SEからプリンシパルに、『Fly By Night~君がいた』遠山裕介インタビュー(上)

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

2020年9月1日(火)から9月13日(日)までシアタートラムで、9月19日(土)から9月22日(火・祝)まで横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールで上演される新作ミュージカル『Fly By Night~君がいた』に、新進作家のジョーイ役で出演する遠山裕介さんにインタビューしました。『Fly By Night~君がいた』は、conSeptが手掛けるミュージカルドラマシリーズの第4弾で、主人公ハロルドを内藤大希さん、その父親マックラムを福井晶一さん、ダブルヒロインのダフネとミリアムを青野紗穂さんと万里紗さん、ダフネに恋する新進作家を遠山裕介さん、ハロルドの第2の父親的な存在であるサンドイッチ屋のオーナー・クラブルを内田紳一郎さん、物語を進行するナレーター役を原田優一さんが演じます。インタビューは上下に分け、「上」では遠山さん自身のこれまでについて、「下」で『Fly By Night〜君がいた』について伺った内容を紹介します。

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

――遠山さんは、双子のお兄さんの当銀大輔さんがいらっしゃいますが、小さい頃はどんな子供でしたか?

小学校の時は、全然一緒に遊んでいなかったですね。僕は女の子と遊んでたんですよ。大(大輔)は大で別で遊んでて。中学生くらいは、そんなに仲よくなかったんですよ。どうしてかというと、比べられるから。今でももちろん比べられるんですが、高校生くらいになってから、一緒にいるほうが楽だなと変わってくるんです。大のほうが勉強できるとか、どちらかができるというのもそうですし。

――普通の兄弟以上に比べられるんですね。

そうですね。なんかそれがすごくいやで。

――どうして高校生で楽になったんですか?

気を遣わなくていいということです。高校生になってくると、洋服とかも欲しくなってくるので、友達と一緒に買い物に行くじゃないですか。その時に、待たなきゃいけないとか、「俺はその服屋さんいらないんだけどな……」とかということがあっても、一応気を遣って入ってみて、というのがあるじゃないですか。

――他人ですしね(笑)。

それが双子だと、「見てくか?」「俺こっちでいるわ」って気を遣わない。それで、「ちょっとこれ見てよ」と言った時に、「これいいんじゃない?」「それ似合ってないよ」とか、すべて素直に言えるという。それが楽になってきて、「ああ、いいわ」と。

――当銀さんとそういう話はするんですか?

話はしなかったですが、だんだん一緒にいるのが増えましたね。その頃からアルバイトも一緒。高校1年の時に、大が最初に、イクスピアリの中に入っているレインフォレストカフェという熱帯雨林みたいな、大きなレストランのキッチンに、アルバイトに入ったんです。僕もそこへ入り、それからどんどん仲よくなりました。社員の皆さんにご飯連れて行ってもらったり、一緒にいる時間が増えました。家でも一緒に生活してるのに、バイトでも一緒にいて(笑)。

――本当に片割れですね。

そうですね。高校を卒業してすぐに「家を出ろ」と言われて、大と二人で家を出て、18歳の時から二人暮らしです。高校の時に、将来は不動産関係をやりたかったし、大学に行こうかとも思ったんですが、金銭的な問題もあって進学は諦めて、僕はSE(システムエンジニア)の道に進みました。本当に大変で、仕事するしかない状態でしたね。大はディズニー(東京ディズニーリゾート)のダンサーとして受かったんです。大を見ているとあまりにも仕事が楽しそうで。僕が朝8時の満員電車に乗って通っているときに、なんでこんなに毎日楽しそうにやってるんだろうなって差がすごくて。それで、僕もダンスに興味を持って、ダンスレッスンに行ったんです。そしたらもう楽しくて。SEの仕事を辞めて、僕も1年遅れでディズニーを受けて、ディズニーでダンスをやりました。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、システムエンジニア→ディズニーのダンサーに→クルーズ船に乗船→『Endless SHOCK -Eternal-』→『エリザベート』→『AIDA アイーダ』→ケガでアクロバットが困難に→歌を本格的に練習→『モーツァルト!』シカネーダー役→『アナスタシア』グレブ役→『Fly By Night〜君がいた』ジョーイ役と、波乱万丈の道を歩んできた遠山裕介さんのこれまでについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。8月30日(日)掲載予定のインタビュー「下」では、『Fly By Night〜君がいた』で演じる新進作家のジョーイ役について、演出を担当する板垣恭一さんについてのほか、コロナによる自粛期間を経て稽古を始めて感じていること、いまお客様に伝えておきたいことなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■『エリザベート』に出演した時、「みんなこんなに歌うまいの!?」と衝撃を受けて

AIDA アイーダでケガをして、歌の練習が半年以上続き、僕は歌で行きたいと

■『モーツァルト!』シカネーダー役、「裕介のもの、どんどんやりなさい」と言われ

■(グレブ役、海宝さんとのハーモニーがすごくて)皆さんに言われるんですよ!

<ミュージカル『Fly By Night~君がいた』(全20公演)>
【東京公演】2020年9月1日(火)~9月13日(日) 東京・シアタートラム、
【神奈川公演】2020年9月19日(水)~9月22日(土) 横浜・赤レンガ倉庫
劇場観劇Ticket:9000円(全席指定・税込)
公式サイト:
https://www.consept-s.com/fbn
生配信料金:1回5500円(東京初日のみ3000円)
配信サイト:streaming +
形態:全公演リアルタイム生配信 (終演後4時間まで見直し可能)
販売専用URL:
●9月1日~2日、9月8日~22日分の公演(イープラスへの会員登録が必要)
https://eplus.jp/fbn-streaming/
●9月3日~6日分の公演(楽天への会員登録が必要)
http://r-t.jp/fbn

<関連リンク>
遠山裕介 twitter
https://twitter.com/tohyamayusuke
遠山裕介 instagram
https://www.instagram.com/tohyamayusuke/
遠山裕介のブログ
https://ameblo.jp/yusuke-tohyama/
遠山裕介 YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCW-QabDT9ozNje2Xf_5AMYQ

『Fly By Night~君がいた』 関連記事:

⇒すべて見る

遠山裕介 関連記事:

⇒すべて見る

『アナスタシア』 関連記事:

⇒すべて見る

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【輸入盤】Anastasia Broadway Musical [ アナスタシア ]
価格:2215円(税込、送料無料) (2020/8/25時点)


※遠山裕介さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは9月29日(火)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■『エリザベート』に出演した時、「みんなこんなに歌うまいの!?」と衝撃を受けて

――当銀さんは、いつからダンスを始めたんですか?

多分、高校生の時に、ディズニーのダンサーとかを見て、それで始めたんだと思います。僕は全くです。

――音楽は?

母がカラオケにしょっちゅう連れて行ってくれました。まだ100円入れて一曲歌うみたいな時です。それで、僕たちずっと歌わされていて。

――当銀さんはダンサー、遠山さんはSEとして仕事をはじめたけれど、一転、二人ともダンサーの道へ進まれた。

それから4年くらい、ディズニーでダンスをやりました。その後、クルーズ船に乗ったのですが、クルーズシップといって、クルーズ船には、船尾か船頭のどちらかに大きいステージがあるんですよ。スポーツも食事もできるところもたくさんある中にステージがあり、レビューショーやミュージカルをやるんですよ。「ちょっと受けてみたい」と思い、大と二人でDVDを作って応募したら合格し、「じゃあ、ディズニーを辞めよう」と。2か月くらいクルーズ船に行って、帰ってきてから、当時所属していた事務所から「『Endless SHOCK -Eternal-』という作品があるんですがどうですか」とお話をいただき、ミュージカルの道は、そこからはじまりました。2008年ですね。

――それまで、ミュージカルというものは知りませんでしたか?

全然知りませんでした。『フットルース』のようなミュージカル映画は、もちろん知ってましたが、“ミュージカル”というもの自体は、「ん? なんだそれ?」という状態でしたね。

――踊る仕事であれば、ということですか?

そうです。『Endless SHOCK -Eternal-』は踊りでしたので。でも、歌ってるから、これがミュージカルなのかなと。

――やってみてどうでしたか?

特殊でしたね。「これがミュージカル? ちょっとエンターテイメントかなぁ」という感じでしたね。

――レビューショーに近い部分はありますね。

そうですね、ミュージカルという印象は無かったですね。『Endless SHOCK -Eternal-』も双子で出演しましたが、その次に『エリザベート』に出演した時に、衝撃を受けました。「歌うまっ!」って(笑)。「何これ!? みんな歌うまっ! こんなに歌うまいの!?」って。

――ご自分の中では、歌はカラオケで止まってるんですね。

そうです(笑)。カラオケも、「まあまあうまいね」って言われる程度だったんですよ。だから、「俺もうまいと思うけどな」って考えてたけど、「こんなにうまいの!?」と。石川禅さんの声を聞いた時に、「やっべ! うめぇ!」って(笑)。これがミュージカルなんだと知り、そこから歌を習い、ちあきしんさんに教えてもらったりもしました。その次が、『AIDA アイーダ』で、ミュージカルの道は、そこからですね。これも面白かったんですけど、『エリザベート』が終わって、次の仕事何にするかというので、『ダンス オブ ヴァンパイア』と『AIDA アイーダ』を選べたんですよ。どうしますか、と言われた時に、『ダンス オブ ヴァンパイア』はダンサーの道、『AIDA アイーダ』は歌の道じゃないですか。大が『ダンス オブ ヴァンパイア』を、僕は『AIDA アイーダ』を選び、ここがふたりの分岐点でした。

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

AIDA アイーダでケガをして、歌の練習が半年以上続き、僕は歌で行きたいと

――そこから別々の道を歩く。

そうですね。僕は『AIDA アイーダ』でケガをしたんですよ。それで、右手の手術をして、半年間くらい全然動かなくて。でも、これが僕のいいきっかけになりました。僕は踊り以外何もないんだと。アクロバットをやってケガをしたんですが、僕はダンスを踊って、途中でアクロバットを入れたりという見せ方をしてたんです。アクロバットがなくなった瞬間に、「ダンスが下手かもしれない。見せられない」と落ち込んでしまって。どうしようかなと思っていた時に、歌だと。腕のリハビリをしながらピアノをやりました。歌をひたすら練習する期間が半年以上続き、僕はもう歌で行きたいと、気持ちがだんだん変わってきました。

――お話を伺っていると、当銀さんは「これ」と決めたら突き進んで、遠山さんはその影響も受けながら、取捨選択していく、という感じですね。

そうですね。ダンサーの道なのかシンガーの道なのか、ダンスはまた比べられるし、ちょっと違う方向がいいのかな、と僕は思ってました。

――自分だけの道を見つけた。

そうですね。歌だけは本当にうまくなりたい、そこで何か違いが出せるのかな、と思っています。今、大がクリエイターの方向に進んでいるので、また比べられるというよりも、遠くから見てくれている、第三者として見てくれているのが、すごくいいなと思います。僕はプレイヤーですので、周りからどんな風に見られているのかなど、分からないことがたくさんあります。兄が芝居を観に来てくれた時も、「あそこはもっとこうがいいかもね」と言ってくれるんですよ。そうすると、やっぱり身内ですし、もう何年も僕のことを見てくれているので、すぐ受け入れられるというか。だんだん年を重ねてくると、若い子が増えてきて、自分のだめなところを言ってもらえなくなるんです。でも僕は、どんどん言ってもらいたいタイプで。『アナスタシア』の時も「あ、まずいな」と思っていること、自分で「できてるかな」と不安に思っていることも、誰も言ってはくれません。山本耕史さんと同じグレブ役でしたので仲よくさせていただき、結構言ってくださったのが助かりました。さらにテクニック的なことも教えてくださったんです。今回は大がスタッフにいますので、そういう面でもすごくいいなと思っています。別々の道に進んでよかったなって(笑)。

――同じ道を進むと、ずっとライバルみたいになりますよね。

そうなんですよ。

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

■『モーツァルト!』シカネーダー役、「裕介のもの、どんどんやりなさい」と言われ

――遠山さんは、『モーツァルト!』のシカネーダー役のときに、プリンシパルに上がってきた感覚があります。プリンシパルというのは、ひとつのステップだと思いますが、それはずっと意識してきましたか?

最初にダンサーと言われてからずっと意識してきました。ダンサーの方には悪いですが、そこから、ダンサーと言われたくない、歌でやっていきたいと、歌を頑張って、ある程度歌えるようになりました。それでもダンサーと言われ続けるんです。それがすごくいやでした。歌、お芝居も学んで、この後何がしたいって、プリンシパルになりたいと思い、オーディションを受けましたが、やっぱりダンサーのイメージが強くて。もがき苦しんで、やっと小池修一郎さんのオーディションで「いいんじゃない?」と、シカネーダーの役をいただけて。その時は嬉しかったですし、今まで感じたことのないプレッシャーが大変でした。(吉野)圭吾さんがずっと演じられてきた役でしたから。

――確かに、シカネーダーと言えば、吉野圭吾さんでしたね。

色んなやり方があるとは思うんですが、圭吾さんのシカネーダーと同じにしたくないと思いました。でも、初めてのプリンシパルですし、帝国劇場のゼロ番立つのかと思うと、どきどきして。だから初日もすごく緊張して、大変だったんですよ。それから一週間くらいは、エゴサしちゃいますよね(笑)。本当に評判が悪くて。

――そうだったんですか!

そうなんです(笑)。自分の中で作り上げてきたキャラクターがあったんですが、やっぱり圭吾さんのイメージがあるから「違う」って言われたり。でも、皆さんに「それは裕介のものだから、もっと大きく、どんどんやりなさい」と言われてから、だめな評判は全くなくなりましたね。僕のイメージの中では、圭吾さんのシカネーダーはお兄さんぽくて、モーツァルトがそれについていくという感じだったんですが、もっと仲がいい感じにしたかったんですよ。そこを作り上げられたらいいな、と思ってやっていました。

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

■(グレブ役、海宝さんとのハーモニーがすごくて)皆さんに言われるんですよ!

――今年上演された『アナスタシア』で、山本さんと、堂珍嘉邦さんとの、トリプルキャストでグレブ役というのは、インパクトがありました。ディミトリ役の海宝(直人)さんとの回を拝見しましたが、バレエのシーンのふたりのハーモニーがすごくて、一番記憶に残っています。

嬉しいです。皆さんに言われるんですよ! 多分、海宝君の声の圧がすごいじゃないですか。僕も強いんですよ。それが合わさってすごかったというのはあるかもしれません。

――プリンシパルを重ねることで、色んな意識が変わってきましたか?

感じるプレッシャーと、やらなきゃいけないこと、キャラクター性の何が大事なのかということを、ものすごく深く考えるようにはなりましたね。アンサンブルの時代は、どう溶け込むかということで、自分から前に出ていくポジションではなかったので、皆さんとの均衡を取るというか。プリンシパルになってからは、意識が変わって、役割を大事にするというのを、しっかりやっていますね。台本を読んで、これはこういう人物だよなと考える。でも、僕は台本を読むのが苦手で、何回も何回も読んで意識するんですが、実際とは違っていたりもするんです。それは稽古で何とかして直していきます。だから、前よりも何回も深く読み込むようにはしてます。

――そうなると、きっと作品自体の見え方が変わってきますね。

はい。どこを主体で動かなきゃいけないのか、ということを考えます。そのシーンに大事なのは何だろうな、とか。自分だけ出しゃばっても。このシーンで大事にしたいのはアナスタシアだな、今は僕かな、とか。そういうのはしっかり考えます。アンサンブルの時は、「いいや、ちょっと目立ってやろう」という気分があったんですけれど(笑)。

――そういう意識がなくなった。

ちゃんと役として出しゃばるのはありですけどね。

遠山裕介さん=撮影・岩村美佳
遠山裕介さん=撮影・岩村美佳

※遠山裕介さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは9月29日(火)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

Follow me!

“SEからプリンシパルに、『Fly By Night~君がいた』遠山裕介インタビュー(上)” への 1 件のフィードバック

  1. じゃすみん より:

    エンターテインメント業界に入る前のお話から現在に至るまで、ご兄弟との関係性と心境の変化について深掘りされていて面白かったです。後半のFly By Nightの記事も楽しみです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA