湖月わたるの“婚活”が「ドキュメンタリー・ミュージカル」に、30周年公演 第1弾

湖月わたるさん=撮影・岩村美佳

湖月わたるさんが、舞台生活30周年を記念した2作品を連続上演します。VOL.1は、7月に東京・DDD青山クロスシアター、兵庫・宝塚バウホールにて、『ドキュメンタリー・ミュージカル わたるのいじらしい婚活』を、VOL.2は10月に東京・草月ホール、大阪・グランフロント大阪内ナレッジシアターにて、『Song & Dance』です。VOL.1について、湖月さん、脚本の竹村武司さん、作詞・演出の永野拓也さん(hicopro)が参加した取材会での合同インタビュー全文と写真をお届けいたします。湖月さん単独のアイデアニュース独自インタビューも、将来、掲載する予定にしていますので、お楽しみに。

湖月わたるさん=撮影・岩村美佳

湖月わたるさん=撮影・岩村美佳

湖月:昨夜のイチロー選手の会見の感動冷めやらぬなか、お越しいただきましてありがとうございます。イチロー選手は、実はオリックス時代から宝塚を観に来てくださっていまして、『エリザベート』を観に来てくださったときに、楽屋で一緒に撮らせていただいた写真を宝物のように持っております。本当に長い間、夢と感動をいただいて、会見のなかで、いろいろ語られるなかで、「ファンのみなさんが、いらっしゃったから、頑張ってこれた」というお話をしていました。私もおかげさまで、芸能生活30周年を迎えさせていただきます。本当に長い間、応援してくださった関係者の皆さま、そして作品を通して出会った方々、そして、なにより、こうしていつも温かくご支援くださいます、皆さまのおかげです。本当に、心より御礼申し上げます。いつも本当にありがとうございます。

今回、記念公演として、VOL1、VOL.2と、まったく異なるコンセプトでさせていただくという、大変幸せな機会をいただきました。私はいつも作品と向き合うときに、目標としているのは「挑戦」と「進化」です。VOL.1では、人気の放送作家の竹村武司さんが脚本、そして新進気鋭の演出家でいらっしゃいます永野拓也さんが作詞と演出、この2人が作り出すドキュメンタリー・ミュージカルです。私にとっては、未知の分野に飛びこませていただきます。湖月わたるとして、自分自身を演じるということで、役者としてなにかを掴みたいと思っております。共演者には、宝塚時代からとても縁があります朝海ひかるさん、そして今回初めてご一緒します廣瀬友祐さん、迫田孝也さん。本当に素晴らしい方々が参加してくださって、共演させていただけることになりました。この公演は、私にとって大きな挑戦になると思っております。

そして、VOL.2は私を応援してくださっています皆さま、お客様に心からの感謝の気持ちをこめて、なつかしい曲で歌い、踊ります。今年、先月まで『ベルサイユのばら45』という作品で14年ぶりにアンドレを演じさせていただいたり、今ちょうど2年半ぶり再演される『雪まろげ』という作品で、アンナ役を再び稽古しております。こうして、再び挑戦させていただくときに、私がいつも目標としているのは、今の自分にしかできない表現。そのときよりも、進化したパフォーマンスをお届けしたいということを、いつも心に思って取り組んでおります。このVOL.2はなつかしい曲とともに、今の私をお楽しみいただけたらと思っております。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、合同取材会の全文と写真7カットを掲載しています。湖月さん単独のアイデアニュース独自インタビューも、将来、掲載する予定にしていますので、お楽しみに。

<有料会員限定部分の小見出し>

■竹村:なにか違うことをやりたいんだろうなという心意気を感じました

■永野:ドキュメンタリーは、ある種、顕著にミュージカルとすごく離れている

■竹村:テレビ屋の悪いクセで、パンドラの箱を開けたがる習性がある

■湖月:私は才能をもった2人に身をゆだねて、お世話になる気持ち

■竹村:今、実際に婚活をやられていて。絶賛、婚活中です

■永野:あれだけチャーミングな人が、舞台上に立ったときに愛を叫びながら死ねる

■湖月:雨に濡れながら、ふと佇んでいると、自分の心に向きあえる

■永野:(音楽は)心情に寄り添ったような、ちゃんと情状的なものを作れたら

■湖月:(朝海ひかるさんと)新たな絆が二人の間にも生まれると思います

■湖月:(VOL.2は)コンサートなので、今の私をお届けしたい

≪湖月わたる舞台生活30周年記念公演≫

<VOL.1『ドキュメンタリー・ミュージカル わたるのいじらしい婚活』>
2019年1月から6月までの湖月さんの“婚活”を、ミュージカルとして上演。
出演:湖月わたる、朝海ひかる、廣瀬友祐、迫田孝也、飯野めぐみ、可知寛子、高橋卓士、宮島朋宏
【東京公演】2019年7月5日(金)~7月15日(月) DDD青山クロスシアター
【兵庫公演】2019年7月19日(金)~7月21日(日) 宝塚バウホール

<VOL.2『Song & Dance』>
ダンス、歌など、湖月さんの魅力満載のオリジナルショー。
出演:湖月わたる、スペシャルゲスト
【東京公演】2019年10月16日(水)~10月17日(木) 草月ホール
【大阪公演】2019年10月22日(火) グランフロント大阪北館4階 ナレッジシアター

<関連サイト>
湖月わたる舞台生活30周年記念公演公式サイト
https://www.umegei.com/wataru/
湖月わたる舞台生活30周年記念公演『Song & Dance』公演詳細
https://www.umegei.com/schedule/817/

<関連リンク>
湖月わたるオフィシャルウェブサイト
http://www.wataru-kozuki.jp/
湖月わたる公式FC AcrossTwitter
https://twitter.com/watarukozuki_fc

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湖月わたるさん(中央)、竹村武司さん(右)、永野拓也さん(左)=撮影・岩村美佳

湖月わたるさん(中央)、竹村武司さん(右)、永野拓也さん(左)=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■竹村:なにか違うことをやりたいんだろうなという心意気を感じました

湖月:この2つの作品は、私を応援してくださっている方には、私の挑戦している姿や進化していく姿、そして、湖月わたるをご存知ないという方には、「こんな面白い女優がいるんだな」と思っていただけるように、作品に真摯に向き合って、初日を迎えられるように頑張っていきますので、どうぞ皆さまのお力をお借りして、この30周年記念公演を盛りたてていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

竹村:今回、脚本を担当します竹村武司です。よろしくお願いいたします。普段は放送作家という肩書きで、バラエティ番組や情報番組、アニメの脚本など、結構テレビというフィールドの中で節操なくやらせていただいているのですが、正直、このお話を頂くまで宝塚を観たこともなく、舞台公演の曲も書いたことがなく、ましてやミュージカルもないので、初めての打ち合わせのときに「なんで、僕なんですか?」という質問を、心の中の声を含めたら100回くらいしています。

(一同笑)

竹村:実際、僕に白羽の矢を立ててくれた冒険心というか、なにか違うことをやりたいんだろうなという心意気みたいなものをひしひしと感じました。僕も比較的「ここではないどこか」みたいな作品に非常に興味があって、そういう作品を作り続けていきたいと思っていたので、ぜひやらせて頂きたいという気持ちで、ここに座っています。よろしくお願いします。

永野:ミュージカルの作詞と演出をやらせていただきます永野拓也と申します。よろしくお願いします。先ほど、竹村さんからもお話があったのですが、僕にこのお話が来たときも、同じことを思いました。「僕でいいんですか?」と(笑)。というのも、湖月さんの話や、いろいろな資料を拝見させていただいたときに、経歴や経験など、すでにいろいろなものをお持ちだったので、30周年の記念公演としたときに、過去を振り返るレビューやショーをやるのであれば、僕よりも確実に上手い人はいるだろうなと思ったんです。実際にお受けする前に、「湖月わたるさんと直接お会いできますか」とお願いをしました。話してすごく思ったのが、先ほども話があったと思いますが、僕が思っていたある種のスターというイメージとは、とてもいい意味で違っていて、非常にチャーミングだったんですよ(笑)。保守的でなかったというのが、ものすごくあって。ここから先の10年や、その先を見据えたときの新しいチャレンジのための僕なんだなと思ったんですね。だとすれば、「チャレンジしましょうか」という話を梅芸(梅田芸術劇場)さんとしました。竹村さんというお名前もあがりまして、実際に打ち合わせをしたときも「僕でいいんですか?」「うん、それ僕も思いました」って(笑)。でも、だからこそやれることというのは、なにか新しいものがあるのではないかと思います。きちんと怖がりながらチャレンジしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

湖月わたるさん(左)、竹村武司さん(右)=撮影・岩村美佳

湖月わたるさん(左)、竹村武司さん(右)=撮影・岩村美佳

■永野:ドキュメンタリーは、ある種、顕著にミュージカルとすごく離れている

――ドキュメンタリー・ミュージカルということですが、このテーマになった理由を教えてください。

永野:実際に湖月わたるさんが30周年を迎えるにあたり、宝塚トップスターを経験したうえでやってこられたことは、ものすごいと思うんですが、その実人生をある種の作品にしてみたいというオーダーがあったというのもあります。だとしたらミュージカルにするうえで、どうしていこうかと。チャレンジといっても、幅が広いですよね。その幅の広さの中で、僕自身が考えたときに、これは僕の個人的な独断と偏見ですが、ミュージカルは興行性が高いものだと思うんです。「そういうものが向いているとされている」と思っていますし、それは多分正しい。けれど、今ミュージカルを観る人、観ない人、いろいろいるかもしれませんが、もっと日本人として共感し合えること、(例えば恋愛で)人に振られたらものすごく悲しいし、すごく涙を流したくて救われたくなるような曲を聴きたくもなるし、僕はそういったテーマや作品の入口から入ったものが仮にあれば、ミュージカルとしてどこまで飛躍できるかという制約はあるのですが、もし成立したら面白いものになるんじゃないかと思ったんですよね。だとするなら、ドキュメンタリーというのは、ある種、顕著にミュージカルとすごく離れていると思いました。そこを成立するために努力することが、今後の道として意義があるのかなと思い、今回のチャレンジをお願いできませんかと言ったことが、ドキュメンタリー・ミュージカルになった理由ですね。

湖月わたるさん(右)、永野拓也さん(左)=撮影・岩村美佳

湖月わたるさん(右)、永野拓也さん(左)=撮影・岩村美佳

■竹村:テレビ屋の悪いクセで、パンドラの箱を開けたがる習性がある

――婚活にスポットを当てたのは?

竹村:理由は大きく2つありまして、ひとつめはテレビ屋の悪いクセで、パンドラの箱を開けたがる習性があるんですね。今回、湖月わたるさんでドキュメンタリーとなったときに、ドキュメンタリーってどうしても、その人が出ちゃうんですよ。いくらバリアしても出ちゃう。そうしたときに、何が出たら面白いか考えると、うっすら宝塚に漂う恋愛に関するタブー感。本当の「多分」じゃないですか。そこにテーマを置くことによって、今まで見たことがないものが見られるだろうなと思って。いい意味で、下世話な興味ですよね。そこをテーマにしたらいいんじゃないか、ドキュメンタリーの意味があるんじゃないかと思いました。ふたつめは、先ほど永野さんもおっしゃいましたが、湖月さんが本当にチャーミングな人なんですよね。

(一同笑)

竹村:穴という穴からチャーミングが溢れでているような(笑)。そして、僕が知るチャーミングな女性のなかで、一番が(背が)大きい人なんですね。

(一同笑)

竹村:チャーミングの残有量も多いんですよ。このチャーミングをどう引き出せたらいいのかなと思って、皆さんそうだと思うんですが、恋愛なさる女性ってチャーミングじゃないですか。それは男性もそうで、そのチャーミングさが一番引き出せるテーマなんじゃないかなと思うという、この2点ですね。下世話な興味と、いかにチャーミングを引き出すか。それに一番合ったのが恋愛、婚活でした。

■湖月:私は才能をもった2人に身をゆだねて、お世話になる気持ち

湖月:やはり最初はびっくりしましたし、戸惑い不安も、もちろんありましたが、竹村さんの作品の、山田孝之さんが出演されている『東京都北区赤羽』の中で、山田さんがおじさんにすごく怒られるシーンがあったんです。彼が本当に感極まるといいますか、彼自身が心の中にある、ぶつけたかったものが出たあの映像を見たときに、すごく胸が熱くなって一緒に涙が溢れました。ああいう作品を作られる竹村さんが、今の私を見て、私を題材にして、なにかを引き出そうと興味をもってくださったことが、すごくうれしかったです。

そして、その不安がっている私を、永野さんがとても丁寧に、根気よく、いろいろとお話してくださいました。永野さんの『作り話』という作品も拝見したんですが、目から見える出来事だけではない、目に見えない心の葛藤や戦い、喜びがすごくダイレクトに伝わってくる作品でした。その永野さんが「DDDという、200人くらいの密な空間で、嘘の芝居はバレてしまうから、本当に心が動くものでなければいけない。その中で、湖月わたるを演じることは、とても勇気がいることだと思います。でも、役者として、女優として、30周年を迎え進化したいと思っている湖月さんにとって、かならずやる価値のある作品だと思います」とお話してくださって。本当に今、さっき永野さんがおっしゃってくださった、これからの私にとても勇気をくれる。そして、お客様にも、これからの私を応援して、見守ってあげようと思っていただけるような作品になると、すごく確信をもっておっしゃってくださったので、私は才能をもった2人に身をゆだねて、お世話になる気持ちで、この作品に取り組もうと決心しました。

湖月わたるさん=撮影・岩村美佳

湖月わたるさん=撮影・岩村美佳

■竹村:今、実際に婚活をやられていて。絶賛、婚活中です

――今回、竹村さんが脚本をお書きになるということですが、ドキュメンタリーとして、どこまでが本当で、どこまでが虚構かというのは、どのくらいの塩梅で考えていらっしゃるんでしょうか?

竹村:それは、お楽しみとしか言えないですね。というか、全部本当です。あまり、そこのフェイクの比重をお話してしまうと、楽しみがなくなってしまうと思うので、基本は本気で、今、実際に婚活をやられていて。絶賛、婚活中です。

(一同笑)

竹村:実際に婚活をしながらなので、ある意味、撮影の最中なんですよね。進行中なんです。

――もしからしたら実る可能性も。

竹村:もちろん、ありますよね。

湖月:私は本当に不器用で、仕事に夢中でやってきて、その可能性がある公演に出会えるとは思ってもみなかったので(笑)。

竹村:この公演が、本当のゴールではない。

――千秋楽じゃないんですね。その先にあるんですね(笑)。

竹村:素敵なゴールがあるね。

――素敵なゴールが待っているかもしれません。

竹村:待ってないかもしれません(笑)。

(一同笑)

竹村:お楽しみに(笑)。これは本当にわからないので、内容がどうなるかが正直わからないところが、魅力なのかなと思います。

湖月:私が一番ハラハラ、ドキドキですよ(笑)。

■永野:あれだけチャーミングな人が、舞台上に立ったときに愛を叫びながら死ねる

――永野さんはミュージカルマニアで、大好きだと伺っていますが、湖月さんをミュージカルで、どのように引き立たせるか。まして、ドキュメントと並行して、融合させていくところで、その魅力を引き立たせるためにいかがでしょうか?

永野:僕は入り方が少し特殊で、先に湖月さんと直接お話をしたんですよね。そうしたら、ものすごくチャーミングだったんですよ。ところが、ベルばらを見に行くと、かっこいいんですよね(笑)。これは、やはり単純に人間としておもしろいなと思ったんです。というのも、あれだけチャーミングな人が、舞台上に立ったときに愛を叫びながら死ねる。それに対してお客さんが、あれだけ涙を流しているわけですよ。僕が、昔ミュージカルを見はじめたときに、宝塚も確かに見ているんですが、幕が閉まりはじめたら、みんなバッと立ち上がって走り出すんです。あのくらいの情熱を生むものって、僕にあったかなと、すごくそう考えたんです。今回、ドキュメンタリーとミュージカルは、2次元と3次元ですよね。本来、相性がいいかと問われたら、やはり遠いものだと思うんです。でも、この両面性ってあるじゃないですか。湖月さんのかっこいい姿も、ある種の虚構かもしれませんが、培ってきた技術のうえにあるもの。そして、とてもチャーミングで「そこに懸けよう」と思えるくらいのもの。この二面性を、ちゃんとドキュメンタリー・ミュージカルで、どこまで提示できるのかなと思って、チャレンジしています。

湖月わたるさん(中央)、竹村武司さん(右)、永野拓也さん(左)=撮影・岩村美佳

湖月わたるさん(中央)、竹村武司さん(右)、永野拓也さん(左)=撮影・岩村美佳

■湖月:雨に濡れながら、ふと佇んでいると、自分の心に向きあえる

――バウホールで上演するということにも、お気持ちがあると思いますが。

湖月:退団後に初めて立たせていただくので、宝塚の大劇場の近くにある劇場ですし、ふるさとに帰るような気持ちです。退団後、初めて帰る作品が30周年公演ですし、湖月わたるとして産声をあげた場所でもありますので、本当に、ただただ感謝の気持ちをお届けしたいです。また、それがこういうチャレンジの作品であるということも、いいかなと。私がチャレンジしている姿を関西の皆さまにも、お届けしたいなと思っています。

――先日、メインビジュアルの撮影をされたと思いますが、どんな雰囲気だったかなど、感想をお聞かせいただければ。

湖月:今回、お二人とも初めてお仕事をさせて頂くんですが、カメラマンの方も初めてご一緒しました。夜に撮影ということで、私が雨女ということになるんですが、雨が降る中、撮影していただいたんです。ポーズを撮るというよりは、物語の中に自分がいるという感じで、公園の中でも撮りました。メインビジュアルに使われている写真は道端に立っていたりするものなんですが、暗い雨の中、公園に佇んでいるところを撮影するのも、初めての経験でしたので、その自分の心をさらけ出す作品ということで、いいビジュアルの写真も撮れたのではないかと思います。

――スタジオではなく、外で。

湖月:外で雨を受けながら撮影しました。「雨は狙っても、撮れないよね」と。でも、私、雨に濡れるの結構好きなんですよ(笑)。

(一同笑)

湖月:雨に打たれるのが大好きなんですが、大人になると、雨の中、傘もささずに歩くことも、なかなかなくて。雨に濡れながら、ふと佇んでいると、自分の心に向きあえる気がします。

湖月わたるさん=撮影・岩村美佳

湖月わたるさん=撮影・岩村美佳

■永野:(音楽は)心情に寄り添ったような、ちゃんと情状的なものを作れたら

――ミュージカルといえば、音楽がかなめですが、音楽はどういう感じになるんでしょうか? 

永野:ジャンルに関して絞ろうというのは、今のところなくて、まさに製作の途中です。実際に湖月わたるさんをチャレンジしていく中で、紆余曲折あるじゃないですか。そこに、できるだけハマりたいなと思っているんですよね。バウホール、DDDは大きな劇場とはちがいますが、基本的には心情を伝えたいので、ものすごくエンタメにとばすよりは、心情に寄り添ったような、ちゃんと情状的なものを作れたらと思って音楽家と話しています。

――オリジナルで作っている?

永野:全曲オリジナルで、きちんと作りたいなと思っています。

――ポップス系など、いろいろあるんでしょうか?

永野:少なくとも、「ロックにまとめたい」というようなことはないです。なので、そこに関しても幅をきかせたいと思っています。湖月さんの二面性ということもそうですし、昔からのものをやはり入れたい。でも、それだけじゃない湖月さんということで、こういう曲をお願いしたいというのは、広く取りたいと思っています。

■湖月:(朝海ひかるさんと)新たな絆が二人の間にも生まれると思います

――共演者の方に関しても、お話をお願いします。

湖月:朝海ひかるさんは、本当にこの間の『ベルサイユのばら45』でも「ワタコムコンビ」といっていただくんですが、今回新たな作品で、私の相談相手や背中を押してくれたりと。

永野:基本的には、実生活の関係性というのを舞台上には入れたいです。ただ、これも、まさに今撮影中だから、それに沿って、やってもらうという形にはなります。そこも含めて、お楽しみということにしておきましょう(笑)。

湖月:新たな絆が二人の間にも生まれると思いますので、楽しみにしていただければと思います。

――廣瀬さんは?

永野:これこそ、「お楽しみに」ですよね(笑)。

(一同笑)

湖月:役どころは(笑)。

永野:願いとしては、そうなるかわからないので、ぜひお楽しみいただけるように、僕らは最終的にはしたいと思っていますが。

竹村:最終的に出ていないかもしれないですよ。

永野:そうしたら、もう「すみません」って謝るしかないですね(笑)。

湖月:現実世界の進行にもよるかな(笑)。私のがんばり次第ということですね。

竹村・永野:そうですね。

湖月:『ロミオ&ジュリエット』のティボルト役で出演されているのが印象的で、大胆な情熱の中にある繊細さがありますね。背も高いですし、いいですよね。

永野:(笑)。

湖月:迫田さんは三谷さんの作品によく出演されていますよね。

竹村:顔がタイプですよね。

湖月:顔がタイプ?

竹村:僕は三谷さんの作品が好きで、迫田さんが出演していた『桜の園』や『酒と涙とジキルとハイド』も見ているんですが、達者な役者さんなので、今回どうしたらいいのかなと思っているところです。

湖月:インタビューなどを見させていただくと、役者さんとしても素晴らしいんですが、人間的にとても素晴らしい雰囲気が伝わってくるので、助けていただこうと思っています。

――朝海さんとは、このお話はなさいましたか?

湖月:はい。撮影の方も始まっているので、すごく協力的にやってくれています。本当に私とコムちゃんの関係で撮影させていただいているので、そこは柔軟に対応していただいて、私たちの名コンビぶりを楽しみにしていただければと思います。

湖月わたるさん=撮影・岩村美佳

湖月わたるさん=撮影・岩村美佳

■湖月:(VOL.2は)コンサートなので、今の私をお届けしたい

――VOL.2では、30年間のうちの懐かしいものを、いろいろと拝見できるのでしょうか?

湖月:30年のうち、やはり18年間は宝塚で育てていただきましたので、もちろん宝塚時代の曲でも踊りたいと思っています。そして、退団後に出会った歌やショーの中からもそうですし、DANCE LEGENDという作品で、タンゴやフラメンコなど、いろいろなジャンルをさせていただきましたので、今、構成を考えているところですが、いろいろなものにチャレンジしたいですね。そのときとは、また違ったものをお見せしたいです。コンサートなので、今の私をお届けしたいと思っています。スペシャルなゲストの方にも来ていただこうと思っていますので。

――割と、直近で男役をもう一度経験されたことは、この流れにとっては貴重なことだったのでは?

湖月:『ベルサイユのばら』は、特別な作品だなというのを改めて感じました。45年という歴史もありますし、お客様の情熱や愛、客席がひとつになる感覚というのは、宝塚や『ベルサイユのばら』が本当に愛されて、とても素敵な世界にいさせていただいたんだなと、本当に感謝の気持ちしかありませんでした。その感謝の気持ちを、コンサートに込められたらと思います。

湖月わたるさん(中央)、竹村武司さん(右)、永野拓也さん(左)=撮影・岩村美佳

湖月わたるさん(中央)、竹村武司さん(右)、永野拓也さん(左)=撮影・岩村美佳

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