2021年9月8日（水）から9月9日（木）まで日本青年館ホールで、9月23日（木・祝）から9月26日（日）まで宝塚バウホールで開催されるステージ、The Beginning of TAKARAZUKA LIVE NEXT!!『アプローズ』～夢十夜～に主演する彩凪翔（あやなぎ・しょう）さんのインタビュー、後編です。お芝居を好きになったきっかけ、雪組公演『るろうに剣心』での武田観柳役について、15年在籍した宝塚歌劇団を卒業した翌朝の気持ち、これからチャレンジしたいことなどについて伺いました。

ーーこれまでに演じられた中で、ご自身の転機になったり、特に印象深かったりした役は何でしょうか？

もちろん、どの役も大切ですし、特に卒業前の数年間は、本当に個性的な役を連続して演じさせていただきました。毎回「今まで持っているのとは違う引き出し」が開いていました。女役をさせていただいたこともあります。でもやっぱり、『るろうに剣心』の武田観柳です。自分の中で一番大きな転機でした。それまでは、青年や王子など二枚目の役が多かったんです。そんな中で、突然「武田観柳」という役をいただいて、どうしようって思いました（笑）。

ーー個性の強い悪徳実業家の役ですね。

自分の殻を破るべきタイミングが来たんだなと捉えました。稽古場でコテンパンにされるのは目に見えていましたが、小池先生に無理やりにでもこじ開けてもらうと決意して挑みました。三枚目は、本当に難しいんです。

ーー実際役作りをされる中で、どのような点に難しさを感じられましたか？

元々のキャラクターがかなり濃かったので、宝塚バージョンでその濃さをどうやって演じていくのかが課題でした。三枚目の芝居では、ちょっとした「間」も重要になってくるので、そこも難しかったです。声の出し方も全然違ったんです。青年や王子などの二枚目の役の場合は、きれいに笑うんですけれど、この時はだみ声が必要でした。喉を閉めるような感じで、わざと汚く笑う方法を研究しました。きれいに笑ってしまったら、武田観柳とは別人になってしまうと思ったんです。

ーーキャラクターに合った声を追求されたのですね。

高笑いの練習もしました。苦戦しましたが、その分だけ自分の中に引き出しが増えました。二枚目の役の中にも演じてみたいものがたくさんありましたが、ここまで振り切った真逆の役が来たことに感謝しましたし、これが自分が変わるべきタイミングなんだと思ったんです。小池先生に何を言われても、絶対についていこうと決めて挑んだ役でした。武田観柳を演じた後は、他にもいろいろな個性的な役に挑戦させてもらえるようになりましたし、楽しかったです。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、武田観柳が叫ぶ「ガトガト」が漫画に登場したこと、卒業翌朝に想ったこと、今後挑戦してみたいこと、ファンのみなさまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

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■漫画に「ガトガト」が出てくるなんて、本当に光栄です。めっちゃ嬉しい！

■卒業した日の翌朝は、前日のことが幻のようで。そのまま劇場に行きそうに

■できなかったことに挑戦したい。アンバサダー、美容、ナチュラルなお芝居…

■応援してくださるみなさまの背中を、そっと押せるような存在になれたらいいな

＜The Beginning of TAKARAZUKA LIVE NEXT!!『アプローズ』～夢十夜～＞
【日本青年館ホール】2021年9月8日（水）～9月9日（木）
【宝塚バウホール】2021年9月23日（木・祝）～9月26日（日）
公式サイト
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※彩凪翔さんの写真１カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは9月16日（木）です。（このプレゼントの募集は終了しました）有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

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■漫画に「ガトガト」が出てくるなんて、本当に光栄です。めっちゃ嬉しい！

ーーそういえば先日、『るろうに剣心』の新刊の中で彩凪さんのお芝居と同じようにガトリングガン（回転式機関砲）を「ガトガトガトガト」と叫びながら撃つ武田観柳が登場したと話題になっていました。

北海道編ですよね。漫画にあの「ガトガト」が出てくるなんて、本当に光栄です。知ったときは、めっちゃ嬉しい！と思いました。改めて、自分の技術内で済ませてしまうのではなく、成長するためにはやはり、自分ができないことに挑戦することにこそ意味があるのだと感じています。もちろん悩むとしんどいのですが、それは自分が変わろうとしているからなんですよね。その時間をマイナスと取らずに、「今自分、変わろうとしてるんだ」と転換するようにしています。

ーーマイナスと取らないのがポイントですね。

今後も舞台に立ち続ける以上は、自分が持っているものだけではなく、新たな自分が生まれていくといいなと思います。今回の『アプローズ』では、演者として、周りの環境もガラリと変わる中でのチャレンジとなります。初めてのコンテンポラリーの先生方にもお世話になるので、とても楽しみです。

■卒業した日の翌朝は、前日のことが幻のようで。そのまま劇場に行きそうに

ーー宝塚を卒業された日の翌朝、目覚められた時はどんなお気持ちでしたか？

前日のことが幻のようでした。あれ？私、もしかして卒業したっけ？って（笑）。起きてそのまま、劇場に行きそうな感じでした。15年間宝塚にいましたから、卒業したことを身体が信じていなかったみたいです。でも、「間違いなく幸せだったな」という気持ちは確かでした。

同じタイミングで卒業した人がたくさんいたのですが、みんな寂しくて、退団者同士で連絡し合っていました。ずっとみんなと一緒にいたので、寂しさはもちろんのこと、そこから飛び出して、私はこれから一人でやっていくんだなという不安もありました。ちょっとしたことを相談したいなと思った時に、それがもうできないと気づいて、ふと寂しくなりました。

ーー15年間、皆さんとご一緒だったからこその思いですね。

稽古場も公演中もみんなとずっと一緒だったので、どうでもいいことでもパッと質問できていたんです。いつでも隣に、同期や近い学年の仲間がいたからこその甘えもあったと思うんです。雪組のみんなが、次の作品のお稽古に入ったと聞いたときにも「みんなは今頃…」って思ったりもしました。ありがたいことに、比較的すぐに『Wings』のお稽古に入ったので、徐々に気持ちをシフトできました。

ーー大きな環境の変化ですよね。

今は、卒業された方々とのコミュニケーションが広がっています。学年が上の方々や、在団中に組が違ったので関われなかった方々と繋がれています。こうやって、いろいろな方々と縁ができて輪が広がっていくのは、とてもありがたいです。こういう状況なので、思うようにお会いできてはいないんですけどね。

■できなかったことに挑戦したい。アンバサダー、美容、ナチュラルなお芝居…

ーー様々なアンバサダーにも就任されています。今後、どのような活動に挑戦されますか？

卒業したので、「在団中にはできなかったこと」に挑戦していきたいです。これしかしないなどと決めすぎずに、これからいただけるお仕事の中で、本当にいろいろなことに挑戦させていただきたいですね。アンバサダーとしての活動ももちろんですし、他にも美容のことや、ナチュラルなお芝居の勉強をしたいです。

ーー美容といいますと彩凪さんは、何か習慣にされていることはありますか？

私…在団中、すっごいズボラで！（笑）。

ーー美容にズボラですか！（笑）。

以前は、お稽古から帰って、メイクをパッと落としたらそのまま寝る、という感じでした。今は、マスクが肌にストレスになりますよね。毎日ちゃんとリセットしていかないとなと思っています。化粧品にも詳しくないので、今、いろいろなご縁でお仕事をさせていただいている中で、学んでいきたいです。

■応援してくださるみなさまの背中を、そっと押せるような存在になれたらいいな

ーーこれまで支えてくださったみなさまに向けてのメッセージをお願いします。

今まで男役の彩凪翔を応援してくださっていたみなさまは、ナチュラルな状態になった私が、最初の舞台である『アプローズ』でどのようなアプローチをするのだろうと。そこがとても気になっていらっしゃるんじゃないかと思うんです。きっと、私も誰かを応援していたら、「卒業後の外の舞台って、どんな感じで出てくるんだろう」って、不安とドキドキとワクワクが入り混じっていると思うんですよね。気持ちの上でなかなか難しいかもしれないですし、男役ぽい感じなのか女優なのかと気になりながら見てくださる方もいらっしゃると思います。これからはそこに囚われずに「彩凪翔」という一人の人として存在しながら、舞台に立っていこうとしています。そういう、内面の部分も含めて見ていただけたら嬉しいです。

ーー「彩凪翔さん」として、ということですね。

エンターテインメント業界を盛り上げていきたいです。応援してくださるみなさまの背中をそっと押せるような存在になれたらいいなと思っていますし、ポジティブな気持ちになっていただけたら嬉しいです。舞台を通して、精一杯、感謝の気持ちをお返しし続けていきたいですね。

ーーありがとうございました。ご活躍、楽しみにしています。

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