「いつか、大河ドラマの主役を演りたい」、平埜生成インタビュー(下)

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

2018年11月8日(木)から11月25日(日)まで、新国立劇場 小劇場で『誰もいない国』が上演されます。キャストは、柄本明さん、石倉三郎さん、有薗芳記さん、平埜生成さん。一室の中での会話を通して繰り広げられる虚実曖昧な4人芝居に、フォスター役で出演される平埜生成さんのインタビュー、後半です。

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

――しばらく映像が続いていましたが、『誰もいない国』ご出演に向けて、なにか準備をされたことはありますか?

役へのアプローチの準備としては、基本的にしていません(笑)。ですが、もちろん英国ナショナル・シアター・ライブの『誰もいない国』を見たり、戯曲を読みました。この一年半、映像作品をやってきて、インタビューで、「舞台と映像どっちが良いですか?」と聞かれることが多くて、僕は「どっちが良いかなんて自分でもぜんぜん分からないです」と回答し続けてきました(笑)。久々の舞台である今回は、この一年半に感じたことを、舞台の上に乗せてみたいなという気持ちが出て来ています。それが出来たら、もしかしたら千穐楽が終わったときに、やっと良さというか、なにか自分の中で言葉に出来るものが生まれることがあるのかなとは思っています。それをちょっと楽しみにして稽古を迎えました。

――ナショナル・シアター版をご覧になって、どんな印象を受けられましたか?

「なんだったんだろう?」と思いました、やっぱり(笑)。この作品は言葉を使った戦いでもあったりしますし、英語が分からないので結局字幕を追っていったのですが…。「我々の唯一の財産は英語です」という台詞が実際に出てくるのですが、翻訳の喜志哲雄先生が「スプーナーはハーストに対して3通りの文体でしゃべっている」とおっしゃっていて、その英語の使い方、発し方によって人間関係も変わってくると思うんです。そういう楽しみ方があるはずの戯曲なので、それを多分、映像を見ていたときに本能的に感じたのかもしれません。それで字幕を追おうとしている自分が居たんでしょうね。ただ芝居だけを見て、感情の揺れとかそういうものだけで解決できる作品では、もしかしたらないのかなっていう意味も含めて、言葉を追って、ワーッて見ていったら、ドッと疲れて「なんだったんだろう」って(笑)。

<取材協力>
【アイテム】ブルゾン(Johnbull、¥22,000、ジョンブルカスタマーセンター、050-3000-1038)、 カットソー(UMBER、¥13,800、STUDIO FABWORK、03-6438-9575)、パンツ(Blanc YM、¥25,000、TEENY RANCH、03-6812-9341) 価格はいずれも税別
【スタイリスト】渡辺慎也(Koa Hole)
【メイク】白石義人(ima.)

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、平埜さんが2017年にNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』に徳川家康の嫡男の信康役で出演し、新鮮な印象を残したことなどについて伺った内容などを掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■わかりやすい作品は嫌いじゃない。でも、言葉に出来ない面白い作品もある

■大河ドラマ出演は、良かったことしかない。もっと出たいと思いました

■信康はああいう人だと心から信じています。脚本に「有り難うございます」と

■『誰もいない国』は、考えることを放棄しない、考えてみる楽しみがある作品

<新国立劇場 演劇『誰もいない国』>
【東京公演】2018年11月8日(木)~11月25日(日) 新国立劇場

<スタッフ・キャスト>
作:ハロルド・ピンター
翻訳:喜志哲雄
演出:寺十吾
出演:柄本明、石倉三郎、有薗芳記、平埜生成

<公式サイト>
https://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/16_011667.html

<関連サイト>
平埜生成オフィシャルブログ「稲穂だより」
https://ameblo.jp/hirano-kinari/
平埜生成 Twitter
https://twitter.com/kinarichan
アミューズ 平埜生成
http://artist.amuse.co.jp/artist/hirano_kinari/

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平埜生成さん=撮影・伊藤華織

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

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■わかりやす作品は嫌いじゃない。でも、言葉に出来ない面白い作品もいっぱいある

――“長台詞を、相手に何かを理解させるためではなく、混乱させるために話している” という、喜志哲雄さんのご発言を思い出しました。やはり分からないところが面白いというところを楽しむ作品なのかもしれませんね。

そうですね。最近のお芝居とか、映像作品はわかりやすいものが増えてきて、僕も決して嫌いじゃないんです。でも答えを出したがる自分の性格を分かりつつも、言葉に出来ない面白い作品もいっぱい観てきたので、演じる側として、共演する皆さん、先輩方と一緒にそういうお芝居を創れたら本当に良いなと思っています。「分からない」とか、「難しい」とか言ってしまいましたけれど、不安というよりは、そうでありながらちゃんと面白い作品を創って、僕みたいな若者が観たときに、なにか感じてくれたら良いなと。

――そうですね。

やっぱり頑張りたいなと思うし、楽しみたいなとも思いますね。

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

■大河ドラマ出演は、良かったことしかない。もっと出たいと思いました

――昨年はNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』に、徳川家康の嫡男、信康役でご出演でした。通説とは違う理知的で清廉な信康像がとても新鮮で印象に残りました。大河ドラマを経験されての今のお気持ちをお聞きしたいです。

もう、良かったことしかないと思います、自分の中で。大河ドラマにもっと出たいと思いましたし、大それたことを言うと、主役をいつか演りたいと思いました。もっと大それたことを言うと、紅白歌合戦の司会もやりたいなと思うぐらいです(笑)。そのくらい、どんどんそういう思いが膨らんだ作品だったので、出演できて、本当にこんなに幸運なことはないなと思いました。

――撮影期間はどのくらいだったのでしょう?

結構長かったですね。39話から45話だったので、3ヶ月くらいでした。

――日本の役者にとっては、一つの役を演じる機会としては長い期間ですね。

そうですね。週に1回とかの撮影ペースだったので、維持をするのが結構大変でしたね。

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

■信康はああいう人だと心から信じています。脚本に「有り難うございます」と

――3ヶ月の撮影期間の中で気持ちの変化はありましたか?

今回の森下佳子さんの脚本は、日本の自己犠牲の精神というか、その考え方をすごく描いていました。お父さん(家康)たちのために、自分(信康)が死ぬことによって、という思いが強かったりして。僕は、これまでにも戦争ものの舞台で演じてきたこともあって、どこかそういう考え方、日本の武士道、桜のような生き方というか、そのことについては、すごく考えてました。こういう風に生きた人たちが歴史を作ったんだろうな、というのは本当に思いましたし、それこそ歴史も後からいっぱい書き換えられているんだろうなと。僕は大河で信康を演じて、多分、信康はああいう人だろうなと心から信じていますし、森下さんの本にも本当に「有り難うございます」というか、本当にそれだけを信じて演っていました。(信康関連の)本を読んだり、岡崎城に行ったりもしたんですけど、その度に思いは強くなって膨らみました。もちろん大変なこともあったんですけど、楽しい時間でした。終わってみて、ああでもない、こうでもないっていうこともすごくいっぱい考えましたし、その後(46話~)の大河ドラマも観てきたし、『西郷どん』も今も観ていますけど、本当にいろんな思いが膨らんだ作品でしたね。

――素敵で豊かな時間だったのですね。是非ともいつか、大河ドラマ主演のお姿を拝見したいです!

楽しみにしていてください(笑)。そのときにこれがすごい記事になると思います!

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

■『誰もいない国』は、考えることを放棄しない、考えてみる楽しみがある作品

――最後に『誰もいない国』を楽しみにしていらっしゃるお客様へのメッセージをお願いします。

この作品に限ったことじゃないんですけど、皆さんが舞台を観たときに、どんなことを考えるのか? ということにすごく興味があって。「面白かった」、「面白くなかった」だけでも、もちろん良いと思うんですけど、「もしかしたら、こういう解釈出来るんじゃない?」とか、そういう考える作品が、いっぱい増えたら良いなと僕は思っているんです。新国立劇場の芸術監督が小川絵梨子さんに変わって、『誤解』、『誰もいない国』、『スカイライト』という作品がラインナップされた。「なんでこれをやったの?」と思う方もいらっしゃると思うんですけど、「じゃあ、なんでやったんだと思う?」という風に考える、そこで考えることを放棄しないで、考えてみるという楽しみ方が、平成も終わって、日本がどんどん変わっていく中で、今後、もしかしたら必要なものになっていくんじゃないかな、なんて思います。…偉そうになっちゃうんですけど、そういう見方をしたら面白いんじゃないかな、と思うし、多分この作品は、小川さんに芸術監督が変わって、今後新国立劇場の歴史がどんどん創られていく、その上で絶対に外せない重要な作品になるんじゃないかなとすごく思います。

――新国立劇場の歴史の上で外せない作品…。

「あのときのアレが!」という風に、語りたくなる作品になっていると思うので、是非見逃して欲しくない、という思いが強いです。

――ありがとうございました。

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

平埜生成さん=撮影・伊藤華織

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