今回もなかなか聞きづらい事まで、質問下さる真っ直ぐで愛のある岩村さんのインタビューがとても心地よく素敵で、楽しく読ませて頂きました。今後も矢崎さんをたくさん特集して頂けると嬉しいです