森元暢之さんの漫画「蒼い鳥」の第8話と、森元暢之さんによる「漫画『蒼い鳥』の蛇足」を掲載します。
※漫画「少年友情物語『窓辺のKくん』蒼い鳥」は、2、4、6、8話を無料部分に掲載し、3、5、7話と森元暢之さんによる「漫画『蒼い鳥』の蛇足」は、アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分に掲載しています。
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■漫画「蒼い鳥」の蛇足(森元暢之)
<関連サイト>
森元暢之漫画
http://nobikun.com/
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■漫画「蒼い鳥」の蛇足(森元暢之)
わたしは小鳥の羽を切ってしまいました。こどものころのことです。それで小鳥は飛べなくなりました。
直に手を下したのは小鳥屋さんのおじさんでしたが、「逃げないように切っておきましょうか」のひと言に思慮なくうなづいたのはわたしでした。わたしは自分の手さえも汚しませんでした。
羽を切られた小鳥は既に家にいた小鳥のつれあいとして買い求められたのです。
既に家にいた小鳥は父にたまたま捕まえられてしまった迷い鳥で、かつてはどこかでだれかに飼われていたようなようすでした。
小鳥屋さんからやって来た羽のないつれあいとともにちっちゃなカゴに入れられた数日後に、その迷い鳥はカゴの床の上に固く縮こまって落ちていました。そろえられた両足の指が窮屈にしじかんでいました。
羽を切られた小鳥はいきなりひとりぼっちになりました。わたしはカゴの扉を開けて、自由に好きなところへ行くようにうながしましたが、ようやく飛び出したものの、ぎこちなく羽ばたきながらくるくると回り落ちて行きました。そして、草むらの中にただただいました。
もうどうしてよいのかうろたえたわたしは小鳥屋さんへ行き、わたしによって羽を失った小鳥を返却しました。物のように。わたしはひどい目に遭わせてしまった小鳥の面倒を最期まで見ようともしなかったのです。
漫画作品の中の主人公の少年はその小鳥を「おちゅー」と名付けます。チューチューと鳴くからです。そして、周りの友だちや保健室の朝子先生などに助けられながら小鳥とのふれあいの日々を送ります。胸のポケットに入れて、できるだけいつもいっしょにいようと少年は努めます。
はじめのころは小鳥へのお詫びやあがないの感情が少年の心を占めているのですが、交流のうちにやがてはそれが相手への負い目引け目のないほんとうの情愛に移り変わっていくダイナミズムを描くことができれば好もしいと企んでいました。
しかし、わたしにはその筆力もなく、編集のかたに迷惑をかけつつの数話で息切れた次第です。
拙作は『雲遊天下』誌(ビレッジプレス刊)でかつて載せていただいた漫画です。このたびは『アイデアニュース』サイトで載せていただきました。ここで両社へあらためましてのお礼を申しあげます。
ところで、青い鳥ですが、青空では姿が見えないのではないかしら。青と青が重なって、わからないのではないかしら。雲ひとつない快晴の青空であればあるほどに、却って青い鳥を見つけづらいのではないかしら。それでは、いつもどんよりと曇っているわたしの頭はこのままでもよいものかしら。