海宝直人さんがヴォーカルを務めるバンド・シアノタイプが、ミニアルバム『PORTRAITS』を2021年8月18日(水)に発売しました。そして、2021年10月9日(土)に、行徳文化ホールI&I(千葉県市川市)でワンマンライブを開催します。シアノタイプの皆さんのインタビュー後半をお届けします。『PORTRAITS』収録曲のうち、『紬 -tsumugi-』『間違傘』『After the Rain』『運命の環』『届かないラブレター』それぞれの曲について、さらにライブに向けた想いを伺いました。シアノタイプは、ボーカル海宝さん、ギター小山将平さん、ベース西間木陽さんによるロックバンドで、『PORTRAITS』全曲の作詞作曲は西間木さんが手掛けています。
ーー『紬 -tsumugi-』はいかがでしょうか?
小山:『紬 -tsumugi-』といえば海宝さんですよね。
西間木:全部海宝直人に喋らそう作戦だ(笑)。
海宝:じゃあ、僕がインタビューしますね。(西間木さんに)『紬 -tsumugi-』は元々すごく思い入れがあった曲だよね? この曲に関してはずっと話を聞いていたから。
西間木:この曲は、2019年1月頭に、スタジオに入ってキー合わせをしているんですよ。
海宝:だから仮歌は結構昔に録っているんだよね。
小山:そうなんだ?
西間木:そのぐらい以前に書いていた楽曲で、世界観が大きすぎて難しいなと、完成までに時間がかかったのはあるかもしれないです。やはりこれまではバンドサウンドの楽曲が多かったですが、この楽曲はもっとオーケストラ的な扱いをしたくて、作曲した時からそういう気持ちで作っていったので、アレンジャーの方にも伝えたところ、すごく丁寧に想いをすくい取ってこういう形にしてくださって嬉しいです。この曲が完成した時は、やはりじーんと来るというか。
ーー西間木さんが生み出した時から、大事に育ててきたんですね。
西間木:仮歌の段階から、早いうちにメンバーや関係者の方に聞いていただいていたので、そういう意味では、みんなで育てた感覚はすごくあります。ここまで長かったですね。
ーーMV(ミュージックビデオ)も含めて、とても壮大ですよね。
海宝:ドラマチックですよね。監督も音楽とこの世界観をしっかりと理解してくださって、色々とアイデアを出してくださいました。元々は、野外で撮影しようとしていたのですが、収録日に台風が来るということで、急遽廃墟に変更したんです。結果的には、退廃的な雰囲気とか、あの場所だからこそ撮れるものに仕上がりました。西間木くんの世界観から、監督が解釈して、さらにもう一個新しい視点みたいなものを盛り込んでくださったので、僕ら自身、新しい発見がありました。こういうメッセージを受け取ることもあるんだろうなとか、聴く人によってイメージする世界観が広がるんだろうなと。特にシネマティックなサウンドに仕上げてくださったので、さらに想像力を掻き立てる。出だしから突きつけられる歌詞で。
ーー特に今の時代に聴くと刺さるというか、その問いに答えは出るのかと自問自答しますね。
海宝:その答えが出ない感が、今出す意味がある曲だなと、いいタイミングなのかなと思います。
こちらはYouTubeのCYANOTYPEチャンネルに掲載されている「CYANOTYPE / 紬 -tsumugi- OFFICIAL MUSIC VIDEO」です。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、『PORTRAITS』収録曲のうち、『紬 -tsumugi-』についてのお話の続きから、『間違傘』『After the Rain』『運命の環』『届かないラブレター』それぞれの曲について、さらにライブに向けた想いなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■小山:『紬 -tsumugi-』は一番重量感のある曲、『間違傘』That’s 16ビート
■西間木:『間違傘』の最後に雨が止んで『After the Rain』への繋がりを作りたくて
■小山:『運命の環』ライブ最後にこの曲をやるとニコニコ終われる。リゾートロック
■海宝:『届かないラブレター』ドラマチックに映像的な空気感が浮かぶ一曲に仕上がった
■海宝:このアルバム制作を経たからこそ生じる変化も含めて楽しんでもらえるライブに
<シアノタイプ ミニアルバム『PORTRAITS』>
2021年8月18日(水)発売
公式サイト:
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■小山:『紬 -tsumugi-』は一番重量感のある曲、『間違傘』That’s 16ビート
ーー小山さんからも何か一言いただけますか?
小山:これはバイキングでいうと、お肉的な感じですね。重めのね。
西間木:メインディッシュね。
小山:全曲がメインではあるんですが、一番グッと重く聴くという意味で言うと、一番重量感のある曲ですね。
西間木:MVも作ったしね。
小山:そういうのが大事で、アルバム全部がお肉だと疲れてしまうけれど、一曲ぐらいこういうお肉があるとね。『キャラメル・シティ』はお肉ではなくて、何回も聴ける系じゃない?
西間木:『キャラメル・シティ』は何ですか?
小山:シーザーサラダかな。
全員:(笑)。
ーーでは次に、『間違傘』についてお願いします。
小山:これはビーンズですよ。お豆的なね。
全員:(笑)。
海宝:ああ、いろいろ混ざっているヤツね。
小山:バイキングにはそういうのもないとね。
西間木:前菜?
小山:前菜ではなくて、お豆とお魚のお料理。
海宝:そんなヘルシーな感じする?
西間木:いかにボケようかと考えてるんじゃない?
小山:これぞ、That’s 16ビートの、ファンキーな、これぞ宮野弦士さんというアレンジでいいですよね。これは今までになかったよね。シアノタイプは来年10周年ですが、10年で初だよね。ある意味、一番新鮮かもしれない。『キャラメル・シティ』もこれまでになかったけれど、初期の頃に、このようなテンポ感の曲はあったかなと。『間違傘』は、激パンクみたいな。
海宝:そういう意味では面白いかもね。音楽的に考えたらなかった曲かもしれないけれど、世界観的にはすごくシアノタイプだなって。いわゆる西間木ワールドど真ん中みたいな。
ーーど真ん中の世界観と、新しい音が重なった曲になるんですね。
海宝・小山・西間木:そうですね。
■西間木:『間違傘』の最後に雨が止んで『After the Rain』への繋がりを作りたくて
ーー次は『After the Rain』です。
西間木:『間違傘』の最後に雨音が入っているんですよ。絶対に雨音を曲の中に入れたかったんです。その後に、雨が止んでから、4曲目の『After the Rain』への繋がりを、アルバムの中で作りたくて。それで、曲名も『After the Rain』にしました。これは、海宝くんが提案してくれた曲名なんです。
海宝:ギリギリまで決まらなかったんだよね。
西間木:そうそう。だから、繋がりがすごく綺麗だなと思います。曲調が明るい感じで、一番のAメロを聴いて、楽しい曲なのかなと思わせておいて、Bメロでちょっと不穏な感じを出させて、サビで哀しい曲なんだと、そこは狙って作りました。その哀しい歌詞と、明るい曲のコントラストを楽しんでいただければと思います。
海宝:この曲は一番、歌が難しかった。
西間木:そうなの!?
海宝:どう表現しようかと、最後まで固まらなかった曲。意外とね。
ーーなんだか心地よく聴いてしまいますが、そんな大変さがあったんですね。
海宝:そうなんです。結果的にはそう仕上がったのですが。
西間木:技術的なことではなくてね。
海宝:どう表現するのが、この曲にとって一番伝わるのか、どのぐらい感情を出すか出さないか、その具合が難しくて。淡々と歌った方がいいのか、もうちょっとエモーショナルな部分をサビで出したほうがいいのか、ギリギリまで試行錯誤した曲ですね。
ーー小山さん、この曲はお食事は何にしますか?
小山:これはチョレギサラダですね。
海宝:シーザーサラダとチョレギサラダがあるの!?
西間木:バランス悪いな!
海宝:豆とシーザーサラダとチョレギサラダだよ!?
全員:(笑)。
■小山:『運命の環』ライブ最後にこの曲をやるとニコニコ終われる。リゾートロック
ーー次に『運命の環』をお願いします。
海宝:『運命の環』は、アルバムの中で一番古い曲? 『届かないラブレター』のほうが前かな?
西間木:どっちだろう?
小山:『運命の環』は、ずっと前からやっている曲で、ファンの皆さまからも、ファーストアルバムを作ったときに、入らなかったんですねといわれたくらい、人気が高い曲だと思っています。ライブの最後にやると、丸く終われるといいますか。僕らにとっても、ライブの構成を考えて、バラードで泣かせて、最後はロックバンドだぜと盛り上げたいので、最後にこの曲をやるとニコニコ終われるんです。今回アレンジャーの方に、アレンジしていただいて、さらに“運命の環”感が出たかなと思います。リゾートロックと、僕と西間木くんが命名したのですが、新しい感覚だよね。
西間木:不思議な感じだよね。
小山:リゾート感がある、不思議な感じの、あまり聞いたことがないサウンドになっています。
ーー何のお食事にしますか?
小山:大根サラダですね。
ーー半分の曲がサラダです。
西間木:ヘルシーなアルバムですね。
海宝:サラダバーだね。
小山:お肉とサラダで、フォルクス見たいな感じだね。
■海宝:『届かないラブレター』ドラマチックに映像的な空気感が浮かぶ一曲に仕上がった
ーー最後に、『届かないラブレター』をお願いします。
海宝:これはすごく好きな楽曲です。出来上がったサウンドが、今まで好きだと聴いてきてくださった方々に、すごく新鮮に聴いていただけるんじゃないかなと思います。長くやっている曲だからこそ、イメージと新しさを、どういう風に作っていくのか、どういうところに着地していくのかを考えました。アレンジして出していただいたものが、まずとても素晴らしくて、その中から、もう少しこういうテイストが欲しいとか、すごく丁寧に作っていきました。結果的には、今まで比較的淡々と表現していた曲が、よりドラマチックになりました。耳で聴いて“語り”っぽかったところから、映像的な空気感が見えるような、浮かぶような一曲に仕上がったなと。本当に聴いていてグッと来るポイントが、散りばめられているというか。アレンジの力と、曲の力が、いい相乗効果を生んだなと感じるところですね。
ーーこの『PORTRAITS』に入ってビジュアルが浮かんだというのはすごいですね。
海宝:『届かないラブレター』に限らずですが、そういう意味では、このアルバム全体が、色彩が見えるというか。人の表情や色彩が見えるというところで、浮かんだタイトルが、“PORTRAITS”という言葉だったので、全体的にそういう世界観になっているのかなと思います。
ーー最後のメニューはいかがいたしましょうか?
小山:これはデザートですね。固めのプリンです。
西間木:サラダじゃないんだ(苦笑)。
■海宝:このアルバム制作を経たからこそ生じる変化も含めて楽しんでもらえるライブに
ーー最後に、10月9日(土)に行われるライブに向けて、一言づつお聞かせください。
西間木:ファーストアルバムの楽曲も演奏予定です。新作を聴いていただいて、楽しんでいただく方にも、今までのシアノタイプが好きな方にも楽しんでいただけるように、いろんな幅の楽曲をライブでやらせて頂こうと思っているので、楽しみに待っていてください。
小山:僕らはこれまでアルバムが1枚しか出ていなかったので、ライブに来ていただいても「アルバムの曲をやるんだろうな」と思われていたと思うんです。今回2枚目が出たことで、当然やらない曲も出てくるわけです。僕もいろんなライブに行きますが、1枚目からあの曲が来るんだとか、そういう楽しみ方をするので、「この曲はやらないんだ! でもあの曲はやるんだ!」と、そういうランダム性も楽しんでいただいて、ご時世なこともありますが、盛り上がれるような展開にもなるかなと思いますので、ライブでストレス発散していただければと思います。
海宝:今までの楽曲も、このアルバム制作を経たからこそ生じる変化みたいなものもあるんじゃないかなと思っていて。
西間木・小山:そうだね。
海宝:それはアレンジを変えるという話ではなく、シアノタイプというもののサウンドや世界観みたいなものを、もう一回自分達も客観的に感じることができた制作期間でした。それは、アレンジの方が入られたこともあるのですが、歌のディレクションに入っていただいた曲もあって、こういうアプローチや表現の仕方をするからこそ、より曲の魅力が引き立つスキルもあるんだなと、僕自身も歌の表現をいろいろと発見したレコーディングでもありました。今までやっていた曲も、自分達自身が新鮮に、もう一回再解釈やアプローチをして、お届けできるようなライブになりそうです。このアルバム制作が、僕達にとっていい時間だったなと、そういうところも含めて楽しんでもらえるライブになったらと思います。きっと、またぐだぐだ喋ったりもするので(笑)、そちらも楽しみにしていただけたら嬉しいです。
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御三方が笑顔で楽しそうにお話されている姿が自然と思い浮かぶような、素敵なインタビューでした。
10/9の久しぶりのライブは、以前と変わらず最高にかっこいいパフォーマンスとゆるいトークで本当に楽しかったです!