ミュージカル『ボクが死んだ日はハレ』が2019年10月2日(水)から8日(火)まで赤坂RED/THEATERで上演されます。2017年に初演された作品で、当時この作品でデビューした百名ヒロキさんに、アイデアニュースに初登場していただきました。9月初めの稽古場を訪ね、初演から2年経って取り組む同じ作品、同じ役への思いなどを伺いました。『ボクが死んだ日はハレ』は、脚本・作詞・演出を石丸さち子さんが担当されるオリジナルミュージカルで、息子を亡くした母親を中心に描かれる喪失と再生の物語です。
――ちょうど2年前にこの作品の取材で初めてご登場いただきました。
アイデアニュースさんで“百名ヒロキ初インタビュー”をしていただきました。
――そうでしたね。再演になりますが、初めて観る方もいらっしゃると思いますので、どんな作品かお聞かせください。
まず、ミュージカル(笑)。突然歌い出します。これはウエテツ(上野哲也)さんが言う台詞なんです。タイトルから「どういうこと?」と思って、重く感じるかもしれませんが、あまり身構えずに観ていただきたいです。何十年後にも受け継がれていく作品になるんじゃないかと思います。だから、今回のキャストで観られるのは今回限りと思っていただいて、ぜひ多くの方に観に来ていただきたいです。
――思いのほかカラフルでしたよね。作品のテーマは重かったですが、ビビットな印象があるというか。
そうですね。濃いですね(笑)。みんな違う濃さがありますね。石丸さんがいろいろ要求してくださるので、みんなの個性を出しつつも、新たな一面を観られる作品になると思います。だから、ビビットに見えるんですかね。
――そうかもしれないですね。
作品自体は本当に、誰もが感じたことがある感情が散りばめられていますし、自分の身内の死は当事者にしかわかりませんが、身近な人がもし死んでしまったらと考えたら、絶対にわかる作品だと思うので、それをどこまで僕たちが届けられるかなと。演じる僕たち次第なので、フィクションの世界ですが、どこまでリアルにやれるかを、いま稽古でやっています。ボクが死んだ日はハレ、最後にはこのタイトルの意味がよくわかると思います。
――稽古がはじまって1週間とのことですが、再びこの作品に取り組まれていかがですか?
懐かしいですし、初心にかえった気がします。稽古場もまったく同じ場所なんです。初演とちがうのは、作品の大元は出来ているので、そこからどこまでブラッシュアップして変化できるか。石丸さんもずっとおっしゃっています。だから、2年の成長をどれだけ出せるか、最初はとても緊張しました。石丸さんに、稽古がはじまる前に「楽しみにしてるわよ」と言われたので(笑)。
※アイデアニュース有料会員(月額450円)限定部分には、2年経っての自分自身の変化や、稽古の具体的な様子、「この作品が初めての再演作でよかった」という思いの理由などについて語ってくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。10月2日(水)掲載予定のインタビュー「下」では、母親役の浦嶋りんこさんとの絆や、ご自身のお母様についての思い、デビューから2年経っての思いなどを伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■2年経って、ダメージを受けている暇もない、精神的にも成長したんだなと
■それぞれが一瞬のシーン、こんなに成長したり、危うかったり、振れ幅が大きかったんだっけ
■純度のようなものがなくなったらもったいない、以前の自分に嫉妬しつつ、失わずに大人になれたら
■作品の独特な雰囲気とパワー、人の生死がテーマなので生半可な気持ちでやると全然伝わらない
<『ボクが死んだ日はハレ』>
【東京公演】2019年10月2日(水)~10月8日(日) 赤坂RED/THEATER
公式サイト
https://polypho.wixsite.com/bokuhare
<関連リンク>
Musical「ボクが死んだ日はハレ」公演詳細ページ
https://junction99.com/?p=1516
百名ヒロキ|VOICE OF JAPAN
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- 2019年以前の有料会員登録のきっかけ 2020年8月18日
- 「2年間。怒涛でしたが、全部が糧になりました」、百名ヒロキインタビュー(下) 2019年10月2日
- 「危うさがほしいと言われ」、『ボクが死んだ日はハレ』百名ヒロキインタビュー(上) 2019年10月1日
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※百名ヒロキさんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは11月1日(金)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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■2年経って、ダメージを受けている暇もない、精神的にも成長したんだなと
――キャストは会田すみ絵役の彩吹真央さんと、三田村歌織役の綿引さやかさんが新しく入られましたが、そういう新しさもありますか?
新鮮ですね。やはり石丸さんもおっしゃっていましたが、台詞にはあて書きみたいなところもあったので、役者が変わって少し台詞を変えたら、全部また変わってしまって、だったら「もっと変えよう」と。その結果、結構キャラクターが変わりましたね。
――新キャストのおふたりのキャラクターが変わった?
初演と比べると、変わっています。
――そのふたりと関わっていく百名さんの役にも影響はありますよね?
僕にもあります。そこをどうしていくのか。一度、綿引さんとのシーンだけで、丸1日エチュードをしたんです。そこで「台詞をこう変えられるね」とか発見がありましたが、そういうことも懐かしいなと思いました。全然1ページも進まない稽古で、一文字やったら「だめ! 全然違う!」と言われて。
――稽古していて自分でも成長したと感じますか?
感じます。以前は一言、一言、言われるたびにダメージを感じていたんですが、2年経って、自分でも気づいたんですが、そんなダメージを受けている暇もないんです。こんなものはいらなかったんだなと気づいて、精神的にも成長したんだなと。「1個1個落ち込まなくなったね」と石丸さんにも言われました。
――なるほど。演じる上だけではなく、そういうところにまで、2年分の成長があったんですね。
そうですね。逆に、石丸さんに「しっかり発声ができるようになってしまっているから、前の全力でがんばっているときの危うさがほしいな」と言われました。6歳のときの場面など、「もっとかわいい感じがいいな。大人になっちゃったな」と言われて、「はい!」しか言えないんです。
――逆に、今度はその危うさを出さないといけない。
そうなんです。そうしたら、ひーさん(小野妃香里)が「子どもは大人の真似は出来ないけど、大人は子どものモノマネ出来るでしょ?」と言われて、「ごもっともです。けど……」ってなりました(笑)。
――初演とは違う大変さがあるんですね。
でも、この1週間が濃密なので、とても楽しいですね。毎日どれだけ疲れを残さないかが勝負だなと思っています。おととしは、稽古の最後辺りにはみんな疲れ切っていました。僕が一番疲れ切っていたんですが、本番が一番ボロボロになっていたので、今回は初日からどれだけメンテナンスをできるか。管理能力は、以前よりも敏感になっていると思うので、毎日22時に寝ることが目標ですね。
――そういうところも大人になった?
いろいろな面で(笑)。
――他に、石丸さんに言われていることはありますか?
石丸さんは演出するからには、普段と同じは嫌だという方なんです。今も「それ観た。2年経って、よくいる俳優になっちゃったね。つまんないよ」と言われるので、ショックを受けています(笑)。「変なの覚えてきたね」って(笑)。
■それぞれが一瞬のシーン、こんなに成長したり、危うかったり、振れ幅が大きかったんだっけ
――作品を作るうえで、いま皆さんでどんなお話をしながら構築していますか? 稽古の具体的な様子はいかがでしょうか。
最初に石丸さんから、「三田村歌織はこんな感じだから、ひかるはこうで……」と稽古しながら役の説明がはじまるんですが、どこから出てくるんだろうと思うくらい長文の説明をされるんです。他の人の役を説明をしているときに、「すごいな」って見ています。メモを見て話しているわけでもないので、石丸さんの中にあるんだと思って。
――前回は、それはなかったんですか?
前回は自分のことで精一杯だったので(笑)。
――じっくり聞いている余裕がなかった?
圧倒されて、パニックになって、てんやわんやで……とりあえず、がむしゃらにやっていました。今回冷静になってみてみたら、ひとりひとりのキャラクターについて、こんなに説明できるのは、すごいことなんだなと。この台詞は、そういう意味だったんだと、同じ台詞なのに、いまさらわかったりするので、こんな緻密な計算があったんだと気づけたことで、やっとスタートラインに立てたのかもしれないと思います。
――ひかる役について、新たに感じたことなどはありますか?
ひかるを一コマずつ演じるんですが、それぞれが一瞬のシーンですが、こんなに成長したり、危うかったり、振れ幅が大きかったんだっけと思いました。僕の回想シーンには無駄がなくて、ポンポンとやってくるので。
――ある意味、人生のスポット、スポットをみせている感じですよね。
そのシーンが終わったあとに、初演ではどう感じるか考えなかったんですが、お母さんが去ったあとに「また、これかよ」と感じました。いまの自分を知っている自分になったときの感情を考えてみて、台本に書かれていないことを感じてみると、こんなに苦しいんだと思いました。それで、ひかるがこの状況を変えたいと思ったことと、他の4人が助けてあげたいという思いが重なって、喋れるようになったんだなと。
■純度のようなものがなくなったらもったいない、以前の自分に嫉妬しつつ、失わずに大人になれたら
――前回は、勢いみたいな感じだったということですか?
そうですね。初演の時は、そこまですら考えられていなかったのかなと思います。たまたま、歌織さんがひかるのことを見れるようになったから、「え?」みたいな感じで、僕がそこに飛び乗った感じだったんですが。
――生きている皆さんと、死んでいるひかるが一緒にいるところで、歌織がひかるのことを見えるようになる場面ですね。
以前の自分はこんなに考えていなかったのかと、いまだから気づけました。前回は前回で、全力を出していたからいいんですが、それが一番違いますね。
――ひかるとして生きることが精一杯だった初演から、いまは作品の構造やみんながどう構築しているのかなど、いろいろなことが見えてきているという感じでしょうか。
そうですね。ただ、そこに気持ちをもっていかれて、以前の純度のようなものがなくなったら、もったいないなと思います。前回の動画を見ても、「これはいまの自分にはできないけど、なんかいいな」というものは確かにあるんですよ。以前の自分に嫉妬しつつ、そこも失わずに大人になれたらいいなと思います。
――大人になれたらいい?
大人の演技もできて、そうしたら成長できるんじゃないかと。1個しかできなかったら、結局前と変わらないので。今回の舞台を通して、また成長したいです。
――逆にいうと、子供時代の純度を呼び起こせないと、ひかるくんが大人になってしまいますもんね。
そうなんです。大人になっているところは、「前よりもよくなっている」と言われたんです。ただ、「子どもがなぁ……」って(笑)。「声は大人っぽくなったけど」って。
――じゃあ、いまの課題は子ども時代のひかるくん。
はい。
■作品の独特な雰囲気とパワー、人の生死がテーマなので生半可な気持ちでやると全然伝わらない
――いま、石丸さんやキャストの皆さんと作っているなかで、難しさを感じているということでしたが、作品のテーマや構造は変わらないところですよね。作品に対する魅力や作品の自分に響くものなどは、2年経つと変化があるのかなと思うのですが、いかがでしょうか?
作品の独特な雰囲気とパワーは、絶対にこの作品にあると思っているんです。だからこそ、再演できたんだと思いますし、人の生死がテーマなので生半可な気持ちでやると全然伝わらないと思います。だからこそ、稽古の1日1日を本気でやらないといけないので、へとへとになって帰っているんです。みんな終わった瞬間に、「お疲れさまでしたー」って。
――寡黙に帰るという感じ?
明日について考えて(笑)。
――新しく加わったおふたりとは、どんな話をされていますか?
話をする暇もないですね。
――余力がない?
彩吹さんも綿引さんも初日の音合わせなどが終わって、3日目くらいに台本読みをしたんですが、そのあとに「ずっと前からいる感じ」とおっしゃっていました(笑)。ご飯にも1回もみんなと行ってないんですが、そこまでのめり込まないと稽古も成り立たないし、本番に向けて進まないんだなと思って。前はお客さんの反応がわからないまま、稽古していたんですが、今は「やっていることが、こんなにお客さんに伝わるんだ」と思っています。今回は、それをどこまでできるのか。前回やったときに、「ここは、こんな風に感じてもらえる」というポイントがわかっているので、そこにたどり着くために演じてしまうと、「違うな」とみんなが感じてしまうかもしれないので。
――計算になってしまうと、ということですね。
そう思います。1個1個やらなければいけないことは、ありますが、どれだけ遠回りして、いまできるかを大回りしながら稽古をしています。この作品はナイーブなのに、笑えるし、僕の人生にとっても分岐点になった作品です。作品のパワーは生でないと感じられないじゃないですか。10回しか観てもらえない。観てもらえる人は限られますが、なにか感じてもらえたらと思います。
――百名さんは再演作品に出演するのが初めてですか?
同じ作品をまたやるのは初めてですね。
――再演することはいかがですか?
だからこそ、この作品が初めての再演作でよかったなと思います。
――それはなぜ?
再演だとなぞるみたいなものが、どこかしらにあるんですが、なぞれない。
――なるほど。なぞっただけでは、成立しない?
今後、再演作に出演することがあるときに、自分にとっても基準になると思います。ちゃんと1ヶ月以上稽古もありますし、まったく違う作品だと思ってやっているので。それと、もし自分が再演メンバーではなくて、新しく入ってきたときに、なにか嫌じゃないですか。「前こんな感じだったから、これでよろしく」と言われたら、「知らないし」となると思うので、そういうことは絶対にしたくないと思っていたんです。今、そんな雰囲気はないですね。
※百名ヒロキさんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは11月1日(金)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
初演、再演と観劇させていただき、初演時の「危うさ」を再演では確かにあまり感じなくなりましたが、私はそれを「成長」だと感じていました。
きっとまた再演しても、みんな全く同じ演技はできなくて、だから舞台って素晴らしいんだなと思います。
何度観ても心に響く素敵な作品でした。またぜひ再演を希望しております。
いつも百名くんの記事をありがとうございます。今後も楽しみにしております。
ボクハレを観劇した後で読む記事は新しい発見があってまたボクハレを観たくなりました!
いつも百名ヒロキくんを取り上げてくださってありがとうございます。
いつもヒロキくんを取り上げて頂きありがとうございます。岩村さんのヒロキくんへの質問は私が聞きたいことも多くて嬉しいです。
2年前のひかるは初々しく無邪気だったイメージがあります。再演の今回はまだ観ていないためその変化はわかりませんがインタビューを読んでどんなひかると出会えるのか楽しみです。
今後も百名ヒロキくんの挑戦する道のインタビューを岩村さんにしてもらえると嬉しいです。楽しみにしています。
ボクハレについて語るヒロキくんの言葉が聞けてとても嬉しいです!2年経った精神的、技術的な成長と裏腹に、危うさとかフレッシュさがなくなっている葛藤があったんだなぁ…と。昨日初日観劇しましたが、ちゃんとありましたよ、危うさ、フレッシュさ!完全に「佐藤ひかる」でした!また大好きで大切なひかるくんに会えて、幸せです。
ボクハレ。前回は見に行くことが出来なかったので、今回再演して頂き本当に嬉しいです。そして、いつも百名ヒロキくんの企画をありがとうございます。
初演のあの日観た光景も感情もすべて、一生忘れないと思います。わたしにとっても大切な大切な物語です。
あれからたくさんの舞台に立ち、あらゆる役を演じてきた百名くんが、あの初演からどんな風に変わったか、また、キャストが変わったこのストーリーがどんな変化をもたらすか、楽しみで仕方ありません。
明日の初日を楽しみにしています。