故郷を同じくする、作家トーマスと書店員アルヴィンの稀有な友情物語。日本初演となるミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』が、2019年10月4日(金)から10月29日(火)まで、大阪、東京、水戸、名古屋で上演されます。2009年「ドラマ・デスク・アワード」ミュージカル部門で作品賞を含む4つの賞にノミネートされ、韓国ではロングランを記録した『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』。二人の登場人物をそれぞれ交互に演じる、田代万里生さんと平方元基さんに8月中旬にインタビューし、読み合わせを経ての印象の変化などについて伺いました。
<ストーリー>(公式ページより)
人気短編小説家のトーマスは、幼なじみのアルヴィンの突然の死に際し、弔辞を読むために故郷へ帰って来る。しかし、葬儀が始まるというのに、アルヴィンへ手向ける言葉が思い浮かばない。すると死んだはずのアルヴィンが目の前に現れ、トーマスを自らの心の奥深くへと導いていく。そこには延々と続く本棚があり、トーマスの思い出と積み重ねた人生の本当の物語を書いた原稿や本が存在していた。アルヴィンは、その中から弔辞に相応しい2人の物語を選び、トーマスの手助けを始める。しかし、トーマスはそれを拒み、助けを借りずに弔辞を書くと言い張るが、アルヴィンは気にもとめず、次々と物語を選び、語っていく。果たして、弔辞は完成するのか・・・。いくつもの物語が語られるにつれ、2人の間に存在した数々の埋もれてしまっていた小さな結びつきが明らかになっていく。アルヴィンとトーマスが子供時代に育んだ絆と生涯を通じて築き上げた友情の物語。
――今日読み合わせをされたと伺いました。両パターンの読み合わせをされたんですか?
田代:僕はトーマスを、彼はアルヴィンをやりました。
――では、その手応えなども含めてお話をお伺いしたいと思います。
平方:もう本番いけます。明日が初日(笑)。
――(笑)。
平方:だったら、どれだけ楽か(笑)。
――まず、出演が決まったときの印象を教えてください。公式サイトのインタビューでは、最初は両方の役をやるとは聞いていなかったというお話もありましたが。
田代:最初は「どっちがやりたいですか?」という話だったんです。その段階でCDなどを聞いていたので、「どっちと言おうかな」と決められなかったところに、「どっちもやりませんか?」と言っていただいて「やります!」と。
――平方さんは?
平方:どちらも演じると聞いたのが、出演が決まったあとだったんです。だからずっと、どっちの役になったんだろうと思っていました。もちろん万里生くんの意見とのかね合いもあるからと思っていたんですが、後から二役とも演じると聞かされて驚きました。
田代:最初は「相手による」という話でしたが、その後に「どっちもやってみるのはどうだろう」となったんです。
平方:その途中経過が僕にはないんです。
――「はい、両方です」と渡されたんですね。
平方:万里生くんとですし、もう頑張るしかないと思いました。
――作品の印象についてはいかがでしょうか? 今日はじめて読み合わせをされて、ご自身が抱いていた印象に変化などはありましたか?
田代:僕はこういう作品がやりたかったんです! 特に、今年は『ラブ・ネバー・ダイ』、『エリザベート』とグランドミュージカルが続いていて、制約があるなかでの葛藤など、発散型じゃない、どちらも受身の役が続きました。今回はもっとフリーで、まったく寡黙ではない二人。たくさん発信もします。なによりも日本初演というのは、僕のなかではすごく重要ですしグランドミュージカルとは違う規模感の作品をやってみたいと思っていました。
――東京公演が行われる大手町よみうりホールは中劇場でしょうか。
田代:オフ・ブロードウェイ感がある規模の作品に出演するのが久しぶりです。
――『スリル・ミー』以来ですか?
田代:上演時間が100分という枠組みで、出演者が二人というのは『スリル・ミー』と似ていますが、内容はまったく違うものになっています。『スリル・ミー』は大好きな作品ですが、この作品では全く異なる新たな世界観が求められるので、とても楽しみにしています。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、2役を演じるということについて、読み合わせを経ての印象の変化や役柄などについて伺ったインタビュー前半の全文を掲載しています(今回の記事には独自撮影の写真はありませんが、どうかご了承願います)。9月30日(月)掲載予定のインタビュー「下」では、『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』出演を控えて取り組んだ『エリザベート』で同じフランツ役をどのような思いで演じたかや、ミュージカルの未来について、30代、40代の役者たちがどうしていかなければならないと思っているかなどについて話してくださったインタビューの後半の全文を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■平方:アルヴィンの純粋なだけじゃない部分も感じて、すごくおもしろい本読みだった
■田代:作ってみるとトーマスに足りないものがわかるから、そこをアルヴィンとして向き合っていこう
■平方:二人で向き合っていく、そこが濃密になれば濃密になるほど物語が膨らんでいく
■田代:それぞれの違い、摩擦がどう出てくるのかは、まだまだ未知。超手探り状態(笑)
<ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』>
【大阪公演】2019年10月4日(金)~10月5日(土) 新歌舞伎座
【東京公演】2019年10月9日(水)~10月16日(水) よみうり大手町ホール
【茨城公演】2019年10月19日(土)~10月20日(日) 水戸芸術館ACM劇場
【愛知公演】2019年10月29日(火) 御園座
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/soml2019/
<関連リンク>
田代万里生オフィシャルウェブサイト
http://fc.horipro.jp/tashiromario/
田代万里生オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/mario-capriccio/
田代万里生ホリプロオフィシャルサイト
https://www.horipro.co.jp/tashiromario/
平方元基 Twitter
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平方元基オフィシャルサイト
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平方元基オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/hirakata-genki/
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※田代万里生さん&平方元基さんのサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします(今回は写真のプレゼントはありません)。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは10月29日(火)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■平方:アルヴィンの純粋なだけじゃない部分も感じて、すごくおもしろい本読みだった
――平方さんはいかがですか?
平方:……質問なんでしたっけ?
(現場笑)
――(笑)。作品の印象や、読み合わせをして感じた変化などはありますか?
平方:最初に「どっちの役がやりたい?」と聞かれたときは「僕はアルヴィンかもな」と思っていて、今日の読み合わせもアルヴィンをやってみたんですが、実際に読んでみると、結構トーマスの方に感情移入してしまって。グッときたり、うるっとするのはトーマスなんです。トーマスはストーリーテラー的な要素もありますし、彼自身の体験なのでその実体験に基づいているところもありますが、ある意味物語自体がトーマスのなかの空想でもあるので、すごく流動的なキャラクターでもあるんです。アルヴィンは彼がもっている正義感や純粋なピュアさを全面に出しつつ、自分の思いや、こうなんじゃないかという現実をトマースに割と押し付けるというか、理解を得ようとがんばって目の前に提示していくわけですよ。それが読み合わせをすると、意外と残酷だなと思ったり。綺麗で純粋であるがゆえに、危なっかしかったり、少し狂気的だったりするのがチラホラ見えたところがおもしろいなと思いました。
――今、平方さんがおっしゃった役の部分については、田代さんはいかがですか?
田代:……聞いてなかった(笑)。
(現場笑)
――おふたりとも聞いていない(笑)。
田代&平方:(笑)。
平方:役のキャラクターについてどう思うかという話。アルヴィンの純粋なだけじゃない部分も感じて、すごくおもしろい本読みだったなと思って。
田代:最初に台本をもらって、元基とどういう稽古の始め方をしようという話になったときに、どっちの役からやりたいと聞くと、元基は「アルヴィンがいい」と。
――そうなんですね。
田代:僕は逆にトーマスからやってみたかったので、よかったと思いました。トーマスをやりたいから、トーマスを先にやるのではなくて、僕はトーマスをやらないとアルヴィンができないなと思ったので、「アルヴィンやりたい」って言われたときは「ちょうどよかった!」って。これもバランスだよ。
■田代:作ってみるとトーマスに足りないものがわかるから、そこをアルヴィンとして向き合っていこう
――平方さんはなぜアルヴィンをやりたいっておっしゃったんですか?
平方:トーマスがわからなかったからです。アルヴィンの方がわかりやすそうだったんです。
田代:ピンと来る方からやった方がいいよ。
平方:なんとなく動きや言動がちんぷんかんぷんなアルヴィンの方が、さっと入れるかなと思ったんですが、実際に台詞などを入れてみようと思ったときに、現実を歩んでいるのはトーマスなんですよね。圧倒的にアルヴィンは奇想天外なところから台詞を持ってくるので。
田代:実際に奇想天外なところから入ってくるもんね。
――トーマスは感情の繋がりがある?
平方:だから、今ちょっと後悔しています(笑)。
田代:僕は、今自分で1回作ってみると、トーマスの足りないものや揺れ動く気持ちがわかるから、そこを徹底的にアルヴィンとして向き合っていこうと思っていたんです。
■平方:二人で向き合っていく、そこが濃密になれば濃密になるほど物語が膨らんでいく
――田代さんは順番通りで、平方さんは逆からいくみたいな感じですか?
平方:そうなんですよ!
田代:逆からで後悔してるもんね(笑)。
平方:「どうしよう」とか言ってるもんね。
――1度読み合わせして、それに気づいているんですよね。
平方:「ギクッ」としています。でもどちらにしても、ふたつの役はやらないといけないので、1回コテンパンにやられてみようかなと思っています。
――なるほど。そうなった場合の、逆の稽古が楽しみですよね。
平方:コテンパンになって生き返らないかもしれないしね。
(現場笑)
――2役やるというのは、セリフ量や付随することを考えても、相当大変ですよね。
田代:大変です。今までの作品の中で、一番覚えることが多いかもしれないです。
平方:本当に今まで経験したことがないくらい切羽詰る感じはしていますね。どの作品もそうですが、ひとりじゃないというのは大きいです。例えば一人芝居だとしたら、もっともっと追いこんで自分だけの世界になりますが、やはり二人で向き合っていくので、そこが濃密になれば濃密になるほど物語が膨らんでいくと思います。熱い夏が続きそうですね。
■田代:それぞれの違い、摩擦がどう出てくるのかは、まだまだ未知。超手探り状態(笑)
――このふたりの物語については、どう思っていますか?
田代:誰にでも当てはまるとは思います。これは男だから成り立つ。別の取材で「これが女性ふたりだと、全然ちがう話になるんじゃないか」と言われて。
平方:もっと殺伐とすることもあるだろうし、なにか男ならではの部分があるのかも。男の方が友達や親友とか、情に厚いという言い方は違うのかもしれませんが、気にする。逆に言うと、ウィークポイントだったりする。
――自分にとって一番大事な部分であったりする?
田代:心意気というか、筋を通すというか、そういうのは女性よりも男性の方が好む傾向が強い気がします。
平方:そうだね。「こいつは信用してるから」みたいなことを、色濃く言いたくなりがちなのは、やはり圧倒的に男の人なのかなと。起きている問題も、トーマスがアルヴィンに突かれる問題も、割と派手ではないし、みんな経験しているようなこと。誰かに言ってしまったら、「ちっぽけな悩みなんじゃない?」と言われるようなことって、自分だけで解決していこうとするじゃないですか。そういう所をとても丁寧に自分と向き合っていくから、ストーリーになることに結びつくのかなと思いましたね。ふたりじゃなければ、このストーリーは開けなかったから。
――田代さんは、今の話はいかがですか?
田代:ん?
――聞いていたかしら?(笑)。
田代:半分は(笑)。要約すると?
平方:要約すると、このふたりじゃないと成立しない話だなって(笑)。
(現場笑)
田代:物語的な進行はトーマスがやって、そこにアルヴィンがついていく感じになりますが、本読みをしたら高橋さんが「アルヴィンはずっと葛藤や助言をしているようなイメージですが、実は強く嫉妬もしてるんです」と仰っていました。
平方:純粋な所だけじゃなくて、そういうのもちゃんと表現できたらいいねと。
田代:だから、ふたりでひとつというのもありますが、それだけじゃない、やはりそれぞれの人間の違い、摩擦がどう出てくるのかは、まだまだ未知ですね。超手探り状態だよね(笑)。
※田代万里生さん&平方元基さんのサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします(今回は写真のプレゼントはありません)。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは10月29日(火)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
名古屋公演、拝見させて頂きました。
soml日本初演が終わってしまいました。
田代さん、平方さんのsoml、素晴らしかったです♪観る毎に違う発見とメッセージを頂きました。
もし願いが叶うなら、公演後のお二人の感想をお聞きしたいです。
インタビューのbefore&after、再演されるのであれば、その時はぜひお願い致します♪
素晴らしい作品を紹介して頂き有難うございました(*^ー^)ノ♪
お二人の和気藹藹としたインタビュー風景が伝わってきてとても楽しいインタビューでした。
二人の役の取り組み方なども知れて、益々初日が楽しみになりました!
いつも素敵なインタビューありがとうございます!
お二人の歌声をずっと聴いていられるという…ファンにとってはたまらない二人芝居、ブロードウェイ盤のセットリストを聴きながら、万里生さんや元基くんだったらどんなかな、と想像しながらワクワクしています。記事を読んで、濃密なお稽古が繰り広げられているよう、お二人の演技と歌唱がますます楽しみになりました。
どの雑誌よりも
「生きた言葉」を 届けてくださる
アイデアニュース様
岩村美佳様のインタビュー記事は
毎回 楽しみに読ませていただいて
おります‼︎
日本初演の この舞台を お二人が
どのように届けてくださるのか
益々 楽しみでなりません。
素敵なインタビューありがとうございました‼︎
インタビューありがとうございました!
お二人の取組み方の違いがわかり興味深いです。
ますます楽しみになりました。
お二人のインタビュー、とても自然体な様子が伝わってきて楽しく拝読いたしました。
公演前に興味深いお話を沢山伺えて嬉しいです。
お二人の仲の良い雰囲気が感じられるインタビュー、ありがとうございます。トレードして演じる役をどんな風に創っていこうとしているのかを少し知ることができて、とても面白かったです。後半も楽しみにしてます。
お二人が話す様子が目に浮かぶような記事をありがとうございます。
綺麗にまとまったインタビューも良いけれど万里生さんと元基さんが率直にお話しているのがわかるこういうインタビューも良いです。
お稽古が始まったばかりだからこその定まらない感じも新鮮。この後どう変わったのかも気になります。
後半の記事も楽しみにしています。
楽しいインタビューありがとうございます!万里生さんと平方さんおふたりの未知なる世界を目撃できる日が待ち遠しいです♡次回も楽しみにしておりますー!
両役をやる流れは知らなかったので聞けて嬉しかったです!2人の仲のよさが感じられたり、2人とも似ている部分や、まさか万里生さんも話をきいてなかったり(平方さんはキャラ的にも聞いてないことありそうなので)と新鮮なぶぶんもたくさん知れました
二人の意気込みもわかり、観に行くので楽しみで仕方ないです!
いつもどの役者さんにも素敵なインタビューありがとうございます
開幕が近づいてきました。役替わりのお二人のそれぞれの取り組み方や思い入れを知ることが出来て嬉しいです。
丁寧な記事をいつもありがとうございます。これからも記事がアップされるのを楽しみにしています。
アイディアニュースさんのインタビュー待ってました。お二人のお人柄溢れた、作品に触れてまもない時だからこそのお話とっても楽しく拝見させていただきました。ありがとうございました。
この作品が発表されたときからずっと楽しみに待っていました!
お2人の様々なインタビューを読みましたが、まだどこでも読んだことのなかった内容がたくさんあって、さすがアイデアニュースさんと岩村さん!と思いました!
今回も素敵なインタビュー記事をありがとうございました(*^ω^)
ぜひ、ゲネプロや初日の動画も上げていただけたらうれしいです( ´∀` )b