2021年5月30日(日)から6月27日(日)まで新橋演舞場で上演される「熱海五郎一座」東京喜劇『Jazzy(じゃじぃ)なさくらは裏切りのハーモニー 〜日米爆笑保障条約〜』にゲスト出演する紅ゆずるさんのインタビュー、後半です。今回の作品で「宝塚色」をどう扱っていくのか、大日本帝国海軍の女性中佐という役どころについて、宝塚時代と今の日々の違いなどについて話してくださったインタビュー後半の内容を紹介します。
――紅さんが今、作品に向けて楽しみにしていることは何ですか?
宝塚歌劇は、お客様の大半の方が宝塚を知っていてご覧いただける劇団ですが、今回は、宝塚のトップだったか、よくわからない人が出ていて、「わからないけど、あの人誰?」「あの人なんていう人? べに? くれない? どっち?」「宝塚の人? トップなんだ、へえ~」と注目してもらえることが楽しみです。宝塚では今まで私のことを知らないで観に来る人は、ほとんどいなかったと思います。そういうバックアップがないなかで、熱海五郎一座に、いち女優としてゲスト出演することは、すごい冒険ですし、挑戦だなと思います。
やはり今までは「待ってました、紅さん!」だったんです。出てくるだけで拍手が起こる、ウインクすると観客からの熱い視線が感じられる、それが宝塚歌劇の世界観でしたが、今回からは土俵が違うので、自分の演じる役と自分の持っているセンスで勝負するところが、今までとは違う世界だなと思っていますね。
――誰かともわからずに、観終わってプログラムを見て「宝塚の人だったんだ」ということもあるかもしれないですね。
あとは観ていて「あの人、宝塚っぽいな」ぐらいの感じでもいいですね。そういう風に思っていただけていいんだろうなと。むしろそういうことを、特に今回は前面に出したほうがいいのかなと思ったりもします。宝塚の男役っぽいと思われてはいけない、と前までは思っていましたが、宝塚で20年弱やってきて、培ってきたものがあるからこそできる表現があると思います。
――逆にですね。
培ったものを大切に生かせるところは生かしながら、そして新しいものを吸収しながら、そういう混ざり合ったものを出していければいいんじゃないかと思っています。消さなければいけないところは消さなければいけませんが、そういうものを求められているのならば喜んで。「THE 宝塚」ではない作品だからこそ、今回は特に宝塚出身の私がむしろ宝塚らしさを売りにする場面もあってよいのではないかと考えています。
<取材協力>
ヘアメイク:hanjee(SINGO)
スタイリング:森本美砂子
衣装:ZADIG&VOLTAIRE
※アイデアニュース有料会員限定部分には、大日本帝国海軍の女性中佐という役どころについて、宝塚時代と今の日々の違いなどについて話してくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■『エル・アルコン-鷹-』の新人公演は、中佐みたいな役でした。でも、男役でしたから
■宝塚時代は睡眠を削りに削って、3時間寝たら余裕。過酷な状況のなかで、全てをかけた
■新たな感覚で役をやった時、どういうものが生まれるのか、浮かびにくくなるのか
■新しいものに接しながら「面白いな、あの子」と思われる役者で舞台に立っていたい
<「熱海五郎一座」東京喜劇『Jazzy(じゃじぃ)なさくらは裏切りのハーモニー ~日米爆笑保障条約~』>
【東京公演】2021年5月30日(日)〜6月27日(日)新橋演舞場
公式サイト
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※紅ゆずるさんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは5月19日(水)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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■『エル・アルコン-鷹-』の新人公演は、中佐みたいな役でした。でも、男役でしたから
――海軍中佐役は、その格好良さがきっと活きてくるんでしょうね。
海軍中佐役をやったことがあっただろうかと思いましたが、ないんですよね。基本的に、海軍の一番上の役が多く、『黒豹の如く』の時は、すごく上の悪者とか。基本は貴族か、お高くとまっている人。二番手の時はそういう役回りでしたから。海賊ならありますが、海軍はやったたことがない。『エル・アルコン-鷹-』の新人公演では中佐みたいな役でした。でもこの時代とは全然違いますし、まずそれ以前に男役でしたからね(笑)。
――今回は宝塚の看板とAKBの看板を背負ってきた方が、一緒にゲストで出演されるのが面白いですね。
そうですね。いろいろなジャンルの方が集まって、ひとつの目標に向かって、同じ板(舞台)の上で芝居をするのが、すごく面白いなと思います。横山さんはわかりませんが、私の場合は宝塚歌劇で女性としか芝居をしたことがないですし、その人の癖や芸風なども全部わかっているなかで、「絶対こう来るな、ほら来た」みたいな感じでしたが、今回はまず「どんな人なんだろう」から始まって、すべてがわからない何もかも白紙の状態で飛び込んでいくのは、どういう感じなんだろうと思ったりしますね。ちょっと想像がつきませんが、そんなことも楽しみながらやっていきたいなと思っています。
■宝塚時代は睡眠を削りに削って、3時間寝たら余裕。過酷な状況のなかで、全てをかけた
――宝塚を退団して、今は、いろいろな方々と接していて、そういう生活をどんな風に楽しまれて、充実させていますか?
宝塚時代は、朝起きる、すぐに稽古、劇団を出たら個人レッスン、ああもうこんな時間、明日の朝〇時だからもう寝なければ、もう限界で寝る、翌朝バッと起きてまた稽古……という感じだったので、テレビをゆっくり観る間もなく、「この資料が良いよ」と渡されても「もっと早く出してほしかった、見る時間がない……」みたいなこともたくさんある状況でした。「なぜ時間は24時間しかないんだろう」と思いましたし、どうやったら寝ずに稽古できるんだろう、なぜ人は眠たくなるの?と考えたことがあるほどでした。
――睡眠を削って、時間を作っていたんですね。
睡眠を削りに削って、とりあえず3時間寝たら余裕でしたから、そういう過酷な状況のなかでやっていって、青春の全てを宝塚歌劇にかけたからこそ、より良いものができたのかもしれません。
■新たな感覚で役をやった時、どういうものが生まれるのか、浮かびにくくなるのか
今は違う状況なので、新たな感覚で役をやった時に、考え方や、どういうものが生まれるのか、はたまた浮かびにくくなるのか。宝塚にどっぷり浸かっていたので、どういうスタイルが自分に合うのか、それも考えていきたいと思っています。
――探している最中ですか?
まだやったことがないからわからないですね。とりあえず、何事も経験は人を育てるといいますし、自分自身も宝塚でいろいろな経験をしてきて、男役をやりきって退団しました。また新たな世界で、自分自身を豊かにしていくためのいろいろなものを吸収したいなと思っています。
■新しいものに接しながら「面白いな、あの子」と思われる役者で舞台に立っていたい
――最後に読者の方へメッセージをお願いします。
昨年は熱海五郎一座の公演が中止になってしまって、まさか毎年続いていた公演が急に中止になるなんて、多分、皆さんは信じられない思いだったかと思います。「タカラヅカスペシャル」がなくなるみたいなものですから、多分、熱海五郎一座のファンの方にしてみればフェスティバルですよね。そのフェスティバルがなくなるという緊急事態になりました。もちろん、昨年の上演がなくて良かったということはありませんが、「2年分の面白さでめちゃくちゃ爆笑!」というものに、自分自身がそのなかの一員で「面白いな、あの子」と思われる役者で舞台に立ちたいと思っているので、新しい世界で新しいものに接しながら、自分自身を、お客様に楽しんでいただける女優に変化したいと思います。ぜひぜひ楽しみにいらしていただければと思います。
※紅ゆずるさんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは5月19日(水)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
紅さんの作品や役作りに対するお話を聞くのが宝塚時代から大好きでした。
今回記事を読み、ご自身の今までと現在、そしてこれからを、客観的に分析してお話されていて、クレバーな方だなと改めて感じました。
紅さんがこれから女優としてどのような表現を見せてくださるのか、ますます楽しみになりました。
舞台だけでなく、もし今後映像作品にご出演される時も、こちらで取材していただきたいです。
物語を感じるようなお写真も素敵でした。
また、最近は無料で読めたり視聴できるコンテンツが多いですが、このように有料で、しっかり読ませるような記事が増えると良いなと思います。
さゆみさん、退団後、ますます美に磨きがかかりましたね!これからもご活躍を期待しています
宝塚時代はかなり睡眠時間が少なかったんだな…と。
想像してた以上に全身全霊でされてたんだなぁと知ることが出来ました。
そこを乗り越えたからこその紅さんの舞台姿を拝見するのを楽しみにしてます。
今コロナで大変な中ですが、無事に幕が上がることを願っています。