2022年9月13日(火)に東京で開幕する舞台『裸足で散歩』で、ポールを演じる加藤和樹さんのインタビュー後編です。「下」では、本作の見せどころ、ポールとコリーのキャラクターについて、ストレートプレイだからこその感覚、舞台『冬のライオン』の演出をされた森新太郎さんとのことなどについて伺った内容と、読者の方へのメッセージを紹介します。
ーー今回の作品では、どのあたりが見せどころになりそうですか?
やはりコリーとの関係性ですね。最初は本当にラブラブなのですが、夫婦になることでお互いをどう見ているのか、相手にどうなってほしいのかという欲求がすれ違ってケンカになり、離婚の話まで出るわけです。ありがちだなとも思いますが…いきなり結婚して、まだ6日目でしょ?って(笑)。「こんな人だとは思っていなかった」ということが次々と浮き彫りになっていくので、お互いについて初めて知っていく部分が多い状況なんです。
そこで全てがわかるわけもないのに、起こったことを何もかも真に受けてしまって、「もうあなたとはやってられない」と。「早くね? 」とも思うんですが(笑)。元吉さんもおっしゃっていましたが、「二人にとっての最大の敵は、このアパートである」と。
ーーアパートですか?
二人が住んでいたのがこのアパートでなければ、きっとうまくいっていたんです。階段や間取りも変ですし、しかも寒いし…とか。このアパートでなければ、二人とも幸せに、ポールの仕事もうまくいくし、コリーも自分のやりたいことができたはずなので、状況をどう克服していくかが課題になるわけです。
そして、このアパートをにやってくるコリーのお母さんとヴェラスコさんを、二人でどうやり過ごすというか、どう味方につけるか。コリーは、みんなが幸せになることが、自分たちの幸せにもつながるし、自分が幸せだからこそ、みんなにも同じように幸せになってほしいという、めちゃくちゃ前向きでポジティブな人なんです。根っからのハッピーポーなんですね。
でも、ポールからすると「お母さんにはお母さんの幸せがあるよ。どうして、変なおじさん(ヴェラスコさん)と結びつけようとするの?それはおかしいよ」と。彼は、すごく現実主義だからこそ、堅物だとも言われたり、自分の殻を破れないところがあります。コリーの言葉を借りれば「ただ、見ている人」になるんです。状況を客観視して、自己分析をする。ポールのそういうところは、僕自身とも似ています。そりゃ、この二人は合わないよなと思います(笑)。
ーーポールとコリーの出会いまでのことは、高田さんと共有されていますか?
元吉さんに言われたことも踏まえつつ、なんとなくではありますが、ビビッと運命的な出会いを果たして、お互いがいないと生きていけない!となり、勢いで結婚したという感じです。
ーー現代だと、逆に、あまりないシチュエーションなのかもしれないですね。
そうかもしれません。当時、結婚して奥さんがいるということが、男として仕事をしていく上で、ひとつのステイタスにもなっていたので、離婚の話については、ポールはすごくシビアになるんです。ポールとコリーの結婚観の違いもあって。コリーは、結婚したら、ずっと一緒に過ごしたい!という考えなのですが、ポールは、結婚したからには自分はちゃんと働いて、お金を稼いで、まずはそこからと、安定した生活を求めます。
それは二人の育ちの違いもあるのだと思います。コリーは、お嬢様で箱入り娘。すごくお上品なお母さまがいて、自由奔放に育ってきた。一方で、ポールは真面目にコツコツ勉強して、やっと弁護士になれた。石橋を叩いて渡るタイプなので、冒険はしないんです。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、ストレートプレイだからこその感覚、舞台『冬のライオン』の演出をされた森新太郎さんとのことについて伺った内容や読者の方へのメッセージなど、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■ストレートプレイならではの、どっぷりと芝居に浸かることができる時間を
■相手あってのことだから、本番でも変わっていく。そこを感じながら芝居したい
■森さんが「俺は、白井さんより優しかっただろ? いろんなところで言えよ」と(笑)
■皆さまの日常に寄り添える作品。クスクスと笑えて、心がほんのり少し軽くなる
<舞台『裸足で散歩』>
【東京公演】2022年9月13日(火) 有楽町よみうりホール(プレビュー公演)
【東京公演】2022年9月17日(土)〜9月29日(木) 自由劇場
【兵庫公演】2022年10月1日(土)〜10月2日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【大阪公演】2022年10月5日(水) 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
【神奈川公演】2022年10月8日(土)〜10月9日(日) KAAT 神奈川芸術劇場 ホール
【東京多摩公演】2022年10月11日(火) パルテノン多摩 大ホール
公式サイト
https://hadashidesanpo.jp
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■ストレートプレイならではの、どっぷりと芝居に浸かることができる時間を
ーー前回インタビューさせていただいたのは、『冬のライオン』の時でした。この二つのストレートプレイへのご出演は、加藤さんにとってどのようなポイントになっていますか?
ストレートプレイには、定期的に出演させていただいてきましたが、ミュージカルでは見えない部分もものすごくあります。求められるリアリティや、お互いの感性のぶつかり合いなどで特にそう思います。
ミュージカルでもストレートプレイでも芝居するということそのものには、あまり違いはないのですが、ストレートプレイの方が「本当に芝居しているな」という感覚があります。ミュージカルの場合は、歌やダンスなどの芝居以外の部分にも、頭を使いますから。こうして、どっぷりと芝居に浸かることができる時間は、すごく貴重で充実していると思います。
■相手あってのことだから、本番でも変わっていく。そこを感じながら芝居したい
ーーいろいろなお仕事をされる中で、芝居だけに没頭できる時間は、特別なものなのでしょうか?
歌と向き合う時間とも違いますし、相手あってのことというのが大きいです。相手がどのような芝居をするかで、日々変わっていく。そこの答えは出ないものでしょうし、本番でも変わっていくのだと思います。ミュージカルにももちろん共通することですが、よりその度合いが、ストレートプレイの方が強いです。今回ももっと、そこを感じながら、芝居を作っていきたいです。
■森さんが「俺は、白井さんより優しかっただろ? いろんなところで言えよ」と(笑)
ーーストレートプレイへのご出演が続きましたが、その中で、新たなインプットになった出会いや、演出、芝居などはありましたか?
それはもう、皆さんです。『冬のライオン』でいえば(佐々木)蔵之介さんとの出会いも素晴らしかったですし、森さんの演出もそうでした。あんなに稽古場にいらっしゃる演出家も珍しいと思いました。
白井さんにも通ずるものがあると感じましたが、森さんは「俺は、白井(晃)さんより優しかっただろ?」とおっしゃっていました(笑)。何を張り合っているのだろうかと思いましたが、「いろんなところで言えよ」と言われていたので(笑)。
今回の元吉さんからは、同世代ならではの着眼点や、ものすごくお芝居がお好きなのだなという気持ちを感じています。役者がやることを全て面白がって、包み込んでくださっています。そういうところも僕は信頼していますし、また新たないい出会いだと思います。
■皆さまの日常に寄り添える作品。クスクスと笑えて、心がほんのり少し軽くなる
ーー最後に読者の方へ、この作品の魅力や見ていただきたいポイントなどを含めてメッセージをお願いします。
派手な舞台装置がある作品ではありませんが、だからこそ、気軽に観に来ていただける作品だと思います。クスクスと笑えて、心がほんのり少し軽くなるのではないでしょうか。皆さまの日常に寄り添える作品だと思いますので、気分転換に観に来てください。そんなに難しい話ではありませんから(笑)。
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毎回内容が充実していて読み応えがあり大満足です。今回の作品は和樹君初めてのコメディですが、想像を遥かに超えた面白さでした♪笑い過ぎて泣きました(笑)また新たな和樹君を観られて最高でした!
後半も楽しく読ませていただきました。登場人物の関係性やそれぞれの本音など、作品をイメージできる言葉がたくさんあって観劇する日がより楽しみになりました。有料部分のお写真がとても好きなので、ぜひたくさんの人に見てもらいたい!