少女漫画雑誌「花とゆめ」に1975年から1981年まで連載され、熱狂的なブームを巻き起こした漫画『はみだしっ子』が劇団スタジオライフによって初舞台化され、2017年10月20日から11月5日まで東京芸術劇場シアターウエストで上演されることになり、このほど製作発表が行われました。原作者の三原順さんは1995年に病気で他界されましたが、三原さんと同じ年にデビューした元漫画家で、三原さんの作品の単行本未収録作品の刊行を求める活動を続けている笹生那実さんと、スタジオライフの脚本・演出の倉田淳さんの対談が製作発表にあわせて行なわれ、その内容を含むプレスリリースが届きましたので、ご紹介します。
『はみだしっ子』は、親に見捨てられ、この世の「はみだしっ子」となったグレアム、アンジー、マックス、サーニンという4人の少年たちがある時はあたたかく、ある時はしたたかに生きていく様を描いた作品。スタジオライフでは2001年10月に『Sons』を取り上げて以来、16年ぶりの三原作品上演となります。
<笹生那実さんと倉田淳さんの対談(文/大原薫)>
三原のデビュー直後から交流があったという笹生。「三原さんはグレアムのように大人っぽく礼儀正しい方。でも外見は小柄でサーニンとマックスをまぜたような可愛らしさがある。付き合いが深くなるとアンジーのように人が悪いところが出てくるんです(笑)」と印象を述べた。一方、倉田は「三原先生がいつも持っていらしたスリーアイテム=トランク、タバコ、帽子から、公演のトリプルキャストのチーム名にした」と三原に寄せる深いリスペクトを感じるエピソードを明かした。『はみだしっ子』の作品について笹生は「親からの虐待など辛いことが描かれているが、そういう環境にない子供でも共感できる深さがある。少年4人のキャラ分けが魅力的だと思います」と語る。
三原作品に出てくる深い言葉、えぐられるような言葉に強い感銘を受けたという倉田が「三原先生は人生を見極め、突き詰める目をどこで培われたんでしょう」と尋ねると、笹生は「それは三原さんが生まれ持ったもの。他の人には真似できないもので、魂の底から出て来ている感じがする」と答えた。
三原は1995年に病気で他界したが「絶対に埋もれさせてはならない、未来永劫語り継がれなければいけない」と三原作品の魅力を世に伝える活動を続ける笹生。「アダルトチルドレンという言葉がない時代から、子供にも大人にも人間社会の闇の部分があるということを容赦なく描き続けた。三原作品を読むことで救われる人は今もたくさんいると思う」と力説すると、倉田も「抱えている孤独や痛みにシンパシーを感じずにはいられないんです」と同意した。
倉田は『はみだしっ子』舞台化に関して「魂の言葉が散りばめられている作品。長いストーリーですが、ダイジェストにはしたくない。シンプルな舞台作りで、観客の方たちと一緒にイメージの中でワープしながら、子供たちの奥底に入っていけるような舞台を作っていきたい」と意気込みを語る。
笹生は「ファンの方の中には“5歳児をどうやって表現するんだ”と不安に思う方もいらっしゃるかもしれない。でも、スタジオライフなら作品の魂を受け継いで表現してくださると思う。大人の男性が女の子や少年も演じるというスタジオライフだからこそ、見る側も頭の中で作り上げていくことができるんです」とエールを送った。
<スタジオライフ『はみだしっ子』>
【東京公演】2017年10月20日(金)~11月5日(日) 東京芸術劇場 シアターウエスト
[キャスト] 山本芳樹 曽世海司 岩﨑 大 船戸慎士 松本慎也 仲原裕之 緒方和也 宇佐見輝 澤井俊輝 若林健吾 久保優二 田中俊裕 千葉健玖 牛島祥太 吉成奨人 伊藤清之(Fresh) 鈴木宏明(Fresh) 前木健太郎(Fresh) 藤原啓児 ※Freshはスタジオライフ研究生
[チケット]2017年9月3日(日)一般発売開始
<関連リンク>
劇団スタジオライフ http://www.studio-life.com/
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