「今できることは何なのか考え、真摯に」、駒田一&伊礼彼方&東山義久鼎談(下)

駒田一さん(中)、伊礼彼方さん(右)、東山義久さん(左)=撮影・岩村美佳

ミュージカル『ミス・サイゴン』でエンジニア役を演じる、駒田一さん、伊礼彼方さん、東山義久さんの鼎談後半です。作品の魅力について、物語の面からと、楽曲の面から話してくださいました。(このインタビューは、『ミス・サイゴン』全公演の中止が決まる前の製作発表時に実施したものです)

駒田一さん(中)、伊礼彼方さん(右)、東山義久さん(左)=撮影・岩村美佳

駒田一さん(中)、伊礼彼方さん(右)、東山義久さん(左)=撮影・岩村美佳

――歌の稽古が始まっているということですが、初めて取り組まれていかがですか?

東山:歌・踊り・芝居とありますが、やはり僕は最初に始めたのがダンスですし、今でもショーステージを多くやっていますし、やはり踊りのほうが先に来てしまうんですが、実は僕自身はダンスがそんなに好きじゃないんです。

伊礼:そうなの…?

東山:そうなの。本当はダンス好きじゃない、疲れるし(笑)。

伊礼:なるほどね(笑)。

東山:好きな順番で言ったら、芝居・歌・踊りなんです。

――そうなんですか! それは意外です。

東山:はい。だけど好きなくせに、修練を積んでいる度合いが違うんですよね。『ミス・サイゴン』でいうと、クリスは本当に格好良く、魂を込めて曲を歌わなければいけないですよね。エンジニアは、テンションと音楽劇のような感じ。1曲を朗々と歌うというよりは、多分、魂の塊みたいな。

駒田:お芝居だね。

東山:お芝居のほうが強いので、それだったらまだいけるかなと思うところがあるんです。今日の皆さんの歌を聞いていても、すごいとか器用だなと感嘆しながらも、ドキドキとワクワクしながら音楽を聞きました。

――駒田さんから見たら伊礼さん東山さんの、それぞれの役者としての魅力とエンジニアとしての魅力の合致点みたいなものは、いかがですか?

駒田:合致というのは、まだやっていないからわかりませんが、普段の、今までの己をどこかで見ていますよね。自分がこう見ているとこう見えるんだろうなということが、どこかでわかっているんじゃないかな。そういう部分ってエンジニアは必要だし、貪欲さでありナルシストであり、なんか必死であり、かといって必死なところを見せて「これだけやっています!」というところを逆に見せない裏側みたいな。そういう部分は、持っているふたりなんじゃないかなという気はしますよね。最近どうなんだろうな義久が。今どういう風なのか。共演したときからもう10年近く経っているので。でも、先程も言いましたが、選ばれて名前を聞いた時に「おっ!」と思いましたもん。「えっ?」とは思いませんでした。

東山:良かった。そう思われていたら、めっちゃやる気が出る。

駒田:彼方は発表されるずっと前に聞いていたのですが、同じ役を演じる人について、僕は一切聞いておこうとしませんので、発表を聞いて「よし」と思いました。毎回面白い人、来るじゃないですか。前回の(ダイヤモンド)ユカイさんは驚きましたが、でも見た目とかエンジニアっぽいですもん。やはり面白かったですよね。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、『ミス・サイゴン』の歌の特徴や、オーディションや歌稽古の様子のほか、最後にひと言ずつ話していただいたメッセージなど、インタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■東山:オーディションで5、6回歌って、一発で喉をやった。気をつけなければ

■駒田:高校のブラスバンド部が『ミス・サイゴン』を演奏する。そのくらい人気

■伊礼:「ブイ・ドイ」やトゥイの曲、後ろからのアンサンブルのパワーにびっくり

■駒田:コンサートを聞く感覚でも楽しめる作品。ヘヴィですが、何かを見つけて

■伊礼:テーマは未来に続いていく。今できることは何なのかを考えながら、真摯に

■東山:お三方を勉強させていただきながら、自分なりのエンジニアとしての輝きを

<ミュージカル『ミス・サイゴン』>
【プレビュー公演】2020年5月19日(火)~5月22日(金) 帝国劇場(中止)
【東京公演】2020年5月23日(土)~6月28日(日) 帝国劇場(中止)
【北海道公演】2020年7月3日(金)~7月6日(月) 札幌文化芸術劇場 hitaru(中止)
【長野公演】2020年7月10日(金)~7月12日(日) まつもと市民芸術館(中止)
【大阪公演】2020年7月16日(木)~7月19日(日) 梅田芸術劇場メインホール(中止)
【静岡公演】2020年7月25日(土)~7月27日(月) アクトシティ浜松 大ホール(中止)
【富山公演】2020年7月31日(金)~8月2日(日) オーバード・ホール(中止)
【愛知公演】2020年8月13日(木)~8月16日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール(中止)
【福岡公演】2020年8月20日(木)~8月30日(日) 博多座(中止)
【埼玉公演】2020年9月4日(金)~9月6日(日) ウェスタ川越 大ホール(中止)
公式サイト
https://www.tohostage.com/miss_saigon/

<関連リンク>
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https://ameblo.jp/hajipyon/
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http://www.higashiyama.gr.jp/yoshihisa/
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駒田一さん(中)、伊礼彼方さん(右)、東山義久さん(左)=撮影・岩村美佳

駒田一さん(中)、伊礼彼方さん(右)、東山義久さん(左)=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■東山:オーディションで5、6回歌って、一発で喉をやった。気をつけなければ

――作品のテーマについて伺います。『ミス・サイゴン』はやはり独特な作品というか、気軽に観れないような、重い部分がありますよね。

駒田:ヘヴィですからね。

――だからこその魅力があると思うのですが、どういう風にこの作品の魅力を感じているか、もしくは自分がこの作品にどう関わっていきたいと思っているかということを、お話していただけたらと思います。

伊礼:キーが高いですよね。戦争中の混乱や騒がしさ、そういうガヤガヤしたところの上で喋らなければいけないのは、この作品はそういう特徴があるんだろうなと思いました。静けさがない。常にガヤガヤしている上で会話している感じ。だから、常に大声という印象がありますかね。歌稽古をしていて、それがキツイです(苦笑)。喉をやらないかなとか…。

東山:オーディションで5、6回歌ったのですが、もう一発で喉をやった(笑)。抜きどころがわからなくて、オーディションで見られているということもありましたし、MAXで歌ってしまったみたいな。だから本当に気をつけなければ、大変なんだろうなと。

駒田:大変、大変(笑)。それは稽古場でだんだんわかってくると思うので。でも、なかなか抜くっていうことができないんですよ。抜けない作品だから。

駒田一さん(中)、伊礼彼方さん(右)、東山義久さん(左)=撮影・岩村美佳

駒田一さん(中)、伊礼彼方さん(右)、東山義久さん(左)=撮影・岩村美佳

■駒田:高校のブラスバンド部が『ミス・サイゴン』を演奏する。そのくらい人気

――力を抜いてできない作品みたいな。

駒田:そうなんです。そのなかにもうまく、秘めた出し方とかがわかってくるんじゃないかな。僕だって、わからないことはいっぱいありますよ。あとは、高校生のブラスバンド部が、『ミス・サイゴン』を演奏しているんですよね。やはり、そのくらい人気なんだよね。

伊礼:へぇ~、そうなんですか? どの楽曲をやるんだろう。

駒田:オープニング。チャンチャンチャンチャンチャンチャンチャーン! ド頭から、キンカラカーン、キンカラカーン。

伊礼:あぁ…。

駒田:パパーン、パパーンって。打っているの。難しいから、やはり勉強の素材としてはいい。生命力があって、ブラスバンドにはすごく勉強になるんだって。楽曲として人気があるわけですよ。フィギュアスケーターの人も、この曲を使ったりするよね。

伊礼:へぇ。いろいろと使われているんですね。

■伊礼:「ブイ・ドイ」やトゥイの曲、後ろからのアンサンブルのパワーにびっくり

駒田:だから意外と、曲としては認知されているんですよね。聞くと「あっ」と思うのは、何かアジアテイストの、日本人が親しみやすい曲が多いから。そういうところが、作品へのとっかかりでもいいんじゃないかなという気がするんですけどね。

――楽曲から観に行ってみよう、みたいな。

駒田:ヘヴィな戦争の話ですが、曲が良いですもんね。

伊礼:製作発表の楽曲披露もすごくパワフルでしたね。「ブイ・ドイ」などもそうですし、トゥイの曲は、後ろからのアンサンブルのパワーにびっくりしたもの。

駒田:本篇だと次が自分の出番だから、癖で行こうとした(笑)。ついついあの曲になると、次は自分だと思って、ふーっとなるんですよ。だからたまらない。

――体が動いちゃうんですね(笑)。今日改めて思いましたが、男性アンサンブルの数が多いですよね。

伊礼:僕も初めてそれを思いました。

東山:ダブルキャストなんですか?

駒田:いや、ダブルキャストじゃない。スウィングとドラゴンダンサーが入っているから。

伊礼:あぁ、ドラゴンダンサー。

駒田:ドラゴンダンサーは、ドラゴンだけじゃなくて他にも出番があるんです。

駒田一さん(中)、伊礼彼方さん(右)、東山義久さん(左)=撮影・岩村美佳

駒田一さん(中)、伊礼彼方さん(右)、東山義久さん(左)=撮影・岩村美佳

■駒田:コンサートを聞く感覚でも楽しめる作品。ヘヴィですが、何かを見つけて

――最後にひと言ずつメッセージをお願いいたします。

駒田:非常に親しみやすいというのも言い方が難しいですが、曲を聞きに来る、コンサートを聞きに来る感覚でも楽しめる作品だと思います。確かに、史上最悪の戦争といわれているベトナム戦争を背景にしたミュージカルは、ヘヴィで大変なのですが、それを観る人がどこかで役に自身を投影して、共感できたりできなかったり、そこで何かを見つけていくこともできるんじゃないかと思います。最後まで怪我のないように、みんなで頑張っていきますので、劇場でお待ちしております。

■伊礼:テーマは未来に続いていく。今できることは何なのかを考えながら、真摯に

伊礼:戦争の作品は重たいですよね。本を書いてらっしゃる方も、こういう戦争をテーマにして、世の中を変えていこうという思いも多分あったと思うんですね。でも、戦争はなくなりませんから。テーマとしては、多分今後もずっと未来に続いていくんじゃないかと思うので、今できることは何なのかを考えながら、真摯に、やることもたくさんありますが、先輩たちの芝居を観て、勉強して、新しいエンジニアを作ります。

■東山:お三方を勉強させていただきながら、自分なりのエンジニアとしての輝きを

東山:戦争という大きな額縁のなか、いろんな人がいろんな思いをもって、愛に生きて、自分の夢に向かって生きて、いろんな人が宝石箱のようにキラキラ輝きながら、その額縁のなかにいるのが『ミス・サイゴン』だと思います。そのなかで、エンジニアとしての輝きを、お三方を勉強させていただきながら、自分なりに考えてみたいと思います。

駒田一さん(中)、伊礼彼方さん(右)、東山義久さん(左)=撮影・岩村美佳

駒田一さん(中)、伊礼彼方さん(右)、東山義久さん(左)=撮影・岩村美佳

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“「今できることは何なのか考え、真摯に」、駒田一&伊礼彼方&東山義久鼎談(下)” への 6 件のフィードバック

  1. うらら より:

    ミス・サイゴンは私が初めて帝劇に足を踏み入れた記念すべき作品です。
    今回の4人のエンジニア、本当に期待して観劇を楽しみにしていました。
    突然の全公演中止の発表は衝撃的で深い悲しみに包まれました。
    皆さまを幻のエンジニアにされませんよう、公演の実現を心から願っています。
    再び劇場でアメリカンドリームが聴ける日をお待ちしています。

  2. ココア より:

    エンジニアが決まった時から楽しみにしていました。
    予想もしない世界的なコロナのせいで公演中止。
    ショックでした。
    絶対に皆さんのエンジニアが観れる日が来ると信じて楽しみに待っています。

  3. モンブラン より:

    製作発表の日のスーツで決めたスタイリッシュなお姿と、初日へ向けての熱い想いが伝わってくる記事に、胸がいっぱいになりました… また必ず、この3人のエンジニアに会えると信じてます!!

  4. 鳥子 より:

    公演中止は本当に残念です。
    いつかこのキャストで上演が叶いますように。

  5. みゆ より:

    新エンジニア楽しみにしていましたが、今回は公演が中止となってしまい残念です。
    でも、皆さんの役にかける思いがお伺い出来て嬉しかったです。

  6. すけさん より:

    新エンジニアを楽しみにしていましたが、今回は本当に残念です。
    このキャストによる上演がいつか叶うのを心待ちにしています。

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