Artist Company響人第11回公演『お月さまへようこそ』に出演する海宝直人さんと西川大貴さん、演出の吉原光夫さんの対談後半です。演出家としての吉原光夫さんについて、オフに集まった時に何をしているのかなどについて語ってくださった内容を紹介します。
——おふたりからみて、「演出家・吉原光夫」というのはいかがですか?
吉原:こういうお互いについて語るのって困るよね。いいところを一生懸命探したりしちゃう。ほぼ初めましてで聞かれたりするじゃん。
西川:はじめましては大変だね(笑)。
吉原:褒めるところめっちゃ探しちゃう。「格好よくてね」って(笑)。
海宝:そこ!?
西川:俺が横から見てると、光夫さんそういうの考えてることありますよね。
吉原:めっちゃ考える!
西川:「格好よくて……」っていう切り出し結構聞きます(笑)。
3人:(笑)。
——今日はそういうのはいらないので(笑)。
西川:ここで出て来たらびっくりしますよ(笑)。
——いらないからこそ語れることをお願い致します。
海宝:役者をやっているときよりも穏やかな感じがしますね。
——それはオフの吉原さんとも違うんですか?
海宝:そうですね。オフとも感じが違う気がしますね。すごく広く役者を見てくれますし、必要だなと思うところには切り込んで、的確に言ってくれるので、やっていてスムーズという感じがしますね。迷いなくという感じ。
——演出家モードになると穏やかになるというのは、意識的にやっているんですか?
吉原:欲しいものを的確に、その作品を良くしていくということに対して、時間をたくさん割かないというのが演出家の仕事だと思うので、それをに対して邪魔なノイズはすべて消して行った方がいいかなと思っているんです。自分が俳優だからわかるんですが、演出家が感情を出すことによって、どんどん俳優は閉じて行くんですよね。だから、よく見る演出家のイメージで、怒鳴り散らしながら演出するというのは、技術・能力のある俳優さんにはほとんど意味がない。何か演じる前の心の中に問題がある人に対して、それをやることによって、一個捨てるという意味では、荒療治としてはあるのかもしれないですが。これは経験ですが、ほとんどの場合はそれをやられればやられる程、欲しいものから遠ざかっていくんですよ。演出家が焦りはじめたら、俳優も焦るんです。もしかしたら、優しいとか、穏やかというのは、その状態を自分で持っているのかもしれないですね。役者をやっているとすごくわかるんですよね。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、オフに集まった時の様子や、この作品で何をしたいのかなどについて語ってくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■吉原:小川絵梨子がベース。彼女に演出されたときがまさしくそう
■西川:作品だけにストイックにやれるというのは、めちゃくちゃ幸せなんですよ
■吉原:すべてを失ったときに残るのは大切なものだから、失ってみなさいよと
■西川:純度の高いラーメンに命を注いで、お客さんが来るというのがベスト
■海宝:ミュージカルを観るお客さんを包み込んで、感じてもらえるような作品に
<Artist Company 響人 第11回公演『お月さまへようこそ』>
【東京公演】2018年4月25日(水)~4月29日(日) CBGKシブゲキ!!
<公式サイト>
Artist Company 響人 公式ホームページ
https://www.hibikibito.com/moon
<関連リンク>
吉原光夫-カムトゥルー
http://c-true.net/artist/yoshihara-mitsuo/
吉原光夫 Twitter
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海宝直人オフィシャルサイト
http://kaihonaoto.com/
海宝直人オフィシャルブログ
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海宝直人 Twitter
https://twitter.com/naotosea西川大貴オフィシャルサイト
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西川大貴 Twitter
https://twitter.com/spea___spea
<海宝直人さん活動情報>
詳しくは、海宝直人公式サイトをご覧ください
http://kaihonaoto.com
【坂東玉三郎コンサート『愛の讃歌』】
大阪:5月3日(木祝)フェスティバルホール
【ジャージー・ボーイズ・イン・コンサート】
東京:5月12日(土)~13日(日)東急シアター・オーブ
【THE HIT OPERA SHOW 『TRIOPERAS』】
イギリス・ロンドン:2018年5月23日(水)~7月1日(日)ピーコック劇場
【海宝直人 Birthday Live 2018 Home My Home】
千葉:7月7日(土)市川市文化会館 大ホール
東京:7月11日(水)オペラシティ コンサートホール
愛知:7月16日(月祝)ZEPP名古屋
【ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』】
全国:2018年9月7日(金)~11月4日(日)
- 2020年12月以前のプレゼント 2021年6月16日
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■吉原:小川絵梨子がベース。彼女に演出されたときがまさしくそう
——それを知っているからこそ、こういう方法論でやった方がいいと。
吉原:それは小川絵梨子がベースになっています。彼女に演出されたときがまさしくそうだし、的確に、短時間のなかで、このシーンが良くなることを混乱させないで伝えるんです。俺は小川絵梨子みたいに天才じゃないので、混乱させた場合は謝る、それが多分一番大事ですね。演出家はそこが一番難しいし、日本でそれをわかっている人があまりいないというのが辛いですね。
——演出家を客観的に見れる目線もあって演出家をするというのも面白いですね。
吉原:絵梨ちゃんとも話していたんですが、役者をやっているのって大きいよねと。絵梨ちゃんは役者としてのコースもやっているから、演じ手の気持ちもわかってくれるし、僕はもっとディープにやっているので、このぐらいの時間、これぐらいの時期に役者が感じることとかがわかりますから。舞台稽古で感じることとか。僕はそれに対して結構繊細なんですよ。だから自分がされて嫌なことはしないですね。
——吉原さんのその繊細さをおふたりは知っているんですよね。
吉原:多分知っているよね。
海宝・西川 そうですね。
吉原:僕が役者でストイックになるのは多分そこだと思います。
西川:でも、穏やかであろうとしているんだろうなレベルは上がっていっている気がする。
——回を重ねるごとに?
西川:はい。それは全く悪い意味ではなくて、意識的に光夫さんなりに、色々会っていないうちに色んながことがあって、そうなっているんだろうなと。
吉原:大体会っているけどね。
西川:はい、大体会ってますけど(笑)。
海宝:(笑)。
吉原:大貴が出なかったレミゼ中に、海宝の家で、プレステ4をやりながら。
海宝:夜な夜な。
西川:そこで穏やかに行こうかなと?
吉原:プレステ4によって人間の……
海宝:バイオハザードですね(笑)。
全員:(笑)。
吉原:全然面白くなんだけど、みんなで海宝の部屋に行って、
海宝:ダベダベしてるんです。
吉原:それが楽しくて。
海宝:楽しかったですね〜。
吉原(西川さんに)ごめんね!一回呼ぼうと思ったんだけど。
西川:いや、呼びましたよね! 深夜の11時ぐらいに、「今大阪にいるんだけど、東京から出で来れる?」って。いや、もう無理だよって。
海宝・吉原:(笑)。
吉原:(清水)彩花の誕生日だ(笑)。
海宝:そうそう。バースデーサプライズで、ベランダにいたら面白いねって話になって(笑)。
■西川:作品だけにストイックにやれるというのは、めちゃくちゃ幸せなんですよ
——今回はいくらでも一緒にいられますよね。何かしようとかあるんですか?
吉原:いや、でもこの作品が結構ストイックなんですよ。だからあまりハメを外すことはこの後出来ないんじゃないかと思うんですよね。
海宝・西川:確かに。
西川:ここから結構詰めていく感じに。
吉原:今の時期にそういう温度になってきているのはいいなと思うんですが、みんな結構そういう方向なんじゃないかなと思います。
——フラットで楽しい現場で、逆に大変な作品をストイックにやるんですね。
西川:作品だけにストイックにやれるというのは、めちゃくちゃ幸せなんですよ。単純に体力が尽きてしまっていたら、お酒を飲んで寝るしか出来ないじゃないですか。稽古場への行きと帰りで作品のことを考えたいけれど、考えると悪循環になるような。そうなると、作品から距離を置く方向になるんですが、プライベートでも今は常に作品を横に置いておけるというのがすごく有り難いことだなと思います。
——理想的な現場なんですね。
海宝:そうですね。
吉原:すべてがこうあればいいんですけれど、難しいですね。
——ここからこういう現場を広げていけたらいいですね。
吉原:海宝さんが世界に轟かせてくれますよ。
西川:世界の海宝だから。
海宝:いやいや(笑)。
西川:俺は一生日本で。
吉原:うちらなんかね、西東京で。
西川:西東京から出ない!
吉原:あと10年ぐらい西東京で活動しようね。
西川:Artist Company西東京響人にしましょう。
吉原:西東京から出ない。
西川:それをポリシーにしましょう。
吉原:渋谷の劇場が空いてるって聞いても出ない。
——(笑)。そこに海宝さんにゲストで出て頂く?
西川:市川市からゲストでね。
吉原:市川市から西東京に出てもらう!
海宝:OK!
■吉原:すべてを失ったときに残るのは大切なものだから、失ってみなさいよと
——最後に、お客様に伝えておきたいことなどをお聞かせください。
吉原:自分がなぜみんなにプレゼンしてこの作品をやりたいと思ったのか? みんなもわかんないながらもいいかもと思ってくれたのか? そして、今も何かを追い求めるように稽古場を突き動かしているエネルギーは何なのか? 結局、この作品が一番人間の根底を描いている作品だからだと思うんですよ。しかも、今生きている人間が、人とコネクトすること、それがシンプルに描かれているものだと思います。もしかしたら、劇場に来るお客さんは、現実で誰かと繋がることに対してすごく不器用になってしまった方が多いかもしれないと思うんです。この作品を観た瞬間に、近くの人間や家族たちと話してみたり、電話してみたり、手を繋いでみたり、ハグしてみたりすることから、もう一回スタートすること。生きて行くということは、それだけでいいんじゃないかと。もちろん難しいですよね。仕事もしなければいけないですしね。この作品は、みんなすべてを失う作品です。すべてを失った瞬間に、みんな月が満ちて、新しいステージに行くという作品なので、何かを失ってみるといいかなと(笑)。
海宝・西川:(笑)。
吉原:すべてを失ったときに残るのは、大切なものだから、「あんた何か失ってみなさいよ」が、この作品のメッセージかなと思います。
■西川:純度の高いラーメンに命を注いで、お客さんが来るというのがベスト
——西川さんはいかがですか?
西川:そうですね、すごく表現がむずかしいのですが、観劇に行くことって趣味だと思うので、楽しんでもらわなければいけないじゃないですか。それと、僕らがやっていることの意識の差を最近すごく感じていて。どこの世界も、例えば何の職人さんでもそうだと思うんです。
吉原:ラーメン屋さんとかでもそうだもんね。
西川:ラーメン屋さんは、そこに命を注いでいて、「この一杯に魂を込める」ってありますよね。ラーメンは楽しんでもらうというのとはちょっと違いますけど、僕らは趣味を作っている訳ではないんだけれど、そこを放棄してしまったら違うんですよね
——作り手側の命がけに対して、観る側はただ楽しむという思いで行く人も多いだろうということですね。
西川:だからこそ、わかってもらえない人も多いかもしれないですが、「こういう感じで魂を注いでいるんだぜと」いう純度の高いものを極力提示出来る世の中になっていったらいいなと思っているんです。いろんなわずらわしさやしがらみなどで純度が薄まってしまっている表現がありふれているから、とても難しいことだというのはわかっているんですが、100%は無理でも、少しでも純度の高いものを提示出来て、そこに、このラーメン美味しいなと思ってもらえたら最高なんじゃないか。そこに面白いなと思ってもらえる人がいたらすごく嬉しいなと思います。今回は純度が高めだと思うので、その純度の高いラーメンを味わってくださいという思いです。
吉原:純度の高いラーメンを食べたことがない人は、チェーン店でも美味しいなと思うんだよね。
——人によって味覚も違うし、経験値も違いますからね。舞台に関しても、いろんな尺度で観る人たちがいて、エンターテインメントを楽しむ人、ある俳優さんが観たい人、心を揺り動かしに行きたい人、さまざまですからね。
吉原:ラーメン好きじゃないと、ラーメン屋には並ばないからね。
海宝:確かに。
吉原:でも、今僕らがやっているのは、ラーメン好きというよりも、みんなでラーメンを食おうってことだもんね。
西川:それを忘れてはいけないと個人的に思っていて、それはへりくだるという意味ではなくて。
——こだわることも必要だけれど、いろんなお客さんに、それぞれの楽しみ方をちゃんと提供したい?
西川:そうです。「高級な煮干し使っているんだから、美味いに決まってるだろ。お前らわかんないのか」というスタンスではなくて、「ちょっと渋みがあるのはわかっています。けれど、高級な煮干しでこういうラーメンで純度の高いものを提示することに、僕達はプライドを持って作っています」と提供したところに、美味しいと思っているお客さんが来るというのがベストだなと思うので、僕らも考えなければいけないし、単純に味わってほしいなと思います。
吉原:最終的にラーメンの話になっちゃうな(笑)。
全員:(笑)。
■海宝:ミュージカルを観るお客さんを包み込んで、感じてもらえるような作品に
——海宝さんはいかがですか?
海宝:内容的にはふたりが話したとおりですし、このメンバーが集まっていますが、シンガー、17歳の子、さらに僕ら、その化学反応というか、確実にミュージカル俳優たちだけで作るのとは違う空気感が日々生まれています。
西川・吉原:そのとおりだね。
海宝:僕らも毎日、すごくいろんな刺激を受けつつ、自分が出せるものを模索しつつ作っているので、おそらくミュージカルを観るお客さんが多いと思いますが、そういう方達にとってはもちろん新鮮でしょうし、かといって決してその人達を突き放すのではなく、すべて包み込んで何かを感じてもらえるような、そういう作品になっていくといいなと思いながら稽古をしています。新鮮な驚きと、単純に楽しんでもらうことと。いろいろと感じてもらえたらいいなと思います。
※吉原光夫さんと海宝直人さんと西川大貴さんのサイン色紙と3人の写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この記事の下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは5月7日(月)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
吉原さんも海宝さんも西川さんも、以前から色々な作品で拝見していて大好きな俳優さん達です。今回の特集ではリラックスしたなかにプロの真摯な想いが伝わってきて、こんな皆さんだから観客の私も演技や歌に深く感動出来たんだなぁと改めて思いました(^^)
「お月さまへようこそ」は先日原作を読んで余白の多い作品だと感じました。こんな素敵なメンバーを中心に、他の皆さんとの化学反応を経て、どんな色合いの作品に仕上げて下さっているのか、今から本当に楽しみです!!
素敵な写真とインタビューをありがとうございました。
演出家としての吉原さんは初めてなので、俳優の時とはまた違う感じなのだと興味深かったです。その演出を受けた海宝さん、西川さん、他の出演者の方のお芝居も楽しみです。
素敵な対談をありがとうございました。
なかなか東京方面へあれもこれも観に行くことはできず、このような取材をしていただくとつい、読み更けてしまいます。
海宝さん、吉原さん、西川さん、お三方の雰囲気がとてもいいですね。
小作品から世界的舞台まで、海宝さんの守備範囲に驚かされてます。
また、観劇後のレポートも楽しみにしております。