「小学4年生でスランプに、小5で覚悟を決めて…」、松岡広大インタビュー(下)

松岡広大さん=撮影・岩村美佳

2020年2月11日(火・祝)から東京芸術劇場プレイハウスで上演される、舞台『ねじまき鳥クロニクル』に出演する松岡広大さんのインタビュー、後半です。松岡広大さん自身の幼いころからこれまでの歩み、身体能力がとても高い松岡さんと演劇の台詞の関係などについても伺いました。『ねじまき鳥クロニクル』は、村上春樹さんの代表的長編小説で、初の舞台化となります。演出・振付・美術を担当するのは、ミュージカル『100万回生きたねこ』や百鬼オペラ『羅生門』を手がけたイスラエルのインバル・ピントさん。共同演出と脚本は、演劇団体「マームとジプシー」を主宰する藤田貴大さん。そして音楽は、NHK『あまちゃん』『いだてん』など映像作品の音楽でも広く活躍する大友良英さんが担当します。

松岡広大さん=撮影・岩村美佳

松岡広大さん=撮影・岩村美佳

――ご自身についてもお伺いします。お仕事を始めたのは2012年。子どもの頃からお仕事をされていますが、ご自身の記憶のなかで、どんな子どもでしたか?

仕事をし始めたのが小学5年生です。ずっと踊っていたので、友達は少なかったですね。

――ずっと踊っていたというのは、そういう環境だったんですか?

いや、自分がやりたいと思って、小学2年生から踊りを始めて、週に6回ほぼ通っていました。

――踊りが言語みたいな感じですか?

そうですね。話すよりは踊るほうが、という感覚です。

――小学5年生で事務所に入られたきっかけは?

小学2年生の時に踊りを始めていて、ずっと週に6回習っていても、小学4年生の終わりぐらいにスランプのようになって……。

――小学4年生でスランプ!?

それで、辞めそうになったのですが、そこで辞めたら、そこまで続いた物はないと思ったので。今から他の芸事、お稽古事はできないだろうと。表現することには、その頃にはもう愛着があったので、じゃあ何があるかなと。テレビを観ていたら、役者さんがお芝居していて、自分もお芝居をしたいなと思い、小学5年生の時に自分で履歴書を書いたんです。その結果、受かって芝居をすることになりました。

――大人な子どもですね……。

そうですね。ただ目標設定、決断が早かっただけです。まだ時期尚早でした。僕はそれで覚悟を決めて、今ちゃんと食べられるようになっているので、肚を決めて良かったとは思いますね。

――お友達は少なかったと仰いましたが、周りの人は驚きませんでしたか?

うーん……驚いていましたが、そこまで気にしませんでした。若干揶揄はされましたけど…。

――「何を言っているんだ」みたいな?

そうですね。仲の良い人は何人かいましたが、そのなかでも「頑張れ」と言ってくれた人とは今でも仲良くしています。

――なるほど。でも10歳、11歳で世間の事を知るというか。

そうですね。

――冷たい人も含めて。

そうですね。あとは、現場での居方も早いうちから縦社会を見ていました。でも、それは今非常に役立っています。しかも、その時に周囲から注意してもらうことが多かったんです。

――現場でですか?

現場や、先輩の背中を見てですね。だから、とにかくあまり喋らない子でした。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、身体能力が高い松岡さんがストレート・プレイに関心を持っている理由や、今、ハマっている戯曲について伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■演劇が面白いなと思ったのは、先日終わった、白井晃さんの『恐るべき子供たち』です

■動きを武器にしていますが。それ以上の物を求めて、動きではなく言葉で勝負したい

■今ハマっているのは『最後の物たちの国で』という小説。誰か舞台化してくれないかな

■『ねじまき鳥クロニクル』。表現したい事は至ってシンプル。池袋でお待ちしています

<『ねじまき鳥クロニクル』>
【東京公演】2020年2月11日(火・祝)~3月1日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/nejimaki2020/

<関連リンク>
松岡広大 アミューズオフィシャルウェブサイト
https://artist.amuse.co.jp/artist/matsuoka_koudai/
松岡広大 instagram
https://www.instagram.com/koudai_matsuoka.official/
松岡広大 Twitter
https://twitter.com/koudai_official

ねじまき鳥クロニクル 関連記事:

⇒すべて見る

松岡広大 関連記事:

⇒すべて見る

※松岡広大さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは11月21日(木)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

松岡広大さん=撮影・岩村美佳

松岡広大さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■演劇が面白いなと思ったのは、先日終わった、白井晃さんの『恐るべき子供たち』です

――これまでにいろいろな作品に出演されていますが、特に心に残っている作品はありますか?

そうですね……演劇が面白いなと思ったのは、先日終わった、白井晃さんの『恐るべき子供たち』です。初めて挑戦する事ばかりで、相まってなのか、それとも白井さんの演出が、一言一句ちゃんと気を付けるというか、それに感情を乗せていくことが、非常に表現の幅を大きくしてくださいました。そういう訓練をしたので、演劇って無限大に可能性があるし、面白いなと。あとは20歳の時に出させて頂いた劇団☆新感線は、また違った毛色ですが、とことん演劇でしたし、いかに、いのうえ(ひでのり)さんにこの先も呼んで頂くためにというか。まだ呼ばれていないのですが…(笑)。「うまくなったな」と言われるように頑張っています。(笑)。

――次にご一緒する時に。

白井さんもいのうえさんもそうですね。「少しは演劇の事を勉強してきたな」と言われるように、あとは技法などいろいろな物を学んで、真摯に演劇をやっていきたいです。大きかったのはそのふたつでしょうか。

――いのうえさんにしても白井さんにしても、演劇人がみなさんやりたいと思う方ですよね。

はい。だから、この年齢でご一緒できるのが本当に贅沢で、非常に恵まれていますし、縁のような物を非常に感じました。

松岡広大さん=撮影・岩村美佳

松岡広大さん=撮影・岩村美佳

■動きを武器にしていますが。それ以上の物を求めて、動きではなく言葉で勝負したい

――『髑髏城(の七人)』と『るろうに剣心』を拝見して、松岡さんは身体能力がとても高い方という印象なのですが、10代を経て、今演じる事に興味がシフトしているんでしょうか?

そうですね。もちろん踊るのも舞台上では表現方法のひとつですし、効果的にもなります。自分でも動きを存分に武器にしてはいますが、動きではなく言葉だけで勝負したいと思うところがあるんです。それは、ミュージカルではなく、ストレート・プレイを観て面白いなと思った瞬間が、どんどん積み重なっていった結果です。正直、自分は動きで誤魔化せるなと思ってしまったんです。誤魔化せてしまうし、そこに頼ってしまう。もちろん台詞を喋るに関しても、やっていることはやっていますが、それ以上の物を求めたいと思った時に、踊りだけではなく、踊りを排除して台詞を喋る、戯曲という物に関わるのが一番良いかなと思いました。あとは、古典を読んだり、いろいろな物を読む。チェーホフ、シェークスピアもそうですし。

松岡広大さん=撮影・岩村美佳

松岡広大さん=撮影・岩村美佳

■今ハマっているのは『最後の物たちの国で』という小説。誰か舞台化してくれないかな

――今、ハマっている戯曲はありますか?

今はポール・オースターという人の戯曲のなかで、『最後の物たちの国で』という小説があるのですが、それは、どこかで舞台化しているのかな……していないと思いますが、誰かして欲しいと思っています(笑)。

――言っておいたら舞台化してくれるかもしれないですね(笑)。

(笑)。まだ上演されていないなら、白井さんにやって頂きたいです。きっと新作が好きなので(笑)。日本語というだけではありませんが、英語にもいろいろな表現方法はありますし、ただ日本語は、訳詞にした時の言葉の情報量が、漢字なので、やはりすごくダイレクトで、漢字に伝えたい事がすごく詰まっている。ひとつの「あおいろ」という言葉でも、読みは一緒でも漢字の形が違うと、イメージはまた違ってきますよね。

――どの漢字を使うかで確かに違いますね。

そういう物も非常に面白いし、やはり演劇をやる上では、そのイメージも内実を伴わなければいけない。演劇にシフトしてきたというのは、ある種、言葉への関心もあると思います。

――なるほど。21歳で、とても落ち着いてらっしゃるなと、今日お話を伺って思いました。

そんな…ありがとうございます(苦笑)。

■『ねじまき鳥クロニクル』。表現したい事は至ってシンプル。池袋でお待ちしています

――すごく良いタイミングで、良い作品に出会われていますよね。最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

自分の踊りを活かしつつ、また言葉を丁寧に扱おうと、同時に最高の状態で、非常に高い純度で演じていきたいと思います。まずこのカンパニーにしっかり貢献してやっていくこと。そして、今回はミュージカルやオペラとカテゴライズしないので、ひとつの額縁のなかに何が入っているかわからない、本当に“おもちゃ箱”みたいな感じになるとは思うんです。ただ、表現したい事は至ってシンプルですし、何を伝えたいかがすごくわかりやすいとは思うので、ワクワクしながら待っていただけたらと思います。池袋でお待ちしています!

松岡広大さん=撮影・岩村美佳

松岡広大さん=撮影・岩村美佳

※松岡広大さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは11月21日(木)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

Follow me!

“「小学4年生でスランプに、小5で覚悟を決めて…」、松岡広大インタビュー(下)” への 4 件のフィードバック

  1. あんず より:

    素敵な記事ありがとうございます。前編、後編ともに何度も拝読させていただいております。
    後編の中で特に印象的だったのが、松岡さんが動きが武器であるがために動きに頼ってしまうことがあると仰られていたことです。ご自身のことを客観的に捉え、現状で満足しない姿勢が素敵だと思いましたし、そのような意識で臨まれる「ねじまき鳥クロニクル」がより楽しみになりました。
    「ねじまき鳥クロニクル」で
    踊り、歌い、演じる松岡さんに期待し、観劇できる日を楽しみに待っています。素敵な記事本当にありがとうございました。

  2. あーちゃん より:

    松岡さんの武器の1つである “踊り” との関わりについてお話を聞くことができ、嬉しいです。また、記憶に新しい恐るべき子供たちや劇団☆新感さんの舞台出演時のお話や思いが新鮮なもので、松岡さんの持つ吸収力をリアルに感じることができました。動きを武器にしながらもそれ以上を求め、言葉での勝負に挑戦する探求心や真摯な姿勢を尊敬します。芯に触れる深いインタビューをありがとうございました。また何度か読み返し、松岡さんの思いや感性に触れたいです。

  3. てぃーみき より:

    生い立ちや芸能界に入るまでを今の広大さんの言葉で伺うことはあまり無かったように思うので、貴重なお話を知ることができ嬉しく思います。今の広大さんがお仕事に対して覚悟を決めて向き合っているのを、お姿を見ていつも感じますが、その原点を知ることができました。過去の出演作で挙げられたものも、真っ向から演劇に挑む広大さんのお芝居に、心を揺さぶられた記憶があります。早くまた広大さんのお芝居に触れたくなりました。

  4. k より:

    ねじまき鳥クロニクルの公演をとてもとても楽しみにしております。
    今回のインタビューで生い立ちや意気込みを語って下さって嬉しいです。いつだって、どんな些細な事でも知りたいと思っているので。
    2019はお芝居中心の舞台や映画がたくさん観れてこの上なき幸せでしたが、やはりそろそろ踊り乱れるお姿も観たいとひしひし思っている所です。
    ずっと応援してます!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA