「さじ加減が、絶妙に難しいロバートソン・アイ」、内藤大希（下）

2022年3月31日（木）から5月8日（日）まで東急シアターオーブで（プレビュー公演あり）、5月20日（金）から6月6日（月）まで梅田芸術劇場メインホールで上演される、ミュージカル『メリー・ポピンズ』にロバートソン・アイ役で出演する内藤大希さんのインタビュー、後編です。下では、ロバートソン・アイと自身との共通点の有無について、『The Song of Stars』で緊張したこと、役に入るスイッチや、ルーティーンのこと、ミュージカルを作る大変さや、そこに関わるスタッフへの思い、お客さまへのメッセージを紹介します。

（※このインタビューは2月初旬に実施しました）

――今回演じられるロバートソン・アイと、内藤さんご自身に共通点はありますか？

僕自身とは、観点が違う人物だなと思います。僕は割と空気を読むタイプというか、「後輩」なことが多くて。

――「後輩」ですか？

コロナ禍で行けていませんが、例えば、居酒屋に行くと「ドリンク頼みます」「おつまみ持っていきます」みたいなことを、僕自身は率先してやるタイプなんです。でもこれは、ロバートソン・アイとは逆なんです。「やろうとするけど、それが全くうまくいかない」というのがロバートソン・アイなので、「やる気はあるのに、できない」という感じを出すのがなかなか難しいなって思います。

――内藤さんからご覧になって、ロバートソン・アイはどのような人物でしょうか？

意欲はめちゃめちゃ感じるし、本人も頑張ろうって思っているのにうまくいかない。でもなぜか、つい彼に仕事を任せてしまうミセス・ブリルさんがいて。「できないだろうけど、やらせてみるか」という、その「やらせてみるか」と思わせるところが、きっとロバートソン・アイの可愛さや健気さなのだと思います。

そこに、ミセス・ブリルさんの愛を感じるので、愛されるキャラクター作りが必要です。「ただの駄目なヤツ」として嫌われてしまったら、やはりロバートソン・アイにはなれません。その辺を狙っていくと、さじ加減が絶妙に難しいです。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、『The Song of Stars』で緊張したこと、役に入るスイッチや、ルーティーンのこと、ミュージカルを作る大変さや、そこに関わるスタッフへの思い、お客さまへのメッセージなどインタビュー後半の全文と写真を掲載します。

＜有料会員限定部分の小見出し＞（有料会員限定部分はこのページの下に出てきます）

■ 『The Song of Stars』は、『明治座で逆風に帆を張・る!!』の初日より緊張した

■「一点を見つめて」役のスイッチを入れる。レミゼでは、帝劇の緞帳の白いホコリを

■ルーティーンを決めるのは初日。スタンバイ中に目に付いた「2番の照明」とか

■お客さまとスタッフのために、千穐楽まで全員で『メリー・ポピンズ』を届けたい

＜ミュージカル『メリー・ポピンズ』＞
【プレビュー公演】2022年3月24日（木）～3月30日（水）　東急シアターオーブ渋谷ヒカリエ11階
【東京公演】2022年3月31日（木）～5月8日（日）　東急シアターオーブ渋谷ヒカリエ11階
【大阪公演】2022年5月20日（金）～6月6日（月）　梅田芸術劇場メインホール
公式サイト
https://marypoppins2022.jp/
https://horipro-stage.jp/stage/marypoppins2022/

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■『The Song of Stars』は、『明治座で逆風に帆を張・る!!』の初日より緊張した

――木内健人さんとのライブ、『The Song of Stars』はいかがでしたか？

このライブのひとつ前が、明治座でのオリジナルミュージカル（『明治座で逆風に帆を張・る!!』2021年）だったのですが、その新作の舞台に立つよりも「ライブの方がこんなに緊張するんか！」みたいな感じでした（笑）。役ではなく、内藤大希として、舞台に上がるのが久しぶりだったので、明治座の初日が開くときよりも緊張したんです。

役としてよりも、自身として歌う方が100倍緊張しました。歌詞が飛んだり、間違えたりしたらどうしようというプレッシャーと、COTTON CLUBの距離感で、お客様と対峙するのが本当に久しぶりだったので、「近くにたくさん人がいる！」という感じでした。

ラグジュアリーで、ゴージャスで綺麗な空間ですし、2人セットで、赤と青の綺麗な衣装を見繕っていただいて、自分の中でちょっと背伸びしている感じもあったので、なおさら緊張しました。

■「一点を見つめて」役のスイッチを入れる。レミゼでは、帝劇の緞帳の白いホコリを

――「内藤大希さん」ご自身として舞台に上がるのが久しぶりで緊張されたのですね。ちなみに芝居で役として立たれる場合、役のスイッチを入れるタイミングはいつですか？

『パレード』のときは、冒頭に若い兵士の歌があり、「絶対に外せない」というプレッシャーがあったので、早めに準備してスタンバイしていました。役どころによって、コントロールしてます。

――タイミングが変わるのですね。

出番の前に、ルーティーンがあるんです。何でもいいのですが、その時目に付いたものの中から、一点見つめる対象を毎公演決めています。例えば「レミゼ」では、帝劇の緞帳に、白いホコリのようなものがずっと付いていたんです。それを見て、「今日も集中しよう」とか「今日も今日とて、今日も今日とて」という感じで、集中力を高めて本番に臨んでいました。たぶん、それでスイッチが入っていたのだと思います。

――それは、開演前にされていたのですか？

スタンバイしている時なので、自分の出番や幕が開く直前ですね。

■ルーティーンを決めるのは初日。スタンバイ中に目に付いた「2番の照明」とか

――見つめる対象は、作品ごとに変わりますね。

はい。たまたま目に付いた「2番の照明」とか、そういう感じで作品ごとに変わります。

――初日に、対象を決めるのでしょうか？

初日に決めます。初日の緊張感あるスタンバイの時に、たまたま目に入ったもので集中力を高めます。その後は、その場所でスタンバイすると「それを見る」というルーティーンができるんです。

――『The Song of Stars』では、スイッチを入れるタイミングがなく、緊張されたのかもしれませんね。

そういうことだと思います。スイッチを入れるタイミングがないんですよ。自分が出て、自分がはけて、また自分が出てくるというのが、不思議な感覚でした。歌の表現も、自分そのものになるじゃないですか。それがまた不思議でした。

■お客さまとスタッフのために、千穐楽まで全員で『メリー・ポピンズ』を届けたい

――最後に『メリー・ポピンズ』を楽しみにされているお客さまへ、メッセージをお願いします。

ミュージカルを作るというのは、ものすごく大変なことです。舞台上に持っていくまでに、たくさんのことが動いているのだと、今回とても感じています。外から見えているのは、本当に表だけです。裏で動いて支えてくださる人がたくさんいらっしゃるので、そういう方々のためにも、お客さまに作品を最後までお届けするということは、とても大事で大切なことだと思っています。

まだ、どのような状況になるかわからなくて難しいかもしれませんが、ぜひ劇場で、お芝居、歌、ダンスを含め、このエンターテインメント全体を楽しんでいただきたいです。劇場に来てくださるお客さまのためにも、関わってくださっているカンパニーのスタッフさんのためにも、千穐楽まで全員で『メリー・ポピンズ』という作品をお届けしたいと願っています。

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