「今やっていることを確実に面白いものにしたい」、池田純矢インタビュー(下)

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

エン*ゲキ#03『ザ・池田屋!』が2018年4月20日~30日に東京・紀伊國屋ホール、2018年5月11日~13日に大阪・ABCホールで上演されます。脚本・演出・出演される、俳優の池田純矢さんのインタビュー後半です。

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

――吉田稔麿役の鈴木勝吾さん、沖田総司役の松島庄汰さん、おつね役の中島早貴さんに期待されているところをお聞かせ下さい。

鈴木勝吾に関しては共演11回目ということと、…まぁ多分僕がこの『エン*ゲキ』という作品での共演3回目っていうのが一番大きいと思うんですけど、彼のことはとても信頼していて、役者として本当に圧倒的にパワーがあるというか。お客さまに物語を無理やり説得させる、という風に僕は言ってるんですけども(笑)。なんかこう、彼が演じると、演じていないように見えるというか。本当に無駄な労力を使って「そんなことまでやらなくていいのに」っていうところにとことん悩んで、誰もつまずかない石でつまずいて。だからこそ、その説得力があるというか。

――舞台上でも正直にリアルに生きていらっしゃるんですね。

そうですね。彼が役を演じると何故かそうなってしまう。で、それによって周りの役者もグイグイ引っ張られてしまう、っていうのが、やっぱり彼の魅力だなぁと思っています。

――牽引力のある方なんですね。

はい。本当にすごいです。松島さんに関しては、今回はじめましてでどういった方なのかというのは全然知らなかったんです。沖田総司のキャスティングは正直結構悩んでいた部分があって、その時に今回キャスティングで入ってもらっているスタッフさんが、台本を読んだ印象で「この人はどうだろうか」って提案していただいたのが松島さんだったんです。松島さんという役者さんはもちろん知ってたんですけど、自分の中でピンと繋がってなかったんですよ。でも、そう言われたときに「あぁ、確かにそうだ!」と思って。僕が描いた沖田総司像に立ち姿がとても合うなと思ったんですよ、とてもハマるんじゃないかなと思って。だから彼に期待するのは僕が描き出したかった、僕の思う沖田総司像の立ち姿というか。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、おつね役の中島早貴さんについて、『HEADS UP!』を4ヶ月間演じられての今の感想、デビューからこれまでと今後について伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■不思議なヒロイン、おつねは、“カワイイ”を知っている人じゃないと創れない

■『HEADS UP!』は、回を追う毎に、どんどん“腑に落ちて”いくのが楽しかった

■グランプリを受賞していたら、役者はやってなかったかもしれない

■『ザ・池田屋!』、一緒に遊ぼうって言ってると思って、観に来ていただければ

<エン*ゲキ#03『ザ・池田屋!』>
【東京公演】2018年4月20日(金)~30日(月・祝) 紀伊國屋ホール
【大阪公演】2018年5月11日(金)~13日(日) ABCホール
エン*ゲキ#03 『ザ・池田屋!』公式 HP
http://www.enxgeki.com/
エン*ゲキ#03 『ザ・池田屋!』公式ツイッター
https://twitter.com/enxgeki

<関連リンク>
株式会社バール 池田純矢
http://www.ba-ru.com/profile_ikeda.html
池田純矢  Twitter
https://twitter.com/junya_ikeda2710
池田純矢オフィシャルブログ
http://www.diamondblog.jp/official/junya_ikeda1027/

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池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

※ここから有料会員限定部分です。

■不思議なヒロイン、おつねは、“カワイイ”を知っている人じゃないと創れない

――立っているだけで既に、池田さんの描かれた沖田総司という存在、なんですね。

そうですね。そういう風に今後稽古の中で生まれていってくれるといいなというのを期待しています。中島さんも今回はじめましてなんですけれども、中島さんに関しても、そのキャスティングの方からの提案ではあったんですけど、第一にとてもやっぱり可愛らしいなと思っていたのと、僕が「現役でアイドルをやっているか、もしくはアイドルをやっていたことがある人」というところをオーダーさせていただいたんですけど(笑)。おつねはかなり不思議なヒロインというか、今までのヒロイン像、可憐で儚くて美しい、っていうところとはかけ離れているキャラクターですので。でも誰にでも愛されて欲しいし、観てくれるみなさん、女の人にも男の人にも「可愛い」って思って欲しい。でもそれは多分“カワイイ”を知っている人じゃないと創れないと思っていて。

――なるほど!!!

(笑)。そういうところを、やっぱり彼女には体現して欲しいなと思ってお願いしました。

――脚本では、藤堂平助のキャラクターがとても新鮮でした。

そうなんです、そうなんです(笑)。今まできっと誰もやってない、よくわかんない奴なんですけど(笑)。物語の中でも随一のお祭りキャラクターなので、派手に派手に、とにかく派手にという。僕は平助役のこうちゃん(米原幸佑さん)とは「破壊ランナー」で共演する前からプライベートでも知っていて、どんな作品をやっているかも何度も観ていますし。メチャメチャ顔イケメンなのに芝居は全然イケメンじゃないっていう、いい意味で、ホントに。

――ギャップが魅力の方なんですね。

そうなんですよ、恐ろしい「ガチャ男」だなと僕は思っているんですけど。いろんなところがガチャガチャしてて、ひとりでノッキングを起こしまくっているっていう(笑)。

――(笑)。池田さんの描かれた平助に雰囲気ピッタリですね!

そうなんです。なんかとてもお祭り感満載なので、そこは彼の芝居とひととなりでもって賑やかして欲しいなという願いを込めてます、はい。

――ちなみに池田さんは『薄桜鬼』で藤堂平助役(2012年~2015年)を演じられていますが、今回のお話に取り入れた要素があったりとかは?

ないですね(笑)。でも史実を知っていると誰しもが思う「藤堂平助」のイメージがあると思うんですよね。チャキチャキな江戸っ子で、猪突猛進型で剣の腕前がある、若い最年少幹部になったっていうところで、そういう史実からすると、チャキチャキなお祭り男っていうのはなんとなくみんな共通してあると思うんですけど、『薄桜鬼』という作品で演じたのは「藤堂平助」という役名をいただいていましたけれども、史実のとおりの平助を演じた訳ではなく『薄桜鬼』という物語の中の藤堂平助というキャラクターを演じさせていただいたので、それに関して言うと、今回単に「藤堂平助」という名前が同じだけ、みたいなもんです。

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

■『HEADS UP!』は、回を追う毎に、どんどん“腑に落ちて”いくのが楽しかった

――先日大千穐楽を迎えた『HEADS UP!』を4ヶ月間演じられての今の感想をお聞かせください。

楽しかったですね、純粋に難しさもすごく感じたんですよ。やっぱり再演なりのというか、特にミュージカルだというのもありましたけど、曲で尺が決まっているだとか、ここはこういう振り付けがあります、だとか。「ここは前回こうやってやったよね」ていう話をしていらっしゃる初演のメンバーが居る中で、例えば自分が思う「佐野慎也」像をそのままぶち込んでしまったら、ただぶち壊すだけになってしまうという。だからある程度は、前回佐野を演じられた入野自由さんの役作りっていうのを踏襲して、踏襲してというか大枠として構造としてはこういう構造で演じてらっしゃったんだなっていうところを理解して、その上で壊さないように自分がどう演じるかっていうところを考えていかなければいけないっていうのは、正直やっぱり稽古のときは難しいなと思いました。

これが初演でみんなで手探りの状態で一緒に創っていくのとは、また違う難しさというのはやっぱり結構感じましたし、もどかしい部分とか、こういう風に振り切りたいけど、これじゃ駄目だっていう自制心を働かせないといけないところだったりだとか、っていうのは多々あったので。でもやっぱり本番に入ってしまえば、本当にお客さまと創っていく舞台だなと思いましたし、回を追う毎に、どんどんどんどん“腑に落ちて”いくのは純粋に楽しかったです。やっぱり30公演近く同じ物語を演じるっていうのは、なかなか無い経験ですから。そういう中で役を深めていくっていう作業を、稽古含め5ヶ月も出来たのは幸せだなと思っています。

――30公演やっているうちに、何か変化したものがありますか?

根本、デザインは変わらないです。その中で細かい端々とかが増えていったり減っていったりした部分はあると思います。奥行きは出たんじゃないかなとは思いますね、やっぱり。

――今お話を伺っていても「しっかりた土台の上にいろいろどんどんと積み上げていく」というスタイルが感じられます。

そうですね。そうしたいという願望ですね(笑)。

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

■グランプリを受賞していたら、役者はやってなかったかもしれない

――この世界に入られたきっかけは?

「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」のデビューです。

――ご自身で応募されたんですか?

いえ、他薦でした。

――コンテストに参加されて、当時はどんなお気持ちでしたか?

いやもう本当に悔しいしかなかったですね。

――他薦とはいえ、出場する以上はグランプリを狙っていたんですね?

そう思っていたんですけどね。やっぱりどこかで、その当時のグランプリが溝端淳平くんだったんですけど、彼を認めているというか、認めているという言い方をするとすごく偉そうに聞こえるんですけど、彼がグランプリって聞いたときに「そうだろうな」と思ったんですよ。きっとそうであって欲しいと思ってましたし、そうであって良かったって思ったんですけど、なんか、家に帰ってみてから、そう思っている自分が腹立たしいというか。

それは別に「じゃあ役者をやりましょう」ってそのとき夢として思っていたかというと、そうではなかったんですけど、「初動の衝動」と言いますか、一番最初の動きは、やっぱりその「悔しいな」という、自分に対しての歯がゆさだったりとかそういうもので、淳平くんと「同じフィールドで戦いたいな」みたいなことを思ったのが、多分一番最初のきっかけだったんじゃないかなと思います。

――では、もしグランプリを受賞されていたとしたら?

役者はやってなかったかもしれないですね、本当に。

――今回の『ザ・池田屋』では役者と脚本・演出をされますが、今後はどういう方向で活動されるのでしょう?

これ僕本当に10年前から言われて、ずっと思ってるんですけど。今でも覚えてるんですけど、一番最初に「ジュノン・ボーイ」関連でテレビのニュース番組か何かで特集される密着取材が入っていたんですよ。で、コンテストがあって、それが終わって1週間後くらいに、改めて今の気持ちは?みたいなインタビューされたときに、僕は「同じフィールドで戦いたい」というその気持ちになって、役者モードになってる訳じゃないですか。そのときに「将来どういう俳優になりたいですか?」って聞かれたときに「僕はハリウッドスターになります」みたいなことを言ったんです。

でも今思うと、じゃあ本当にハリウッドスターになりたい、っていうのが自分の夢なのかというと、別にそうではなくて。かといってなりたくないかというと、今でも多分その気持ちは消えてないと思うんですね。なんですけど、何をしたいかということを考えると、今やっていることを確実に面白いものにしたい、っていうのがすべてだと思うんですよ。もうそれを疎かにして上を見るぐらいであれば、上なんか見なくていいと思いますし。…何が上か下かなんてわからないですし、やっぱり純粋に思うのは、10年前の自分が10年後の自分は今こうなっているって想像したかというと、絶対してなかったと思うんですね。

だけど、僕は今、与えられている環境であったり、貰っている仕事を含め、やらせて貰っている表現であったりに妥協は絶対していないつもりだし、だからそれできっといいんだと思うんですよ。で、そのときの自分もどうだこうだ言いながら目の前にあることだけ一生懸命やってったら、なんか気付いたらこの場所に居るっていうことだと思うんですよ。だからこれから先もきっと毎日毎日、今一番面白いことを積み上げていったら、結果「じゃあこんな場所に来てたね」っていう話になるのかなという風に思っています。

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

■『ザ・池田屋!』、一緒に遊ぼうって言ってると思って、観に来ていただければ

――ありがとうございました。では最後にお客さまへ一言お願いします。

そうですね、もう本当に高いチケット買っていただいて、予定を空けていただいて、誠にありがとうございますというところでございます。

――もう本当に『HEADS UP!』そのものですね(笑)。

(笑)。本当にね、劇場に足を運んでいただくのは、なかなかのハードルがある訳ですから。それはでも公演を打つ以上はやっぱりそれ相応の楽しみをお客さまに持って帰って貰わないといけないと思っていますし、僕はこの作品でお客さまにちゃんと「エンターテイメント」を届けられると思っていますし、今自分が出来得る限りの一番面白いことをやるつもりでいます。僕自身が一番その第一の観客として楽しんでいるので(笑)、一番はこの気持ちを共有したいんですよ。きっとみんなそうだと思うんですけど、楽しかったこととか、美味しかったものとか、嬉しかったことって、誰かに話したくて話したくて仕方ないというか、一緒に感じて欲しいと思うんですよ。そういう感じで僕のことを友達だと思って、友達が面白いから一緒に遊ぼうよって言ってると思って、観に来ていただけるとありがたいなと思います。

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

池田純矢さん=撮影・伊藤華織

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“「今やっていることを確実に面白いものにしたい」、池田純矢インタビュー(下)” への 1 件のフィードバック

  1. yuriko より:

    後編もとても楽しませていただきました。お話を引き出すのが上手だなと思い、とても読み応えのある記事が読めて幸せです。
    池田さんが面白いを重ねて行って、その道筋をファンとして、ただ見られたら嬉しいなと心から思います。

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