「“悪役を演りにいく”のではない」、舞台『銀河英雄伝説』藤原祐規インタビュー(上)

藤原祐規さん=撮影・NORI

田中芳樹さんの大ヒット小説を原作とする舞台『銀河英雄伝説 ~第二章 それぞれの星~』が、2019年5月30日(木) ~6月2日(日)に東京・Zepp DiverCity (TOKYO)、2019年6月8日(土) ~9日(日)に大阪・Zepp Namba(OSAKA)で上演されます。2013年に舞台版の前シリーズ『銀河英雄伝説 初陣 もうひとつの敵』では、銀河帝国軍のロイエンタールを演じた藤原祐規さんが、今回は銀河帝国軍人のオーベルシュタインとして参戦、新たな物語のページをめくります。藤原祐規さんに、作品についてお話を伺いました。

藤原祐規さん=撮影・NORI

藤原祐規さん=撮影・NORI

――2018年10月に上演された舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These』でも、藤原さんはオーベルシュタイン役で登場されましたが、その時は声だけのご出演でしたので、オーベルシュタインとして舞台に立たれるのは今作が初めてになりますね。藤原さんは、2013年の舞台版の前シリーズ『銀河英雄伝説 初陣 もうひとつの敵』では、同じ銀河帝国でも、ロイエンタール役でご出演されていましたが…。

もうそんな前ですか…。6年前に出させていただきました。

――観客側としては「お帰りなさい!」という感じです。『銀河英雄伝説 初陣 もうひとつの敵』も、演出は今作同様、大岩美智子さんでしたね。

そうです。大岩さんとは「銀英伝」の他にも、何度か一緒にやらせていただいているので、“信頼の大岩チーム” ということで。

――オーベルシュタイン役のお話がきたときのお気持ちはいかがでしたか?

“難敵” だな、と。前回、「初陣」に出させていただいたときに、アニメを見させていただいたり、原作を読んだりしたときに、やはりオーベルシュタインという役のクセだったりとか、やっぱりその、オーベルシュタインという人間の異質さというのは、感じていたところではあったので。あと、僕が前に演っていたロイエンタールと仲が悪いという設定だったので、ちょっと気にしていた役ではあったんです。だから、それを演るというときに、やっぱり最初に思ったのは “難敵” だなと。「さぁ、どうしてくれよう」という(笑)。

――オーベルシュタインを “難敵” と意識されたのは、以前演ったロイエンタールとしての認識でしょうか、それとも藤原さんご自身の認識でしょうか?

僕自身、ですね。

――ロイエンタールよりとっつきにくいな、という感じですか?

僕は前回の「初陣」でもロイエンタール役に苦戦したので、どっちがどうとかではないんです。帝国陣営みんなかもしれないですけど、やっぱり「帝国軍人」というだけで、ちょっと自分と剥離があるので、それが難しいところだと思います。

――剥離とは、たとえば「自由惑星同盟」と比べると、「銀河帝国」側の社会構造、日常が身近じゃない、というような?

そうですね。だからその中でもクセのある人間の説得力を持たすことへの、なんて言うんですかね、プレッシャーというか、不安とかは、やっぱり最初に聞かされたときはありましたね。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、『銀河英雄伝説 初陣 もうひとつの敵』『銀河英雄伝説 Die Neue These』の演出を担当している大岩美智子さんが『銀河英雄伝説』の芝居をどのように創っているかや、藤原さんが悪役とも言えるオーベルシュタインについてどう考えているか、ラインハルトを駒と思っているのか信頼しているのか、オーベルシュタインが飼っている犬に名前をつけるとしたら、などについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。5月30日(木)掲載予定のインタビュー「下」では、アイデアニュースのインタビューに登場いただいたこともあるキャゼルヌ役の米原幸佑さんや、ラインハルト役の永田聖一朗さん、キルヒアイス役の加藤将さん、ロイエンタール役の畠山遼さん、ミッターマイヤー役の釣本南さんら共演する皆さんについて伺ったお話など、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■(大岩美智子さんは)妥協しない “女グラディエーター”(笑)。本当に熱意のある方

■(オーベルシュタインは)自分の信じるもののために、一番の近道をずっと選んだ男

■ラインハルトをどう思っていくのかというのは、その場に任せようと思っています

■(犬に名前をつけるとしたら)かわいい名前が好きなので(笑)。絶対合わないですね

<舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These ~第二章 それぞれの星~』>
【東京公演】2019年5月30日(木)~6月2日(日) Zepp DiverCity(TOKYO)
【大阪公演】2019年6月8日(土)~6月9日(日) Zepp Namba(OSAKA)

<関連サイト>
舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These ~第二章 それぞれの星~』公式サイト
https://www.gineiden.jp/
舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These ~第二章 それぞれの星~』公式Twitter
https://twitter.com/gineiden_stage

<関連リンク>
藤原祐規 Twitter
https://twitter.com/fukey0424
藤原祐規 アミュレート
http://amuleto.jp/talents/FujiwaraYuki.html

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藤原祐規さん=撮影・NORI

藤原祐規さん=撮影・NORI

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■(大岩美智子さんは)妥協しない “女グラディエーター”(笑)。本当に熱意のある方

――一度経験した世界だけに、そこを乗り越えて「よし、オーベルシュタインを演ろう!」と思われた決め手は?

やっぱり、舞台『銀河英雄伝説』の「初陣」をやったときに、大岩美智子さんの演出、大岩さんの熱意みたいなものをすごく感じて。それは、ロイエンタールを演っていた僕にとって、すごく重圧であったりもしたんですけど、いまでもやっぱり「初陣」の評価はすごく高くて。でもそのときは、お客さまに “こう演ったら響くだろう” とかは、本当にその点に関しては大岩さん任せだったので、だからきっと大岩さんを満足させることができたら、お客さまにも満足してもらえるんじゃないか? という信頼は強いんです。大岩さんがやるならきっと失敗はないだろう、だからこそ全力でぶつかって行ける人だなと。あと、キャストもおっさん連中が(笑)、信頼できるおじさんたちが入っていて、知り合いも結構出ているし、良いカンパニーの空気が見えたというのはありますね。

――藤原さんにとって、大岩さんはどんな演出家でしょう?

妥協しない “女グラディエーター”(笑)。コレ怒られるようだったら、ちょっと変えて欲しいですけど(笑)。でも本当に体当たりで芝居を創られる方で、自分の睡眠時間削ってでも演出プランを考えたりとか、とにかく全身全霊で演劇づくりをされているという印象で、だから『銀河英雄伝説』以外の舞台でご一緒したときも、とにかく妥協がない。自分の疑問点みたいなものは、とにかく稽古で洗っていくというスタイルなんです。語弊があるかもしれないですけど、こういう需要がはっきりしている舞台って、お客さまの需要にちゃんと供給さえしていれば、思いっきり突っ込まない演出家さんもいると思うんですよ。それは別に悪いことではなくて。

――そういう形もありますね。

はい。商業演劇として全く正解だと思うんですけど、大岩さんはそうじゃなくて、なにかとにかくこう、お芝居として「今のは何故それを言ったのかわからない」とかも、すごく基本的なことを詰めていかれるから。

――「その動きと台詞はどういう気持ちでやったの?」というところを、ちゃんと求められるんですね。

そうです。それが帝国軍人の固有名詞の多い難しい台詞であれ、それを追求されるからこっちも大変で、もうぶつかり合い! みたいな感じですね。体当たりで両方いく! みたいな。だから、本当に妥協しない、熱意のある方だなという印象ですね。

――そうなんですね! 観客的には見応えのある芝居を堪能できる楽しみがありますが、少人数ならまだしも、この大所帯のカンパニーで、そこを実現されるのはとてつもない大仕事ですね。

そうなんですよ!(芝居が)成立してりゃあ、もうそこで言うのをやめちゃう人もいると思うんですけどね。

藤原祐規さん=撮影・NORI

藤原祐規さん=撮影・NORI

■(オーベルシュタインは)自分の信じるもののために、一番の近道をずっと選んだ男

――オーベルシュタインに向き合ってみていかがですか?

もう本当に試行錯誤している段階で、本当にコレ! というのは、まだまだだなと思っているんです。今回の舞台『銀河英雄伝説 ~第二章 それぞれの星~』では、そんなにオーベルシュタインが出てくるわけではないので、その多くはない出番の中で、どうオーベルシュタイン像を残していくかというのは、やっぱり考えているところです。台本から受け取れるところは限られているので、原作をまず読むことと…、えー、貴水博之さん(舞台版前シーズンのオーベルシュタイン役)は良い意味で意識しないようにはしております、ハイ。で、アニメの方は、石黒版(1988年~2000年)は見ました。

――“銀河声優伝説” と謳われた、あの石黒監督版ですか!

はい(笑)。大岩さんから石黒版を貸していただいて、その中から拾えるものを、ちょっと拾っていこうとなったときに、やっぱり(オーベルシュタインが)何を考えているかわからない、であったりとか、みなさんすごく声を特徴的に創られるなぁというところであったりとか、あとは、根幹にしている目的みたいなものが、常人ならばやっぱり躊躇するような手段でも、近道であればそれをチョイスするところだなと思うので、そこを体現できたらいいなと思います。「1個も間違ったことはしていないんだ」ということを、それを最終的にオーベルシュタインを通して言えたらと。オーベルシュタインは信じたことをやっただけで、自分の信じるもののために、一番の近道をずっと選んだ男だった、という風にできたらいいのかなと思いますけど、なかなか難しいですね(笑)。

――オーベルシュタインを好いたことはないが、結局奴の言うことをきいてきた、みたいな台詞をラインハルトが言っていましたね。いまお話いただいた「1個も間違ったことはしていない」というので、その台詞を思い出しました。

そうですね。だから正論なんだと思うんですよね、彼の言っていることって。それがモラルとかじゃなくて、自分の目的のものに対して、自分の理想とするものに対して一番の近道。それを実現するためなら、別に自分が悪役になっても構わないし、ただただその目的を目指して。でも、しゃべり方とかその風情で、ともすれば悪役にも見えると思うんですけど、悪役を演りに行くんじゃなくて、近道を選んだ結果、悪役に見える方向でいたいなとは思っております。

――観たいです!「藤原オーベルシュタイン、はよ!」という感じです!(笑)。

本当にまだまだなんですけど(笑)。そっちに行きたいなと思っております。

――彼としては、至極当たり前のことを、普通にやっているだけだけれども…。

周りからの声はべつに気にせずに、ただ、それだけをやっているっていう風に演れたらいいなと思います。お客さまから観たら、もう本当に微細な違いだと思うんですけど、僕の中では悪役を演りにいくのではなく、嫌われにいくのではなくて、信じるものがあった結果、怪しく見えるとか、悪役に見えるという方向になればいいなーって、いまは思っています。

藤原祐規さん=撮影・NORI

藤原祐規さん=撮影・NORI

■ラインハルトをどう思っていくのかというのは、その場に任せようと思っています

――オーベルシュタインは、ゴールデンバウム王朝を打倒するために、自分が主導で動くのではなく、ラインハルトを擁立します。それは、ラインハルトを自らの駒として扱っているのか、それとも本当に主君として信頼しているからなのか、藤原オーベルシュタインとしてはどちらなのでしょう?

ちょうどこの「それぞれの星」が、(ローエングラム陣営の)仲間になったところで終わるので、いま明確な答えというのは、これから僕自身がどう思っていくのか、なのかなと思っているんですけど、そうですね…。自分の大嫌いな腐りきったゴールデンバウム王朝の中で、ラインハルトはやっぱり異端児であり、突出した才能を持っていて、なおかつ、ゴールデンバウム王朝にきっと憎悪を抱いている、実行力もある、決断力もある。行動力もある天才という意味では、ある種、やっぱコイツしか居ないという思いを持って、ラインハルトに謁見しに行っていると思うので、それがいま駒と思っているのか、信頼しているのか、信頼はまだ早いと思うんですけど、もし今後、嬉しいことにこのシリーズが続いて、そのときラインハルトをどう思っていくのかというのは、その場に任せようと思っています。だから「コイツは利用した方がいい」って思うのか、「やはりこの人に覇権を取ってもらいたい」と思うのかは、“永田聖一朗のラインハルトをオレがどう思ったか” で決めたいと思います!(笑)。

――実際に舞台に立たれて、永田さん演じるラインハルトに相対したときに、どんな感情が生まれるか? ですね。

そうです。もちろん僕のオーベルシュタインもまだまだで、それをこう、回を重ねるごとに自分なりのオーベルシュタイン像みたいなものは、ちゃんと確立した上で、ラインハルトを見たときにどう思うのか? で、決められたらいいなーって思ってます。

――なるほど! 回を重ねた後に、またインタビューで、そこのところを是非おききしたいです(笑)。

あ~そうですねー。よろしくお願いします!(笑)。そのとき僕がどう思っているか。「以前こんなこと言われてましたよ」って言ってください(笑)。

――是非ともお願いします!(笑)。

藤原祐規さん=撮影・NORI

藤原祐規さん=撮影・NORI

■(犬に名前をつけるとしたら)かわいい名前が好きなので(笑)。絶対合わないですね

――ところで、オーベルシュタインのちょっと意外な一面を垣間見ることができるエピソードに、彼が飼っている犬の存在があるかなと。

あの老犬の。

――はい、ダルメシアンですけど、名前がないんですね。もし、藤原さんが名前をつけるとすれば?(笑)。

僕なんかがつけたら最悪たたかれますよ!(笑)。

――藤原さん発信の追加設定いってみましょう!(笑)。

いやー、ちょっと待ってください。それは恐れ多いですよ(笑)。あ、でも、もし、名前つけるとしたら、僕かわいい名前が好きなので(笑)。絶対合わないですね。ダルメシアン…何色なんだろう。

――白メインの黒ブチですね。短毛のシュッとした感じで『101匹わんちゃん』みたいな。

肉ついてないのか…。白いモノ…「大福」?

――え?!(笑)。

でも、痩せてるんですもんね。あ、「お餅」とかつけちゃうと思うんで、たぶん僕、向いてない(笑)。「お餅」とか「うどん」とか。そういう、ユルい名前とかをつけたがっちゃうから(笑)。

――なぜかそこは食べ物つながりなんですね(笑)。どことなく “喜多さん” (『おん・すてーじ真夜中の弥次さん喜多さん』2016年~2018年)をほうふつとさせるネーミング、有り難うございました!(笑)。

藤原祐規さん=撮影・NORI

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“「“悪役を演りにいく”のではない」、舞台『銀河英雄伝説』藤原祐規インタビュー(上)” への 3 件のフィードバック

  1. リン より:

    藤原さんのお芝居も銀英伝も大好きなので、こうして上下のインタビューを読むことができてとても嬉しいです!
    一度観劇するまで読むのを我慢していたのですが、拝読してから観劇した時に面白さが何倍にも感じました。
    内容バレになってしまうため詳しくは書けないのですが、記事が本当に面白かったです。舞台が終わっても、何度も読んで舞台のことを思い出しています。
    気を張らず、楽しそうな会話に読んでいてほっこりしました。充実のインタビューをありがとうございました。
    お写真もとても格好良くて素敵なので、またカメラマンさんのお写真を拝見してみたいです。
    記事にあったあの質問の答えをとっても知りたいので、次の銀英伝でもまたこちらの記者さんとの対談を拝読してみたいなと思います。期待しております!

  2. まい より:

    上下に渡り、読みごたえのある記事と素敵なお写真をありがとうございました。
    東京公演を観た後に読むと、舞台に立つオーベルシュタインの姿が思い浮かび、役柄や作品に対する思いや向き合い方が知ることができ、とても嬉しいです。
    大阪での公演がより楽しみになりました。
    ありがとうございました。

  3. kumi より:

    「初陣もうひとつの敵」しか見た事ありませんが、その頃を思い出しながら読ませていただきました。ロイエンタールだった藤原さんがどんな気持ちで今回オーベルシュタインに挑むのか、深く掘り下げて頂き、更に公演が楽しみになりました。藤原さんの真面目さとお茶目さが感じられる素敵な記事でした。ありがとうございます。

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