「日本だけでなく、日本以外にも素敵なところがある」、村井良大インタビュー（下）

村井良大さんインタビュー後半です。『RENT』への特別な思いを語って頂きました。再演だからこそ取り組みたいことなどについて伺いました。

村井良大さん＝撮影・岩村美佳

――マーク役に改めて取り組むことついては、どう考えていますか？

前回と変えたいと思っています。どう変わるか分からないんですが、もっともっと深めたい、掘り下げたい、違うマークを見せたいと思いますし、今から研究し、感じたいと思います。

――なぜ、変えたいと思うのでしょうか。

やはり前回が自分の中で消化不良で、「違ったかな」という部分もあるので、さらに前回を超えるべく、もしくは前回の自分に負けないようにしたいと思っています。自己満足にならないように、周りとも話しながら、感じながらやりたいです。

――変えることが目的ではない、ということですね。

はい。新たな価値観、もしくは前回50公演やったからこそ見えてくるものが、今回のマークにはあると思うので、それを感じながらやりたいと思っています。

――今回は東京、大阪に加え、愛知、福岡公演もありますね。

色々な方に観てもらいたいですね。この作品を観て、人生が変わったという人も多いと思いますし、変わって欲しいなとも思います。こんなにいい作品は、なかなかないと思うので、本当に新しい世界を見る感覚で、楽しんで観てもらいたいと思います。そして、これを観た人はこの作品が絶対好きになると思いますから。

――そうですね。

取り組むのは大変なことも多いですが、その大変さすらも楽しいんですよ。それは『RENT』の持つエネルギーだと思います。

――村井さんご自身、『RENT』は特別な作品としてずっと残りますね。

本当にそうだと思いますね。初めてのミュージカルということもありますし、『RENT』に出会えたことはもちろん、『RENT』のキャストに出会えたことが一番です。今まで自分が全く知らなかった価値観もしくは、技術、魂、考え方。「全員が違うことは素晴らしい」ということを感じられた作品なので、本当に宝物のような公演でした。今回も、そう出来るように、感じられるようにしたいと思います。皆とまた一緒なので安心感もありますし、早く会って、早く稽古したいです！

――作品はもちろん、仲間と会うことと、その時間も貴重なんですね。

前回は、共有する時間がとても長かったので、稽古が終わった後はみんなでご飯に行って、色々と話しました。お芝居の話ではなくても、ちょっとした悩みなどを皆で話すだけで、『RENT』の絆が深まっていくような気がしました。しかも、アンディが上っ面の関係は、絶対させないというか、本当に心と心で会話し合う環境を作ってくれました。『RENT』って「海外にきたな」という感じがすごくするんです。日本じゃないから、海外の価値観というか、僕ら日本人にはない価値観があるんです。日本の現場に帰ってくると、もう少し落ち着いていて、しっとりしている感じがします。ここはカラッとしていますね。

※アイデアニュース有料会員（月額300円）限定部分には、インターナショナルな人が多いキャストについて語ってくださった内容など、インタビュー後半の全文テキストと写真を掲載しています。

＜有料部分の小見出し＞

■アンディもニューヨークの人間で、海外に来ている感覚が強い舞台

■マークは突出した役ではなく、見守っている。だからこそ心の繊細な動きが大事

■作品を大き過ぎるものにしたくない。シアタークリエのあの密度がちょうどいい

■同じ時間を共有して、生きていく素晴らしさを感じてもらいたい

＜2017年版・ミュージカル『レント』＞
【東京公演】2017年7月2日（日）～8月6日（日）　シアタークリエ
【愛知公演】2017年8月10日（木）　愛知県芸術劇場　大ホール
【大阪公演】2017年8月17日（木）～8月22日（火）　森ノ宮ピロティホール
【福岡公演】2017年8月26日（土）～8月27日（日）　福岡市民会館
公式ページ　http://www.tohostage.com/rent2017/index.html

＜関連サイト＞
村井良大オフィシャルブログ　http://lineblog.me/murai_ryouta/

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村井良大さん＝撮影・岩村美佳

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■アンディもニューヨークの人間で、海外に来ている感覚が強い舞台

――キャストもインターナショナルな人が多いですよね。触発されますか？

触発されますね！　英語で話したり、価値観も違ったりしますから。もちろん他の国の文化も知っていますし、日本だけではなく、日本以外にももっと素敵なところがあると思います。そういう意味では『RENT』は、海外に来ている感覚が強い舞台です。アンディもニューヨークの人間なので、それが本当に面白くて楽しいですし、やはり演劇は自由であるべきだと思うんです。日本だとお客さんの反応も、もう少し固いですよね。そういえば、面白いことがありました！　『ラディアント・ベイビー』の上演中に、『RENT』チームがカーテンコールの後に歌う機会があったんです。その時、『RENT』チームで観ていたんですが、「イェーイ！」「ブラボー！」と、もうアメリカのノリなんです。日本はどちらかというと、静かに見て終わったら拍手ですよね。それが全く通用しない（笑）。でも、ミュージカルはそういう楽しみ方もあると思います。ストレートプレイならまた少し違うのかもしれませんが、特にロックミュージカルは楽しむことを教えてくれます。「イェーイ！」ってやっていいんだって！

――日本人はどうしても控えめになってしまいますよね。

僕らが「イェーイ！」ってやると、周りのお客さんも触発されて、どんどん温まっていくんですよ。だから、ロックミュージカルもしくは面白い作品、笑える作品、ノリノリな音楽のときは、どんどんノッていった方がいいんだなと思います。

――『RENT』の客席も、他の作品と違いますよね。

そうですね。『RENT』は特別なものという意味で、しっとりと聞きにくる方もいます。初めてご覧になる方は色々と観るところも多くてじっくり観る感覚かもしれませんが、盛り上がるときはぜひ盛り上がってください。

村井良大さん＝撮影・岩村美佳

■マークは突出した役ではなく、見守っている。だからこそ心の繊細な動きが大事

――『RENT』来日の公演はご覧になりましたか？

行きました。すごく盛り上がっていました。

――自分がこの作品をやった上で、ご覧になっていかがでしたか。

全部何を喋っているかが分かるので、字幕を見ないで観ることが出来て、面白かったです。僕が観た来日公演は旧演出版でしたので、旧演出で観るとこんな感じなんだなと新鮮に拝見しました。

――客観的に観る経験もして新たに感じたことはありますか？

改めて、マーク役は難しいと思いました。すごく突出した役ではなく、傍で見守っている。だからこそ、やはり心の繊細な動きが大事だと分かりました。

村井良大さん＝撮影・岩村美佳

■作品を大き過ぎるものにしたくない。シアタークリエのあの密度がちょうどいい

――なるほど。

『RENT』という作品を大き過ぎるものにしたくないんですよ。シアタークリエは本当にちょうどいい大きさで、あの空間の、あの密度がいいですね。凝縮されてギュッとした感じが素敵だなと思います。大好きですね。

――客席も、舞台も１つの空間という感じがします。

「Seasons Of Love」で注意されたのが、ステージのギリギリ一番前に立って、客席になるべく近く、一体感をもってやってくれと言われました。あと一歩踏み出したら客席に降りられるぐらいの場所へ行って歌っていたので、『RENT』の近さや、皆と手をつなぐような親密さが生まれていると思います。

村井良大さん＝撮影・岩村美佳

■同じ時間を共有して、生きていく素晴らしさを感じてもらいたい

――最後にお客様にメッセージをお願いします。

きっと、『RENT』を観たことがある方も、初めて観る方も、久しぶりに観る方もいらっしゃると思います。やはりこの作品をやる限りは『RENT』を観たことがある人たちの感動を常に超えていかければいけないですし、海外キャストの方たちにも負けないようにしなくてはいけないと思っています。僕らは『RENT』という作品に選ばれた人間たちだから、アンディを通して、全員が胸を張って『RENT』を背負わなくてはいけません。お客様にも共に同じ時間を共有して、生きていく上での素晴らしさやメッセージを感じてもらいたいです。

――「感じる」というのがいいですね。

『RENT』が一番いいなと思うのは、「よく分からないけれど感動した」というところだと思います。それがこの作品には一番正解かなと思っているんです。最後に、皆が一体感をもって歌うところがすごく素敵ですよね。今観ても、ぐっとくるものがありますし、そのためには全員が心を通わせてやっていかなければいけない。それが出来るキャストだと思うので、さらにより良いものにしたいと思います。新しい『RENT』2017年版を観に劇場に足を運んでいただければ、きっと世界を変えてみせます。