革命と友情と愛をドラマチックに描く、宝塚『チェ・ゲバラ』大阪公演開幕

宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『チェ・ゲバラ』より=撮影・橋本正人

宝塚歌劇月組のミュージカル『チェ・ゲバラ』梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演が2019年8月11日(日)に開幕し、8月19日(月)まで上演中です。「祖国か、死か!」──民族や国家を超えて、世界革命を追い求めた孤高の革命家、エルネスト・ゲバラを中心に、フィデル・カストロとの友情、アレイダとの愛、革命仲間たちとの心のふれあいと軋轢をドラマチックに描いた歴史ミュージカルです。開幕前日に行われた公開舞台稽古を取材・撮影しましたので、ご紹介します。

宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『チェ・ゲバラ』より=撮影・橋本正人

宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『チェ・ゲバラ』より=撮影・橋本正人

1950年代、南米諸国の民衆は強国の犠牲となり、アメリカ資本による半植民地化支配のもとで貧困に喘ぎ苦しんでいました。そのような中、アルゼンチンの裕福な家に生まれ医者となったエルネスト・ゲバラ(通称チェ・ゲバラ)。飢えに苦しむ人々の姿を見るにつけ、自分が成すべきことは他にあるのではないかと苦悩します。キューバでも、アメリカ・マフィアと繋がり私腹を肥やす大統領フルヘンシオ・バティスタによる独裁政権に国民の怒りは募っており、そのバティスタ政権を倒そうとクーデターを起こしたものの失敗し、仲間たちとメキシコへ亡命してきていた弁護士フィデル・カストロ。そしてエルネストは、反バティスタ政権の地下活動グループに参加する怖いもの知らずの美しい学生、アレイダ・マルチと出会います……。

エルネスト・ゲバラ役は専科の轟悠(とどろき・ゆう)さんが演じます。轟さんは今年、舞台生活35年を迎えていますが、年々若々しく感じる男役さんです。今回のお芝居はグリーンの軍服に髭面。長銃を持って反政府軍が踊るシーンでは、1番身のこなしが素敵で色っぽく、男っぽく見えました。

フィデル・カストロ役の風間柚乃(かざま・ゆの)さんは100期生の若手ですが、重厚で安定した演技がとても光っていました。

アレイダ・マルチ役の天紫珠李(あまし・じゅり)さんは101期生。元男役ということもあってか、芯の強い女性をしっかりと演じていました。

兵士の中でも特に若いエリセオ・ガルシア役は104期生の娘役、きよら羽龍(きよら・はりゅう)さん。エリセオの最後はとてもはかなく、涙を誘うシーンとなりました。

宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『チェ・ゲバラ』より=撮影・橋本正人

宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『チェ・ゲバラ』より=撮影・橋本正人

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■大統領とマフィアの大物の「悪役」を憎々しく演じた、光月るうと朝霧真

■難しい兵士役をクールに演じた蓮つかさ。蒼真せれんは、髭をたくわえた姿で渋く男らしく

■印象的な愛を描いた、ダンサー役の晴音アキと、政府側軍人役の礼華はる

<宝塚歌劇 月組 ミュージカル『チェ・ゲバラ』>
【東京公演】2019年7月30日(火)~ 8月5日(月) 日本青年館ホール(この公演は終了しています)
【大阪公演】2019年8月11日(日)~ 8月19日(月) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

<関連ページ>
宝塚歌劇のページ
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2019/cheguevara/
梅田芸術劇場のページ
https://www.umegei.com/schedule/804/

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■大統領とマフィアの大物の「悪役」を憎々しく演じた、光月るうと朝霧真

キューバ大統領のフルヘンシオ・バティスタ役は月組組長の光月るう(こうづき・るう)さん。ニューヨーク・マフィアの大物であるマイヤー・ランスキー役は朝霧真(あさぎり・まこと)さん。このお2人は憎々しい「悪役」で、理想に燃えるエルネストと上手く対比されていました。

エルネストが捕らえられたチューロ渓谷のシーンからは、光月さんはボリビア政府軍大佐のアンドレス・セルニチ、朝霧さんはボリビア政府軍軍曹のマリオ・テランとしてお芝居されていて、違った姿も見ることができ2倍楽しめました。

宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『チェ・ゲバラ』より=撮影・橋本正人

宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『チェ・ゲバラ』より=撮影・橋本正人

■難しい兵士役をクールに演じた蓮つかさ。蒼真せれんは、髭をたくわえた姿で渋く男らしく

エルネストの友人で写真撮影のアルバイトをしている明るいエル・パトホ役は千海華蘭(ちなみ・からん)さん。マエストラ山中に住む農民のギレルモ・ガルシアに輝月ゆうま(きづき・ゆうま)さん、その妻エル・パトホ役に香咲蘭(こうさき・らん)さん。ギレルモらと共に最後までエルネストと一緒に戦った兵士のミゲル役には蓮つかさ(れん・つかさ)さん。

ミゲルは、彼の生い立ちや、置かれている複雑な情勢から、エルネストとすぐには心を通わすことができない難しい役柄でしたが、笑わないクールな感じが蓮さんの美しさをより一層引き立たせたようで、目で追ってしまいました。髭が特徴的な兵士、カミーロ・シエンフェゴス役を演じた蒼真せれん(そうま・せれん)さんも、渋く男らしい演技で目をひきました。

宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『チェ・ゲバラ』より=撮影・橋本正人

宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『チェ・ゲバラ』より=撮影・橋本正人

■印象的な愛を描いた、ダンサー役の晴音アキと、政府側軍人役の礼華はる

ミゲルの妹で、キャバレー「パリジャン」のダンサー、レイナ役は晴音アキ(はるね・あき)さん。緊迫した革命期にあり、政府軍軍人のルイス・ベルグネスとレイナの愛が印象的でした。ルイス・ベルグネス役は、101期生の礼華はる(れいか・はる)さん。ルイスはキューバ大統領バティスタの配下ですが、ダンサーのレイナを深く愛します。ルイスは、軍服と目深に被る制帽が長身によく映え、凛とした立ち姿が素敵でした。

宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『チェ・ゲバラ』より=撮影・橋本正人

宝塚歌劇 月組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『チェ・ゲバラ』より=撮影・橋本正人

エルネストが医学生時代に年上の友人のアルベルト・グラナードと、1台のバイクで南米大陸縦断した旅行記である映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』を観てから観劇しましたが、舞台上には斜めにキューバ中心の地図が掲げられ、映像を使った説明などもあり、理解しやすいように工夫が重ねられた、ドラマティックな歴史ミュージカルでした。

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