2019年9月23日、16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんは、国連気候行動サミットに出席し、世界のリーダーの前でスピーチをおこないました。若い世代の声を代表し、毅然とした怒りのスピーチでした。その言葉を通して英語を学んでいきましょう。
グレタさんのスピーチの出だし、世界的に有名になった言葉 How dare you ! という言葉が初めて登場する部分を聴いてみましょう。( )の中を書き取ってください。
This is all wrong.
こんなことは間違っています。
I ( 1 )be up here.
私はこの場所にいるべきではないんです。
I ( 2 ) be back in school on the other side of the ocean.
私は海の向こう側で学校に行っているべきなのです。
Yet you all come to us young people for ( 3 )
それなのに、あなたたちは、私たち若者のところに希望を求めてやってきたというのですか?
How dare you !
よくもそんなことが出来ますね!
グレタさんは、それでも自分たちはまだ恵まれていると言葉を続けました。引き続き( )の中を書き取ってください。
You have stolen my dreams and my childhood with your ( 4 )words. And yet I’m one of the lucky ones.
あなたたちは空っぽの言葉で私の夢と子ども時代を奪ったのです。それでも、私はまだ恵まれている側のひとりです。
People are suffering.
人々は苦しんでいます。
People are ( 5 )
人々は亡くなっています。
Entire ecosystems are collapsing.
全てのエコシステムは崩壊しつつあります。
We are in the beginning of a mass ( 6 ), and all you can talk about is money, and fairy tales of ( 7 ) economic growth.
私たちは大量絶滅の始まりにいる。それなのに、あなたたちが口にするのは、お金のことと、経済発展はこれからも続くというおとぎ話ばかり。
How dare you !
よくもそんなことが言えますね!
グレタさんは2003年1月スウェーデン生まれの16歳。2018年に、より実効性のある地球温暖化・気候変動に対する対策を求めて、毎週金曜に『School Climate Strike:気候変動学校スト』を開始しました。最初は彼女たったひとりのストライキだったそうです。今では、毎週金曜日何万人もの学生が、地球環境に想いを馳せ、ストライキを続けています。
政治家をはじめとする大人たちが、地球温暖化と気候変動の問題の緊急性を理解していると言いながら、行動を起こさないことに対するグレタさんの激しい怒りが感じられる次の言葉を聴いて( )の中を書き取ってください。
For more than 30 years the science has been ( 8 )-clear.
30年以上の間、科学は明白に示してきました。
How dare you continue to look away, and come here saying that you’re doing enough when the politics and solutions needed are still nowhere in sight.
それに目をそむけ続けるとは、そしてここで自分たちは十分なことをやっていると言うとは、よくもそんなことが出来ますね。政治や解決策が必要とされているところで、実際には何も行われていません。
You say you hear us and that you understand the( 9 ).
あなたたちは私たちの言うことに耳を傾けていると言います。そして緊急性を理解していると。
But no matter how sad and angry I am, I do not want to believe that.
でも、わたしがどんなに悲しく怒りを覚えていたとしても、私はその言葉を信じたくありません。
Because if you really understood the situation and still kept on failing to act, then you would be ( 10 ). And that I refuse to believe.
なぜなら、あなたたちが本当にこの状況を理解していた上で、行動をおこすことなく過ごしているとしたら、それはあなたたちが邪悪な人間ということになるからです。私はそれを信じることを拒否します。
肉食をやめ、家族を説得して飛行機での移動をやめるなど、自らのライフスタイルも地球温暖化を阻止するために大きく変化させてきたグレタさん。16歳の彼女は、自閉症の一種・アスペルガー症候群であることを公表しています。私たちは、四六時中「地球温暖化」のことを考え続けるのは難しい。しかし、彼女は地球のことを思って食事もとれないことがあるほど、一心に考え続け、追及し続けることが出来る。「アスペルガーであることは私の誇り」と語るグレタさんは、自閉症やアスペルガーのもつネガティブなイメージをポジティブなものに変化させるロールモデルでもあります。
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■聴き取りの答えと解説
■動画の後半部分
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■聴き取りの答えと解説
This is all wrong.
I shouldn’t be up here.
I should be back in school on the other side of the ocean.
Yet you all come to us young people for hope.
How dare you!
- 1. shouldn’t should +not ~してはならない
- 2. should ~するべき
- 3. hope (名)希望
You have stolen my dreams and my childhood with your empty words. And yet I’m one of the lucky ones.
People are suffering.
People are dying.
Entire ecosystems are collapsing.
We are in the beginning of a mass extinction, and all you can talk about is money, and fairy tales of eternal economic growth.
How dare you!
- 4. empty (形)中身のない、空疎な
- 5. dying (動)die :死ぬ という意味の動詞の現在進行形
- 6. extinction(名)絶望、消滅
- 7. eternal (形)永遠の、永久不滅の、無限の
For more than 30 years the science has been crystal-clear.
How dare you continue to look away, and come here saying that you’re doing enough when the politics and solutions needed are still nowhere in sight.
You say you hear us and that you understand the urgency.
But no matter how sad and angry I am, I do not want to believe that.
Because if you really understood the situation and still kept on failing to act, then you would be evil.
And that I refuse to believe.
- 8. crystal crystal-clear (形)水晶のように澄み切った、一点の曇りもない、明白な cf. crystal (名)結晶、水晶、クリスタル
- 9. urgency (名)緊急性、切迫性
- 10.evil (名)悪、邪悪、不正、不道徳
■動画の後半部分
The popular idea of cutting our emissions in half in 10 years only gives us a 50% chance of staying below 1.5 degrees (Celsius) and the risk of setting off irreversible chain reactions beyond human control.
二酸化炭素排出量を10年で半分に減らすという、よくみんなが言う考え方では、地球の気温上昇を1.5℃以下に抑えるという目標を達成できるかどうか確率は50%です。そして、取り戻しのつかない連鎖反応を止められるかどうかも。
Fifty percent may be acceptable to you. But those numbers do not include tipping points, most feedback loops, additional warming hidden by toxic air pollution or the aspects of equity and climate justice.
あなた方は50%でいいと思っているのかも知れません。しかしその数字には、ティッピング・ポイントやフィードバックループ、空気汚染に隠されたさらなる温暖化、そして公平な温暖化対策などの要素は含まれていません。
They also rely on my generation sucking hundreds of billions of tons of your CO2 out of the air with technologies that barely exist. So a 50% risk is simply not acceptable to us, we who have to live with the consequences. To have a 67% chance of staying below a 1.5 degrees global temperature rise -the best odds given by the IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) the world had 420 gigatons of CO2 left to emit back on Jan. 1, 2018. Today that figure is already down to less than 350 gigatons.
彼らは、私たちの世代と、ほとんど実際には存在しない技術に何千億トンの(あなたたちが排出した)二酸化炭素の除去を頼ろうとしています。私たちは50%で大丈夫だというようなリスクを受け入れられません。私たちは、結果とともに生きていかなければならないのです。「気候変動に関する政府間パネル」が発表した、地球の温度上昇を1.5℃以下に抑える可能性を67%にするために残っている二酸化炭素の量は、2018年1月の時点で420ギガトンでした。今日、その数字はすでに350ギガトンにまで減っています。
How dare you pretend that this can be solved with just “business as usual” and some technical solutions?
With today’s emissions levels, that remaining CO2 budget will be entirely gone within less than eight and a half years.
There will not be any solutions or plans presented in line with these figures here today, because these numbers are too uncomfortable and you are still not mature enough to tell it like it is.You are failing us.
よくも、問題が解決できるなどというふりが出来ますね! これまでと「同じやり方」で、そしていくつかの技術的な解決策があれば可能だなんて。現在の排出量レベルを続ければ、残っているカーボンバジェット(温室効果ガス累積排出量の上限)は、8年半以内に使い切ってしまいます。この現状に沿った解決策や計画は作られないでしょう。なぜならこの数字は、とても居心地が悪いから。そしてあなたたちは、それを私たちにはっきりと言えるほど、成熟した大人ではない。あなたたちは私たちを失望させています。
But the young people are starting to understand your betrayal. The eyes of all future generations are upon you. And if you choose to fail us, I say: We will never forgive you.We will not let you get away with this.
Right here, right now is where we draw the line.
The world is waking up. And change is coming, whether you like it or not.
Thank you.
しかし、若い世代はあなたたちの裏切りに気づき始めています。未来の世代の目は、あなたたちに向けられているのです。もしあなたたちが裏切ることを選ぶのであれば、私たちは決して許しません。私たちはこのまま、あなたたちを見逃すわけにはいかない。今この場所、この時点で私たちは一線を引きます。世界は目覚め始めています。変化が訪れようとしています。あなたたちが望もうが望むまいが。ありがとうございます。