2020年9月11日(金)からのオープニング公演を経て、9月16日(水)にTBS赤坂ACTシアターで開幕、10月30日(金)からは梅田芸術劇場メインホールで上演されるミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』で、オールダー・ビリーをダブルキャストで演じる、大貫勇輔さんと永野亮比己さんのインタビュー、後半です。今回のビリー4人についてのほか、大貫さんと永野さんの出会いやお互いの印象、コロナの影響でお客様が50パーセントに限られている状況をどのようにとらえているかなどについてお話を伺いました。
――今回のビリー4人は、それぞれいかがですか?
大貫:今回は全然違う個性です。すごく努力家で丁寧な調(川口調)、本当に柔軟性のある太一(利田太一)、どこか哀しみを内包しているけれどあっけらかんとしていて、一番ビリーっぽい海琉(中村海琉)、そして、ものすごくバレエができる出日寿(渡部出日寿)。そういう印象です。
――永野さんはいかがですか?
永野:本当にその通りです。みんな、キャラクターが分かりやすい。それぞれのポテンシャルの高さもありますし、特性も特技もありますし。本当に4人それぞれ、面白いビリーになるんじゃないかなと思います。あとは、最初のシーンから最後のシーンまである程度作品ができ上がってきて、最初から最後まで通してみたその後に、それぞれがどういったものを残すのかも、今、ものすごく楽しみです。物怖じせず、隠そうとせず、120パーセントで全部を出し切って欲しいです。
大貫:『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』の難しいところは、芝居ができないといけないんですが、“芝居”をしちゃいけないんですよね。「今、芝居してる」というのが見えた瞬間、観ているほうは冷めるじゃないですか。完璧を求めてしまうと、守りに入るけれど、失敗してもいいから、必死なビリー像を追い続けて欲しい。でもそれは、すごく難しいことだと思うんです。だから、それを彼らがどこまで掴んでやれるのか……。ビリーを演じるって、結構色んなものを削る作業のような気がするんですよ。すごくしんどいと思うんです。それをもし本当の意味で手に入れたら、彼らはすごい俳優になるんだろうなと思っています。彼らはひとりひとり特殊技能がありますので、
――ビリーはその時にしか演じられないと言いますものね。
永野:まさに成長期の時ですね。
――今回のビリーたちと、どのように向き合っていますか?
大貫:ビリー少年たちと、どうやったらこの「ドリーム・バレエ」で人を感動させられるかを考えて作っています。「今の目の合わせ方でいいと思う」とか、「ここの体勢をこうしてから一緒に開く」とか、本当に細かなことなんです。
――技術的なことですね。
大貫:そうですね。本当にこれをちょっとするだけで、お客さんは「わっ!」と思う。その積み重ねを、もうひたすらにやっています。だから、子供じゃなくてひとりのプロの表現者として向かい合っている意識ですね。
――永野さんは、この年頃の子たちと、がっつり組んだことはありますか?
永野:スタジオで教えをしたりする時には、だいたいこれくらいの年代の子たちはいますので、関わりはあります。でも、これだけ情報量の多いことを1度にこなそうとしている4人だからか、元々なのか、4人とも、ものすごく自分というものや自分の意見をはっきり持っていて、個がはっきりしています。勇輔が言ったように、子供としては見ていないですね。コミュニケーションを取る時も会話をする時も、接する時も、子供なんだけれど、同じ舞台に立つ大人として接してあげたほうが、正しい接し方じゃないのかなと。僕も彼らから学ぶことがありますし、彼らも僕から学べることがあれば、学んでもらったらいいなと思います。本当に必要なことがあれば、人生の経験値の上で分かることがあれば、伝えることは伝えますが、それ以外は「先生と生徒」みたいにはしないようにしています。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、大貫さんと永野さんの出会いやお互いの印象、コロナの影響でお客様が50パーセントに限られている状況をどのようにとらえているかなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■永野:母から「人間らしく」と。大貫:僕も「ダンサーである前に、いい人間であれ」と
■永野:ダンサーとしての勇輔は、爆弾みたい。大貫:亮比己は、刀みたい
■永野:コロナでみんなが悩んでいる状況、新たなものが生まれる可能性もあるのかなと
■大貫:「つらいけどちゃんと向き合う」時代。それとリンクする作品を観に来て欲しい
<Daiwa House presents ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』>
【オープニング公演】2020年9月11日(金)~9月14日(月) TBS赤坂ACTシアター
【東京公演】2020年9月16日(水)~10月17日(土) TBS赤坂ACTシアター
【大阪公演】2020年10月30日(金)~11月14日(土) 梅田芸術劇場メインホール
公式サイト
https://www.billyjapan.com
<関連リンク>
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■永野:母から「人間らしく」と。大貫:僕も「ダンサーである前に、いい人間であれ」と
――お互いのことを伺いたいのですが、おふたりの最初の出会いはいつですか?
大貫:『GQ Gentleman Quality -紳士の品格-』ですね。
永野:2011年2月と6月。
大貫:じゃあ、22、23歳のときだ。
永野:俺は25歳かな。
大貫:その後がミュージカル『ロミオ&ジュリエット』だね。
――『GQ Gentleman Quality -紳士の品格-』は、どういう作品でしたか?
大貫:ダンス作品で、新上裕也さんが演出・振付でしたが、色んなジャンルのダンサーたちが集まって、“ジェントルマン・クオリティ”で“GQ”と。
永野:面白い作品だったね。こだわりの強い男どもが集まって、あーだこーだ言いながら技の見せ合いをやりーの。楽しい時間だったなと思います。
――その時のお互いの印象はいかがでしたか?
大貫:出会った時と、今と全然印象が変わらなくて。熱くてまっすぐ、自分が思ったところに向かっていくような人。今もずっと変わらず、そのままですね。
永野:僕もそうです。何年経っても、勇輔のよさというのは、気取らないところ。もちろん、彼はいろんな世界で活躍しています。でも、いつ会う時でも、本当に自然体というか。それが僕にとってはすごく嬉しいです。お互い家庭環境とか、境遇が似ているところがあるんです。母親も何かと、僕が仕事で何かあったりすると、言動ひとつ行動ひとつに対して、何かあるとすぐに「調子に乗ってる」「みっともない」「やめなさい」と言われます。
大貫:一緒! 僕も一緒です。
――お母様が厳しいということですか?
大貫:まあ、ある意味そうですね。
永野:厳しいよね。でも、正直、「いいダンサーいい役者などはどうでもいいから、ちゃんと人間らしくいなさい」と。そうであれば、もうそれだけでいいから、としか言われてこなかったです。すごく応援はしてくれているんですが、言われることは、基本そこのみでしたね。勇輔も同じ家庭環境というのがあって、お母様にそう言われてきたのかなと。
大貫:そうだね。「いいダンサーである前に、いい人間であれ」と、同じことを言われてきました。
――きっと、一番大事なことですね。そう言われて育つと言うのは、根幹としてすごく大きいのかなと。
永野:だからこそ自然体でいられるのかな、と思います。勇輔の、人の印象としては、全然変わりません。
大貫:本当に母親の口癖が一緒だったんだと、今、初めて知りました。そういう風に僕も育ちました。
■永野:ダンサーとしての勇輔は、爆弾みたい。大貫:亮比己は、刀みたい
――永野さんから見て、ダンサーとしての大貫さんは、いかがですか?
永野:ダンサーという意味で見たら、爆弾みたいなやつですよ。
――爆弾(笑)。
永野:ダイナマイトみたいな。動く度に、大したことやってなくても、ぼーん!ぼーん! と派手に見えるみたいなね(笑)。そんな感じじゃないですか。
――エネルギーが爆発する感じ?
永野:いや、元々体も大きいし、この体格でアクロバットも難なくこなしますし、かつ繊細さもすごくありますし、緻密に計算されたダイナマイトみたいな。
――撮影中にお話していた、時計の好きな永野さんが、好きそうな感じじゃないですか(笑)。
永野:一回解体して、構造を……。
――どこに発火装置があって、起爆するのか、メカニズムを解析する。
永野:本当に面白かったです。20代の時は勢いだけで見てたから、この年になってきて、時計オタクになってから、よりそんな風に分析するのも面白いなと。でも、基本的には人ですけどね。
――大貫さんから見た永野さんは、いかがですか?
大貫:俺からすると、刀みたいなヤツ(笑)。
――刀と爆弾!?
大貫:動きのスピードというか、キレというか、そういうものが刀みたいだな、と。爆弾って言うから、そういう系でたとえるなら“刀”だなと(笑)。本当に鋭くて早いから、それが亮比己の良さなんだろうなと思います。動きの速さとかスピード感とか、真似したくても真似できない。あとは……亮比己は、すごく努力するタイプなんですよね。僕は割と、淡々とやるタイプなんですよ。自分でルーティンを1個決めたら、淡々とやるような。
永野:そうだね。
大貫:だけど、亮比己は結構自分の感情の中で生きているタイプなのかな、と。
永野:そうそう。
大貫:自分でまず精神を追い込んで、そうすることによって爆発的にエネルギーを生み出すタイプなのかな、と。
永野:よく分析してる(笑)。
全員:(爆笑)。
大貫:分析型というのは一緒ですね。分析したがる。僕は分析しないとできないタイプだから。
――感覚だけでは動けない?
大貫:20代の時は、僕も感覚やエネルギー、勢いだけでやっていたんですが、それじゃいけないなとすごく思ったんです。体も変わってきますしね。あとは、パフォーマンスしたい質感も変わってきます。そのきっかけというのは、僕はお芝居でしたが、色々な突きつめ方というか、仕事に対する向かい方が変わってきました。
■永野:コロナでみんなが悩んでいる状況、新たなものが生まれる可能性もあるのかなと
――コロナで今の状況になり、「ビリー・エリオット」も東京公演が半分中止になりました。今までのお話を伺っていると、お二人とも生き抜いていく強さがあると思いますが、どんな風に今の時間をとらえていますか?
大貫:いつ何が来てもいいように準備することが、僕の仕事だと思って、自粛期間中は過ごしていましたし、僕はそう思っていますね。あとは、やることは変わらない。来てくださったお客様が50パーセントの方だったとしても、その50パーセントの方たちに感動を与えて、満足して帰ってもらう、というのが仕事です。基本的には僕の中では、変わらないですね。
――永野さんはいかがですか?
永野:そうですね……。僕はやっぱり、後にも先にもエンタメでしか生きられないと思っています。エンタメが好きですし、元々人間って生きるのに精いっぱいじゃないですか。さらに今回のコロナによって、僕らの業界というのは、「余計にそうなんだ」ということが垣間見えたというか、事実を思い知らされた部分というのはあります。僕は一昨年辞めましたが、それまで劇団四季にいて、そこからフリーでやってきて、生きていく上での大変さや、つらさを経験しました。そういった中でも、自分で仕事を作っていくことを含めて、こうやって仕事を与えてくださる環境に対しても、感謝としてしっかり届けたい、応えたい思いもあります。結局コロナって、ひとつの時代の到来だと思うので、やはりこういう状況の中で、エンターテイメントの可能性というのを探る、いい機会になっているというか。こういう言い方がいいかどうか、分からないんですが。恐らく、元々の「エンタメとはこういうものなんだ」という価値観でずっといるより、みんなが同じ悩みを一斉に抱えて、その中で新しい形を生み出していこうという今の状況は、また何かここで新たな、もっといいものが生まれる可能性もあるのかな、と思います。その中で『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』という作品は、今の状況とすごくリンクしているものもあるので、本当に関われてよかったと思っています。
――永野さんの今のお話を受けて、大貫さんは技術的なことでなく、個人として考えたことや深まった思いなどはありますか?
大貫:コロナ禍で人と人のつながりというものが、どこにあるのか…表面的なところにあるんじゃなくて。例えば『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』というものを通して、みんながみんな、できることをちゃんと守って、「まあ、いいか」をなくして、「これを成功させようぜ」というひとつの思いの元に、人と人とがつながる。「楽しければいい」とか、そういう表面的、簡単なところの喜びとか快感とか、そういうところに人と人がつながるのではなくて、「つらい」「苦しい」「不安」だけど、あるひとつの光に向かってみんながまとまる。まさに『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』のテーマと同じですが、本当の人と人とのつながりはどこにあるのかということを考えましたし、それが一番大事なことだと思うんですよ。だから、目の前にある利益とか、そういうことではなくて、何を思って人が生きているのか、何をしたいと思っているのか。そこが一番大事なところじゃないのかなと、今回のコロナで思いました。
■大貫:「つらいけどちゃんと向き合う」時代。それとリンクする作品を観に来て欲しい
――今、それぞれの状況で、いろいろなことを考えて毎日を過ごしている方が、たくさんいらっしゃいますよね。私も劇場に行きましたが、50パーセントの客席に慣れてきたところもあるんです。人と距離を取ることに、自分が慣れてきているんだなと感じるというか。時間と共に人の意識は変わると思いますが、客席にいて、生で観る時の体感は、やっぱり特別だなと思いました。日々、変化していくので、この先どうなるかは、誰にもわかりませんが、今、おふたりの言葉は読者の皆様に届くと思いますので、最後にメッセージをいただけますでしょうか。
大貫:今のお話を受けて思ったのは、「思いやりの心」や「親切心」というものが、日本人はすごく強いということです。その強みを生かして、エンターテインメントだけでなく、すべての業界が、もうお金のためだけに動いているのではなく、「動いていかないと変わらない」という思いの中で、みんな動いていると思うんです。その中で、ちゃんと思いやりを持って、何を守り何をしたいのかという強い意志を持って、みんなで支え合いながら、僕らもやってますし、観に来てくれる方々も同じような思いで、日々のちょっとした活動をしていくことで、成り立っていくんだと思います。「まあ、いいか」と簡単なところで生きるのではなく、「つらいけれど、苦しいけれど、ちゃんと向き合う」ということを、ひとつひとつ丁寧にやっていく時代なのかなと思います。まさに今、それとリンクする『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』を観に来て欲しいなと思います。
永野:今、世の中全体が地に足がつかず、ほとんどの人々が情緒不安定になっている中でも、日本の素晴らしいところは、戦後や高度経済成長期もそうだと、どんな逆境の中でも、日本は必ず一致団結して、きちんと守るなり、新しいことを起こすことができる民族だなと思っていますし、そういう国だと思います。だからこそ、こういう状況下でも、皆さんの思いをひとつにして、僕らはきちんと作品を上演する。そして、お客様には、観に来て欲しいですね。こういう時は、なかなか「絶対来てください!」とは言いにくいですが、『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』に関しては、観てもらうことによって、これからの生き方だったり、“人生を変える”というタイトルに沿って、今までにないこと、もしくは心の中にあったけれども、出てこなかった思いが、きちんと見つけ出せるのかなと思います。『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』に関しては、絶対に観に来て欲しいと思います。
――私も『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』は、ぜひ上演していただきたい作品だと思っています。ありがとうございました。
大貫・永野:ありがとうございました。
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