「僕から見たキャストの魅力を引き出す」、『Musical Lovers 2022』藤岡正明(上)

藤岡正明さん=撮影・NORI

藤岡正明さんが企画・演出を手掛けるミュージカルコンサート『Musical Lovers 2022』が、2022年6月17日(金)から6月19日(日)にTOKYO FMホールで開催されます。出演者は、上口耕平さん、坂元健児さん、佐藤隆紀(LE VELVETS)さん、ソニンさん、藤岡正明さん(五十音順)です。アイデアニュースでは、藤岡正明さんにインタビューしました。上、下に分けてお届け致します。

上では、コンサート開催のきっかけ、出演するみなさんそれぞれの魅力について、上口さんと坂本さんからの具体的なアイデアのこと、『レ・ミゼラブル』の楽曲について佐藤さんと打ち合わせしたこと、コードに着目して『レ・ミゼラブル』の音楽を紐解く試みのことなどについて伺った内容を紹介します。下では、コンサートの構成のこと、トーク部分に関するアイデアのこと、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』公演終了後に公開した動画のこと、『ジャージー・ボーイズ イン コンサート』の有観客初日のカーテンコールの景色のことなどについて伺った内容と、お客さまへの想いについて「愛」「恩返し」という言葉を交えながら話してくださった内容を紹介します。

藤岡正明さん=撮影・NORI
藤岡正明さん=撮影・NORI

――『Musical Lovers 2022』開催のきっかけを教えて下さい。

デビュー20周年だった昨年は、ライブツアーやアルバムをリリースして、久しぶりにミュージシャンとしての形をひとつ提示できました。そこを踏まえて、今年は僕が元々開催していたミュージカルコンサート『M’s Musical Museum』をやったらどう?という話が出たんです。今までの『M’s Musical Museum』にも、ゲストに来ていただいてはいましたが、ゲストの分量がそんなに多くはなくて。でも、僕自身がみんなの曲も聴きたい。となると、「もっとフラットに、みんなと僕が同じような分量でやった方が楽しいかな」と思って、それがタイトルにも表れているんです。本当にシンプルに言うと、僕がみんなでなにかをやりたかったということですね。

もちろん『Musical Lovers』なので、“ミュージカルを愛する全ての皆さんにお届けする” ということなんですけど、僕自身含めて、本当にミュージカルを愛している方々に参加していただくことで、愛にあふれるコンサートを作りたいと思ったんです。コロナ禍ということもあり、みんなでなにかを一緒にやる楽しみ、喜びみたいなものを、昨年のライブツアーで本当に久しぶりに強く感じたんです。だからこそ、僕が1人でやるコンサートよりも、みんなでというのがあったんです。そんな思いも込めてつけさせてもらったタイトルが『Musical Lovers』です。そして、またこれが一つのきっかけとなって、新しいミュージカルコンサートを作り上げていけたらということで「2022」とつけたんです。

――藤岡さんが企画・演出をされる前提で、企画が始まったのですか?

キャストそれぞれの魅力を最大限に引き出すことを考えたときに、誰かに演出や企画に入ってもらうより、僕自身が思っているキャストの魅力を表現できたとしたら、お客さまは純粋に喜んでくれるんじゃないかなと思ったんです。キャストには、僕が共演したことのある方々に集まってもらいましたし、彼らの魅力は僕自身もよく知っているつもりです。

個性はもちろん、それぞれに本当に魅力があるので、誰かにお願いしたとして、その人が、出揃ったキャストのことをあまり知らないというような場合に、彼らの魅力を最大限出せるのかと。そこも含めて考えると、僕が全部やった方がいいだろうなと思ったんです。

僕自身は、彼らと共演する中でそれぞれの良いところをたくさん見ていますから、「お客さまも絶対、この魅力は同じように思ってるだろうな」という部分を存分に出したいんです。僕自身のミュージカル愛だけではなく、出演してくれるキャストへの僕からの「Love」も、そこに込めていきたいです。みんな多分、腹割っていろんなことを話し合える仲だと思いますから。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、上口さんと坂本さんからの具体的なアイデアのこと、『レ・ミゼラブル』の楽曲について佐藤さんと打ち合わせしたこと、コードに着目して『レ・ミゼラブル』の音楽を紐解く試みのことなどについて伺った内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。29日掲載予定のインタビュー「下」では、コンサートの構成のこと、トーク部分に関するアイデアのこと、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』公演終了後に公開した動画のこと、『ジャージー・ボーイズ イン コンサート』の有観客初日のカーテンコールの景色のことなどについて伺った内容と、お客さまへの想いについて「愛」「恩返し」という言葉を交えながら話してくださった内容など、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。

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■耕平のダンス、サカケンさんの声の魅力、シュガーの意外な曲、ソニンとのデュエット

■キャストの皆さんがアイデアをくれる。耕平は『Sister Act』の意外な曲をリクエスト

■シュガーと打ち合わせ。『レ・ミゼラブル』の「あそこを聞きたい」を切り取る試み

■「メロディーが一緒」ではなく「コードや構成が一緒」という観点で曲を繋げられる

<『Musical Lovers 2022』>
【東京公演】2022年6月17日(金)~2022年6月19日(日) TOKYO FMホール
公式サイト
https://masaaki-fujioka.com/contents/507859

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藤岡正明さん=撮影・NORI
藤岡正明さん=撮影・NORI

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■耕平のダンス、サカケンさんの声の魅力、シュガーの意外な曲、ソニンとのデュエット

――今回のコンサートで見どころになりそうなところを、お一人ずつ教えてください。まず、上口耕平さんからお願いします。

歌はもちろんですが、彼の魅力はやはりシリアスからコメディーといろいろやっていて、今回唯一、踊りで第一線で戦えるキャストなんです。彼のスタイリッシュなダンスは、本当に素晴らしいです。だから今回、振付家に入ってもらうのではなく、耕平自身に、フリーで表現してもらうのが素敵なのかなと考えています。耕平は振付家もやっていますし。多分、今回のコンサートではやらないのですが、例えば「All That Jazz」をソニンに歌ってもらって耕平が踊るみたいなイメージで、耕平にはダンスの魅力も生かしてもらいたいですね。

――坂元健児さんはいかがですか?

僕自身が知っているサカケンさんの魅力はたくさんあるんですけど、昨年『ドッグファイト』(2021年9月~10月)で久しぶりに共演させてもらって、本当に俳優さんとしても素晴らしいし、トークも面白いと改めて感じました。そこを生かしていただきたいです。そしてやはり「坂元健児の、これぞ真骨頂!」と言えるような、声の魅力を絶対に出したいと思っています。

――佐藤隆紀さんについては、いかがですか?

シュガーは、本当にいろいろな舞台やミュージカルコンサートに出ていると思いますが、よく歌っているであろう曲ではなく「シュガーがこれ歌ったら、こうなるんだ!」という感じにしたいです。例えば「レミゼ」で言えば「Bring Him Home」はたくさん歌ってきていると思うので、そこではなく「カフェ・ソング」や「Stars」とかですね。 “ミュージカルコンサート” ならではなので、彼の声の魅力に合わせたキーに変えることもできると思うんです。

――ソニンさんについてお願いします。

個人的にはやはり、「Last Night of The World」(ミス・サイゴン)、または「Without You」や「Another Day」(RENT)など、彼女と共演した作品から、本当に珠玉のデュエットソングを選びたいです。例えば「Last Night of The World」をソニンと僕で歌えば、きっとソニンのファンの方も、僕のファンの方も、絶対喜んでくれるだろうなと思うんです。

シンプルに言うと、ほんの少しの裏切りと、お客さまが「本当にこれをもう1回、聴きたかった、観たかった」という要素を、存分に散りばめたミュージカルコンサートを構成したいです。「この人の、この歌は意外だった」というだけではないので、「あの作品の、あの場面をもう一度観たい」と思ってくださっていたお客さまも、思う存分、お腹いっぱいになっていただけるのではないでしょうか。企画はこれから細かく詰めていきます。5人がただパーッとやっていくと、膨大な量になるでしょうから「やっぱりお客さまにはあの場面、あのミュージカルのあの曲も楽しんでいただきたい」という観点で、ギュッと濃厚なものに仕上げねばと思っているので、メドレーのようなものも出てくるかもしれません。

藤岡正明さん=撮影・NORI
藤岡正明さん=撮影・NORI

■キャストの皆さんがアイデアをくれる。耕平は『Sister Act』の意外な曲をリクエスト

 ――お客さまがもう一度聞きたい楽曲はもちろん、意外性もあるのですね。

「待ってました」という曲だけではなく、「あ、そこ!?でもそれいいね」みたいなところも、押さえていきたいです。でも、『Musical Lovers』という要素をお客さまだけのものにするのではなく、キャスト自身もミュージカル愛に溢れていたいなと思っていて。だから、キャストからもいろいろとアイデアを頂いています。皆さんが、すごく能動的に意見をくださるので、これは面白くなるんじゃないかと既に感じています。

――キャストの皆さまからのアイデアには、どのようなものがありましたか?

耕平からは『RENT』、『タイタニック』、『Catch Me If You Can』と『Sister Act』、そして『PIPPIN』。『Sister Act』の中からは、「あー、この曲のリクエストか!」と意外な曲でしたし、聴いてみたいですね。『タイタニック』では、やっぱり耕平と僕といえば、バレットとブライドの「The Proposal」。男2人で歌う、スーパーすごく繊細で美しい曲があるのですが、多分、お客さまが喜んでくれるような気がしています。あとは、『RENT』の「Today 4 U」をやるんだったら、僕がパーカッションをやろうかな、とか。そこは絶対、耕平より僕の方が上手いので(笑)、セッションできても面白いかなとか。でももし、耕平と「The Proposal」を歌わないのだとしたら、僕がコリンズをやろうかなとか…こういうふうに耕平がいろんなリクエスト曲を出してくれるので、「こういうこともできるよね、ああいうこともできるよね」と、いろいろなアイデアが出てくるんです。

藤岡正明さん=撮影・NORI
藤岡正明さん=撮影・NORI

■シュガーと打ち合わせ。『レ・ミゼラブル』の「あそこを聞きたい」を切り取る試み

サカケンさんのアイデアで面白かったのは、『レ・ミゼラブル』のとあるナンバー…これは実際に歌う可能性があるのですが、言っちゃいましょうか? 「対決」です。やるなら多分シュガーと。でも、それだけじゃないんです。

先日、シュガーと、ちょっと打ち合わせしたんですけど、「対決」の “バルジャン ついに” というところは、一番最初の “ハハン ハハン”(「囚人の歌」)と一緒なんですよ。そして、囚人の歌の最後から、“今こそ自由だ”(「仮釈放」)と続くんですよね。 “泉で乾きを~” というところで、裏で流れているのは、エポニーヌの「オン・マイ・オウン」の “知ってる、夢見るだけ” と同じコードです。ということは、そっちにも行けますし、もっと言うと、裁判のシーン(「フー・アム・アイ」)にも飛べるんですよ。

――裁判のシーンですか!?

くっつけていくと、そこまで飛べるんです。もっと言うと、“ハハン ハハン”(「囚人の歌」冒頭)の代わりに、「対決」を持ってきて、司教様に救われた後の “ジャン・バルジャンは死んで 生まれ変わるのだ”(「独白」)にも飛べるんです。つまり何が言いたいかというと、1曲の中で表現するということだけではなく、「あの高音の、あそこを聞きたい」ということだけを切り取れるんですよね。どうなるかわかりませんが、ちょっと面白い試みです(笑)。

――「全部乗せ」な感じですね。

“『レ・ミゼラブル』のこの部分” という見せ方ももいいとは思いますが、何よりもこのコンサートでは、「あの時、私が好きだったあのシーン、あの作品のあの場面、あの声」というのを感じていただきたいなと思うんです。だから、作品にもよりますが、1曲だけでお届けするのがいいのか、それとも本当にダイジェストとして旨味だけを切り取って見せていくのがいいのかと。そこはもう、本当にいろいろな方法があると思っています。

僕自身が、ミュージシャンとして一応やってきていますので、作品の音楽の構造を上手く紐解いていけるのではと思っています。ミュージカルの作品の中の曲同士の繋がりをリンクさせていくことは、もしかすると、僕ならではの構成になるかもしれません。

藤岡正明さん=撮影・NORI
藤岡正明さん=撮影・NORI

■「メロディーが一緒」ではなく「コードや構成が一緒」という観点で曲を繋げられる

――音楽の構造を紐解いて、『レ・ミゼラブル』という作品の中での曲同士の繋がりをリンクさせるのですね。とても興味深いです。

『レ・ミゼラブル』には、「コードでそのまんま、この曲もこの曲もいける」という箇所がたくさんあるんです。“さあ 入りなさい”(「司教」)と “言葉にならない” (「カフェ・ソング」)が同じメロディーだということは比較的よく知られているかもしれませんが、そうではなく、「コードが一緒、あるいは構成が一緒」という観点で曲と曲を繋げられるんですよね。だから、ちょっと面白いことはできるんじゃないかなと思っています。今回はキャパもそんなに大きくなくて、さらにちょっと減らしているので300人も入らないのですが、これだけのキャストが揃ってくれました。

タイトルの「2022」には、やはりここを一つのスタートとして、来年もまた規模を大きくして、もっと盛りだくさんのものにパワーアップしていきたいという思いも込めています。スタートラインを是非見ていただきたいですし、「来年も観たい、行きたい」と思っていただけるような構成にできると思います。

――『Musical Lovers』ならでは!という、ひと味違う切り口がありそうですね。

絶対にあると思いますよ。そういうものをお客さまに提示したいですし。1曲を切り取ってナンバーで繋いでいくという部分もありますが、さっきも言った「ほんの少しの裏切り」というところを、やはり入れていきたいです。

藤岡正明さん=撮影・NORI
藤岡正明さん=撮影・NORI

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“「僕から見たキャストの魅力を引き出す」、『Musical Lovers 2022』藤岡正明(上)” への 3 件のフィードバック

  1. ショコラ より:

    知りたかったこと満載のインタビュー
    ありがとうございました。
    藤岡さんのデュエットをたくさん聴いてきて、お相手を引き立たせる歌い方にいつも感動していました。いつか演出を手掛けられたら面白いだろうなと。
    こんなにも早く私の夢が実現するとは…
    楽しみでなりません。

  2. 地蔵マリオ より:

    過去のライブでコント風の爆笑メドレーを披露された藤岡さん。今回のコンサートも、藤岡さんならではの構成で私達を楽しませて下さる事間違いなしですね。当日が楽しみです。素敵な記事ありがとうございました。後編も楽しみにしています。

  3. あいてと より:

    とても読みごたえのあるインタビューありがとうございました。
    藤岡さんのミュージシャンとしてのレミゼの楽曲の切り取り方面白いですね!どんなコンサートになるんだろう?ますます楽しみになりました♪

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