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前回は、台湾での7月のことを紹介しました。今回、4回目の字說台灣では、皆様に台湾の「春節」、旧正月について紹介したいと思います。
ご存知の通り、台湾では旧暦の行事を祝う事が慣例になっています。旧暦の暦なので、西暦の日程では、毎年変わってきます。早い年は、1月末から、遅い年は、2月の中旬からになります。
因みに、今年の大晦日は、1月27日。そして、新年は、1月28日からでした。
■お正月は、いつまでなの?
日本では、お正月だと言える期間はいつまででしょうか? 私は、日本の友人から、7日目の7草粥を食べた後だと聞きました。(松の内という言葉があり、関東では7日まで。関西では、15日までという地域により差があるとも聞いています。) 台湾はというと、旧暦の15日までです。何故なのか? それは、旧暦の1月15日を「元宵節」と言い、日本でも広く知られている「ランタン祭り」の日で、台湾ではこの元宵節を迎えるとお正月行事が終ると謂われているからなのです。
■「初一早、初二早,初三睏到飽」
日本と同じように、お正月はとても重要な行事です。良い年を迎える事は、誰でもが望む事です。
大晦日の前日までには、日本と同じように大掃除を済ませます。一年の煤をはらい、新しい年をすがすがしく迎えるようにと、家族全員で掃除をします。
そして、大晦日は一家団欒の日として、地元や実家に戻り、家族全員で、大晦日の夜を一緒に過ごし、「年夜飯」を食べるのが慣習になっています。
大晦日には、もう一つ重要なことがあります。それは、「拜拜」と呼ばれることで、食事の前に、御先祖様に今夜食べる料理をお供えし、家族皆でお参りをします。新しい年が迎えられるというのは、ご祖先様が家族を見守って下さっているからということで、その御礼という意味が込められているのです。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分では、実際に台湾のお正月に「媽祖廟」(航海・漁業の守護神として中国沿海部を中心に信仰を集める道教の女神)を訪ねた時の様子を、テキスト・写真・動画で紹介します。テキストの「 」内に書かれた中国語の和訳は、有料会員向け部分の末尾にある【中国語タイム】コーナーに掲載しています)
<有料会員限定部分の小見出し>
■食事が終わったら、子供たちお待ちかねの「壓歳銭」タイム
■「初二」の日は「回娘家」。嫁に行った女性達が実家に帰る日
■お寺に行って、「拜拜」しましょう
■道教の女神、媽祖(まそ)は「天上聖母」「媽祖婆」とも呼ばれます
■寺廟に3つある門、縁起が悪いとされる出入りの仕方は?
■お線香は、ひとつの香炉に何本たてるでしょうか?
■まずは「天公爐」で空に向ってお線香を頭上にあげ、三度礼を
■本殿に入り、三度礼をして、心の中で〇〇と〇〇を告げてから願い事を
■それから、次の所作に入る前に〇〇分から〇〇分くらい時間を空けます
■「金爐」で金紙を燃やす時の折り方と燃やす順番は?
■実際のお寺での様子を、動画で見てみましょう
【中国語タイム】お参り=拜拜は(bai bai)と発音します
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- 字說台灣:(4)台湾の「春節」、お寺での参拝の仕方を説明します 2017年2月21日
- 字說台灣:(3)台湾の父の日は8月8日、語呂合わせがパパだからです 2016年9月20日
- 字說台灣:(2)お祭りが大好きな台湾人の「母親節」は 2016年5月25日
- 字說台灣:(1)台湾では地震の事を「地牛翻身」と言います 2016年5月4日
※ここから有料会員限定部分です。
■食事が終わったら、子供たちお待ちかねの「壓歳銭」タイム
「年夜飯」の時は、いつもの食事時間より長く、お酒を飲みながら、お互いの近況報告とか、子供の勉強のことや自分の抱負、夢などを語り合います。そして、食事が終わったら、子供たちが楽しみの「壓歳銭」の時間です。日本で言う「お年玉」をあげる時間です。年配者が子供たち(収入のある人は、自分の両親や年配者)に、長寿を願って配ります。お年玉は、新しい札を使い、「紅包」と言われる紅い封筒に入れて渡します。
■「初二」の日は「回娘家」。嫁に行った女性達が実家に帰る日
「初一」の元日は、日本と同じように、初詣をします。近所の土地の神様や、お寺などに行って、拜拜(お参り)や安太歳(厄祓い)をします。この日は、特に、皆縁起の良い言葉を口にするようにします。人と会う時には、「新年快樂」、「恭喜發財」の言葉を交わします。
「初二」の日は、「回娘家」と言われ、嫁に行った女性達が実家に帰る日です。ご主人と子供たちも、みんな奥さんの実家に一緒に帰ります。奥さんの実家でご馳走を頂き、奥さんの兄弟姉妹などの親戚の方々との交流を深める一日です。
「初三」と「初四」は、特にこれだという行事はないので、家族で旅行に出かけたり、映画を見たり、友達と一緒に楽しむ事が多いです。
台湾のお正月休みは、大晦日の日から4日までが通常です。5日からは「開工」と言い、仕事始めになります。
「初一早、初二早,初三睏到飽」(chhe-it chá, chhe jī chá, chhe sa khùn kah pá;台湾語の発音) 、これは、台湾でよく使われる「台湾語」の言葉です。元日の日は、朝早く起きて初詣に行き、2日も朝早く起きてお嫁さんの実家に帰ります。こんな多忙なお正月の間に、ようやく、3日はゆっくりと好きなように「寝る事が出来る」という意味です。
さて、皆さんのお正月は、ゆっくり休む事ができましたか?
■お寺に行って、「拜拜」しましょう
前回も今回も、「拜拜」との言葉を何回も書きました。台湾は、仏教・道教・キリスト教等、信仰自由な国ですが、仏教と道教関係を合わせた人の比率が、圧倒的に多いです。
ここからは、ローカル的な「拜拜」の仕方を皆さんにご紹介したいと思います。お寺の様子が分かる、動画も撮ってきましたので、記事の最後の方に掲載します。(この記事に掲載している写真と動画は、このお正月に筆者が訪れた「媽祖廟」等のお寺で撮影したものです)
■道教の女神、媽祖(まそ)は「天上聖母」「媽祖婆」とも呼ばれます
「媽祖廟」は、媽祖を信奉する廟祠です。
媽祖(まそ)とは、航海・漁業の守護神として、中国沿海部を中心に信仰を集める道教の女神です。他に、「天上聖母」や「媽祖婆」といった、親しみを込めた呼び方もされています。
昔、台湾には福建南部から移住した開拓民が多数存在し、これらの移民は媽祖を祀って航海中の安全を祈り、無事に台湾島へ到着した事を感謝し、台湾島内に媽祖の廟祠を建てました。
また、台湾の漁業が盛んになる時期には、出航安全や豊漁を願い、媽祖の廟祠を港に建てた事が多かったようです。そのため、台湾では媽祖が広く信奉されています。
■寺廟に3つある門、縁起が悪いとされる出入りの仕方は?
台湾の寺廟は、上記の写真のように3つの門があります。真ん中の門(写真の門2)は、神様が通る通路なので、通常は開いていません。お寺に入るときは、右側から入り左側から出る。または、左側から入り右側から出るという慣習があります。それは、悪運をお寺で浄化させるという意味があり、同じ側で出入りすることは縁起が悪い事とされています。お寺によっては、右側が入口、左側が出口と明記される場合もあります。
さて、本殿に入ると、いくつかの机が置いてあります。それは、お供え物を置く場所です。今回は、お正月なので、鶏と豚肉、御餅とお酒などを用意してきました。
■お線香は、ひとつの香炉に何本たてるでしょうか?
お供え物と金紙、お線香を揃えてから拜拜します。(お線香と金紙は、お寺で購入したり、場合によってはお寺から頂けることもあります。)お線香は、ひとつの香炉に3本(あるいは1本)をたて、火をつけてから参拝します。
■まずは「天公爐」で空に向ってお線香を頭上にあげ、三度礼を
では、もう一度お寺の写真を見てください。
順番の説明:
1. 寺廟の外側には、金色の香炉がおいてあります。それは「天公爐」と言い、まずは空に向ってお線香を頭上にあげ、三度礼をします。そして、3本(1本)のお線香を香炉に差します。
なぜ、最初に空に向って祈りするのか?それは、空には天界の支配者である「玉皇大帝」や、他の神様達が居られるので、すべての神様に参拝するということなのです。
■本殿に入り、三度礼をして、心の中で〇〇と〇〇を告げてから願い事を
2. それを終えたら、右から本殿に入り、ご本尊・媽祖様に向って同じように三度礼をします。そして、心の中に自分の名前と住所をはっきりと告げ、お願い事をします。
お願い事をしたら、本殿の中の香炉に、お線香を差します。本殿のご本尊の周りには、必ず他の神様もいらっしゃいますので、同じ方法で参拝します。
■それから、次の所作に入る前に〇〇分から〇〇分くらい時間を空けます
3. ここで、次の所作に入る前に10分から15分くらい時間を空けることとされています。
今回は、お酒を用意してきましたので、時間をおきながら全部で3回お酒を献上しました。
(1回目は、参拝の前に、お供えを置く時に注ぎます。)
そのようなことが無い時は、その間に、お寺の境内を見学したりすることをお勧めします。
■「金爐」で金紙を燃やす時の折り方と燃やす順番は?
4. そして、15分くらい経ったところで、金紙を取り、外にある金紙を燃やす「金爐」で、燃やします。 金紙は、半分に折り、サイズの大きいものから燃やしていきます。
■では、実際のお寺の様子を、動画で見てみましょう
5. そして、お供え物を片付けて、参拝は終わりです。
それでは、実際のお寺の様子を、動画で見てみましょう。
動画は、いかがでしたか?
動画を使って紹介するのは今回が初めてなので、多少不慣れなところもあったかと思いますが、次回からは、もう少しうまく動画を活用したいと思います。
ちょっと、話は変わりますが、今回、お寺の前の階段を上がっていた時、その最上部に、一匹の猫ちゃんがじっと私達を見ていることに気づきました。お寺に着いた時「にゃ~♪」と、まるでいらっしゃいと言っている気がしました。
写真を撮影していた時ですが、知らないおじさんが帰ろうとしたら、その猫ちゃんがまた入口のところでずっとおじさんの後ろ姿を見ていて、帰宅を見守っているような感じでした。
慌ただしい春節に、気持ちを和ませてくれる光景でした。
にゃ~~~♪ 皆様、また次回の字說台灣でお会いしましょう。
【中国語タイム】お参り=拜拜は(bai bai)と発音します
(日本語=中国語(発音) にて表示)
旧正月=春節(chun jie)
お正月を過ごす=過年(guo nian)
大晦日=除夕(chu xi)
大晦日の夜の食事会=年夜飯(nian ye fan)
お年玉=壓歲錢(ya sui qian)
1月1日、元日=初一(chu yi)
1月2日=初二(chu er)
お参り=拜拜(bai bai)
厄祓い=安太歳(an tai sui)
新年の挨拶
1. 新年快樂(xin nian kuai le) =新年おめでとうございます。
2. 恭喜發財(gong xi fa cai) =昔の「お金が儲かりますように」との意味から延伸した言葉です。
3. 恭喜恭喜(gong xi gong xi) =おめでとうございます。
嫁に行った女性が実家に帰る事=回娘家(hui niang jia)
仕事を開き=開工(kai gong)
媽祖を信奉する廟祠=媽祖廟(ma zu miao)
お線香=拜拜用香(bai bai yong xiang)
お線香をたてお参りをします=燒香拜拜(shao xiang bai bai)
日本語のない言葉:
天公爐(tian gong lu)
金爐(jin lu)
金紙(jin zhi)
(END)