田中芳樹さんの大ヒット小説を原作とする舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These ~第三章 嵐の前~』が、2019年10月24日(木)~10月27日(日)にZepp DiverCity (TOKYO)、2019年11月2日(土)~11月3日(日)にZepp Namba(OSAKA)で上演されます。銀河帝国軍のラインハルト・フォン・ローエングラム元帥役の永田聖一朗さんと、その親友ジークフリード・キルヒアイス上級大将役の加藤将さんの対談です。「親友」という枠には収まらない、光と影のように別ち難い両雄を演じるお二人に、作品について話していただきました。
――お稽古はいかがですか? キャストの皆さんのSNSを拝見していると、頻繁に「濃い」というキーワードを見かけます。
永田:すごいですよ、本当に。
加藤:いままで、大岩さん含め、座組一同そういう発信とかしてなかったんですけど、やっぱりもっと「銀英伝」ファンに深く観てもらいたいと思って。大岩さんが、おじさまチームのことを「気軽くおじさまチーム、おじさまたちって呼んでいいよ」って、おっしゃったので、愛情込めて、リスペクトとして “おじさま” たちって、僕たちも呼ばせていただいているんですけど、“おじさま“ たちにアドバイスをもらったりして。
永田:はい。
加藤:本当にいろんな方にもっとこの作品を知って欲しいなと思ってます。原作ファンも観て喜ぶ、観たことのない人も喜ぶ作品を、一章、二章のときより、よく伝えるために、ちょっと濃密な稽古をしていくことが日課になったよね。もともとやってるけど、それ以上にもう濃密になってきて、やっぱり3回目ということで、みんなの意識が統一されてきていて。だからこそああいう状態にSNSがなってきている。みんな「銀英伝」に熱くなっているっていう。
永田:それはあるね。3回目っていうのもあって、プレビュー稽古の初日から全員台詞も入れてきて、“ここのシーンはこういうことをやりたいから、こう持って行こう、こう提示して行こう” というのを、それぞれ持ってきていたので、最初から内容に触れていけたので、濃い毎日だったなって。
加藤:そうですね。
永田:やりたいことをみんな明確にして稽古に来てたので。台本を入れるっていうのは大前提として、そこからプラスアルファまでみんな創って持ってきていたので、最初っから「濃いな」と思いましたね。僕も稽古が始まる前に大岩さんのところに行って、「このシーンはこういうことやりたいんですけど、ト書きのこれを表現したくて」っていう話もいっぱいできたので、結構良いスタートダッシュはきれたのかなとは思います。みんな稽古に前のめりで。
加藤:そうですね。多分、聖一朗も大岩さんもそうなんですけど、僕はアンサンブルキャストって言い方、本当は嫌いですけど、いまはわかりやすくするために使いますが、アンサンブルキャストのみなさんが、プレ稽古の前に自分たちでスタジオ取って、みんなスケジュール空けて集まって、台本も先にもらっていたから「このシーンどうしよう?」って、稽古始まる何日も前に、全部のシーンをあたったりとかしていたらしくて。それ聞いたら、まずメインキャスト頑張らなきゃいけないと思うし、弛んでる訳にはいかない。もう、ガンガン攻めなくちゃね。
永田:そうだね。
加藤:“縁の下の力持ち”、じゃあないですけど、やっぱりそういう人たちが居るからこそ、主人公ラインハルト、その補佐キルヒアイスみたいな、そういう役も引き立つし、舞台ってメインキャストだけでは絶対できないので。やっぱり支えて下さっているポジションの方も大切だし、それは、僕も聖一朗も、そういうポジションになるときがあると思うし。そういう人たち居てが、みんなでできてるものだっていうのが、すごくわかる現場で。それで、本当にみんなでチームを良くするために「ここ、こうしたら良いんじゃないの?」「こうした方が良いんじゃないですか?」「たしかにそうだ、そうしていこう」って、みんな向上心ある現場で、切磋琢磨して、すごく良い形でやらせてもらってますね。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、稽古後に稽古場で鍋を食べる時の若手と “おじさまチーム”の関係や、帝国軍として苦労したという様式美などについて話してくださった全文と写真を掲載しています。10月24日(木)掲載予定のインタビュー「下」では、第三章でのオーベルシュタインとの“謎の三角関係”についてや、加藤さんが場当たりを客席で観ていて涙が出たというシーンなどについて話してくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■永田:稽古場に鍋を用意してもらって、食べながらお話できて。“おじさま”の取り合い
■加藤:はじめはやっぱりとらわれすぎちゃったんですよね、「様式美」に
■永田:様式美で普段出さない感情が、出てきちゃう瞬間に感動が生まれるのかな
■加藤:普通の日常じゃあり得ない二人の特殊な関係があるからこそ成り立つ
<舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These ~第三章 嵐の前~』>
【東京公演】2019年10月24日(木)~10月27日(日) Zepp DiverCity(TOKYO)
【大阪公演】2019年11月2日(土)~11月3日(日・祝) Zepp Namba(OSAKA)
公式サイト
https://www.gineiden.jp/
<関連リンク>
舞台 銀河英雄伝説 公式 Twitter
https://twitter.com/gineiden_stage
永田聖一朗 Twitter
https://twitter.com/Nagatan_0709_
永田聖一朗 オフィシャルサイト
https://www.sui-inc.net/nagata-seiichiro
加藤将 Twitter
https://twitter.com/_sho_kato
加藤将 オフィシャルサイト
https://kato-sho.com/
※こちらは、YouTubeの『銀河英雄伝説ASSORT』Die Neue These公式告知番組舞台チャンネルに掲載されている「銀河英雄伝説 Die Neue These ~第一章ダイジェスト映像 ~」です。
※こちらは、YouTubeの銀河英雄伝説舞台チャンネルに掲載されている「舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These』~第二章 それぞれの星~ ダイジェスト」動画です。
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■永田:稽古場に鍋を用意してもらって、食べながらお話できて。“おじさま”の取り合い
永田:稽古が終わった後とかも、稽古場に鍋を用意してもらっていて、みんなでご飯食べながら、本当に毎日毎日いろいろお話できて。
加藤:もう “おじさま” の取り合いやんな!
永田:それもあるね! “おじさま” の取り合いもある。
加藤:みんなやっぱりお芝居好きだから。 “おじさまチーム” はやっぱりすごい方たちで、キャリアも豊富で実力もあって、僕たちよりもたくさんお芝居されてて。大岩さんが、稽古が終わったあとにご飯を囲む会を、アドバイスを聞いたり、作品を良くしていく会にしようっておっしゃって。はじめは「うちとける会」だったんですよ。やっぱりお芝居は仲良くなった方が、いろいろ話しやすいからということだったんですけど、「そろそろそういうのじゃなくて、こんな素敵なおじさまたちが居んねんから、あんたらもっと聞くこと一杯あるで。だから聞きに行きや!」って。
最初は遠慮してたんですよ、僕も。プロとしてやっているからこそ、見て学ぼう、どうしてもわからないことは聞こうと思って。でも、ある程度自分でわかっているけど、「こうやったんですけど、どうですか?」 みたいな表現とかも、「どう見えますか?」 とか、「どう思いますか? どうした方がいいですか?」 っていうのを、いまはもう本当に細かく、鍋の会を通じてめちゃめちゃ聞けるようになりましたね。
永田:うん。
――皆さんで同じ鍋を囲んで、俳優の先輩方の意見も聞きに行きやすい環境が整ったんですね。
加藤:そうなんですよ。
永田:そうですね。ご飯のときもそうですし、人の芝居を観たときにどう思うかというのもディスカッションをしていて、「ここのシーンを自分はこうやっていたけど、どう思う? 観ていてどうだった?」という話し合いもできたので、アンサンブルのみなさま含め、いろいろお話できる環境が整っているのは本当にありがたいなと。
――第一章のころから、既にそういう環境があったのですか?
加藤:鍋はあったんですけど、みんなこんなに集まらなかったし、ここまで打ち解けていなかったので。やっぱりその、メインキャスト、アンサンブルキャストの距離感もありました。
永田:第三章になって仲良くなってきて。一年共にしていると、なんでも言えるような関係にはなってきていますし。
加藤:あとやっぱり、はじめ自分で精一杯だったのが、周りが見える分も増えてきたからこそ、いろんな人たちと話せるようになったのかなって感じもありますね。もちろんまだまだ若手で、自分で精一杯なんですけど。
永田:カンパニーがすごく仲良いです。みんながひとつの作品を『銀英伝』を良くしようと思って、一人一人が前のめりになっています。
――中村哲人さん(リヒテンラーデ役)も「良い芝居をしようって言うより、良い作品を作ろうって意識の役者が多い」と、SNSで発信されていました。
加藤:いや本当に素晴らしいです。
永田:そうですね。自分が出ていないシーンも周りの人がちゃんと観ていてくれるから、何でも聞けますし自分も言えるし、っていう一人一人が作品のためを思って、稽古場に来ているのがすごい良いですよね。
加藤:良いですね。
■加藤:はじめはやっぱりとらわれすぎちゃったんですよね、「様式美」に
――『銀河英雄伝説』という作品に取り組まれるにあたって、ご苦労された点などありますか?
永田:あー!
加藤:いっぱいあったね。はじめはやっぱり、なんにもわからないんですよ。僕はいまだに大岩さんとフッキーさん(オーベルシュタイン役の藤原祐規さん)にいじられるんですけど、大岩さんには「初めの稽古のとき、メッチャ下手やったな」、フッキーさんには「はじめ会ったとき、こいつ大丈夫か? って思った」って言われて。
永田:(笑)。
加藤:それぐらいやっぱり、日本人としてしか、芝居をしたことがなかったし、キルヒアイスは外国人なので、国も違うし。だから、ラインハルトとかキルヒアイスの “当たり前” ってこと…、僕ら二人よく言われたけど「様式美」、それが本当にかなり大切だと思いました。とらわれすぎても駄目なんですけど、でもそれってはじめはやっぱりとらわれすぎちゃったんですよね、「様式美」に。
永田:そうね。
加藤:やっぱり自分たちにないもの、ご飯を食べたことがない人に「ご飯食べる芝居して」っていうの、無理じゃないですか。そんな感じで「様式美がない?、いったいなんなんだよ、様式美って!」というところから入って。そこから入るのが本当に…。
永田:大変だった。それが一番苦労したかもね。
加藤:そうですね。やっぱり「様式美」が当たり前の世界観なので。そういう世界観が大事な作品、ミュージカルとかもたくさんありますけど、特に帝国ってやっぱり、なにが大事っていったら、余裕感なり、怒りの感情を真っ直ぐ見せないとかいう、そこはやっぱり同盟との対比にもなってよくなると思うし、銀河帝国ならではの雰囲気、『銀河英雄伝説』という作品の雰囲気を創るのは、やっぱり帝国軍だと思うんです。帝国があるから、自由惑星同盟が…。
永田:引き立つ。あっちがハジケるとこっちも引き立つしね、お互いに。所作とかの部分が一番苦労しました。友達でも階級が違ったら敬語になったりとかは普段じゃ考えられないことなので、そこもちょっと、人との関係性というところでも苦労はしましたね。様式美があるから、普通だったら言えることだとかも下手したら死刑になる可能性があって。
――不敬罪とか。
永田:そう。その言える範疇で水面下でやり取りするんですよね。お互い探り合って、というところで様式美がないと駄目だったので。その様式美に乗せつつ、自分の本当に思っていることを伝えたいっていう部分で苦労しましたね。
――様式美に乗せつつ、舞台上の相手役に伝えると同時に、お客さまにもそれを伝える…。
永田:そうなんですよ。
加藤:そうなんです。すごく難しくて。
永田:難しかったです。
加藤:でもなんか、自分がお芝居やっていくうちに「なんなんだろう、この作品難しいな」って思っていたんですけど、でも良いお芝居って、観ていてストレートに感情を伝えないことがやっぱり多くて。自分が表現してきたときもそう思うし。
永田:伝えることだけが全てじゃないからね。
加藤:「いま、この人笑っているけど、悩んでいるんだろうな、悲しいんだろうな」って、僕はそういうお芝居の方が好きなんです。なのでやっぱりそれを、結構ハイレベルなことを求められているんですけど、そういうことが銀河帝国に求められていることなんです。だから、もともと様式美という壁は、めちゃめちゃハイレベルなことだったし、すごく難しいことだったんですけど、お芝居としてやっていっていて、やっぱり…。僕、はじめは同盟が良かったんですよ。
永田:おおおっ?!
加藤:帝国ムズすぎて。普通にストレートプレイみたいにしゃべりたいって。
永田:まぁね。最初は俺もそうだった。「普通にしゃべりてェ!」って、何回思ったことか。
加藤:普通に頭とか掻きたいし、かゆくなったら。
永田:あはははは!(笑)。
■永田:様式美で普段出さない感情が、出てきちゃう瞬間に感動が生まれるのかな
――言われてみれば、帝国軍のそんな姿は観たことがないような(笑)。
加藤:できないし。あまりにも制限あるし。
永田:うん。
加藤:でも、いまとなっては、本当に帝国軍のお芝居の方が、観ていて人の心を動かせる瞬間というのが、デカいと思ったので、僕はやっていてすごくやりがいを感じます。だからこそ「あ、これ伝わらなかったんだ。どうやったら伝わるんだ」って、役者として考えることも時間も増えました。だからいまは、帝国で良かったなと思うし、自分が帝国というのもあるからこそ、帝国のシーンのお芝居も、結構やっぱり同盟よりも好きだなっていうのはありますね。
永田:そうですね。様式美で普段出さない感情とかを、めちゃめちゃ込み上がったときに様式美を越えて出てきちゃう瞬間とか、そういう瞬間に感動とかが生まれるのかなって。
――間違いなくそれは観る側もグッとくる瞬間です。ラインハルトとキルヒアイスが二人きりになると、お互いそういうところがありますね。
永田:感情出ますからね。
加藤:そうですね、出しますね。キルヒアイスは、「ラインハルトは、こう言葉をかけてもらいたいんだろうな」というのを想定して、ラインハルトに話すので。やっぱりアンネローゼに頼まれているのもあって、自分の感情を出さなくちゃいけないけど、自分の感情を出したいから出すんじゃなくて、ラインハルトのことを思って、“相手からこのくらいの感情が来たら、このくらいの感情で返さないとラインハルトさまは納得しないな” と思って出す。ラインハルトは感情が高ぶると「くそっ!」ってやるけど、キルヒアイスはラインハルトをたてるようにしながら、絶対にラインハルトのために同じ状況になってあげて、「でも、こうですよね、ラインハルトさま」と言ってラインハルトを納得させる。本当に良い道へ導くように、ちゃんとラインハルトのことを、絶対に意識してるというのがあって。
(キルヒアイスは)本当にメッチャ良い奴だし、なんだろうな、言葉で表すのは難しいですけど、そうやってラインハルトより絶対に前に立たないようにしているし、自分のことより、やっぱりラインハルトを一番で考えてますね。
■加藤:普通の日常じゃあり得ない二人の特殊な関係があるからこそ成り立つ
永田:それはたぶんラインハルトも…、いや、わからないけど、俺は気付いていると思う。その、キルヒアイスなりのラインハルトへのしゃべり方だったり、“こう言って欲しいんだろうなって思いながら言っている”っていうところも、こっちも気付いていると思うんですよ。だからその関係性はすごい良いなと思いますね。
加藤:なにか不思議な感じなんですよね。普通のお芝居とか、この作品とか、初めて観た人にはわからないかもしれないんですけど、それをわかるようにはもちろん努力とか工夫はするんですけど、…だってラインハルトとキルヒアイスの距離感って、普通の日常じゃあり得ないぐらい近いし。
永田:そうだね、友達の域を越えているよね、もうね。
加藤:それぐらいやっぱり信頼しきっている関係だし、だからこそ、なんか本当に二人が納得して、お互いわかっている、みたいな感じで仲直りしたりとか、何も言わずに前進したりするのって、やっぱりその二人の特殊な関係があるからこそ成り立つもの。
永田:言葉がね、要らないのかなって思うよ俺は。立っているだけで、なに言いたいのかなんかわかるっていう。
加藤:そうですね。
※永田聖一朗さん&加藤将さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは11月23日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
お二人が一年を通じてラインハルトとキルヒアイスについて深く深く考えてきたことがわかるインタビューでした。
永田さんの「伝えることがすべてじゃないからね」という発言には〜っと感心してしまいました。
銀英伝第三章、初日の幕が開くのが本当に楽しみです。