「エン*ゲキ」シリーズ#05『-4D-imetor』(フォーディメーター)が2021年8月5日(木)から8月15日(日)まで、東京・紀伊國屋ホールで、8月28日(土)から8月29日(日)まで、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演されます。作・演出・主演の池田純矢さんへのインタビュー後半です。作・演出・役者として、ひとつの作品への関わり方についてお話頂きました。
――これまでにも、作・演出・出演をされていましたが、今回は主演を担われることで、これまでと違うことはありますか?
稽古は基本的に代役さんで進んでいるので、僕が急にパッと入ったときに、もちろん「うわ、メッチャやることがある」とは思います。大変だとは思いますが、そんなに苦ではなくて楽しいです。単純にやることのタスクが増えたなという感じですが、それは寝る時間を削ればどうとでもなるので大丈夫です(笑)。
――台本を書くとき、演出をされるとき、役者として演技をするときで、それぞれ切り替えをされるのでしょうか?
もちろん表現方法が違うし出力の仕方も違いますが、何を表現したいかという事なので、ほぼ根っこは一緒なんです。例えば台詞が一つあって、それを脚本家として書いたときは、こういう気持ちを届けたいからこの台詞を書く。演出家のときは、自分に対してだったり、自分じゃない役者に対してもそうですけれど、オーダーをするときはこういう表現を創りたい、要は「この台詞でお客さまにこういう気持ちを受け取って欲しいので、こういうふうに演じてください」というオーダーを出します。役者になったら台詞を読んで、演出家のオーダーがあって、その上で自分はこれをお客さまにどういうふうに届けたいか、こういうふうに届けたいということで、自分の体と声、顔を使って表現をする。
だからその根っこにあるものというのは全部一緒で、これを届けたいから、じゃあどういう方法で届けるのかということなんです。それで、脚本家の池田純矢は、文字を書くことで表現する。演出家の池田純矢は、空間演出であったり台詞のトーンであったり、明かりや音楽と合わせて複合的にそれを表現する。役者の池田純矢は、自分の体を使ってそれを表現する。結局この発信源は全部一緒で、出力方法が違うというだけなので、切り替える必要はないんです。
――台本を書いたときはこう思っていたけど、演出してみたらこっちの方がいい、というようなことは?
いっぱいあります。脚本家のときは演出家の池田のことを全く無視して好き勝手書くので「こんなの書かれてるけど、無理無理」とか(笑)。でも逆に言うと、それは演出家にとって「これをどう表現してくれるの?」という脚本家からの挑戦状なわけです。書かれてるからやるしかない、書かれてることはやります、という感じです。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、演出も出演も担当している時の稽古はどのように進めているかや、明智小次郎役の松島庄汰さんについて、ノア役の生駒里奈さんに期待していることなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■基本的に脚本家のオーダーは通します。でも改変のアイデアを演出家権限で
■(松島庄汰さんは)いい意味で泥臭くて野武士、魂があって動くお芝居をする人
■(生駒里奈さんは)彼女の心の中の子供みたいな部分がすごくノアに似通っている
■構えずに身一つで来て、楽しい思いだけをお土産に持って帰って頂ければ
<エンゲキ#05『-4D-imetor』>
【東京公演】2021年8月5日(木)~8月15日(日) 紀伊國屋ホール
【大阪公演】2021年8月28日(土)~8月29日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホール
公式サイト
https://enxgeki.com/
<出演>
生駒里奈 池田純矢
村田充 松島庄汰 田村心 新子景視
藤澤アニキ 北村海 町田尚規 松本城太郎 前田りょうが 春本ヒロ
阿南健治
<スタッフなど>
作・演出:池田純矢
音楽:和田俊輔
美術:根来美咲
照明:榊原大輔
音響:井上直裕
衣裳:八重樫伸登
ヘアメイク:古橋香奈子、成谷充未
イリュージョン監修:新子景視
振付:吉野菜々子
演出助手:荻原秋裕
舞台監督:西村珠生 / 尾花真
宣伝写真:京介
宣伝美術:田中ユウコ、渡部亜利沙
webデザイン:田村桂一(dooo Inc.)
webデザイン:蘭わかば
ライター:横川良明
PRディレクター:森欣治、大西徹
キャスティング:杉山麻衣
制作協力:設楽敬子
共同プロデュース:山田泰彦、北村友香理
プロデュース:森脇直人
宣伝:ディップス・プラネット
票券:サンライズプロモーション大阪
主催:関西テレビ放送 サンライズプロモーション大阪 バール
製作:バール
<関連リンク>
公式Twitter:
https://twitter.com/enxgeki
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※ここから有料会員限定部分です。
■基本的に脚本家のオーダーは通します。でも改変のアイデアを演出家権限で
――脚本家と演出家がそれぞれ居るときと変わらないですね。
そこは同じです。基本的に脚本家のオーダーは通します。でも、例えばそれよりもこっちの方が表現として優れているとか、これだとわかりづらいからこうしようという、改変のアイデアはもちろん出しますし、この台詞わかりにくいから、削除しよう、ということは演出家権限でできますから。
――演出も出演も担当している時の稽古は、どのようにしているんですか?
僕が代役さんに対して、例えばそこの動きちょっとうるさいなとか、気持ちとしてはそう動くだろうけど、これは出力的に間違ってるなとか、あとは他とのバランスであったり、ここは音楽がこうなって照明はこういう明かりになるから、この動きのエリアはここにして欲しいというオーダーを出すんですけど、その代役さんに伝えている言葉は、イコール、役者池田純矢に言っている言葉として跳ね返ってくるんです。あとは家帰って映像を見て、自分が入ったときも見ながら、この動きはよくないとか、ここの台詞は届きづらいとかがあれば、また改めてオーダーをし直したりします。
■(松島庄汰さんは)いい意味で泥臭くて野武士、魂があって動くお芝居をする人
――ノアと渡来のキャスティングが最後まで決まらなかったという事でしたが、逆に真っ先に決まったキャスティングは?
明智小次郎役の松島庄汰さんです。もう台本を書き終わってすぐに「空いてる? あなたの役があるよ」って電話しました(笑)。『ザ・池田屋!』(2018年)という作品で初めて出会って、すごく良かったんです。彼のひととなりもそうだし、あまりこの舞台界隈に居ない種類のお芝居をする人で、すごくいい意味で泥臭くて野武士みたいな感じで。ちゃんと魂があって動く、そういうお芝居をする人なので、僕はすごく好きなんです。ハマったときの爆発力がものすごい。それが今回の明智小次郎という役にぴったりなので、彼の魅力を最大限に表現して欲しいと思っています。
■(生駒里奈さんは)彼女の心の中の子供みたいな部分がすごくノアに似通っている
――ノア役の生駒里奈さんに期待されることは?
彼女は本当に上手で何でもできちゃうんです。ともすれば何でもできちゃって、何でもこなせるから、NGを出す部分が少ない。それは彼女の生まれ持っている才能だと思うんですけれど、でも僕はやっぱり主人公たるもの、悩み、苦しみ抜いてこそ生まれるものは絶対にあると思っていて。だから今回一番期待しているのは、このノアという役がすごく生駒里奈本人に似ていて、それはビジュアルや外見の部分ではなく、内側の部分「インナーチャイルド」と呼びますけれど、彼女の心の中の子供みたいな部分がすごくノアに似通っていると感じていて。本人ともいろいろ話はしたんですけど、ノアという役を表現するときに、生駒里奈のインナーチャイルドを使わせて欲しいと僕は思っているんです。そのぐらい深くまで潜り込めたら、役と生駒ちゃんという役者本人が融合して、すごくはかなくて美しく強いものになるだろうと思うので、そこは純然たる主人公として期待しています。
――インナーチャイルドは、多分ほとんどの人が表に出さすことを潔しとしない自分自身ですね。
蓋をして隠して、そして自分すら気づかなくなっていることがほとんどだと思います。でも彼女ならやってくれると思っています。
■構えずに身一つで来て、楽しい思いだけをお土産に持って帰って頂ければ
――最後にお客さまへのメッセージをお願いします。
「エン*ゲキ」シリーズは娯楽です、というところを突き詰めたいと思っています。自分にとっては、表現をするというエンターテインメントは、生きるという行為そのものですが、それを「僕の魂そのものなので、丁寧に扱ってください」と、お客さまに押し付けようとは思いません。ぐちゃぐちゃに踏みしだかれようが、煮ようが焼こうが何をされようが、受け取る側の自由ですからそれは構わないんです。
だからこそ、僕たちがお客さまに投げかけられる言葉は、本当にたった一つしかなくて、「楽しんでください」ということだけです。劇場に来ていただいて、物語が終わるまでの約2時間という時間が、その人の人生にとって有意義であるか、無意義であるかもあんまり関係なくて、ただその瞬間を「楽しい」と思ってくれたり、「面白かった、明日も頑張ろう」と思ってくれたらそれが全て。それだけでいいし、そんなに素晴らしいことはないと思っています。
遊びに行くときに構えたりしないのと同じように、劇場に身一つで来てくれたら、楽しいと思ってその楽しい思いだけをお土産に持って帰って頂ければ、それでいいと僕は思っているので、そういう作品を「エン*ゲキ」シリーズは目指しています。ですので、是非なにも持たずに、身一つで楽しむ準備だけをして来ていただければ、あとはもうなるようになりますので、楽しんでいただければと思います。
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