「2年間。怒涛でしたが、全部が糧になりました」、百名ヒロキインタビュー(下)

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

2019年10月2日(水)から8日(火)まで赤坂RED/THEATERで上演される、ミュージカル『ボクが死んだ日はハレ』に出演する、百名ヒロキさんのインタビュー後半です。母親役の浦嶋りんこさんとの絆や、ご自身のお母様についての思い、デビューから2年経っての思いなどを伺いました。『ボクが死んだ日はハレ』は、脚本・作詞・演出を石丸さち子さんが担当されるオリジナルミュージカルで、息子を亡くした母親を中心に描かれる喪失と再生の物語です。

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

――やはり作品の内容的に、母と息子との関係が強いですが、浦嶋さんとはどんなお話をされていますか?

お母さんと息子って、石丸さんもりんこさんもおっしゃっていたんですが、お母さんと娘との関係とは違う関係があるんじゃないかなと思います。女同士の強さとはまた違う絆がある気がします。また、りんこさんとの思い出もこの2年で増えたので。りんこさんの出演する舞台を観にいったり、ご飯を食べにいったりしたので、よりやりやすくなったのかなと思います。

――なるほど。

いまのところ、僕が出演する舞台を全部観に来てくださっているので、りんこさんも「再演に向けて全部観るわよ」って(笑)。ハードスケジュールのなか、大阪から帰ってきて、そのまま観てくださったり。「ギリギリ観れてよかった! 今回無理だと思ったけど」って。
――もうノルマのように(笑)。

仕事みたいになっていますが(笑)。それもファンキーな母親感を感じますね。百名ヒロキと浦嶋りんこさん自体の思い出も増えたので、ひかると鮎川ミミの関係の濃さもすごく出るなと思います。日常会話も、とても楽にできます。まだ1回しか本読みをしていませんが、余計に泣けてきちゃうというものは、ありましたね。

――そこは逆に、再演だからこそですね。

強みではありますね。りんこさんが、部屋のセットに飾ってある、ひかるの写真を見たときに、「この写真見ただけで泣ける」って。

――ひかるの小さいころの写真ですね。

「懐かしい」って(笑)。

――この写真は初演と変わっていないんですか?

はい。ここから、ポケモンシールとか増えていくんですよ。

――作品の中心となる親子関係について伺いたいのですが、息子から思う母親についてお聞かせください。それこそ、石丸さんや浦嶋さんが「母と娘との関係とは違うんじゃないか」とおっしゃっているとのお話でしたが、百名さんご自身がいまの年代で思う母親の存在はどう思っていますか?

やはり母の前と、人前とでは違うじゃないですか。絶対的に違う。一緒ではいられないですし、絶対的な信頼みたいなものはありますが、それは見せられないですね。わざわざ見せるものでもないし、恥ずかしい(笑)。家族というのは、一番大事な存在ですよね。だからこそ、言えないもの、相談できないものもあります。本当の母親はひとりしかいないけれど、僕にとっては、りんこさんや、石丸さんみたいな人がいたり、いろいろな母親以上の存在がいるのは幸せですね。

※アイデアニュース有料会員(月額450円)限定部分には、ご自身のお母様についての思い、デビューから2年経っての思いなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■早く親孝行をしたい、なにが親孝行なんだろうと考えたときに、自分が幸せになること

■また振り出しと思いつつも、2年間で染み付いたいいところは石丸さんも褒めてくれる

■グランドミュージカルに必要とされる実力を、「百名ヒロキがいい」と言ってもらえることが次の目標

■みんなが伝えたい、寄り添いたい作品なので、ぜひお客様にも寄り添っていただけたら

<『ボクが死んだ日はハレ』>
【東京公演】2019年10月2日(水)~10月8日(日) 赤坂RED/THEATER
公式サイト
https://polypho.wixsite.com/bokuhare

<関連リンク>
Musical「ボクが死んだ日はハレ」公演詳細ページ
https://junction99.com/?p=1516
百名ヒロキ|VOICE OF JAPAN
http://voiceofjapan.co.jp/artists/hyakuna.html
百名ヒロキオフィシャルブログ
https://ameblo.jp/hiroki-hyakuna/
百名ヒロキTwitter
https://twitter.com/100nahiroki

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百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■早く親孝行をしたい、なにが親孝行なんだろうと考えたときに、自分が幸せになること

――ご自身のお母さんだったり、それ以外の方のお話でもいいですよ。

やはり幸せになってもらいたいという気持ちはあります。でも、母は絶対に、僕に幸せになってもらいたいと思っているんだろうなと、そのために育ててきてくれているところはあるじゃないですか。だから、早く親孝行をしたいです。なにが親孝行なんだろうと考えたときに、自分が幸せになることだと思うんですが、「お気に入りのボディスクラブを買ってあげたい」とか(笑)。

――ボディスクラブ買ってくれる息子さん、素敵ですね。

早く楽をさせてあげたいです。

――お仕事の話はしますか?

舞台を観に来る度に、「あそこダメだったね」と言われたりするのも腹が立ちますし、「わかってないだろ」って(笑)。共演者ががんばっている姿を見て、「○○くん、がんばってるね。ヒロキも出れればいいのにね」と言われると、「うるせぇよ。がんばってるよ。見てろよ」と思います(笑)。わかってるからって。そういう話になると、自分の部屋にこもりたくなりますね。でも、せっかく家にいるから話もしたいし……という、いまはそういう時期です(笑)。ずっとそういう時期なのかもしれないですけどね。中学のときから変わっていないですから。

――素敵なやりとりですね。私は弟がいますが、若い時から自立心が強すぎるくらいのタイプでしたね。

でも、それも必要だと思うんです。自立しなきゃ。でも、放任主義みたいなところがあるので、そこは全然大丈夫なんですが。

――そうすると、いい距離感ですよね。

久しぶりに会うと、すごく喋ってくるので、それが嫌です(笑)。

――きっと話したいことが、お母様もたくさんあるんでしょうね。

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

■また振り出しと思いつつも、2年間で染み付いたいいところは石丸さんも褒めてくれる

――2年間で多くの作品に出演されましたが、この2年で印象に残っている作品や、自分に大きな影響を与えた作品や出会いをぜひお聞かせください。

最初の1年間は怒涛すぎて、どこにいっても全部が新鮮でした。こういう演出家さんや共演者の方がいるんだ、グランドミュージカルってこんな感じなんだという驚きが、ありましたが、それが1年くらいで落ち着きました。『宝塚BOYS』は男だけで、ベテラン陣のレジェンドメンバーに入れさせていただいて、とても大きな経験をさせていただきましたし、先輩方も仲良くしてくれるので、たくさん話を聞けた濃密な夏でした。

――『宝塚BOYS』はちょうど1年前でしたね。

そのあとの『タイタニック』では、イギリスの演出家のトム(・サザーランド)さんとご一緒しました。外国人の演出家さんはこんなにラフで優しくて、無駄を嫌がる。時間になったら、すぐに終わって、「残っちゃったけど、時間決まっているし、明日に回そう」って。日本では出来ない感じでした。

――「残業はない」みたいな(笑)。

そうですね(笑)。俳優のテンションも労わってくれる。いじめて、いじめてという感じではないです。さらに、『ダブルフラット』ではケンティ(木内健人)さんとも一緒に出来ました。2年間で、大きな会場にも、小さな会場にも、いろいろな作品に出演しました。そして、自分の主演作品で「よし、やろう」となったときに、いままでの培ってきたものを出しても、稽古で打ちのめされて、「ここでまた学ばなくちゃ」と。どこまでいっても、ずっと振り出しだったんです。やっと今回2年経って出会えて、また振り出しと思いつつも、2年間で染み付いたいいところは石丸さんも褒めてくれるので、こういう経験があったからいま出来るお芝居だと思います。『お月さまへようこそ』では、演出の中原(和樹)さんがお芝居の作り方を教えてくださいました。大きい作品だと間に合わせないといけないので、あまり深くまで話したりができないんです。

――ミュージカルだと、やらなければいけない要素が増えますね。

ストレートプレイを1ヶ月半くらい、みっちり自分のなかで深められたのはいい経験で、お芝居に対する考え方も変わりました。お芝居に関しては、『お月さまへようこそ』と『見渡す限りの卑怯者』が、今年でまたすごく成長できた作品です。怒涛でしたが、全部が糧になりました。

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

■グランドミュージカルに必要とされる実力を、「百名ヒロキがいい」と言ってもらえることが次の目標

――ちなみに、2年前は「ミュージカルで必要とされる実力をつけたい」とおっしゃっていました。

はい(笑)。

――そこに関しては、2年経ってみていかがですか?

まだまだですね。振り出しです。「まだまだ若造が」という感じですよね(笑)。成長した部分や、変われた部分もあると思いますが、必要とされる「あいつがいい」というところには、2年経ってもまだまだですね。ひとつや、ふたつじゃ、足りないですね(笑)。グランドミュージカルに必要とされる実力をつけたいです。

――以前は“ミュージカル”でしたが、今は“グランドミュージカル”で必要とされる実力をつけたい。

はい。唯一無二の、「百名ヒロキがいい」と言ってもらえることが、次の目標ですね。

――なるほど。

だめなところも、ようやくわかってきたので。

――自己分析すると、どこがだめなんですか?

お芝居で歌をやろうとすると、音程を無視してしまうんです。無心の初心なんですが(笑)。毎回、お芝居でそのときに感じたことをやろうとしてしまうタイプなので、それを歌のなかでやってしまうと、音程通りにならないんだと。それは去年の『マタ・ハリ』の時点でわかっていたんですが、改めて思いますね。あと、作品によって求められる歌での表現の方法が全く違うんだなとわかりました。最初に、この作品の歌合わせで、これまでの経験を活かして、どれだけ喉を使わないかで歌の練習をしていたんです。そうしたら、「その発声はいらない。発声変わった?」と言われて、次の日に変えていったら「こっちの方がいい」と。作品や役によって、歌で表現する難しさを再認識しました。

――技術的なところですね。ちなみに、だめなところがわかったとお話されましたが、逆にこれは自分の武器だと思うところはありますか?

やはり自分的には、作品ごとに新たなことを見つけて、成長しているつもりではあるので、次の作品をお客さんが観たときに、また成長していると思ってもらえるようにがんばっているところが武器です(笑)。

――なるほど。それは、自分でも成長していると自覚できているということですよね。

毎回まだまだ必死ですね(笑)。

――25歳ならばどんどん成長する時期ですよね。それを自分で実感できているということですね。

はい。だから、焦りや悔しさもありますね。

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

■みんなが伝えたい、寄り添いたい作品なので、ぜひお客様にも寄り添っていただけたら

――最後に、お客様へメッセージをお願いします。

初演が好評だった作品で前売も完売と伺いましたが、当日券も出るそうです。絶対観ていただきたいと思っている作品です。感じてもらえることも多くあると思います。みんなが伝えたい、寄り添いたいという感情がある作品なので、ぜひお客様にも寄り添っていただけたらなと思います。お客様がいて、やっと完成する作品なので。今回は再演で、お客様がどんな反応をされるのかも楽しみです。僕たちも楽しみたいと思っているので、まだチケットをお持ちでない方、当日券に並びたいと思ってくださったなら嬉しいです。暑くも寒くもない時期ですし、チャンスも10回ありますので、ぜひお越しください!

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

百名ヒロキさん=撮影・岩村美佳

※百名ヒロキさんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは11月1日(金)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

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“「2年間。怒涛でしたが、全部が糧になりました」、百名ヒロキインタビュー(下)” への 4 件のフィードバック

  1. ami より:

    初演、再演と観劇し、ボクハレ打ち上げライブにも参加させていただき、本当に感無量です。
    この2年間で歌も演技も着実に成長しているのを感じています。グランドミュージカルで百名くんを観れるのを楽しみにしています。
    普段聞けないお話を記事にしていただき、また素敵な写真をたくさん載せていただきありがとうございます。今後もよろしくお願い致します。

  2. きらり より:

    この2年のお話、読んでいるだけでなぜだか涙が出てきました。今までの作品を全て見てきましたがこの2年のヒロキくんの成長は本当に努力なくなかったんだろうなと感じました。
    これからの百名ヒロキくんも楽しみでしかありません。どんな変化を見せてくれるのか、しっかり見守りたいと思います。
    これからも百名ヒロキくんの記事の掲載を楽しみにしています。

  3. 愛美 より:

    ヒロキくんのお母さんの話、素のヒロキくんが垣間見れて嬉しいです(笑)グランドミュージカルに必要とされる存在、絶対になれる!初心を忘れずに努力を続ける先にはきっとヒロキくんにとって最高の未来が待ってると思います☆ずっと見守り続けます(*^^*)

  4. ももまる。 より:

    ヒロキくんの母親のお話。今まであまり聞いた事がなかったので、新鮮でした。グランドミュージカルで必要とされるという夢。とても素敵だし、やっぱりヒロキくんだなーと感じました。百名ヒロキくんの記事をいつもありがとうございます。

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