昨年上演された舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜の続きを描く、舞台『銀河鉄道999』さよならメーテル〜僕の永遠 が、4月20日(土)から29日(月・祝)まで明治座で、5月10日(金)から12日(日)まで梅田芸術劇場メインホールで上演されます。昨年に引き続き星野鉄郎役を演じる、中川晃教さんにインタビューしました。
――昨年の上演を振り返って、再演することへの今の思いをお聞かせください。
この話を最初に頂いた時に、実は2年越しのプロジェクトであるということはわかっていました。ただ、前作を立ち上げる過程のなかで、星野鉄郎を演じていて感じたことは、とにかく精神的にも体力的にも大変だということです。これだけ色んな舞台を経験させて頂いているので、ペース配分や、その役でどれぐらい自分が体力を消耗するかは、稽古期間中にある程度わかります。自分のなかにデータがありますし、お客さんが入って本番になってからの疲労や、色んなテンション具合があるのもわかって挑んでいるつもりですが、それでも大変でした。
――想定を超えてきたんですね。
そうなんです。それはなぜだろうと考えながら本番のなかで気づいたことを、『銀河鉄道999』さよならメーテル~僕の永遠 にまた活かせる。そういう意味では、普通は一作で終わってしまう作品ですが、続きをまた一緒に創ることができるという意味で、良かったなと。物語についてはわかっていると思うので詳細は省きますが、簡潔に言うと、鉄郎はメーテルと出会い、999号に乗って旅に出るということなんです。そして、何かに気づいて大人になっていく、そういう誰もが経験することを鉄郎は母の死を乗り越えて、自分のアイデンティティーを見つけていく。そんなストーリーなんです。
母の敵をとるために機械伯爵と対峙して、機械伯爵を打ち倒す時、彼は機械伯爵の目の向こうに人間を見るわけですよね。かつて人間だった頃の機械伯爵の思いや、なぜ自分が機械伯爵になったのか、なぜ人類を機械化人にする計画を進めているのかが、だんだん見えてくるわけです。機械化人なのに人間だったことが見えてきた時、それを見てしまった鉄郎は戸惑う。そして、どこかで哀れに思うと同時に、同じ人間であったということが、敵を撃つ瞬間まで鉄郎を苦悩させる。それでも、16歳の彼は人間を殺す、機械化人を殺すわけですよね。それは、今の時代に置き換えただけでもすごくセンセーショナルで、またそれが前作の一番のハイライトシーンでした。
でもそれは決して悲しいこと、ネガティブなことだけではなくて、希望がある。言い換えれば、終わることのない思い、生きている限り決して終わらない旅、というのが、“さよならメーテル~僕の永遠”というタイトルの、“永遠”という言葉のなかにも繋がってくる気がします。
<取材協力>
ヘアメイク=松本ミキ
スタイリスト=AKIRA
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、鉄郎という少年の光について、前作から今作に続けて繋げていくことについて、脚本を新たに石丸さち子さんが書かれている点などについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。3月15日(金)掲載予定のインタビュー「下」では、舞台『銀河鉄道999』でキャプテン・ハーロック役を担当し、そして『サムシング・ロッテン!』では中川さんと兄弟役を演じた平方元基さんについて伺ったお話や、『ジャージー・ボーイズ』チームWHITEのみなさんにインタビューで伺ったお話を中川さんにお伝えして中川さんのアンサーを伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■精神的にも肉体的にも辛かった。それだけの力を毎回、鉄郎を演じる時に使っていた
■ひと言で言えば、鉄郎は天才、スーパースター
■『銀河鉄道999』の鉄郎という存在が、舞台で余すことなく発揮される
■鉄郎という人間の思いや、鉄郎という人間が、歌によってどんどん展開していく
<舞台『銀河鉄道999』さよならメーテル~僕の永遠>
【東京公演】2019年4月20日(土)~4月29日(月・祝) 明治座
【大阪公演】2019年5月10日(金)~5月12日(日) 梅田芸術劇場メインホール
公式サイト
https://999-40.jp
<関連リンク>
中川晃教オフィシャルサイト
http://www.akinori.info/
中川晃教オフィシャルTwitter
https://twitter.com/nakagawa1982aki
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■精神的にも肉体的にも辛かった。それだけの力を毎回、鉄郎を演じる時に使っていた
そういうことを稽古で作ってきましたが、やはり本番のなかで気づくこと、感じることが多くて、それは今だから言葉に出来ますが、当時は何とも言葉に言い表せなくて、それが精神的にも肉体的にも結構辛かった。それだけの力を毎回、鉄郎を演じる時に使っていたというのが初演の時の感想です。
――鉄郎を演じるのはすごく大変なんですね。他の役とは違う、人生を背負いすぎているということですか?
人生を背負いすぎているかどうかで言えば、彼は16歳だから、まだ16年の人生です。でも、鉄郎という人間を軸に出会うそれぞれのキャラクター達は、ある意味、鉄郎という人間の純粋さ、放つ光みたいなものが強ければ強いほど、その強い光を更に強くさせるように影響を与える。まるでサイクロンの渦のなかでキャラクター達が鉄郎と出会い、彼達が少しずつ変化していきながら、また変化しないながらも、終わらない旅が永遠に続いていくんだと。それは明るい未来のためなのかもしれません。本当の幸せって何なんだろうという祈りや願いが根底にはあるのかもしれないですね。
■ひと言で言えば、鉄郎は天才、スーパースター
――サイクロンを起こす役というのは大変ですよね。
そうですね。サイクロンを起こす役であり、また、ひと言で言えば、鉄郎は天才、スーパースターです。実はこれは東映の清水(慎治)さんという、松本(零士)先生とこの作品を一番良くわかっている方が教えてくれたことでもあるのですが、その時に「なるほど」と思いました。鉄郎の少年っぽさや、どう少年を演じるのかに行きがちだった気持ちが、清水さんの言葉によって、もっと大きく、この物語のなかでの鉄郎はこうなんだと、自分のなかで見えたものがあったんです。
――その事柄全部を起こしている一番の中心ですよね。
そして、その物語の中心の部分にいる鉄郎は、母を殺されている。「あなたが機械になれば永遠の命を手に得られるわよ、それが願いよ」と言って死んでいった母の敵をとるために機械伯爵を殺すのですが、一方で、なぜ機械伯爵が機械化人になったのかがわかった時に、人間というものが永遠ではないと鉄郎の中でわかった時に、機械の星を壊してしまいたいと、野望がまた新たなものに変化していく。鉄郎は、永遠の命を手に入れるのが旅の目的でしたが、その旅の途中で、いろいろな人たちと出会います。それぞれにバックボーンがあって、そのバックボーンが劇場版では、割とテンポ良く進んでいきますよね。
――そうですね。凝縮されたそれぞれのエピソードが綴られていきますね。
そこをどう表現するかが、舞台版の見せどころでもありますね。それぞれの登場人物達の生い立ちや、なぜそうなったのかが解き明かされていくことで、鉄郎という人間が持っているピリッ、キラッとしたものがより光を増していき、いろいろな登場人物たちといい意味でスパークし合います。
■『銀河鉄道999』の鉄郎という存在が、舞台で余すことなく発揮される
でも一方で、幸せや永遠とは何かというものは、誰も答えを持っていなくて、気づいたら鉄郎がその答えになっていく。鉄郎の少年の部分、青年の部分、そして旅は終わらないという『銀河鉄道999』の鉄郎という存在が、舞台で余すことなく発揮されるんだろうなと思います。それこそが今作に繋げていける前作で学んだことであり、その手ごたえを今回の脚本で感じています。
――そのオリジナルストーリーが書かれているのが今回の脚本ならではですね。脚本を新たに石丸(さち子)さんが書かれましたが、脚本的に今作の見どころについてはいかがでしょうか?
物語で言うと、機械伯爵がかつて人間だった頃が描かれている部分が、ひとつのキーになってくると思います。『銀河鉄道999』は松本先生が描いた超大作ですが、時間軸やひとりひとりの関わりのようなものが、重要視されているようであまりされていなくて、もっと大きな、宇宙というものに対する問いかけのようなもの、ひいては人間の持っている心のなかにあるものが描かれています。自分探しや、背中を押されること、子どもの頃に描いていた夢など、壮大な部分だけではなく、身近な部分にこの『銀河鉄道999』の魅力はあるということを感じます。同時に、そのなかでもどんどんと思いが宇宙に飛んでいく。そして、幸せとは何かというような鉄郎の問いかけも、答えのない世界へ、終わらない旅へと飛んでいくんです。
■鉄郎という人間の思いや、鉄郎という人間が、歌によってどんどん展開していく
『銀河鉄道999』に書かれているひとつのエピソードを読んだだけでも、機械の体、永遠というものが昔から、もっと言えば、これだけ人工知能が身近になっている今も、文明とともに、機械とは何ぞやというものも、その親近感は40年前と今とではだいぶ違うかもしれません。身近に感じるようなテーマがたくさん詰まっているからこそ、それだけに焦点を当てていくのではなく、すべてをもっと大きく捉えて突っ走ってお客様に届けていきたい。演技、芝居から描かれる陰影が舞台ならではの魅力。だからこそ、鉄郎という存在を、歌でもっと表現したほうがいいんじゃないかということになり、前作よりもナンバーを増やすことになりました。ミュージカルや音楽劇と謳っていないのは、そのあたりが曖昧だからなのですが、確実に方針として言えるのは、今回の脚本はナンバーが前作よりも多いということです。
――ナンバーが多いのは楽しいですね。
といっても、16曲なんですよ。だから、ミュージカルと比べると少ないですが、ナンバーのなかで確実に思いが飛んでいき、超越していくんです。
――気持ちが動くことが、歌によってより伝わる。
今回の脚本のなかでは、鉄郎という人間の思いや、鉄郎という人間が、歌によってどんどん展開していくということです。そこが前作を経て、今回役としても、役者としても、この役をより深めていけるところですね。前作で気づいた点をこの作品に繋げていけるというのもぜひ見て頂きたいところですし、鉄郎としての演じ方も見て頂きたいです。
原作を愛していた人達も、原作を知らない僕達世代も、こんなに有名な、誰もが知っている『銀河鉄道999』という作品の謂れはどこにあるんだろうと考えると、見る人の心に焼き付くようなインパクト、鮮烈さが鉄郎にはやはりあるんです。それを、今回は舞台ならではの音楽、それが、『銀河鉄道999』を表現する方向の脚本なので、前作を見た人も、初めて見る人も、音楽というところで、鉄郎がどう表現するか、ぜひ見てほしいです。
※中川晃教さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは4月14日(日)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
銀河鉄道999続編たのしみにしてます。また前作よりもナンバーが増えるということで中川晃教さんの魅力がいっそう感じられるんではないかとたのしみにしてます。作品を観る際に、演者や作り手の思いを感じることで作品がさらにおもしろく感じることが出来ると思うこともあります。中川晃教さんは思いが人一倍強い役者さんに感じるためこのような記事がもっと見る機会が増えればうれしいです!
読みながら、前作で機械伯爵を打ち倒すシーンでの鉄郎の葛藤を思い出し、それが今回にどのように繋がっていくのかのヒントになり面白かったです。
星や光を感じるような時計の下での写真も素敵です。
記事のおかげで「銀河鉄道999」がさらに楽しみになりました。
昨年の舞台も観ました。歌のナンバーが増えるということでより鉄郎の内面があらわになるのかなと思います。出会いと別れ、今作も楽しみにしています。
インタビューを通じて、中川さんの、鉄郎や作品への想いをしっかりと感じました。
元々楽しみにしていましたが、さらに期待度が高まります。
中川さんの作品に対する情熱がしっかりと伝わってくる読み応えのある記事でした。いつものようにお写真もとっても素敵です。4月の舞台が待ち遠しくなりました。
サイクロンの目である鉄郎の鮮烈さ、周りを巻き込んでいく力を舞台上で表現しようとされていることがよくわかりました。
前作も鉄郎は出ずっぱりで体力的にも大変そうだと思いましたが、今作は歌も増えるということで、どうなってしまうのかドキドキワクワクします。
いつもながら、思いの伝わる素敵な記事をありがとうございます!
後半も楽しみにしております。