劇中劇や多彩な群舞も魅力的、宝塚雪組『ハリウッド・ゴシップ』大阪公演開幕

宝塚歌劇 雪組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル・スクリーン『ハリウッド・ゴシップ』より=撮影・橋本正人

宝塚歌劇雪組の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル・スクリーン『ハリウッド・ゴシップ』(作・演出、田渕大輔)が2019年10月23日(水)に開幕しました。今作は1920年代のハリウッドで映画スターを目指すエキストラ、コンラッド・ウォーカーの物語。叶えたかった夢の世界の理想と現実、そしてスターが抱える光と陰が描かれたミュージカルです。コンラッド・ウォーカー役を務めるのは、彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さん。開幕前日の2019年10月22日に行われた舞台稽古を取材・撮影しましたのでご紹介します。

宝塚歌劇 雪組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル・スクリーン『ハリウッド・ゴシップ』より=撮影・橋本正人

宝塚歌劇 雪組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル・スクリーン『ハリウッド・ゴシップ』より=撮影・橋本正人

物語の舞台は1920年代のハリウッド。サイレント映画が最盛期だったこのころ、物語の主人公であるコンラッド・ウォーカーは映画スターに憧れ、エキストラとして活動していました。しかし、コンラッドはチャンスに恵まれず、これを最後にと新人発掘を謳うトーキー映画の主演オーディションに挑戦することに。ところが、この企画はオーディション前から「主演はスターのジェリー・クロフォード」と決まっている、いわゆる出来レースだったのです。その事実を知ったコンラッドは、プロデューサーのハワード・アスターに抗議するものの、取り合ってもらえませんでした。そこへやってきたのが、大女優アマンダ・マーグレット。彼女は、自分が役を降板させられたことに抗議しますが、ハワードには逃げられてしまいます。アマンダはそこに居合わせたコンラッドの事情を聞き、彼を大スターに育て上げる計画を画策。というのも、アマンダはかつて自分の恋人だったジェリーが、スターの座へのしあがった途端に自分を捨てたことに対して復讐心を抱いており、その復讐にコンラッドを巻き込もうとしたのです……。

主人公を演じる彩風さんは、映画スターになることを夢見る青年、コンラッド・ウォーカーを演じます。背が高く、スタイルのいい彩風さんは、マタドール服やスーツ、燕尾服などを見事に着こなし、「これぞ男役」という勇ましい姿で観客を魅了。あどけない少年のような笑顔を見せたり、雨に打たれながら胸が締め付けられるような切ない表情を見せたりと、さまざまな顔も表情豊かに演じわけ、舞台のどこにいてもつい目で追ってしまいます。

アマンダの元でスターとしての素養を磨いていくコンラッドは、ある日、偶然訪れたダイナーでジェリーがトーキー映画のヒロインに抜擢した、エステラ・バーンズと出会います。コンラッドはスタジオのキャスティング担当と偽り、デビューが決まった今も寂れたダイナーで働く理由を聞くと、彼らが自身の演技のお手本だと答えるエステラ。ありふれた日常からも学ぼうとする彼女の姿勢に、コンラッドは心を動かされます。

エステラ・バーンズ役の潤花(じゅん・はな)さんは、見た目は可憐ながら、周りに流されず、自分が正しいと思うことをするという姿からは芯の強い女性という印象が伝わってきます。舞台では彩風さんに寄り添い、息ぴったりのダンスを披露。なかでも、劇中劇『サロメ』でのダンスは魅惑的で、目が釘付けになる必見シーンです。

こうしてスターとしての道を歩みはじめたコンラッドですが、彼が進む道の先に待っていたものは……。

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<有料会員限定部分の小見出し>

■コンラッドと対立するスター役の彩凪翔さん。苦悩や孤独が演技の節々から

■大女優役の梨花ますみさん。説得力ある演技でハリウッド女優の貫禄を表現

■真那春人さんは監督役を渋く、煌羽レオさんはエキストラの複雑な心情を体現

<宝塚雪組公演『ハリウッド・ゴシップ』>
【神奈川公演】2019年10月11日(金)~ 10月17日(木) KAAT神奈川芸術劇場(この公演は終了しています)
【大阪公演】2019年10月23日(水)~ 10月31日(木) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

<関連リンク>
宝塚歌劇のページ
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2019/hollywoodgossip/
梅田芸術劇場のページ
https://www.umegei.com/schedule/827/

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■コンラッドと対立するスター役の彩凪翔さん。苦悩や孤独が演技の節々から

彩凪翔(あやなぎ・しょう)さんは、コンラッドと対立する若手スター、ジェリー役。存在感のある俺様スターぶりがとてもよく似合い、スターだと納得させられる立ち振る舞いでジェリー役を演じていました。物語前半に輝かしいスターぶりが描かれている分、話が進むにつれて変わっていくジェリーの姿には胸が痛みます。しかし、ジェリーという人物が単なる「嫌な人」で終わらなかったのは、彩凪さんがスターの栄光から凋落までを見事に熱演したからこそでしょう。彼が抱える苦悩や孤独が演技の節々から垣間見えるたびに、切なさを覚えました。

宝塚歌劇 雪組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル・スクリーン『ハリウッド・ゴシップ』より=撮影・橋本正人

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■大女優役の梨花ますみさん。説得力ある演技でハリウッド女優の貫禄を表現

大女優アマンダ・マーグレット役を演じたのは、専科の梨花ますみ(りか・ますみ)さん。コンラッドとのラストシーンで見せる背中など、説得力のある演技で、貫禄のあるハリウッド女優を表現。同じく専科で、エンパイア・フィルム社のプロデューサーのハワード・アスター役を演じた夏美よう(なつみ・よう)さんと共に、物語に深みを与えていました。

宝塚歌劇 雪組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル・スクリーン『ハリウッド・ゴシップ』より=撮影・橋本正人

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■真那春人さんは監督役を渋く、煌羽レオさんはエキストラの複雑な心情を体現

千風カレン(ちかぜ・かれん)さんはハワードの秘書セルマ・ブラウン役をきりりと、早花まこ(さはな・まこ)さんはダイナーの女主人役を豪快に、真那春人(まな・はると)さんは映画監督のロバート・バークリー役を渋く、煌羽レオ(きらは・れお)さんはエキストラ仲間のマリオ・コンティーニ役の複雑な心情を体現し、真地佑果(まち・ゆうか)さんはアマンダ邸の執事ピーウィー役をコミカルに演じるなど、それぞれの役できらりと光っていました。。

宝塚歌劇 雪組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル・スクリーン『ハリウッド・ゴシップ』より=撮影・橋本正人

宝塚歌劇 雪組 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル・スクリーン『ハリウッド・ゴシップ』より=撮影・橋本正人

フィナーレでは、黒燕尾のダンスの中で、彩凪さんとラリー役を演じた縣千(あがた・せん)さんが男役同士のペアで踊りながらリフトするシーンも登場。そしてラストを飾る彩風さんと潤さんのデュエットダンスは、緩む頬が押さえられなくなるほど胸キュンポイントが満載の一幕でした。『ハリウッド・ゴシップ』は、『踊る闘牛士』や『サロメ』などの映画撮影シーンを劇中劇で表現する多面的構成で、お芝居や歌はもちろん、華やかな衣裳の多彩な群舞が楽しめる作品となっていました。

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