2019年4月9日(火)に開幕する音楽劇『ライムライト』に出演する、石丸幹二さんと実咲凜音さん対談後半です。心に刺さるセリフや、お互いを役者としてどう見ているかなどについて伺いました。
――実は、今朝映画を観たんです。
石丸:そうでしたか! いかがでしたか?
――今、その熱を持ったままここに来ています(笑)。もちろん舞台とは台詞や色々なことが違いますが、出てくる言葉が刺さり過ぎました。
石丸:そうなんですよ。名言がいっぱいですよね。深い意味があって、それは多分、チャップリンがずっと思っていることなんでしょうね。人生についてたくさんの角度から、さまざまな言葉を当てはめて、台詞として残している。今回、大野(裕之)さんが脚本を吟味して言葉を当ててくれていますが、見事な翻訳になっていますよね。
――ご自分のなかで刺さるような言葉はありますか?
石丸:たくさんあるのですが……。
実咲:カルヴェロが言っているセリフ。
――映画でもカルヴェロのセリフが刺さりまくりますよね。
石丸:「過ちは人の常」という言葉があるんです。それって、言った人も許されるし、言われた人もほどけていくというか。人ってそういうものなんだよと。
実咲:そうですよね。
石丸:そんなセリフを語りながら、この言葉によって彼女はほどけるだろうと考える。でも、チャップリンの言葉が偉大過ぎて、ほどけるように言うにはどう表現したらいいか、なかなか辿り着かないんです。
――おそらくチャップリンが、年を重ねたからこそ見えてきたんでしょうね。人生の凝縮された言葉みたいなものというか。
石丸:そうなんです。「人生は欲望のままに生きればいい」という、すごくドキリとするようなセリフもありますが、そういう言葉一つ一つが、どういうことなんだろうと考えてしまいますね。名言的なものは、後半のほうにもあるんですよ。「時は偉大な作家だ、必ず完璧な結末を描く」。
実咲:ああ!
石丸:何か考えちゃうよね。
実咲:本当ですね……(溜息)。私は、カルヴェロがテリーに、「死ぬことばかり考えている……」というところが。
石丸:1幕の最後のほうだね。「君は闘わずに諦めてる。いつも死ぬことばかり考えている。でも、死と同時に避けられないことが一つある……それは生きることだ」。
実咲:ベッドに座りながら、言い聞かせられるところで、ハッとなる台詞でしたね。
<取材協力>
スタイリング(石丸幹二さん):Shinichi Mikawa
メイク(石丸幹二さん):中島康平(UNVICIOUS)
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、「自分は何か出来るんじゃないか」と着火してくれる話だと思うという『ライムライト』の意味について、登場人物と自分の関係、映画と舞台などについて話してくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■石丸:(ライムライトのなかで)「自分に向き合って自分を探れ」と
■実咲:石丸さんはカルヴェロそのもの、すごく努力されている方
■石丸:観劇前に映画を観てくると、違いがよくわかる。観劇の楽しみのひとつに加えて
■実咲:新しい自分を観て頂けるように頑張りたい。つま先で立っています
<音楽劇『ライムライト』>
【東京公演】2019年4月9日(火)~4月24日(水) シアタークリエ
【大阪公演】2019年4月27日(土)~4月29日(月) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【福岡公演】2019年5月2日(木)~5月3日(金) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【愛知公演】2019年5月5日(日)~5月6日(月・休) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
音楽劇『ライムライト』公式サイト
https://www.tohostage.com/limelight/
<関連リンク>
石丸幹二 オフィシャルサイト
http://ishimaru-kanji.com
石丸幹二 Twitter
https://twitter.com/team_kanji
実咲凜音 ホリプロオフィシャルサイト
http://www.horipro.co.jp/misakirion/
実咲凜音 オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/mirion-misaki/
実咲凜音 Instagram
https://www.instagram.com/misaki_rion/
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■石丸:(ライムライトのなかで)「自分に向き合って自分を探れ」と
――きっとご覧になる方も、自分のなかに止めていく台詞がたくさんあるだろうなと思います。
石丸:そうでしょうね。これは、いわゆる人生のレールからこぼれ落ちてしまったふたりの話で、そのふたりがもう一度レールに乗ろうとする、そして、走っていって、超一流になろうとしている。世の中には、ある意味、もう諦めてしまっている方も多いと思うんですよね。
実咲:そうですね。
石丸:でも、それをもう一回、「自分は何か出来るんじゃないか」と着火してくれる話だと思うんですよ。それが趣味でもいいのですが、あの時のキラキラしていた自分はどこだと。『ライムライト』という言葉自体が、そういうほのかな光だったりしますし、電気が生みだされる前の、昔の照明なので、ぼんやりしているんですよね。そのぼんやりしているライムライトのなかで、「自分に向き合って自分を探れ」と言っている気がします。
――この『ライムライト』をきっかけに、自分に火を点けるんですね。
石丸:そうですね。
実咲:テリーがまさしくそうですね。レールを外れたところから。
石丸:自ら死のうとまでしてね。
実咲:そうですよね。だから、1幕と2幕で本当に人が違うんじゃないかというぐらい、気分の在り方が違いますが、元々は2幕で演じるキャラクターの人なんだということ。元々彼女は暗い人じゃなくて、明るくて、生命力のある女性なんです。だけど、色々な状況で葛藤して、「だめだ」とレールを外れてしまったというところからはじまるので、そこを間違えずに彼女として生きていかなくちゃいけないと思います。
石丸:テリーは最後に大成功しますからね。
実咲:でも、切ないですよね……。
石丸:切ないですが、新しい人生がまだあるから。
――そうですよね。物語の最後を見ながら、登場人物たちの今後の人生を考えてしまいますね。勝手に妄想したり。
石丸:妄想しますね。
実咲:でもイメージでは、テリーはネヴィルとは一緒にならないと仰ってましたよね。
石丸:うん、そうだね。
実咲:カルヴェロだけを最後までずっと思い続けているんだろうと。
石丸:きっと、大スターになったら変わると思う(笑)。
現場全員:(爆笑)。
実咲:人は変わる(笑)。
石丸:もっとすごい次のステージの人達に会うと思うんだよね。
実咲:ああ~。
――でもそうですよね。人生が進むと出会う人達ってやはり変わっていきますから。
石丸:変わっていくんでしょうね。カルヴェロは、最期、テリーが踊っているところを見たいと言うんです。見たことで満足するというよりは、こう思うんです。ああ、これで彼女は次のところに飛ぶんだなって。
――テリーは、人生の最後にカルヴェロが遺した大きなものですよね。
石丸:そうですね。そして、俳優としての理想で、板の上で死ぬということを、やはりチャップリンはカルヴェロにさせているんですよ。これは、ほとんどの人が出来ないことでしょう?
――そうですよね。
石丸:だから、理想だなとは思います。
■実咲:石丸さんはカルヴェロそのもの、すごく努力されている方
――一緒にお芝居をされていて、役者としてお互いをどんな風に見ていますか?
実咲:もう、カルヴェロそのものです。
石丸:そんな(笑)。
実咲:石丸さんはすごく努力されている方で、稽古が終わってからも台詞を体に入れ込みたいと。
石丸:いや、入れないと次の日に間に合わないんですよ(苦笑)。
実咲:ご自身でも、さらに手伝ってもらいながらでも、例えば(植本)純米さんとずっとお稽古されているんです。やはりパーフェクトな方なんだなと。舞台を拝見していて、芝居もお歌も何でも出来てというイメージでした。
石丸:いやいやいや…。
実咲:プラス、気さくな方だというイメージから、ものすごく自分自身で努力されて、舞台初日まで行かれるんだろうなという経過を目の当たりにして、改めてすごいなと。石丸さん自身の印象がまた変わりました。
石丸:ありがとうございます。でも、僕はまだ彼女の半分しか見られていないんですよ。だってベッドに座っているだけだから、今はね(笑)。
実咲:そうですね(笑)。
石丸:先程実咲さんも言っていましたが、今、彼女は、皆が見ていないところで2幕の稽古をしているはずなんですね。体はもちろん、頭のなかでも稽古している。だって1年前からバレエのレッスンをしているんですよ。彼女こそ、プロですよ。きっちり積み上げてここまで来ている。以前の経歴ももちろんそうでしょう。それがあるからこそ宝塚でトップになったわけですし、その後、こうやってどんどん仕事が積み上がっている。実咲さんの姿を見ていて、僕も「あなたは努力の人」だと思います。
実咲:いえいえ…。
――おふたりとも努力を重ねる人ということですね(笑)。
実咲:そういう姿を拝見して、自分も頑張らなければと思います。
■石丸:観劇前に映画を見てくると、違いがよくわかる。観劇の楽しみのひとつに加えて
――『ライムライト』を楽しみにしているお客様へ、楽しむポイントをお願いします。
石丸:2019年版音楽劇『ライムライト』。メンバーも新しく入れ替わってフレッシュに、また皆さんの前にお届け出来ることと思います。映画をご覧になっていなくても楽しめますが、観劇前に映画をご覧になると、いっそう面白いかもしれません。
――確かにそうですね。テーマを知った状態で観たほうが、さらに、舞台だからこその面白さを感じられるかもしれません。
石丸:バレエも歌も芝居も、直接客席に向かって投げかけ、客席から「気」が戻ってくるという双方向のコミュニケーションがありますから。
■実咲:新しい自分を観ていただけるように頑張りたい。つま先で立っています
実咲:初演と違う部分があって、セットも八百屋になっていたりします。
石丸:1幕はもうレイアウトも全然違っています。
実咲:演出もかなり違うんですよね。
石丸:心の居どころまで、かなり違います。
実咲:私は新しく入らせて頂きましたが、皆さんが「全然違う。この場面もなかった」と仰られているので、前回ご覧になっている方には、また違う作品のように観て頂けるのではないでしょうか。たくさんの方に観て頂けたら嬉しいです。
石丸:そして、実咲さんのトウ・シューズを履いた姿が美しいです。宝塚では履いていた?
実咲:いや、履いていないです。
石丸:じゃあ舞台では初めてですね。今までずっと彼女を見守ってこられた方に、新しい実咲さんのバレエの姿をお見せ出来る。ここはアピールしなきゃ!(笑)。
実咲:はい!(笑)。確かにそうですね、宝塚では観て頂いていないですね。新しい自分を観て頂けるように頑張りたいと思います。
石丸:新たな実咲さんを観ることができるという楽しさがあると思います。矢崎君のネヴィルもしかりですが。
――映画を観て、矢崎さんにピッタリな感じがすると思いました。
石丸:彼は役替わりもしているので。
実咲:ネヴィルだけではなく、たくさんの役をやってますよね。
石丸:作曲家として現れるまでは、色んな役をしています。そこも楽しみのひとつです。
――観たらわかるということですね。『ライムライト』『レ・ミゼラブル』『笑う男』と、4月に開幕する3本の演目で、日比谷が愛に包まれるなと思いました。
石丸・実咲:確かに!
石丸:その中でシアタークリエは小さな劇場ですが、大きく花を咲かせますのでご期待ください。
※石丸幹二&実咲凜音さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは5月4日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
下(後半)も期待以上の濃い内容でした。先日、観劇する事が出来ましたので、観劇後にもう一度上下と読ませて頂きました。お二人のお稽古の様子や意気込みを観劇前に読んでおいて良かったです。そして今、観劇後に再び、チャップリンの名言散りばめられた台詞の数々を思い出して噛み締めています。次の観劇の前に四年前に購入した映画のDVDも、もう一度観たいと思います。四年前に観た時も大好きな作品でしたが、また新しく創り上げられた作品に出逢うことが出来て嬉しいです。こちらのインタビューを読んで、より一層「ライムライト」を深く感じることが出来ました。次の観劇も楽しみです。前日にもう一度読んでから観に行きます。ありがとうございました。
とても読み応えのある記事でした。石丸さんのファンなので、初演も拝見していますが、細かな言葉の捉え方や作品を作り上げるプロセス、その時の考え方や試行錯誤の様子が具体的に理解できました。また共演者の方へのまなざしや接し方、共演者の方が感じる石丸さんの存在感など多面的にうかがい知ることができました。たくさんのメディアでコメントされていますが、尺や紙面が限られるからかほぼ同じ内容のサマリー的な事しか伝わってこないのですが、このインタビューで作品の奥深さ、多くの観るべきポイントがわかり、受け止め方が深まる助けになりそうです。同じ演目でも演出や表現が変わっているということも楽しみです。