音楽劇『ライムライト』が2019年4月9日(火)~4月24日(水)に、東京・シアタークリエで上演されます(大阪、福岡、愛知でも上演)。チャールズ・チャップリンの傑作映画を舞台化する作品。2015年に初演された舞台がブラッシュアップして再演されます。チャップリンが演じた老芸人・カルヴェロ役を石丸幹二さんが、ヒロインのバレリーナ・テリー役を実咲凜音さんが演じます。3月半ばに稽古場を訪ねて伺った、おふたりの対談をお届けします。
――1幕の粗通しをされたと伺いました。
実咲:これまでの稽古を思い出しながらでしたね。
石丸:かなり前に稽古したシーンから、つい先日までやったシーンまで繋げて。でも通せて、ホッとしたね。
実咲:ホッとしました。「通せた」みたいな感じです。
石丸:1幕は実咲さんは寝たきりの場面ばかりでしたが、2幕からは踊りを発揮するね。
実咲:ベッドがお家みたいでしたからね(笑)。
石丸:今日からいよいよ動き出すというシーンが始まります。
――改めて今回のカンパニーは、キャストがおふたり変わられましたが、演出の荻田(浩一)さんをはじめ、懐かしい面々と作っていらっしゃると思います。まず、石丸さんは今どんなお気持ちですか?
石丸:キャスト、スタッッフはほぼ変わらないのですが、荻田さんらしく、前回のことを全く踏襲していないんです。全て一から作っているので、初演からやっている僕達も、台詞は馴染んでいますが、動きを覚えることに関しては、今回新しく加わった実咲さんや矢崎(広)君と何ら変わらないんです。一からどう作るのかなと、とても新鮮です。逆に初演に囚われないほうが新しく作れますね。新しく覚えなければいけないので、前の内容も頭の片隅にあるのですが、消去作業をしないといけない。例えば「前回はこういう風にやっていたけれど……」とつい言ってしまうのですが、今回は違うんだと。
――再演とはいえ大変なところもあると。
石丸:そうですね。新しいものが定着するまでが少し大変ですが、むしろそのほうが僕は気持ちが良いかな。新鮮な気持ちでシーンを1個ずつ作っているので、今とても充実して楽しいです。台詞を入れることについては必死ですが(笑)。
――そこは思い出しながらですね。
石丸:そうなんです。でも、微妙に変わっていたりするんですよ。
実咲:少し変わって、さらに再演で加わった場面もあると仰っていましたね。覚えていたところに新たにつけるのはややこしいですよね。
石丸:そう、ややこしい。そこで調子がノッてきた時に、元の台詞が出そうな恐怖は少しあるのですが(笑)。
<取材協力>
スタイリング(石丸幹二さん):Shinichi Mikawa
メイク(石丸幹二さん):中島康平(UNVICIOUS)
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、初参加となる実咲凜音さんと矢崎広さんが稽古場でどんな話をしているかや、石丸さんから見た実咲さん、実咲さんから見た石丸さん、トウ・シューズを履いて踊ることなどについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。4月5日(金)掲載予定のインタビュー「下」では、「自分は何か出来るんじゃないか」と着火してくれる話だと思うという『ライムライト』の意味について、登場人物と自分の関係、映画と舞台などについて話してくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■石丸:彼女達の姿を見て、こういう新鮮さが必要だなと、とても良い勉強に
■実咲:石丸さんの包容力がすごいです! 役としてもそこがリンクしていく部分
■実咲:つま先で立つというのは、普通のダンスとは違う体力と神経を使う
■石丸:愛のキャッチボールがずっと続いていく物語
<音楽劇『ライムライト』>
【東京公演】2019年4月9日(火)~4月24日(水) シアタークリエ
【大阪公演】2019年4月27日(土)~4月29日(月) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【福岡公演】2019年5月2日(木)~5月3日(金) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【愛知公演】2019年5月5日(日)~5月6日(月・休) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
音楽劇『ライムライト』公式サイト
https://www.tohostage.com/limelight/
<関連リンク>
石丸幹二 オフィシャルサイト
http://ishimaru-kanji.com
石丸幹二 Twitter
https://twitter.com/team_kanji
実咲凜音 ホリプロオフィシャルサイト
http://www.horipro.co.jp/misakirion/
実咲凜音 オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/mirion-misaki/
実咲凜音 Instagram
https://www.instagram.com/misaki_rion/
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※石丸幹二&実咲凜音さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは5月4日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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■石丸:彼女達の姿を見て、こういう新鮮さが必要だなと、とても良い勉強に
――実咲さんはいかがですか?
実咲:本当に、石丸さんが仰られたように、私もまず台詞を入れて、そこに動きを入れていくのに必死です。ただ、すぐに立ち稽古に入らずに、本読みの段階で、この気持ちはどういう気持ちなのかを細かく掘り下げていく作業をして頂けたので、その点はすごくありがたいと思いました。矢崎さんとも話していたんです。すごく良い作業をして頂いてから立ち稽古に入っているので、初めて参加させて頂く身としては、作品に入っていきやすいです。周りの方もすごく個性豊かで(笑)。
石丸:(笑)。
実咲:本当にキャラクターが濃い方ばかりで素晴らしいなと。
石丸:毎度みんな違うことをしたがるね。
実咲:すごいな、面白いなと思っています。
――なるほど。お芝居が好きな方が多い。
石丸:多いですね。
――初参加は実咲さんと矢崎さんのおふたりですが、皆さんのなかでいかがですか? 焦るような感覚はありますか?
実咲:やはり、みなさんはすでに役がどこか入ってらっしゃるので、ひと言喋るだけでも違うなと感じていて、本読みの初めの日は、矢崎さんと小声で「やばいね……」と話しました。
石丸:そうなんだ。
実咲:席が隣だったのですが、「ちょっと焦りますよね」と(笑)。でも、本読みで石丸さんとふたりでさせて頂く場面や、矢崎さんと喋らせてもらう場面も詰めて頂いたので、だんだん納得出来て、こういう感じで役を作っていったらいいのかなという道が見えました。
石丸:最初は、だれでも同じですよ。
実咲:やっぱり先輩方を見てすごいなと。
石丸:実際僕らが年上で、4年前の初演の時からまた年も重ねましたしね。実咲さんと矢崎くんが一番若いんです。僕達も逆に、彼女達の姿を見て、こういう新鮮さが必要だなと思い、とても良い勉強になっています。
実咲:いえいえ……恐縮です。
――両方の良いところが混ざって、化学反応が起きている感じですね。
石丸:そうですね。カンパニーの雰囲気もとても良いしね。
実咲:はい。やるべきことをそれぞれがやってらっしゃいます。
■実咲:石丸さんの包容力がすごいです! 役としてもそこがリンクしていく部分
――役について伺いますが、まず石丸さんから見て、新たなテリーはいかがでしょうか?
石丸:実咲さんのテリー、映画のなかのテリー、初演時のテリーと三者三様です。実咲さんのテリーは台本に書かれている台詞や、その状況から発想して演技しているので、とても自然ですし、彼女から発せられる言葉や感情は素晴らしいです。それが稽古のたびにどんどん折り重なっている様子が見えていますね。
――ミルフィーユみたいですね。
石丸:まさにそうですね(笑)。ミルフィーユという、お菓子として完成するのが今見えています。
――実咲さんは、石丸さんとお芝居をされてみていかがですか?
実咲:まず、石丸さんの包容力がすごいです! 一番初めの本読みの時に思いました。
石丸:ほぉー?
実咲:包容力といいますか、説得力といいますか。
石丸:そうですか。ありがとうございます。
実咲:特に一番初めのシーンで、すごく包容力がある方だなと思いましたね。役としてもそこがリンクしていく部分です。テリーは、初めは歩けずにずっとベッドの上にいて、ネガティブな言葉ばかり発しています。そこで、石丸さんの包み込んでくださる魅力を感じるんです。それがすごく印象的です。
石丸:自分じゃわかりませんが(苦笑)、そうなんですかね?
実咲:そうなんです!
――石丸さんの包容力に包まれたなかで、実咲さんは層を重ねているわけですね(笑)。
■実咲:つま先で立つというのは、普通のダンスとは違う体力と神経を使う
――バレエはもうお稽古されているんですか?
実咲:はい、バレエも少しずつ始まっています。立ち稽古が始まってすぐにバレエの稽古日があって、今は頻繁に稽古しています。
石丸:たくさん踊っているので、その後に、台詞の読み稽古などが入ってくると、体力の配分が必要になってきますが、疲れた風もないんですよ。
実咲:疲れているんですよ(笑)。
石丸:本当?
実咲:バレエは1日3回までと言われてまして。だから、2回公演までなら大丈夫だと思うのですが。
石丸:大事なことですね。
――トウ・シューズはいかがですか? 久しぶりですか?
実咲:はい。やはり本当に体力が要るなと思いました。即興で踊るという場面なのですが、つま先で立つというのは、普通のダンスとは違う体力と神経を使うような感覚があります。そのなかでも、クラシックバレエが上手なのを見せるわけではなくて、バレエを踊っているテリーというものを表現してほしいということなので、技術ではない部分を表現しなければいけません。今お稽古しながらですが、難しいですね。
――トウ・シューズを履いたバレリーナが出てくる舞台というのは、独特ですよね。
石丸:そうですね。しかも、今、実咲さんが言ったように、踊りを見せるわけではなく人生を見せる。彼女もずっと宝塚で踊っていた人ですが、トウ・シューズを履いてポワントで立つことって、すごく真剣勝負なんですよ。だからこそ綺麗。それを見て我々観客は感動するのですが、この役は誰でも出来るわけじゃありません。実咲さんだからこそ出来る。きっとたくさんチャレンジをしていると思いますが、最終的に実るものがたくさんあると思います。僕らは全部をまだ見ていないのでね。
――なるほど。
石丸:ちょっと早めに来て、こっそりのぞいて、「うわ、踊ってる!」と。
実咲:(笑)。
石丸:本当に素敵です。
■石丸:愛のキャッチボールがずっと続いていく物語
――『ライムライト』は石丸さんもすごく大事にされている作品だと思いますが、作品のテーマ、内容についてぜひ伺いたいです。
石丸:色んな見方がありますが、ひとつのテーマは、年齢は離れた者同士の、大きな「愛」というものを共有すること。人間的な愛もありますし、アーティストとしての共通点がある部分での愛。テリーにチャンスが来るように、心の底から応援する愛や、落ちぶれているカルヴェロを、彼女が心の底から励まして、舞台に立たせようとする愛。そういう愛のキャッチボールみたいなものがずっと続いていく物語だと思います。だから観ている人が共感出来るし、どの世代の人もわかるのだと思います。チャップリンは、そういう意味ではすごくテーマをはっきり出す人ですね。人を愛するということはこんなに尊いことだと伝えていると思います。これはご自分になぞらえている部分もあるのでしょうが。
――実咲さんはいかがですか。
実咲:愛という部分ですと、コメディアンとして芸術を愛し、バレリーナとして芸術を愛する、共通する芸に対する愛。あとは、同じものを志しているからこそわかり合える、カルヴェロとテリーの、相手を思いやる愛は本当に深いと思います。それはいつの時代でも同じですから、お客様も感動出来るのではないかと思います。
石丸:そうでしょうね。芝居ではお互いのネガティブな部分も出すわけです。二幕は、カルヴェロがどんどんネガティブになっていって、嫉妬したり、やり場のない怒りがあったり。でもそれを受け入れて、最終的にはやはり彼女を見守るところに行きつく。これから稽古するところは、心情的にはお互いかなりしんどいシーンが続きますが、これこそが人間らしいところじゃないですか。
――そうですよね。
石丸:喧嘩をして、改めて気づかされることもたくさんある。そういうものが本当にギュッと詰まってるんです。……おせち料理みたいに。
――おせち料理!
石丸:ギュッ、ギュッと、人間関係の色んなものが凝縮されていて、カラフルな色合いがキラキラと見える。料理に例えなくても良かったんですが(笑)。
現場全員:(笑)
石丸:そんな感じです。
※石丸幹二&実咲凜音さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは5月4日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
私の平成最後の観劇と令和最初の観劇が「ライムライト」です。とてもとても楽しみで、現在いろいろな雑誌などを読みまくっております。毎回ぎゅっと詰まったインタビューを載せて下さるアイデアニュース様の記事もずっと心待ちにしておりました。こちらの特に会員限定の記事の中の、作品のテーマに深く言及するお話や、愛のお話、そして素敵なお写真の数々、絶対に観劇前に読むべきです。おススメです。他の雑誌には書いていなかった事が書いてあります。今まさに「お料理中?」の臨場感あふれる「お稽古場」から、まるでカルヴェロとテリーのような関係性?の石丸さんと美咲さんのお話を伺う事ができます。私は来週の開幕が益々楽しみになりました。ありがとうございます。後半(下)もじっくりと読ませていただきます。
アイデアニュースさま
いつも楽しく拝読させていただいております。
「ライムライト」石丸幹二さんのカルヴェロをまた拝見できること、とてもうれしく思います。
初演から4年、より円熟味が増した新たなものがたりへ。
開幕が待ち遠しいです。
カルヴェロのテリーへの想いを受けとめに劇場へ伺わせていただきます。
初演を見逃して、ずっと再演をお待ちしていました。でも新たな作品になっているのですね!人がもつさまざまな愛を堪能する時間、楽しみです。いつもながらアイデアニュースさんのミュージカル愛も、お写真の表情やお話の様子に出てますね。素敵です。