「伝えたい時に伝えなければ」、20周年コンサート『Piece』浦井健治インタビュー(上)

浦井健治さん=撮影・岩村美佳

芸能生活20周年を迎えた浦井健治さんが、2021年3月24日(水)に20周年を記念したセカンドアルバム『Piece』をリリースしました。そして、4月20日(火)には東京国際フォーラム・ホールAで、20周年記念コンサート『浦井健治 20th Anniversary Concert 〜Piece〜』を開催します。昼公演は井上芳雄さん、夜公演は平方元基さんと、親交のあるおふたりがゲスト出演されます。コンサートを前にした浦井さんにインタビューした内容を、2日連続で上下に分けて紹介します。インタビュー「上」では、20周年を迎えた想い、ミュージカル『GHOST』に出演して考えたこと、セカンドアルバム『Piece』に収録されたオリジナル曲の3曲について話してくださった内容を、インタビュー「下」では、15周年のインタビューから5年経っての今の想い、20周年記念コンサートの内容、新たに目指している歌声、未来について考えていることなどについて語ってくださった内容を紹介します。

浦井健治さん=撮影・岩村美佳
浦井健治さん=撮影・岩村美佳

――20周年を迎えて、お気持ちはいかがですか?

本当に恵まれた20年で、たくさんの人との出会いがありました。その20年を踏まえてこれからの10年何が出来るのかを考えています。この20年間で、たくさんの出会いがあり、そして別れもありましたが、今はみんなで培ったものを未来へ繋げようと、手を繋ぎ合って取り組んでいることを実感しています。有り難いことに、お仕事も途切れなくさせていただいていて、本当に奇跡の連続ですし、恵まれすぎているなとも思います。

だからこそ、何か恩返しができないかなと考えていましたが、そのひとつとして、このソロアルバムは20周年を記念したアルバムなので、恩返しを意識しながら、いろんなことをトライさせていただいき、更にたくさんの人の支えもありながら作らせていただきました。

20年前の浦井健治に「こんな人生が待っている、本当に楽しいよ」と言ってやりたいです。市村正親さんや山口祐一郎さんたちの世代が、井上芳雄さんを筆頭にした我々の世代に託してくれているテーマやメッセージを、次の世代にどうやって、たすきを渡せるのかは、常に考えますよね。僕自身としては、さまざまな貴重な体験をしながらも、ミュージカル俳優とカテゴライズされるところに、入れていただいていることが光栄です。

そんな人生を歩ませていただいているのだから、今はコロナ禍なので実際には手を繋げないですが、みんなで心で手を繋いで、絶対に前を向いてやっていこうと強く感じています。

――そのなかで20周年を記念したセカンドアルバム『Piece』をリリースされました。

もちろん、今もこれからのコロナ禍がどうなるのかはまだ分からない。でも、ミュージカル『GHOST』で東京千穐楽を迎えて、キャストが大粒の涙を流し、スタッフさんも涙を流していた時に、演劇は絶対になくならないと確信しましたし、エンターテイメントの力がいかに人を豊かにするか、人生を豊かにするかを感じました。

その取り組みから生まれたものであり、伝えたいメッセージが詰まったソロアルバムとして、今出すことができました。僕にとってはとても意味のあるアルバムになったなと思っています。

――劇場が、今まで以上に熱を帯びていますね。

観劇に来られたお客様。その一方で、劇場に足を運ばないという選択をしたお客様もいるわけですよね。なにが正解かというと、どちらもありなんです。そして、劇場では、お客様の人数も50パーセント、100パーセントと、要請に応じて日々対応しなければいけない。

今、日本は世界でもまれに見る、演劇ができている国です。もちろん手放しで喜ぶことはできませんが、海外の方の涙を見ると考えさせられますよね。涙の意味する悔しさ、悲しさ、切なさ、「向こうはできていないんだ、そうだよな」と。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、ミュージカル『GHOST』に出演して考えたこと、セカンドアルバム『Piece』に収録されたオリジナル曲の3曲が、K-POPの中に入っても遜色ないような曲・シティポップ・バラードであることについて、千穐楽を迎えられた時の想いなどについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。4月16日(金)掲載予定のインタビュー「下」では、15周年のインタビューから5年経っての今の想い、『浦井健治 20th Anniversary Concert 〜Piece〜』の内容、新たに目指している歌声、未来について考えていることなどについて語ってくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■『GHOST』をやっているから、伝えたい時に伝えなければ後悔すると感じています

■セカンドアルバム『Piece』のオリジナル3曲は、全部がリード曲になり得る

■エンターテイメントは心の内をさらけ出す薬。シティポップの“シティ”は、時代

■「千穐楽おめでとうございます」「お疲れ様でした」と言った時の、目の輝きが違う

<『浦井健治 20th Anniversary Concert ~Piece~』>
【東京公演】2021年4月20日(火) 東京国際フォーラム・ホールA
公式サイト
http://uraikenji.jp

<関連リンク>
浦井健治オフィシャルファンクラブ “Kopi-Luwak”
https://www.fanclub.co.jp/k_urai/?id=8
ARTIST PROFILE 浦井健治 CANDID
http://www.candid-net.jp/artist_infomation/talentDetail.php?id=6
浦井健治&STAFF Twitter
https://twitter.com/kenji_staff

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浦井健治さん=撮影・岩村美佳
浦井健治さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■『GHOST』をやっているから、伝えたい時に伝えなければ後悔すると感じています

――今のお話のように、「あの人は何を考えているんだろう」と、以前よりも思うようになりましたか?

そうですね。今、ミュージカル『GHOST』をやっている(※このインタビューは、2021年3月5日から4月11日までの『GHOST』上演中に実施されました)から、伝えたい時に伝えなければと改めて思います。間に合わない、後悔する時ってどうしてもありますよね。そういう意味でも、ソロアルバムを出したいと思った時に出すことができたのは、作ってくださったポニーキャニオンさんのおかげだと感謝しています。皆さんに聴いていただいて、元気になってもらいたいと思っていましたが、実際に3月24日にリリースした後に、それを本当に感じたんです。

――皆さんのお声が届いたんですか?

はい。伝えてくださっているんです。このアルバムは、ファーストアルバムとは違って、「みんなで作ったアルバム」という意識が、より濃いです。僕だけではなく、各セクションのスタッフ、アーティスト、関わってくれた全ての方々が、同じメッセージを持って取り組んでくれました。浦井健治のアルバムですが、あくまでセンターマンは浦井というイメージです。楽曲からもきっと感じとってもらえると思っています。

浦井健治さん=撮影・岩村美佳
浦井健治さん=撮影・岩村美佳

■セカンドアルバム『Piece』のオリジナル3曲は、全部がリード曲になり得る

――今のお話が、オリジナルの3曲に詰まっているのではないかと思います。聞かせていただいて、すごく優しい3曲だと思いました。

ありがとうございます。オリジナル曲はポニーキャニオンさんが用意してくださった何十曲というデモの中から、3曲を最終的に厳選しました。K-POP、シティポップ、バラードと、全部がリード曲になり得るような、自分で言うのも何ですが、すごくいい曲なんです。僕自身、勇気をもらえる楽曲たちです。

「Keep on Smiling」は、K-POPの中に入っても遜色ないような曲です。「シアワセノカタチ」はシティポップで、最近流行りのボカロのような感触もある曲。そして、リード曲の「Piece of Peace」は、王道のバラードで、ちょっとしたエンディング曲のようですが、実はみんなで一番苦労しました。

そういう3曲を入れさせていただいた結果、このコロナ禍で伝えたいことが、作詞家も、作曲家も、僕もみんな一緒だったんです。その想いが散りばめられていて、そのピースが『Piece』というアルバムになる奇跡が起きたと思います。

浦井健治さん=撮影・岩村美佳
浦井健治さん=撮影・岩村美佳

■エンターテイメントは、心の内をさらけ出す薬。シティポップの“シティ”は、時代

――数々のミュージカルのナンバー、20年前のポップスも入れつつ、オリジナル曲が3曲というのは、すごく豪華だなと思います。

あまりにも曲が良かったので、予定よりも収録曲を増やして3曲も入れて頂いて。編曲、編集、リミックスを含め、みんなで作っていった結果、すごくいい楽曲に育ちました。K-POPに関しては、ミュージカルナンバーを聴きたいという方が、このアルバムを手に取ってくださったら、驚いてしまうのではないかという懸念があって、そこでCHEMISTRYさんの「PIECES OF A DREAM」を対にして並べたり、バランスをとりながら作りました。

「シアワセノカタチ」ですが、奇しくもコロナ禍で今、みんなが思っていることの代弁じゃないですが、そんな歌詞になったんです。音楽って演劇と一緒で、時代を映す鏡なんだなと。エンターテイメントというのは、切っても切り離せない、みんなが捨てない、そんな希望や心の内をさらけ出していて、お薬にもなりうる、そんな要素も含んでいるんだなと実感し、痛感しました。シティポップの“シティ”とは、時代でもあるんだなと思いました。

浦井健治さん=撮影・岩村美佳
浦井健治さん=撮影・岩村美佳

■「千穐楽おめでとうございます」「お疲れ様でした」と言った時の、目の輝きが違うんです

――「シアワセノカタチ」は5年後10年後に聴いたら、すごく今を思い出しそうな歌詞だなと思いました。

そうなっていたら嬉しいですよね。今は1年後が見えないじゃないですか。これから大型ミュージカルも始まりますが、どの公演もちゃんと初日を迎えて、千穐楽まで行って欲しいと願っています。

――特に人数が多いカンパニーはそうですね。

大勢のカンパニーでもできる仕組みを考えないといけないですね。でも、感染対策を増やせば増やすほど、制作のスタッフさんたちの仕事が大変で、24時間体制になる。本当に以前とは仕事量が違いすぎるんです。

――それを目の当たりにご覧になっているんですよね。

千穐楽を迎えられた時の「千穐楽おめでとうございます」という言葉。そして、千穐楽公演が終わった後に「お疲れ様でした」と言った時の、プロデューサーさん、劇場の支配人さん、スタッフさんたち、制作陣、目の輝きが違うんです。今までとはまた違う安堵の空気というか。

――そういうさまざまな想いを込めた3曲ということですよね。

それだけではないですが、20年間を総括して、さらにここから先の5年10年をきちんと見据えた曲にしました。

浦井健治さん=撮影・岩村美佳
浦井健治さん=撮影・岩村美佳

※今回の取材で撮影した浦井健治さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは5月15日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

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“「伝えたい時に伝えなければ」、20周年コンサート『Piece』浦井健治インタビュー(上)” への 13 件のフィードバック

  1. Kei より:

    インタビューを読み進めて、浦井さんと淡い光のような桜のお写真が現れ、のめり込むお話しとお写真の数々で1つの作品を観ている感覚でした♪
    これからも浦井さんの25周年、30周年と続く未来、岩村さんのインタビューとお写真でお祝いしたいです(*^^*)
    その時も、ぜひ、「山の例え」のお話しもお聞かせ下さい♪

  2. ガーネット より:

    ナチュラルな雰囲気の素敵な浦井くんのショットをありがとうございます。
    アルバムや演劇への想いも伺えて嬉しいです。
    アルバムはファンへの想いが詰め込まれているようで、ファンのため、お客さんへのためという想いを胸に持って活動されている方は強いなぁと感動しています。

  3. ノンノン より:

    浦井さんを初めて認識したのは、後輩に誘われて観たロミオ&ジュリエットでした。一瞬で心を奪われてから10年ずっと応援してきました。今は、入待ち、出待ちが出来ず直接浦井さんに思いを伝えたり、浦井さんから聞くことができませんが、この記事から浦井さんの思いが溢れてきて、この人のファンになって本当によかったと改めて思いました。
    素敵な写真とインタビュー記事をいつもありがとうございます。

  4. たれたれ より:

    岩村さんの質問は聞いてみたい、聞いてほしい、がたくさんあってよくぞ書いてくださいました!となります。写真もとても素敵ですしね。
    浦井くんは何年経ってもお客様のために、という根幹が変わらない。感謝と愛に溢れてる方。お芝居の個性はもちろん大事ですが観ていただきたい、という姿勢で舞台に立たれてる方にはこちらも観せていただきます、と受け取りたい気持ちになれます。

  5. mist より:

    浦井健治さんの20周年のインタビュー記事、ありがとうございます。
    彼のファンになって、6年目になりますが、いつもスタンスは変わらず、新しく挑戦をし続け、ファンを大切にする(信じられないくらいに!)姿勢には感服し、応援の手を緩める事が出来ません。
    彼の想いはファンの想いであり、そこはいつもイコールで繋がっていて、コロナ禍もずっと励まされ、勇気づけられています。
    舞台で輝く、浦井さんの放っては消えていく瞬きをずっと見守ってゆきたいと思います。

    次回も素晴らしい記事、期待しております。

  6. dory より:

    岩村さんのインタビュー記事は、いつも役者さんへの敬意や演劇愛が伝わり、とても優しい気持ちで拝読させていただいております。今回の浦井さんのインタビューも浦井さんの今の想い、そして未来への想い、演劇に対する想い、浦井さんの人柄が伝わってきました。
    写真も素敵です!

  7. ちょ より:

    素敵な記事をありがとうございます。
    pieceは本当に、しんどい時に元気になるんです。健ちゃんの愛情に包まれているような
    温かい気持ちになります。
    GHOST再演本当に素晴らしくて沢山泣いて笑って感動しました。
    まだロスです。
    幸せをくれる健ちゃんにありがとうと気持ちでいっぱいです。

  8. はじはじ より:

    この状況でGHOSTが上演できたこと、観劇できたこと、無事に千秋楽を迎えられたこと、すべてが奇跡だと思います。
    そのうえ、たくさんの想いがこもったアルバムを届けてくれて、カケラどころかカタマリをどかんどかんと受けとりました。
    満開の桜と、柔らかな色合いの服と、浦井くんの表情が相まって、とてもすてきなインタビュー記事をありがとうございました。

  9. カモメ より:

    インタビューも、読み応えがあって素晴らしいですが、岩村さんが撮る浦井君が
    とても素敵で幸せな気持ちになります。

  10. さくらんぼ より:

    大好きな浦井さんの歌をいつも聴ける、アルバムと20周年おめでとうございます。ゴーストの作品や経験がたくさんの果実となって浦井さんを輝かせていること。伝えたい時に伝えなければという大切な気付き。本当に一つひとつ浦井さんの夢が叶いますように。

  11. メグメグ より:

    素晴らしい記事でした。会員になってよかった。浦井さんのお人柄が滲み出ているようでした。

  12. やっちゃん より:

    伝えたいと思ったときに伝えなきゃいけない。
    それを強く感じる1年でした。
    明日でいいなんて、いってる場合じゃない。
    真っ直ぐな言葉で、浦井君のアルバムからも感じとれました。

  13. ぽち より:

    浦井君の誠実でまっすぐなコメントを毎回読むたび心の奥底から感動し共感を覚えます。毎回熱い素敵なインタビューを載せて頂きありがとうございます。毎回浦井君の素晴らしさを無限に引き出してくれてありがとうございます。

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