ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」、舞台映像の一部を公開

ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」より=撮影・桜井隆幸

『星月夜』『ひまわり』などの名画を描いたオランダ生まれの画家、ゴッホの半生を描いたミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」が2016年9月7日から一般公開されます。それを前に9月5日、舞台映像(プレビュー公演・最終リハーサル映像)の一部がYouTubeで公開されました。プロジェクション・マッピングを大胆に効果的に使い、まるで映画の中から人が飛び出してきて演じているように見えるこの舞台。まずは動画をご覧ください。

この作品は韓国で創作ミュージカルとして2014年2月に初演されて人気を呼び、2015年6月・11月、2016年1月と再演を重ねてきました。日本での初演となる今回は、橋本さとしさん、岸祐二というミュージカル界屈指の実力俳優がコンビを組んで出演するパターンのほか、泉見洋平さん・野島直人さん・上山竜治さん・入野自由さんの4人が2人ずつ出演する、合計5つのバージョンで上演されます。

ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」より=撮影・桜井隆幸

ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」より=撮影・桜井隆幸

<ミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』>
【プレビュー公演】2016年9月2日(金)  かめありリリオホール (この公演は終了しています)
【東京公演】2016年9月7日(水)~24日(土) 紀伊國屋サザンシアター

<公演情報>
作:チェ・ユソン、音楽:ソヌ・ジョンア、映像:コ・ジュウォン
上演台本・演出:河原雅彦、訳詞:森雪之丞
出演:橋本さとし、岸祐二、泉見洋平、野島直人、上山竜治、入野自由
公式サイト
https://musical-gogh.themedia.jp

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※ここからはアイデアニュース有料会員限定部分です。橋本が特別に観させていただいた韓国公演の映像をもとに、ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」の魅力を紹介します。

■なんといっても、音楽の素晴らしさに驚いた

■ここまで効果的にプロジェクション・マッピングを使用した舞台を観たことがない

■弟・テオ、父、ゴーギャンなど、次々と斬新な手法で別の人物に

■ずっと頭に浮かんでいたのは、大好きなプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」

■なんといっても、音楽の素晴らしさに驚いた

なんといっても、音楽の素晴らしさに驚きました。韓国独特のメロディーラインがはっきりした甘くて雄大な曲が、冒頭からはじまります。途中、ロック調になったりジャズ風になったり変幻自在。韓国のミュージカル俳優さんたちは名歌手揃いですが、日本のミュージカル界を代表する1人である橋本さとしさんや岸祐二さん、そして若手の俳優さんたちが、どれだけ聞かせてくれるか。まずはそれが聴きどころなのは間違いないと思います。

ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」より=撮影・桜井隆幸

ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」より=撮影・桜井隆幸

作曲を担当したのは、韓国の女性シンガーソングライターのソヌ・ジョンアさん。彼女は2014年に韓国大衆音楽賞「今年の音楽人賞」を受賞しています。

■ここまで効果的にプロジェクション・マッピングを使用した舞台を観たことがない

そして、もう一つの大きな驚きは、舞台構成の斬新さ。プロジェクション・マッピングは最近の舞台のあちこちで使用されていますが、ここまで大胆に効果的にプロジェクション・マッピングを使用した舞台を私は観たことがありません。

なかでも、ゴッホという「画家」を描いた作品だけに、背景にゴッホの名作が次々と大写しになりつつ、その名画の中の一部が動いてゆくので、「おおおおお!」という感じが随所に出てきます。

ゴッホの主要な作品は、インターネット上であちこちに出ていますが、こちらのページ(サルヴァスタイル美術館)などを見ておくと、この舞台の理解がさらに深まると思います。このページにも出ているゴッホの初期の代表作「馬鈴薯を食べる人たち(食卓についた5人の農民)」は、ポイントとなる農民の手が、この舞台では、プロジェクション・マッピングの中で動き出します。

ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」より=撮影・桜井隆幸

ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」より=撮影・桜井隆幸

大音響とともに背景の壁が崩れたり、イーゼルに立てかけられたキャンバスに描かれた絵が次々と変化していったり、映像のマジックのような部分だけでも大いに楽しめる形になっています。

■弟・テオ、父、ゴーギャンなど、次々と斬新な手法で別の人物に

ストーリーは、ヴィンセントと弟・テオの2人を軸に、ゴッホとともにアトリエで絵を描いたポール・ゴーギャン、ゴッホの父などの登場人物の熱い関係を、丹念に、深く描いてゆきます。演者は2人しかいないのですが、弟・テオ役の俳優が、さまざまな手法で次々と別の人物になってゆくのも見どころです。

ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」より=撮影・桜井隆幸

ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」より=撮影・桜井隆幸

ゴッホは、みなさまご存じのように、最後は自分で命を絶ってしまいます。しかし、ただ長く生きることだけが素晴らしいことなのか。私は芸術家ではなくジャーナリストですが、ジャーナリストとして長生きするよりも本当のことを伝えてゆくことに命をかけるべきではないのかなど、観ている者の内面に訴えかけるものの強い舞台でした。

■ずっと頭に浮かんでいたのは、大好きなプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」

最後にひとつ。私はプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」が好きなのですが、屋根裏の部屋で暮らすゴッホの愛と芸術と葛藤を描いたこの舞台を観ながら、屋根裏の芸術家たちの姿を描いた「ラ・ボエーム」のことがずっと頭に浮かんでいました。「ラ・ボエーム」は画家と詩人と哲学者と音楽家、そしてお針子のミミのつつましくも美しい物語を、素晴らしい音楽でつむいだ舞台。このミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」は、画家と弟と父ともう1人の画家、そして女性たちのつつましくも美しい物語。韓国で生まれたこの素晴らしいミュージカルは、今後も「ラ・ボエーム」のように、そしてゴッホの絵のように、輝き続けてゆくことでしょう。

ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」より=撮影・桜井隆幸

ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」より=撮影・桜井隆幸

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