2021年6月4日(金)から6月13日(日)まで本多劇場で上演され、6月12日(土)にはライブ配信も実施されるミュージカル、A New Musical『ゆびさきと恋々』に出演する前山剛久さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けて2日連続で掲載し、「上」では、この作品で前山さんが演じる逸臣(いつおみ)と自身の比較や、作品を通して伝えたいこと、2.5次元舞台のステージで培ってこられた表現力や役づくり、稽古着へのこだわりなどについて話してくださった内容を紹介します。「下」では、前山さん自身の大学生時代のことや、「30歳までに帝国劇場に出る」という目標を2021年8月5日開幕のミュージカル『王家の紋章』で達成されること、 これからの抱負などについて伺った内容を紹介します。
ーーご自身と逸臣には、似ている部分はありますか。
あまり似ていないなと思います。例えば、僕も海外旅行は好きですが、仲のいい友達と楽しくという感じで、それに対して逸臣はバックパッカーなんです。それに、彼は海外でも田舎の方に行って現地の子どもたちと触れ合ってという感じで、そういうトライって自分はできていなかったから、すごく尊敬できる存在です。だから、演じていてすごく楽しいです。それと、彼は本当にクール。そこも違うなと思います。
ーー前山さんはクールではないんですか?
クールぶることはありますが、逸臣ほどクールではないです。あと。僕はけっこう人見知りなんですよ。だから、逸臣にはびっくりしちゃうところもあります。雪に会った瞬間に、いきなり頭ポンポンってするとか。
ーードキッとしますよね。
リアルだと、なかなかできないですよね(笑)。逸臣は海外の生活が長い人だからということもあるんでしょうけど、クールだけど情熱的っていうのが彼の魅力だと思います。そういう面が自分にもあるといいなあと、演じながら思っています。
ーー前山さんにポンポンされたら、みんな嬉しいと思いますよ(笑)。
本当ですか。ありがとうございます。違うからこそ演じられると思う一方で、演じているうちに、自分自身と逸臣のキャラクターが混ざり合ってくるような感覚もあります。
ーーご自身の要素が役に入っていくような感じですか?
逸臣が言ってるのか、僕が言ってるのかわからなくなる感覚になることがあります。稽古が進むにつれて「逸臣はクールだ」ってこともあまり意識しすぎないようになりました。純粋に感じたままで喋るようになってきましたね。最初は、漫画のイメージをまずは守って、クールにクールにと思っていたんですけれど、そうすると「逸臣って何考えているのかわかんない」という状態で芝居が進行しちゃうようで。だから稽古中にちょっと感情を出すことを意識しています。役と自分を混ぜ合わせていこうかなと。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、2.5次元舞台のステージで磨かれた表現力や、手話の魅力、稽古着へのこだわりなどについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。6月4日(金)掲載予定のインタビュー「下」では、小さい頃にカラオケで褒められて歌が好きになったエピソードや、前山さん自身の大学生時代のこと、「30歳までに帝国劇場に出る」という目標を2021年8月5日開幕のミュージカル『王家の紋章』で達成されること、 これからの抱負などについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■3次元の自分に寄りすぎず、2次元の漫画になり過ぎず、「真ん中」を目指す
■聾者の雪には、後ろから声をかけられない。そこは役者として燃えている部分
■手話を使えば、物理的な距離が離れていても気持ちを伝えられると気づいた
■役が決まったら、まず「その役っぽい服」を買います。稽古の服も役に合わせて
<A New Musical『ゆびさきと恋々』>
【東京公演】2021年6月4日(金)~6月13日(日) 本多劇場
公式サイト
https://yubisakimusical.westage.jp/
チケット 8,800円(全席指定・税込)
聴覚障がいのあるお客様を対象とした「タブレット型字幕ガイド付きチケット」ネット予約
https://l-tike.com/yubisaki-guide
<A New Musical『ゆびさきと恋々』ライブ配信>
配信日時:2021年6月12日(土) 18:00開始 ※アーカイブ配信あり
視聴券購入URL:
https://w.pia.jp/t/yubisakimusical/
販売期間:2021年5月15日(土)10:00~6月18日(金)21:00
料金:3,500円(税込)
配信サイト:PIA LIVE STREAM
<関連リンク>
前山剛久オフィシャルサイト
https://www.watanabepro.co.jp/mypage/10000043/
前山剛久オフィシャルTwitter
https://twitter.com/maechan_we_taka
前山剛久 Instagram
https://www.instagram.com/maechan_we_taka/
前山剛久 オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/takahisa-maeyama-we/
俳優集団D-BOYS オフィシャルサイト
https://www.d-boys.com
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■3次元の自分に寄りすぎず、2次元の漫画になり過ぎず、「真ん中」を目指す
ーー前山さんならではの逸臣を拝見できそうですね。
最終的には、きちんと逸臣に見えないといけないと思っています。そこのあんばいに今、悩んでいます。舞台を観に来てくださる方は、漫画に描かれている「逸臣像」を楽しみにしてくださっていると思います。だからやっぱり、そこには絶対に応えたいです。
ーー2.5次元作品でこれまでに演じられてきた役と比べていかがですか?
『ゆびさきと恋々』にも、原作がありますし、今回もトライの方向は同じですね。僕は2.5次元作品によく出させていただいていますが、そこではいつも「真ん中」を目指すようにしているんです。まさに「2.5」っていう言葉通りですよね。2次元と3次元の真ん中。3次元という自分に寄りすぎてもダメだし、とはいえ、漫画やアニメのキャラクターになり過ぎると舞台に立っている意味がなくなってしまう気がするんです。だから、「真ん中」を目指そうと毎回トライしていますね。
ーーシェイクスピア作品にも出演されましたが、そのときも役とご自身との「真ん中」を目指されましたか?
僕の場合は、同じ気がしますね。でも、人によって全然違うと思います。例えばシェイクスピアの『十二夜』のとき、新納慎也さんがオーシーノー役をされていて、「そんな捉え方する?」ってとても面白かったです。
■聾者の雪には、後ろから声をかけられない。そこは役者として燃えている部分
ーー今回、雪役の豊原さんとは、役作りの上でどのようなお話をされていますか。
豊原さんが演じる雪は、聾者の役です。真剣に役を理解しようと一生懸命取り組まれています。その真剣さから出てくる演技にとても感動したのですが、やはり最初は僕と同じ課題があって。言葉を発しない役だから、表情で表現しないと、何を考えているかがわからなくなっちゃうんです。お互いそこが課題だという話をして、まずは感情を100%出し切ってやってみようということになりました。
ーー100%感情を出し切ってみて、いかがでしたか。
シーンが回っていく感覚がありました。もちろん設定も大切なのですが、演出の田中さんは、自分たちが感じることをまずは出していこうという形で稽古をしてくださります。なので、「雪を相手にするから逸臣はこうしよう」と必要以上に考えることはありません。「想いをつたえることに壁はないんだよ」ということを、僕はこの作品を通して一番伝えたいんです。きっと作者の森下先生もそういう思いをもたれれいるのではないかと豊原さんと話をしていますね。
ーー会話の手段が、お互いたまたま手話だったということですね。
たまたま手話や口話だっただけなんですよね。もちろん、雪と会話するシーンでは、後ろから声をかけるとセリフとして成り立たなくなってしまうので、絶対に正面から話すというような、最低限のルールは意識しています。ここのバランスが今、難しいですね。「絶対に顔を見ないといけない」という状態で芝居をしていたら、セリフが全部すごくゆっくりになりすぎてしまったり。例えばお互い遠くにいて、端から端に声だけ投げかけて喋る方が、普通ならいい感じに回ることもある気がします。なので、今作はチャレンジですね。役者として燃えている部分です。結構試されているところでもあるので、面白さも感じています。
■手話を使えば、物理的な距離が離れていても気持ちを伝えられると気づいた
ーーキャストの皆さんが待ち時間に手話でお話しされていて、素敵だなあと思いました。
手話で話していました。手話の習熟度は、役によるかもしれません。僕は、手話は習いたてという役なのですが、豊原さんや池岡さんはずっと手話の練習をしていたんです。手話ってすごく面白いなと思います。作中にもありますが、横断歩道を挟んで向こう側にいる人とも話せたりと。自分の表現の幅もすごく広がっていると感じています。
ーーSNSでも、キャストの皆さんが、いろいろな表現を手話で発信されていますよね。
手話って、実はローカルなものだそうです。関西弁も外国語もあるみたいです。それに、指3本でカタカナの「ミ」の形だから「み」の指文字とか、実はとてもわかりやすいものもあります。「わたしの手・あなたの手」の中で「日本」って表しているところがあるんですけど、こうやって…。
ーーあっ! 縦に長いということですね。日本列島の形を両手で表しているということでしょうか?
そうなんです。手話って、誰でも使えるコミュニケーションツールだなと思いました。一つの言語ですから。
■役が決まったら、まず「その役っぽい服」を買います。稽古の服も役に合わせて
ーー囲み取材で、見どころのひとつは「僕の銀髪」とおっしゃっていましたね。
このお話をいただいた時から、やるなら地毛で銀髪にしたいと思っていました。時代劇や外国の話など、今の自分自身と遠い話であればウィッグでもいいなと思うのですが、逸臣はリアルに演じられる役だからウィッグは嫌だったんです。明るい色の髪の毛が好きなんで、単純に銀髪にしてみたかったという気持ちもありますが…(笑)。自分で銀にすることって、あまりなさそうじゃないですか。
ーー姿形からも、役になるんですね。
僕は、形から絶対に入ります。どんな役を演じるときもそうです。昔出会った演出家の方の影響もありますが、役が決まったら、まず「その役っぽい服」を買います。稽古の時の服も、役のイメージに合わせていたいんです。なので、稽古着も作品ごとに変えています。和服の役なら和服を着ます。そのために着付けも覚えたので、自分で着られるようになりました。洋風で長い衣装なら、長いコートを持っていくとか。
ーー和服もですか。すごいですね! 今日のファッションも、逸臣さんのイメージでしょうか?
そうです。逸臣って、シャツスタイルのイメージがあるのでこれを着ています。素材はレザーなんですけど、シャツっぽい形だなと。逸臣はシュッとしているんですよね。なので、ファッションもシャツ系とかで綺麗めに見せようかなとか、考えています。
※前山剛久さんの写真1カットを、有料会員1名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは7月3日(土)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
前山さんのインタビュー記事ありがとうございます!
ゆびさきと恋々を観劇前に拝読しておりましたが、改めて読み返して、原作では見られなかった逸臣像を客席で体感したなと感じると共に、有言実行されてる前山さんが本当にかっこいいなと感じました。
舞台を観やすくする為に、共演者と試行錯誤しながら様々な工夫をされていたことを知り、それは観劇する側にとって凄く有難いことだなと感謝の気持ちで一杯です。
稽古着やその作品期間の私服のお話は、何度か耳にしたことがありましたが、素材や形までの細かい部分までは耳にする機会が少なかったので、お話を伺えて嬉しかったです!