ミュージカル『エリザベート』が2019年6月7日(金)から8月26日(月)まで、東京・帝国劇場にて上演されます。エリザベート役を演じる花總まりさん、愛希れいかさん、トート役を演じる井上芳雄さん、古川雄大さん、4人が揃った合同取材会の全文と写真をお届けします。また、古川さん単独のアイデアニュース独自インタビューも、後日掲載する予定にしていますので、お楽しみに。
花總:皆さま、本日はお忙しい中ありがとうございます。エリザベート役をつとめさせていただきます花總まりです。今日は、最後までよろしくお願いいたします。
愛希:皆さま、本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。エリザベートをつとめさせていただきます愛希れいかです。精一杯つとめさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
井上:本日はどうもありがとうございます。3回目のトートをやらせてもらいます井上芳雄です。僕は初舞台が『エリザベート』のルドルフ役で、自分にとってふるさとのような、ホームのような作品なんですが、またメンバーも変わって新しい気持ちで。年号も変わりましたし、まだ少し違和感がありますが(笑)。新しい気持ちで、新しい『エリザベート』を作っていけたらいいなと思っています。よろしくお願いします。
古川:本日はありがとうございます。トート役をさせていただきます古川雄大です。僕は2012年にルドルフを演じさせていただいて、そのときから、このトートという役に憧れていました。ミュージカルをやっていく上で、死ぬまでにできたらいいなと思っていたんですが、まさかこんなに早くチャンスをいただけるなんて思っていなくて、正直びっくりしています。できる限りのことをやって、今までにないトートを演じられたらと思います。よろしくお願いいたします。
――新しいメンバーでの開幕となりますが、今の素直なお気持ちや意気込みなどをお聞かせください。
花總:自分の中では、まだ先のような感じがしていたんですが、今日こうして合同取材会をすることになって、いよいよ近づいてきたんだなというドキドキ感と、また新たなメンバーで『エリザベート』を作るので、すごくワクワクしています。
井上:「またやれる」というのが素直にうれしいです。昨今ミュージカルブームといわれて久しいですが、確かに色々な媒体でミュージカルを取り上げていただいたり、追い風が吹いているなという気はしています。そんな中、日本のミュージカル界にとって『エリザベート』は独自の進化を遂げている大切な演目だと思うので、きっとミュージカルが好きな方で、まだ『エリザベート』を観たことがないという方もいらっしゃるんじゃないかなと思います。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、合同取材インタビューの前半の全文と写真を掲載しています。4月23日(火)掲載予定の合同取材インタビュー「下」では、コンディションを整えるためにどのようなことをしているかや、歌が上手くなるには?などについての質問が出た合同取材インタビュー後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■愛希:「パパみたいになりたい」エリザベートの少女時代のすべてを表している曲
■井上:「死を描く」ということは、「どう生きたか」を描くことでもある
■古川:早くチャンスを頂けた。今はプレッシャーや不安の方が大きい
■花總:(愛希さんは)宝塚退団直後、やめたてホヤホヤの湯気が立っていた(笑)
■井上:毎回小池先生も試行錯誤をしながら、チャレンジしている人
■花總:「やっぱり小池先生だな」と思うところをつついてきます
<ミュージカル『エリザベート』>
【東京公演】2019年6月7日(金)~8月26日(月) 帝国劇場
公式サイト
https://www.tohostage.com/elisabeth/
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■愛希:「パパみたいになりたい」エリザベートの少女時代のすべてを表している曲
井上:本当に今までのファンの方にも楽しんでもらいたいですし、初めて『エリザベート』を観る方にも「これが俺たちの『エリザベート』なんだ」というのを、しっかりとお見せしないと、という責任感のような思いがあります。『レ・ミゼラブル』には負けていられないなと(笑)。別に競う必要はないんですが、本当に同じくらい日本を代表する演目になってきていると思うので、しっかり責任、矜持をもってやりたいなと思います。
愛希:今は緊張の気持ちが大きいですが、新しいことに挑戦できるという楽しみの気持ちと緊張が入り混じっております。
古川:今、芳雄さんがおっしゃったように、「日本を代表するミュージカル」だと僕も思っていて、僕も大好きな作品でもあります。また、この作品に参加できる喜びと、今回はトートということで、喜びだけでなく、緊張やプレッシャーで不安に襲われることもあるんですが、芳雄さんとWキャストをさせていただくということで、色々と勉強させていただきながら、楽しみながら稽古を経て、本番に向かっていけたらなと思っています。
――『エリザベート』には魅力的な楽曲がたくさんありますが、皆さんにとって好きな歌や、歌うのが楽しみだと思っている楽曲があれば、お聞かせください。
花總:『エリザベート』の歌は本当に全部大好きです。中でも第一幕の最初に「♪世界は~」という歌詞から始まって、亡霊たちが登場してくるシーンの曲が一番大好きで、あれを聴くと、出演者ながらゾゾゾッと鳥肌が立つくらい大好きです。あと、もう全部大好きです(笑)。
愛希:私も全部大好きなんですが、「パパみたいになりたい」という曲が、やはりエリザベートの少女時代のすべてを表している曲だなと思うので、とても難しい曲ですが、好きです。
井上:思い入れはいろいろな曲にあるんですが、トートとしては「最後のダンス」がソロの代表的なナンバーですし、エリザベート役の方を本当に振り回すというか。エリザベートは「やめて」とか「いやよ」というだけで(笑)、振り回させてもらって。僕、普段はできるだけ穏やかに、人に嫌われないように生きているんですが、トートで「最後のダンス」を歌っているときだけは、こんなに自分の中にSっ気があったかという。自分の中の暴力性というか攻撃性みたいなものを、出してもいいんだといわれるのは、本当にこの仕事をやっていてよかったなと思うので(笑)、今年も楽しみにしています。
古川:僕はトートでいうと、「最後のダンス」がトートに憧れた理由のひとつでもあるんです。すごく魅力的だなと思います。あと、精神病院のシーンが好きで、そのときの歌やメッセージ性がグッときます。
■井上:「死を描く」ということは、「どう生きたか」を描くことでもある
――花總さんと井上さんは、2015年、2016年に演じられて、また再び今回挑まれることで、「こういうところに力を入れたい」など、役づくりで心がけているところがあれば教えてください。愛希さんと古川さんは、今の時点で考えている役づくりに関することを教えてください。
花總:それは秘密です(笑)。自分の中では、ああしたい、こうしたいというのが、いろいろありますが、またそれは稽古中で変化していくかもしれませんし、本番が始まってからも、初日から千秋楽にかけて、どんどん変化していくかもしれないので、自分だけの楽しみと、目標として、今、秘密にしていただけたらいいなと思っています。
井上:僕もまだ、「これ」というものが言えないのですが、トートという役は「死」という概念なので、ある種とても哲学的なところも必要な役だなと前から思っていて。それは、簡単に答えがでるようなものではないですが、「死を描く」ということは、「どう生きたか」を描くことでもあるので、登場人物たちが苦しんだり、楽しんだりしながら、人生を生きていく様子がお客様に伝わる死神であればいいなと思います。その答えが今回でるのは難しいと思いますが、そのテーマに関しては、考えつづけて今年もやりたいと思っています。
愛希:私も「こうしよう、ああしよう」と想像ばかりが膨らんで、お稽古に入ってからでないとわからない部分がたくさんあるんですが、生きる意義をしっかり、がんばりたいと思っています。
古川:僕もまだ、ちょっとわかっていないんですが、観終わったあとに考えさせられる死でありたいと思っています。「死」は人によって、色々な形がありますし、同じ人でもそのときの感情や精神状態でいろいろなものに見えてくると思います。その人が生み出しているものなのか、対峙しているものなのか。自分で考えている内に分からなくなってきているのですが、いろいろな表情が見せられる、最後、観終わったときに「死って何なんだろう」と問いかけられるようなトートができればと思います。
■古川:早くチャンスを頂けた。今はプレッシャーや不安の方が大きい
――ニューキャストの愛希さんと古川さんに質問です。お二人ともニューキャストとはいえ、この作品には縁が深いと思いますが、今回の出演オファーを受けたときのお気持ちをお聞かせください。
愛希:この作品の大ファンでしたので、この作品に出演できることがすごくうれしかったのと、宝塚歌劇団に在団していたときに、演じさせていただきましたが、もう一度挑戦できるんだという気持ちです。すごく愛されている作品なので、責任があるなと思いました。
古川:僕は前回ルドルフ役で出演したとき、最後のカーテンコールで、「もうルドルフは卒業します」みたいなことを宣言したんです。しばらく『エリザベート』には出れないかなと思っていたんですが、こうしてお話をいただけて、割と早くチャンスを頂けたなという思いなので、すごくびっくりしている気持ちがあります。さっきも言いましたが、今はプレッシャーや不安の方が大きいですね。
■花總:(愛希さんは)宝塚退団直後、やめたてホヤホヤの湯気が立っていた(笑)
――エリザベートを演じられる花總さんと愛希さんにお伺いしたいのですが、今回同じエリザベート役を演じられるお二人の、お互いの第一印象をお聞かせください。
花總:ちょうど昨年『マリー・アントワネット』を観に来てくださって、そのときに「エリザベートでご一緒させていただきます」とご挨拶させていただきました。そのとき、宝塚を退団された直後くらいだったので、やめたてホヤホヤの湯気が立っている感じでした(笑)。私にはもう湯気がないので(笑)。
井上:あったら怖いですよ(笑)。
花總:それくらいフレッシュさをすごく感じましたね。すごかったよね、湯気が(笑)。「今の今まで燃えていました!」という感じの湯気があって、懐かしい感じがしました。
愛希:お会いしたときは本当に緊張していたので湯気が立っていたんだと思います(笑)。私の印象は宝塚時代の舞台をずっと拝見させていただいていたので、舞台のイメージが強くて、お姫様というイメージがどうしても強かったのですが、お会いしてとても気さくに話しかけてくださって、明るくて笑顔が素敵な方という印象です。
花總:お姫様みたいではなかった、ということですね(笑)。
愛希:いえいえ違います! お姫様みたいな感じだったんですが、すごく雲の上の存在だと思っていたので。そこで和気あいあいとさせていただけて、すごくうれしかったです。
■井上:毎回小池先生も試行錯誤をしながら、チャレンジしている人
――『エリザベート』といえば、小池修一郎先生の存在が大きいかと思いますが、こと『エリザベート』となると小池先生のここが違うなという話があれば教えてください。
井上:今日この席に小池先生がいらっしゃると思っていたので、今日はいい意味で一安心しています(笑)。それくらいにいらっしゃって当たり前というか。もちろんウィーンで生まれた作品ですが、こと日本の『エリザベート』に関しては、小池先生が作りあげてきたと言ってもいいくらいの作品だと思います。でも、ほかの作品と(小池先生が)すごく違うということはないと思います。東宝版は何年かに1回ずつ演出を変えるので、同じ作品をこんなに何パターンも演出している演出家はいないと思います。それに比べて、宝塚版は最初からほとんど変えずにやられていると思うので、そのすみわけを先生の中でもされているのだと思います。
今のバージョンは3回目になるので、初めて作りだすほどではないと思いますが、やはり今まで自分が作ってきたものを、また新しく生み出すのは大変なので、毎回小池先生も試行錯誤をしながら、エネルギーをもってやっていらっしゃるなという印象があります。『エリザベート』だから、ということではなく、毎回チャレンジしている人だという印象ですね。もちろん作品全体を知っているので、『エリザベート』の演出のときは見渡せている、先が見えているという感じはします。どんなに一生懸命に稽古場でやっていても、トートに関しては、舞台上でメイクと衣装をつけて、照明の中でやらないと最終的には完成しないというお話をされていて。(そのお話が)稽古中だったから分からなかったんですが、舞台上へ行ってみたら「確かに。なんて稽古場はやりづらかったんだ」と思いました。だから、稽古場ではやりたくない(笑)。稽古場でそれを見つけるのは難しいなと思いましたし、小池先生はそれを見据えた上で、演出してくださっているんだなと思います。
古川:僕もたくさん小池先生とご一緒させいていただいて、というか、ほぼ小池先生と一緒ですが、どの作品もすごく熱量をもって作ってくださっていると思います。新演出版、再演版になっても変わらず、追求していく姿勢は素晴らしく、素敵だなと思います。
花總:小池先生は、雨が降ろうが風が吹こうが、何があろうが小池先生です(笑)。どの作品でも、相手が誰でも、小池修一郎先生は。
■花總:「やっぱり小池先生だな」と思うところをつついてきます
井上:忘れられないエピソードとかありますか?
花總:たくさんあります。
井上:ほとんど言えないでしょうけど(笑)。
(一同笑)
花總:はい(笑)。皆さまもよくご存知だと思います。小池修一郎先生は、いつまでも変わらない、素晴らしい方ですよ。
井上:エネルギー量も落ちないですよね。
花總:ご本人は「もうダメだ」とおっしゃっていますが、教えを受ける私たちからしたら、「やっぱり小池先生だな」と思うところをつついてきます。
井上:ちょっと丸くなったかと思いきや、別の部分がすごく鋭かったり、油断出来ない方ですよね。
花總:そうですね。油断できない方ですね。
愛希:私も、皆さんと同じ思いなんですが。
井上:言っちゃった方がいいですよ。
花總:宝塚の生徒たちの前の小池先生と、ちょっと微妙に違うような印象を私は受けましたね。
井上:確かに、東宝の稽古場では宝塚のOGの方には厳しい印象があります。教え子だったということで。
花總:一番このお稽古中に、「あれ?」と思うことがあるのかも?
井上:こんなこと言ったら、愛希さんが稽古場に来るのが嫌になっちゃいますよ。
花總:ただ、その違いが一番分かるんじゃないですかね。
愛希:宝塚時代は、割とコテンパンに言われたので、どれくらい優しくなるのか。優しくなるんですか?
花總:違う、違う!
井上:違う! OGには厳しい!
(一同笑)
愛希:じゃあ、覚悟して。
井上:古川くんも、いろんな目に遭っているよね。いろんな目というと、なんだけども(笑)。
古川:小池先生の演出ではない作品に出ていても、楽屋に来て、胸からダメ出しノートを取り出して、ダメ出しをしてくださいます。それが正しいことをおっしゃってくださるので、悔しいです。愛がどこまでも深い方ですね。
井上:それくらい熱いということですよね。
古川:そうですね。