劇団スタジオライフの藤原啓児さんと倉本徹さんが出演する朗読劇『或る俳優の物語~もう1つのクリスマスカロル~』が、2020年12月28日(月)と12月29日(火)に、東京・中野のウエスト・エンド・スタジオで上演されます。この作品は、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で2020年に60歳になった人のほとんどが還暦を祝ってもらえなかったというニュースを聞いた藤原さんと倉本さんが、自身も2020年5月に還暦を迎えていることから、「60-60の会」として2人で「赤いちゃんちゃんこ」を羽織ろうではないかと思ったことから企画された公演です。
<「60―60の会」企画経緯 >
2020年5月、倉本・藤原は何時の間にやらという感覚で還暦を迎えることが出来ました。誕生日当初は自覚症状全くなし……ただ日々の中で現れて来る心身の綻びに苦笑いしながら誕生日当日を迎えていたのが正直なところです。
今まで誕生日と云えば通過事例でしかなかったのですが……1960年生まれの我々は「60歳―還暦」という節目の年を新型感染症に見舞われ、殆どの同世代が祝って貰えなかったとのニュースを聞き、ならば2020年中に二人で「赤いちゃんちゃんこ」を羽織ろうではないかと思った次第です。事の始まりは、全く恥ずかしく情けない程、個人的で私的な企画意図だったのですが、喪失の人生の始まりに二人なりの振り返りと、今後遣ってくるであろう不測の事態を仕合せて行く為の意思表示にしたいと思うようになりました。
還暦……これまた新たなり! 暦が一回りして新たなスタートの2020年のはずが、奇しくもコロナ渦での世界的変動の年となりました。世の中が大きく変わるという早速の不測の事態のなか、新たな第一歩踏み出す為には思い付いた事は何でも進めてみようと考える様になりました。全く我儘な爺いの話しです……
そこで何時も頭から離れなかった、今年七回忌を迎えた喜一朗さんのことです。喜一朗さんが亡くなったのが64歳です。僕達が還暦を迎えた今、改めて、喜一朗さんは余りにも早くに逝ってしまったのだと思います。その年まで僕達はあと4年です。少しでも長く芝居を続けるのが、喜一朗さんとスタジオライフへの恩返しになるのではないだろうか……「60-60の会」で年に一回公演を企画して、あと5回を目標に続け、喜一朗さんへ感謝したいと思います。願わくば、どちらか一人がこの世からお暇するまで続け、最後は残った方が一人舞台を行い締めくくると云う……「赤いちゃんちゃんこ」から「白い左前の着物」を着るまでの企画に出来れば、なんて思ってたりしています。喜一朗さん七回忌、突如現れた新型感染症ウィルス、倉本・藤原の還暦……この企画で、自分達の心の中にある、言葉にならない思いを知り、聡明な、敏い、誤りのない老人なるためではなく(なれないし!)、世の中から見たら愚かに見えるような道を、愚直に歩き続ける糸口を見出すことが出来ればと考えております。(藤原啓児)
<倉本徹さんのコメント>
1960年5月生まれの同い年藤原と倉本は、何年先か何十年先になるのか解らないが…死を迎える時は、必ず何方かが先に逝き、何方かが残る。(同時にと言う事も有るだろうが、これは幸せな亡くなり方では無いだろう)先にお暇する方が断然良い。そして亡霊となって藤原の前に現れる…驚く方より脅かす方が面白いからね、ワクワクするね。脅かす藤原はイメージしにくいが、驚く藤原は容易に想像がつく。(芝居っぽいんだろうなぁ)
しかし、問題は亡霊が身に纏っている鎖だ。倉本には少なすぎる、軽すぎる。40年以上就職もせず、好きな芝居をして生きてきた。それに名誉、名声なんてモノもすでに無いし、貯金も無いけど…「借金の事」「家族の事」…位じゃないかな。
そこにいくと、藤原の鎖は凄い量になるな、「劇団」「座長」「健康」…イロイロあるからね。重くて動け無いかもしれない…でも亡霊だから重い方がサマになるな。そう考えると、先に逝って亡霊になって現れるのは藤原だね。それに顎関節症で既に顎は外れているから、下顎は簡単にだらんと下がるんだろうな…それを白い布で縛って戻すんだね…いかん!笑ってしまう…まだまだ亡霊になるのは暫く先だね。それまで芝居で擬似体験して笑わない様にイメージトレーニングしておこう。
<藤原啓児さんのコメント>
同じ生まれ月の同い年が出会ってしまった…まさか四半世紀以上の腐れ縁になろうとは思ってもいなかった。 色々有ったが兎に角、倉本は私より一日でも長生きし、私の棺桶の前で真実の涙を流して謝罪しなければならないことは周知の事実である。もし倉本が真実の涙を流さなかったら、大木槌でド突きに戻ることも吝かではない。
喜一朗さん七回忌…これはもう是非二人で、そのメッセージを聞き受け止めなければならないだろう!
もう一つ、有力な出来事が有る。今から5年程前になるだろうか……私が慣れない代表業に戸惑い悩んでいる頃、倉本が責任者を務める影絵劇団で「影絵の親子劇場」の事前ワークショップに行こうと誘ってきた。何か私に対して後ろめたさが有ったのかもしれないが(笑)、劇団員達もすすめてくれたので、渋々事務所を離れ出かけた。現場に着くと、とてもシンプルな手法で、親子達が目を輝かせながら夫々のイメージの交流を喜々として行っている。教育・福祉の枠を超えて、芸術が命の交流を支え、生きる喜びを謳歌させている。私は余りの美しい光景に、涙が止まらなかった! 多忙さと自分の思い込みで雁字搦めになり、主客合一が崩壊していた私には、劇団活動が齎している社会的意義が全く見えていなかったのだ。
本質的に暴走機関車の私と、冷静沈着な倉本……今回の企画では、還暦にして自分達の心の中の言葉にならない思いを探る旅だからこそ、双方がスクルージとマーレーを貫通することだと思っている。
<朗読劇『或る俳優の物語~もう1つのクリスマスカロル~』>
【東京公演】2020年12月28日(月)18:00~ 12月29日(火)14:00~
※開場は40分前
会場:ウエスト・エンド・スタジオ
住所:東京都中野区新井5-1-1 スタジオライフビル 1F
http://www.studio-life.com/westend/
電話:03-5942-5858
脚本:松田環(劇団しゅうくりー夢)
演出:倉本徹
出演:藤原啓児、倉本徹
料金:3,500円(一律料金)
チケット取扱:
カルテット・オンライン
https://www.quartet-online.net/ticket/6060nokai
問い合わせ:
6060nokai☆gmail.com(送信時は☆を@に変更してください)
企画:60-60の会
<関連リンク>
劇団スタジオライフ
http://www.studio-life.com/
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