指談の新しい本、かっこちゃん&順子さんの「指談で開く言葉の扉」が出ました

新しい本「指談で開く言葉の扉」

アイデアニュースではおなじみになった“かっこちゃん”こと山元加津子さんと、白雪姫プロジェクトを広める活動を続けている“じゅんこさん”こと牧野順子さんが、新しい本を出しました。「指談で開く言葉の扉」です。心身障がいがある人、意識傷がいなどのため言葉が出せない人、どんな人にも思いがあるのだということを繰り返し伝えてこられたかっこちゃんとじゅんこさんの本を読んで、その思いを読み取る方法は、「オーダーメード」、人の数だけあるのだということがよく分かりました。レッツチャットやコンピュータを使う、あかさたなスキャン、まばたきなど体の動かせるところを使う、そして指筆談。この本では、そこからまた新しい扉が開かれて、文字を知らなかった人の思いをも感じ取れるということが書かれています。

新しい本「指談で開く言葉の扉」

新しい本「指談で開く言葉の扉」

その人に意思があり、言葉があると思っていなければ、例えば「寒いですか?」「暖房つけましょうか?」というような簡単なことも問いかけませんよね。本人が〇と言っていることが分かるだけで、世界は大きく変わります。今ではたくさんの当事者の方が、ご家族や友人や仲間と指談で話をされ、幸せな笑顔が生まれています。

かっこちゃんはこの本の中で、「私の考える指談のしくみ」という章を担当。これまで出会ってきた特別支援学校で出逢った自閉症の子どもたちを「脳幹を活発にすることが上手=宇宙とつながることが上手」と表現しています。花は教えられなくてもいつ咲くかを知っているように、毛虫は教えられなくてもいつ蝶になるかを知っているように、人もまた、教えられなくてもすべてのことを生まれた時から知っている。それは脳幹を活発にすることで働きだす仕組みだとかっこちゃんは考えています。体をゆらす、飛ぶ、回る、そうした自閉症の子どもさんがよくやることや、断食する、瞑想する、祈る、そうした行為を通して、私たちは自分という個人の中にある、より大きな何かにつながりやすくなる。指先に気持ちを集中させて、相手の言葉を読み取ろうとする行為も、脳幹を活発にするのだと、かっこちゃんは言います。だから、一文字一文字を読みとっていた指談から、文字を知らないはずの小さな子どもたちの思いが伝わってくるような、一見不思議なことも起き始めています。これは指談から生まれてきた、素敵な新しいコミュニケーションの方法なのかもしれません。

言葉を話さない犬や猫だって、大切な家族の一員として一緒に時間を過ごせば、こちらの思いをくみ取っているとしか思えない行動をとりますよね。我が家の飼い猫が何を言っているのか、私には分かります。だとすれば、人の思いがくみ取れることはそれほど不思議なことではないでしょう。まだまだ、常識とはかけ離れたコミュニケーションの方法なので、誤解や混乱が生じることもあるでしょうが、ぜひ講演会やワークショップなどで、実際に練習したり、指談の本を手に取ってじっくり読んでみたりして指談に触れていただきたいです。ひとりでも多くの人に正しい情報が伝わることを期待して、この新しい本を紹介いたします。大切なのは、誰もが思いを持っているということを、みんなが理解することであり、「あなたの思いが知りたいのです」と寄り添う心だと感じました。

新しい本「指談で開く言葉の扉」より

新しい本「指談で開く言葉の扉」より

じゅんこさんは「指談の実際」という後半ページを担当。長年お稽古をされてきた合氣道を通して見えない氣を感じることが、指先に伝わる小さな動きを感じるセンサーを開くことに役立つのではと考えています。それで、指談の練習をする前に、合氣道のエッセンスを取り入れたワークを取り入れていますが、そのやり方も本の中で解説されています。合氣道を知らなくても、心と体をリラックスさせ、相手のことも自分のことも大切な存在だと思ってやれば誰もが出来る、楽しい指談お稽古の準備方法です。

  • 「指談で開く言葉の扉」
    わたしの考える指談のしくみ…山元加津子 / 指談の実際 まきのじゅんこ
    1冊500円(10冊以上だと一冊400円)
    お申し込みは下記の事務所まで
    山元加津子事務局 小林正樹
    〒437-0013 静岡県袋井市新屋2-3-30 (株)ケイシーシー経営研究所内
    TEL:0538-42-9051 FAX:0538-42-9968 e-mail symphony☆mbe.nifty.com (☆を@に変えて下さい)

<関連リンク>

白雪姫プロジェクトのページ →http://shirayukihime-project.net/

指談でお話しましょう! → http://snow.citylife-new.com/

情報ブログーあなたと話せる日のために → http://blog.livedoor.jp/ryouhei0969-kakkochanto/

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<アイデアニュース有料会員向けコンテンツ>

全ては柴田保之先生から始まりました

関西の白雪隊での一コマ

絵を担当したのは加賀谷和之さん 

指談をしていく上で気をつけてほしいこと(山元加津子さんより)

全ては柴田保之先生から始まりました

指筆談は、國學院大學の柴田保之先生が、「重い障がいがあるために、言葉の獲得以前の発達段階にあると考えられたり、簡単な言葉しか発したり理解することができないと考えられていた方々が、実際には豊かな言葉の世界を有している」と深く実感されたことから始まります。柴田先生は当事者の方たちと工夫をして、言葉など持たないと思われていた方たちの深い内面を知る活動を続けておられます。コンピューターやスイッチを使う方法で、たくさんの人たちの言葉を読み取っておられます。その中で、当事者の方の手にペンを握ってもらって〇や☓や数字や言葉を書いてもらうという方法が生まれました。ペンを持たず指先だけで感じ取っていく場合もあります。微妙な筋肉の動きを感じ取る方法は、練習が必要ですが、どなたにも出来るコミュニケーションの方法です。柴田先生の活動を通して多くの人たちが、思いを伝えることが出来るようになりました。

柴田先生のページ → http://shirayukihime-project.net/shibata-yasukuki.html

関西の白雪隊での一コマ

たくさんの人が、夜遅くまで熱心に指談や力の要らない介護の方法を学んでいます=撮影・松中みどり

たくさんの人が、夜遅くまで熱心に指談や力の要らない介護の方法を学んでいます=撮影・松中みどり

本が出たお祝いに記念撮影をしました=撮影:白雪隊メンバー

本が出たお祝いに記念撮影をしました=撮影:白雪隊メンバー

お祝いのお花と本をもったじゅんこさん=撮影・松中みどり

お祝いのお花と本をもったじゅんこさん=撮影・松中みどり

絵を担当したのは加賀谷和之さん 

「指談で開く言葉の扉」の絵を担当したのは加賀谷和之さんです。1988年生まれ。自閉症に特化したデイサービスに通所。ユーモラスな動物の絵が人気のアーティストで、平成15年「京都とっておきの芸術祭」で諸工芸の部京都市長賞受賞。

「指談で開く言葉の扉」より=撮影・松中みどり

「指談で開く言葉の扉」より=撮影・松中みどり

指談をしていく上で気をつけてほしいこと(山元加津子さんより)

実は今回、この本を書く上でかっこちゃんが一番悩み、どのように書こうか、書くべきなのかどうか、長い時間をかけて苦しんだことが以下のような内容です。指談を知っている人が増えていけば、避けて通れないことだからと賛否がある中、かっこちゃんはこう書きました。

『今、前にもかいたように、指談ができられるご家族の方がどんどん増えてこられました。そんな中、指談を練習されている方の中に、本当に本当にわずかですが、読み取ろうとしたら、そこにいない方が出てこられたり、怖い声で、怖い内容のことを話す人の声が聞こえたりという方がおられるということがわかりました。そのためにとても辛い思いをされているということもわかりました。

たぶん、指の動きを感じたいと神経を集中させることが、たとえば、瞑想だったり、断食だったり、滝に打たれたりするようなときに起きる、脳幹が活発になる状態と同じということがあるのだと思うのです。

多くの方は、このような恐ろしい声が聞こえるようなことはないけれど、たとえば、今、実際に辛い経験をされた方は、心に病をもっておられて、お薬を服用されているという方でした。

それで、服用されているときや、体の調子が万全でない場合などは、指談の練習に気をつける必要があるのかなと思います。また、あまり根をつめすぎないように、楽な気持ちですることも大切なのかなあと思っています。

指談は素晴らしいものです。そしてみんなの幸せのためにあるべきものです。ですから、このようなこともあるのだとやはり、しっかりとお知らせして、少しでも、不安に感じられたら、一時中止をされるなどが必要だと思うのです。どうかよろしくお願いいたします』

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