「アリスには『世の中を変えてやる!』ではない強さが」、水夏希インタビュー(下)

水夏希さん=撮影・岩村美佳

2020年10月15日(木)から11月1日(日)に博品館劇場で上演されるミュージカル『アルジャーノンに花束を』に、アリス・キリアン役で出演する水夏希さんのインタビュー、後半です。水さんが演じるアリスという女性についてのほか、コロナによる自粛期間からこれまでについて、2020年11月に出演するタンゴの公演などについても伺いました。

水夏希さん=撮影・岩村美佳
水夏希さん=撮影・岩村美佳

――水さんから見て、アリスという女性は、どんな人物に見えていますか? 性格だったり、生き方などいかがでしょうか?

台詞にもありますが、弱い人間なんだなと思います。誰でもそうですが、自分の信念があって研究してきたけれど、そこに失敗も成功もあり、頭で考えることに気持ちがついていかない。頭で気持ちをぐっと動かすことや、気持ちに頭が引っ張られてしまうところ。そういうところが、とても人間らしいなと思います。意志が強くて研究を続けている研究者ですが、そうではない部分もあって、人間らしい人だなと思います。

――アリスは、その研究生活のなかで、オンオフの切り替えができるという感じではない状況ですよね。そういうところは演じていていかがですか?

宝塚のときがまさにそうだったんですよね。なのですごくやりにくい、みたいなことはないですね。ただ、オギちゃんと作品をやる時に言われるのが、「革命を起こすような人じゃなくしてね」と(笑)。今回はまだ言われてませんけど。やっぱり「意志が強い」みたいになると、どうしても革命系になってしまうので(笑)。「そうじゃない強さもあるじゃない?」という話で。

――自ら動かしそうなエネルギーではなくて?

「世の中を変えてやる!」ではない強さだということは、すごく思いますよね。みんながたくさんやっている研究ではなくて、国をあげて秘密裏に行われる、脳科学の人体実験になるじゃないですか。そういうところに関わっているという自負もあり……。そこを続けていく強さもあるけれども、だからと言って、ニーマンやストラウスみたいに「学会でこれを発表してやる!」みたいな、そういう研究者としてのモチベーションじゃないというか……。そこが、若干私と違うのかな、という気はします。私だったら、研究発表のためと思ってしまうかもしれないから。これは人類の進歩には必要な実験です!みたいになってしまうかも(笑)。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、水夏希さんがコロナによる自粛期間からこれまでをどのように過ごしてきたかや、2020年11月に出演するタンゴの公演などについても伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

(自粛期間中は)スペイン語の勉強を。今は仕事がスタートしたからストップしています(笑)

■タンゴはふたり。「振り覚えられる」とひとりで踊っているうちは、タンゴにならない

■タンゴやシャンソンは、経年による深みが顕著に表れるジャンル。続けていきたい

■『アルジャーノンに花束を』、スルーしていることにフォーカスするきっかけになれば

<ミュージカル『アルジャーノンに花束を』>
【東京公演】2020年10月15日(木)~11月1日(日) 博品館劇場
公式サイト
https://music-g-h.com/stage/algernon/

<関連リンク>
水夏希オフィシャルサイト 
http://aqua2013.co.jp
水夏希オフィシャルFC AQUA STAFFのブログ
https://ameblo.jp/aquastaff2013/
水夏希オフィシャルFC AQUA Twitter 
https://twitter.com/aquastaff2013

<『Gran Tang 2020』>
【東京公演】2020年11月22日(日)~11月24日(火) イイノホール (地下鉄霞が関駅直結)
http://aqua2013.co.jp/schedule/stage/gran-tang-2020/
https://almamusica.jp/#info20200829

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水夏希さん=撮影・岩村美佳
水夏希さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

(自粛期間中は)スペイン語の勉強を。今は仕事がスタートしたからストップしています(笑)

――先ほど自粛の時の気持ちを少し話してくださいましたが、自粛期間後のご出演作品『BLUE RAIN』『SHOW-ISMS』を配信で拝見しました。

ありがとうございます。

――『BLUE RAIN』が上演された7月初は、まだミュージカルを上演しているところはほとんどなかったですね。

ミュージカルが再開するほぼ一番最初でしたよね。大変でした。

――しかも、ソーシャルディスタンスを意識した美術になっていて。

そうですね。本当は違う美術だったんですが変更したんです。

――コロナでいろんなことが変わっていますが、この半年はどんな経験でしたか?

『BLUE RAIN』は、(コロナウイルスに)かからないために神経を使って生活するというのが、すごくストレスでしたよね。でも、『BLUE RAIN』では、ひどいストレスを抱えている役でしたので(笑)。

――確かに(笑)。

そういう意味では、いいか、みたいな感じではありましたね。今もそうですが、外食やスーパー銭湯に行くのも好きなので、出かけたいなぁと思いながら、ほとんど行かないで過ごしていますが、時間を無駄にしたくないので、ありとあらゆることをプラスにとらえて過ごしていました。

――新しくプラスにとらえたことなどは何かありますか?

普段やりたくてできなかったことはありましたね。

――どんなことを?

スペイン語の勉強とか。

――そうなんですか!

ネットでダウンロードして、ダウンロードした分は全部勉強したんですが、仕事がスタートしてしまったら、ストップしています(笑)。やっぱり日常生活の中ではできないのかな。

――スペイン語を勉強するということは、海外に行きたい?

行きたいですよ! 今年の2月にブエノスアイレスに行きましたが、海外に行けるギリギリのタイミングでしたね。

――ブエノスアイレスでの時間はいかがでしたか?

仕事でタンゴのCDのレコーディングと撮影で行きましたが、なかなか地球の裏側に行く機会はありませんので、短い時間でしたが、すごく充実していました。ブエノスアイレスに行って、本場のタンゴを肌で感じて、やっぱりタンゴとの関わりが、自分の中で大きくなったなぁという思いはありました。タンゴとの関わりが、最初は1年に1回程度でしたが、だんだん増えて、半年に1回くらいになって。この『アルジャーノンに花束を』ではないんですが、やればやるほど、「なんて上っ面でやっていたんだろう」ということに気づいて、やればやるほど焦りが募る。「これ間に合わないじゃん、全然できない、どうしよう」みたいなことがたくさんあるので。

――何に間に合わないんですか?

ブエノスで撮影や、踊ったりもしたので、「踊れないな」とか、「歌が歌いきれないな」とか。知らないから、それで済んでいたことが、知れば知るほど焦りと恐怖が募る、というような。

水夏希さん=撮影・岩村美佳
水夏希さん=撮影・岩村美佳

■タンゴはふたり。「振り覚えられる」とひとりで踊っているうちは、タンゴにならない

――そもそも、なぜ、タンゴにはまったんですか?

梅田芸術劇場さんの舞台、DANCE LEGEND vol.2『Argentango アルジェンタンゴ ~BAD GIRLS meets TANGO BOYS~』に出演したのが最初です。外国人のダンサーとのコラボレーションという企画で、最初はシアターダンス、次はアルゼンチンタンゴ、その次はフラメンコでした。そのタンゴ公演の時に、タンゴは宝塚でもなじみの深い曲ですし、一度はやってみたいと思っていましたので、いいきっかけをいただいたと思いレッスンに行き始めました。とは言え、公演があればレッスンに行くといいうスタンスですが。その後も「タンゴをやりませんか」というお声がけをいただいたので、「せっかくだから歌だけではなく踊ります」と。それがつながってきて今に至るのですが、やるとなったら、普通のダンスと違って、すごく難しいので、時間がかかるんですよね。どうしても長期間で本番に向けて作り上げていかなければいけないので、タンゴにかける時間が増えていく、というような感じで、今年ブエノスアイレスに行きましたし、やっぱりタンゴをこれからも続けていきたいなら、ちゃんとスペイン語もスムーズに話せるようになりたいですよね。

――新たに見つけたものなんですね。

そうですね。宝塚を退団してから、ふわっと自分の人生に流れていたものが、すごく色濃くなってきました。

――上っ面で踊っていたんだと思うくらいに、その深みというのは違うものですか。

ダンスをやってた人なら、振りは簡単に覚えられるんですよね。ひとりで踊るならそれでいいんですが、タンゴはやはりふたりのコンビネーションですし、ひとりで踊るよりも、ふたりで徐々にエネルギーを出し合って踊ったほうが、断然ダイナミックに踊れるので、「振り覚えられるもん」ってひとりで踊っているうちは、それが出ない。タンゴにならないですよね。米倉(涼子)さんがテレビで披露されて、「素晴らしいですね」と言われて「全然だめなんです」と言っていた気持ちがよく分かります。

水夏希さん=撮影・岩村美佳
水夏希さん=撮影・岩村美佳

■タンゴやシャンソンは、経年による深みが顕著に表れるジャンル。続けていきたい

――技術的なことではないということですよね。技術は当然できている上の、その奥の、という感じですね。

深い……うん、深い。

――まだその入り口という感じですか。

全然入り口です。ちょっとずつ、何回も歌ったり踊ったりする機会をいただき、前の映像を見ると、少しましになってる、去年よりはましだ、とは思いますが、まだまだだなと思います。でも、好きだから続けられるというのはあります。11月に公演があるので、今この舞台と並行して練習しています。(※編集部注:『Gran Tang 2020』http://aqua2013.co.jp/schedule/stage/gran-tang-2020/

――すごいですね! 『アルジャーノンに花束を』の世界と、タンゴの世界を並行しているんですね。

8月に開催する予定だったタンゴ公演が延期になって、11月22日から24日に上演させていただきます。8月は、ブエノスアイレスで一緒にレコーディングしたオルケスタが、日本に来るはずだったんですが、コロナで来られなくなってしまって残念でした。

――じゃあ、そこで年々深みにハマっていくものが出ていく、ということですよね。

そうですね。タンゴやシャンソンって、経年による深みというのが、すごく顕著に表れるジャンルだと思うので、続けていきたいなと思っています。

――肉体的なものは、なかなか難しい時がくるじゃないですか。でも、タンゴは逆に、歳と共に深めていける。

そうなんですよ、タンゴの踊りも2種類あって、ショータンゴはそんなに長いこと踊れませんが、サロンダンスは本当におじいちゃん、おばあちゃんになっても踊れるダンスなので、ずっと続けられるようなタンゴが踊れる人生のパートナーがいれば楽しいだろうなと思いますけどね(笑)。

――そうですよね(笑)。タンゴが踊れる前提のパートナーですね(笑)。

(笑)。

水夏希さん=撮影・岩村美佳
水夏希さん=撮影・岩村美佳

■『アルジャーノンに花束を』、スルーしていることにフォーカスするきっかけになれば

――『アルジャーノンに花束を』を、楽しみにしていらっしゃる方がたくさんいらっしゃると思います。読者の皆さんにメッセージをお願いします。

作品を知っている方も初めての方も、絶対にその世界観にのめり込めると思いますし、チャーリィのピュアなハートに胸打たれる作品なので、心を浄化しに来ていただきたいな、と思います。

――心のつかえが取れたり、ひとつ楽になったりしますよね。

あとは、普段スルーしていることに、フォーカスするきっかけになればいいなと思いますね。

水夏希さん=撮影・岩村美佳
水夏希さん=撮影・岩村美佳

※水夏希さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは11月12日(木)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

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“「アリスには『世の中を変えてやる!』ではない強さが」、水夏希インタビュー(下)” への 3 件のフィードバック

  1. チョビ より:

    アルジャーノンに花束を、新曲が加わり、アリスの気持ちが前回よりわかりやすくなったと思いました。
    場面ごとに変わる照明も綺麗で、劇場で観られて良かったです。
    踊る水さんも大好きなので、11月のタンゴ楽しみにしています!

  2. はっち より:

    ストレスで鬱屈としているような時でも、プラスに考えて前を向いていける水さん、さすがです!
    11月のタンゴ公演も楽しみです。
    水さんのお芝居はもちろんですが、水さんのダンスが大好きなので、ダンス続けてほしいです。
    アルジャーノンに花束を楽しみにしています。

  3. ちゅーた より:

    舞台やタンゴへの情熱溢れる、とても貴重なお話、ありがとうございました。
    11月の公演、楽しみにしております!

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