「アンサンブルも背負うものは多い。役割が違うだけ」、平間壮一インタビュー(下)

平間壮一さん=撮影・NORI

2021年3月27日(土)から3月28日(日)に鎌倉芸術館大ホールで上演されるプレビュー公演を皮切りに、大阪、名古屋、東京で上演されるBroadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』で、Microさん(Def Tech)とダブルキャストでウスナビ役を演じる平間壮一さんのインタビュー、後半です。アンサンブルからプリンシパルへ、そして主演へ。その変化の中で平間さんが考えてきたことを、独自インタビューで伺いました。

平間壮一さん=撮影・NORI
平間壮一さん=撮影・NORI

ーー『RENT』と『イン・ザ・ハイツ』は、平間さんが主演されると決まったときに、どちらもしっくりくる感覚があったんですが、ご自身ではいかがですか?

多分、『RENT』の中止もあったからこそ、こういうポジションのウスナビを、今も悔しさを跳ね返す勢いでやっていると思います。傍観者みたいな似たポジションじゃないですか。ウスナビ自身が頑張って張り切って人を動かすことはない。マークはマークで、周りに巻き込まれていくだけというところでいうと、その両方の思いがウスナビに乗っかっているといいますか。『RENT』でやりきれなかった部分も、ここに乗せようという感じはありますね。役が似ている分だけに。

ーー多くのミュージカルの中でも、作品のテイストも近いですよね。

「ラティーノ版RENT」みたいにも言われているんです。全然話は違うし、楽曲も違うんですけどね。でも、そういう人間性の部分が似ているのかなと思います。

ーーこういう作品は、平間さんはお好きですか? 例えば『ロミオ&ジュリエット』にも出演されていましたが、豪華だったり、ドラマティックな作品もあれば、こういう日常を描く作品もあります。

こういうの大好きです(笑)。お話の展開が派手な感じでないものが好きです。自分もそんなお金持ちで育ったわけではないので、すごく共感できちゃうんですよね。「日常で苦しいことって、いっぱいあるよね」と。貴族となると、「そもそも貴族じゃん」というひねくれの感情を持っちゃったりするんですよ(笑)。「助けて」と言ったら、助けてくれる人がたくさんいるじゃん、とか思ったり(笑)。やはり、どうにもならない人たちがこの世にはいるんだよという感じが好きです。

ーー思い返すと、アイデアニュースに最初に登場していただいたのが、『バイオハザード』でした。そのときに、平間さんのこれまでをお伺いしながら、アンサンブルからプリンシパルへ役がシフトしていく思いを伺った記憶があります。『RENT』にしろ『イン・ザ・ハイツ』にしろ、大きいカンパニーの真ん中というポジションで、役の取り組みや作品への向き合い方は、変わってきていますか?

取り組み方は、変わってないかもしれないです。むしろ、今も全然関係ない人の役を覚えて、きっかけのためにウスナビ以外の役に入ったり、「みんなの台詞やって」と言われたら、やれちゃうくらい(笑)。全部覚えながらやっています。たまたま自分に与えられたのがウスナビというだけで、今回でいうと『イン・ザ・ハイツ』が好きでやっているなという感じがします。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、アンサンブルからプリンシパルへ、そして主演へと変化していく中で、苦しかったりプレッシャーが大きくなっていった時期をへて、今、何を考えているかなどについて伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■アンサンブルのダンス、覚えています。「踊っているだけになってるよ」と言っちゃったり

■背負うものが大きくなって苦しい時期もありましたが、役割が違うだけだと気づけた

■『イン・ザ・ハイツ』は、芯が通っていて良い感じ。良い感じっておかしいですけど(笑)

■言葉数も多いので、聞き取りにこようという回もあっても良いですし、楽しいと思います

<Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』>
【プレビュー公演】2021年3月27日(土)~3月28日(日) 鎌倉芸術館 大ホール
【大阪公演】2021年4月3日(土)~4月4日(日) オリックス劇場
【名古屋公演】2021年4月7日(水)~4月8日(木) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【東京公演】2021年4月17日(土)~4月28日(水) TBS赤坂ACTシアター
公式サイト
https://intheheights.jp

<キャスト>

ウスナビ(Wキャスト):Micro(Def Tech)/平間壮一
ベニー(Wキャスト):林 翔太/東 啓介

ニーナ:田村芽実
ヴァネッサ:石田ニコル
ソニー:阪本奨悟

ダニエラ:エリアンナ
カーラ:青野紗穂
ピラグア・ガイ:エリック・フクサキ
グラフィティ・ピート:山野 光

ケヴィン・ロザリオ:戸井勝海
カミラ・ロザリオ:未来優希

アブエラ・クラウディア:田中利花

ハイツの人々:
菅谷真理恵、ダンドイ舞莉花、SATOKO MORI、戸塚 慎、ICHI、TokoLefty、東間一貴、加藤さや香

<関連リンク>
Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』 公式twitter
https://twitter.com/intheheightsjp
平間壮一 アミューズオフィシャルサイト
https://artist.amuse.co.jp/artist/hirama_soichi/
平間壮一&STAFF twitter
https://twitter.com/So1_Staff
Soichi.H 平間壮一 instagram
https://www.instagram.com/soichi.h.official/

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平間壮一さん=撮影・NORI
平間壮一さん=撮影・NORI

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■アンサンブルのダンス、覚えています。「踊っているだけになってるよ」と言っちゃったり

ーー真ん中で引っ張っていくという感じではないんですね。

はい。アンサンブルのダンス、覚えています(笑)。でも、そういった意味で引っ張っているのかもしれないですが、「ダンスをやりながら目線をこっちに向けてみたら」とか、ダンサーさんたちが多いので、「ダンスを踊っているだけになってるよ」とか、厚かましいことを言っちゃったりしています。

ーー作品への向き合い方などが、変わらないというのはすごいですね。

そうなんですかね(笑)。自分の中で、アンサンブルをやっていて楽しいなという感覚があるんですよ。だから、あまり差はないというか。カンパニーが変わっても、変わらないですね。

平間壮一さん=撮影・NORI
平間壮一さん=撮影・NORI

■背負うものが大きくなって苦しい時期もありましたが、役割が違うだけだと気づけた

ーー今はコロナ禍でもあり、当たり前ですが、時間はずっと続いています。年月を経て、思いが変わっているなと感じる部分などはありますか?

途中の段階で、やはり苦しかったり、役が変わっていくことでプレッシャーが大きくなっていったり、背負うものが大きくなって苦しくなった時期もありましたが、それは自分自身がそういう役に格差をつけているからであって、役割が違うだけだと気づけたことがここ2、3年なんです。アンサンブルだって背負っているものは、めちゃくちゃあるし、その作品の背景というか、「その作品に登場する人たちはこういう日常生活を送っています」とみせるのがアンサンブルの役割だと思うんです。自分に与えられた役はその物語を進める方にいる、というだけ。考え方が一周回って変わって、今落ち着いた感じです。

ーーなるほど。その苦しいときが、コロナ禍じゃなくて良かったですね。

本当にそう思います。すごく自分一人で背負っちゃって、公演が中止になったりしていたら、本当に大変だったと思います。でも、観にきてくださるお客さんもそうですし、僕たちも稽古中もずっと気をつけて頑張っています。誰に対しても失礼のないように動いているつもりです。

平間壮一さん=撮影・NORI
平間壮一さん=撮影・NORI

■『イン・ザ・ハイツ』は、芯が通っていて良い感じ。良い感じっておかしいですけど(笑)

ーー最後に、『イン・ザ・ハイツ』はどんな風に見てもらいたいなどの思いはありますか?

いろいろな見方ができると思います。舞台は基本的にそうだと思いますが、例えば、音楽だけを楽しもうと思っても楽しめる作品ですし、移民問題や2003年の停電の話などをメインにしてみようと思えば、そう観ることができます。そんなことを無視して、ただ日常生活をしている人たちの日々の悩みや夢にフォーカスして観てみようと思うと、そういう風にも観ることができる作品で、多分何度観ても楽しんだろうなと思います。僕も作品に関わる前は、ただただ「音楽かっこいい」でしかなかったので、本当にいろんな風に読み解けるのが、この『イン・ザ・ハイツ』のすごいところだなと思っています。考えた結果、分からないということがないんです。お客さんに任せます、ということではなくて、芯が通っていて良い感じです。そこがすごくすっきりするんです。「良い感じ」って何かおかしいですけど(笑)。

■言葉数も多いので、聞き取りにこようという回もあっても良いですし、楽しいと思います

インスタなどで絵を描きながらスペイン語を載せて「観に来てほしい」とやろうと思っていたんですが、やはり知らないことが多いですからね。ドミニカ共和国とプエルトリコのことを略してラップで「DR、PR」と言ってるんですが、一回聴いただけでは分からないですし、「ドミニカとプエルトリコの移民だけど、俺たち諦めないよ」と言われても、詳しい背景までは分からないじゃないですか。

ーー確かにわからないですね。

言葉遊びもすごいので情報量が多すぎて、歌詞でいうと今まで出てきた作品の中で、一番多いと思います。言葉数も情報量も多いので、それを一個一個聞き取りにこようという回もあっても良いですし、楽しいところがたくさんあると思います。

ーーありがとうございます。楽しみにしています。

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“「アンサンブルも背負うものは多い。役割が違うだけ」、平間壮一インタビュー(下)” への 1 件のフィードバック

  1. とろ より:

    平間さんがIN THE HEIGHTSのことが本当に好きなのが伝わってきましたし、また観劇を終えてからこのインタビューを読み返したいと思いました!気持ちの変わらない部分だったり、役に挑む上での考え方だったり、とても素敵です。舞台全体を見ていて、アンサンブルさんの役割を考えたりするところが平間さんらしいと思いました。たくさん観てこの作品をいろんな角度から味わえたらと思います。

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