「僕らにとって作品創りは命」、『-4D-imetor』池田純矢インタビュー(上)

池田純矢さん=撮影・NORI

「エン*ゲキ」シリーズ#05『-4D-imetor』(フォーディメーター)が、2021年8月5日(木)から8月15日(日)まで、東京・紀伊國屋ホールで、8月28日(土)から8月29日(日)まで、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演されます。〈量子力学〉をテーマに、壮大なスケールで繰り広げられる謎解きミステリー! 作・演出・主演の池田純矢さんに、作品についてお話頂きました。

池田純矢さん=撮影・NORI
池田純矢さん=撮影・NORI

――「量子力学」をテーマにする着想はどこから得られたのでしょう?

若い頃から小説を書いていたんですけど、多分17歳のときに『-4D-imetor』の原型となるアイデアノートみたいなものを作っていたんです。そもそも僕は学問がとにかく好きで、「○○学」とつけば、何でも好きっていうようなタイプの人間でした。その中でも僕の中で神に等しい存在が、アルベルト・アインシュタインで、アインシュタインに恋しすぎて、アインシュタインになりたいと思っていた人間なんです。有名どころでいえば「相対性理論」「光量子仮説」「量子力学」いろんな学問が、アインシュタインという天才1人がいなければ、多分今の人類の発展はないと言われているくらいで、本当に大天才だと思っていて。そのアインシュタインが切り開いた学問である「量子力学」という分野に関しては、もともとすごく興味があって好きだったんですが、この学問をベースに、何かエンターテインメントにできないかなと考えて「量子力学」とそれから「次元」作品では「四次元」「超能力」これを掛け合わせたら、すごく面白いものができるんじゃないかなというのが、17歳の僕の発想でした。それを何とか組み込んでやろうとしたんですが、物語にする力量がなくて諦めたという経緯が10年前にありまして。諦めっぱなしだったんですけど、その10年の時を経て「エン*ゲキ」シリーズでまた新作作りたいね、と話をしたときに、次やるとしたら何をやろうかなとぼんやり考えながらパソコンを触っていたら、10年前のファイルを偶然、たまたま見つけて「確かにこんなの考えてた。今なら書けるかもしれない」と思ったのが、今回『-4D-imetor』を作るきっかけでした。

――台本はどのくらいの期間で書かれましたか?

『絶唱サロメ』の稽古より前…2019年の5月、6月ぐらいに話が具体化して、台本は2~3週間ぐらいで書きました。メチャメチャ早かったです。そこからもちろん改稿を重ねたので、決定稿ができるまでの長い道のりはもちろんありましたが、ひとまずその原型になる台本が完成したのは、本当に3週間ぐらいでした。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、「四次元」や「超能力」をどのように表現するのかや、「ノア」を演じる生駒里奈さんについて、昨年5月の公演がコロナ禍でやむを得ず上演中止になったことなどについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。8月4日(水)掲載予定のインタビュー「下」では、作・演出・役者としてひとつの作品への関わることなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■映像は人間の想像力には勝てないと思うので、演劇人たるもの人力でやりたい

■謎解き要素のある作品を作るときに、やっぱりダブル主演だろうと

■『絶唱サロメ』を生駒ちゃんが観に来てくれて、「ノアを見つけた」って

■エンターテインメントは「命に代えられるんです、僕らにとっては」

<エンゲキ#05『-4D-imetor』>
【東京公演】2021年8月5日(木)~8月15日(日) 紀伊國屋ホール
【大阪公演】2021年8月28日(土)~8月29日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホール
公式サイト:
https://enxgeki.com/

<出演>
生駒里奈 池田純矢
村田充 松島庄汰 田村心 新子景視
藤澤アニキ 北村海 町田尚規 松本城太郎 前田りょうが 春本ヒロ
阿南健治

<スタッフなど>
作・演出:池田純矢
音楽:和田俊輔
美術:根来美咲
照明:榊原大輔
音響:井上直裕
衣裳:八重樫伸登
ヘアメイク:古橋香奈子、成谷充未
イリュージョン監修:新子景視
振付:吉野菜々子
演出助手:荻原秋裕
舞台監督:西村珠生 / 尾花真
宣伝写真:京介
宣伝美術:田中ユウコ、渡部亜利沙
webデザイン:田村桂一(dooo Inc.)
webデザイン:蘭わかば
ライター:横川良明
PRディレクター:森欣治、大西徹
キャスティング:杉山麻衣
制作協力:設楽敬子
共同プロデュース:山田泰彦、北村友香理
プロデュース:森脇直人
宣伝:ディップス・プラネット
票券:サンライズプロモーション大阪

主催:関西テレビ放送 サンライズプロモーション大阪 バール
製作:バール

<関連リンク>
公式サイト:
https://enxgeki.com/
公式Twitter:
https://twitter.com/enxgeki

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池田純矢さん=撮影・NORI
池田純矢さん=撮影・NORI

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■映像は人間の想像力には勝てないと思うので、演劇人たるもの人力でやりたい

――前作『絶唱サロメ』のように、台本執筆の時点で、キャスティングのイメージはありましたか?

全くなかったです。誰ひとりいなかったですね。当然、自分が主人公の「渡来暦」を演じるとも一切思っていませんでした。なので、本当に好き勝手に台本を書いて、気づいたら大変なことになっていたという感じなんです。

――「四次元」と「超能力」を、どのように表現されるのでしょう?

映像を使ったイリュージョンは1個も登場しません。今はプロジェクションマッピングなどの映像を使えば、何でもできちゃうじゃないですか。でもどんなに精巧な映像でも、どんなに微細な詳細な映像でも、人間の想像力には勝てないと思うので、やっぱり演劇人たるもの人力でやりたいんです。なので、今回はその人間の想像力をフルに使います。そしてお客さまに「もしかして本当に超能力者は居て、あなたたちが超能力者なんじゃないの?」と思ってもらえるような、その説得力がある作品になると思います。たぶん本当に見たことないような不可思議な絵面が、入れ替わり立ち替わり現れるので、お客さまには飽きることなく最後まで、まるでジェットコースターのように楽しんでいただけるんじゃないかと思っています。

池田純矢さん=撮影・NORI
池田純矢さん=撮影・NORI

■謎解き要素のある作品を作るときに、やっぱりダブル主演だろうと

――生駒里奈さん演じる「ノア」と池田さん演じる「渡来暦」のダブル主演ですね。

「危ない刑事」「相棒」のような、タッグを組んで謎解きをする、2人を軸に進んでいく物語を考えていました。シャーロック・ホームズの物語も、シャーロック・ホームズとワトソンのダブル主演だと僕は思ってるんですけど、そういう謎解き要素のある作品を作るときに、やっぱりダブル主演だろうというのは当初から思っていました。ノアと渡来の役はキャスティングも最後まで決まっていなかったこともあって、最初の頃プロデューサーに「渡来役は池田が」と言われたときに、「嫌です。僕は山田一郎がやりたいです」って完全に断ったんですよ。でも全然聞き入れてもらえなくて(笑)。

「仮に僕が渡来をやるとしたら、この物語の面白さを最大限引き出してくれる強力な相棒がいないと絶対無理です」という話はしていたんですけど、如何せんノアという役がすごく難しい役どころなんです。はつらつとしてパワーがあって、吸引力があって重力のあるキャラクターではあるんですけれど、どこかおぼろげではかなげでという、本当に相反する二つの矛盾を同時にはらんでいるような人じゃないと演じられない難しいキャラクターだったので、キャスティングをどうしようかと考えていました。

池田純矢さん=撮影・NORI
池田純矢さん=撮影・NORI

■『絶唱サロメ』を生駒ちゃんが観に来てくれて、「ノアを見つけた」って

本を変えることは容易にできたんですけど、でもやっぱりそこの部分を表現したかったので、なかなかキャスティングが定まらなくて。そんなときに『絶唱サロメ』を生駒ちゃんが観に来てくれて、楽屋で会って話したときに「ノアだ、居た!」と思って、もうその場で出演をお願いしました。本人の目の前でプロデューサーに「ノアを見つけた」って電話して。

――悩まれているときに、目の前の方に「役」を見出したというのは、『絶唱サロメ』の、小浦一優(芋洗坂係長)さんと同じですね。

本当に似たような感じで、ずっと思い描いて探していた人とやっと巡り合えた感じでした。でもたまたまその時期に会えて、そしてスケジュールが合って、本人も乗ってくれて出演してくれるというのは本当に奇跡みたいなもので、今回は1年以上、上演日程が繰り延べになって、それでもやっぱりノアを演じてくれる。そこまでの気持ちになってくれたということも、すごく奇跡みたいなことなんです。だから本当に『-4D-imetor』という作品は恵まれていると思いますし、作品を生み落としてあげられるということがすごく喜びです。

池田純矢さん=撮影・NORI
池田純矢さん=撮影・NORI

■エンターテインメントは「命にえられるんです、僕らにとっては」

――昨年5月の公演が、コロナ禍でやむを得ず上演中止となりましたが、この決断をされた際の想いをお聞かせください。

すごく単純な話で、僕たちという人種はエンターテインメントを創るしか能がなくて、それ以外に価値がないんです。エンターテインメント、つまり「表現をする」ということと、「生きる」ということが切り離せないので、表現をする場をなくしたら、もう後は死ぬしかないと思っているんです。少なからずそう思ってる表現者は多いと思うんですけれど、そういう僕らにとっては、中止にしなければいけないという決断はものすごく重いもので…。よく「命に代えられないでしょう?」なんて言ったりすると思うんですけれど、「いやいや、命に代えられるんです、僕らにとっては」と思うんです。一生作品を生めなくなるのと今死ぬのと、どっちか選べと言われたら、僕は迷わず死ぬことを選ぶと思います。悲しいかな、それでしか生きていけない、そういう人種なんです。だから単純な話、モチベーションが上がるとか上がらないとか、コロナ禍がどうであるかも実際そんなに関係なくて、できることの最大限をやればいいと思ってます。それをやめるということは、息を止めるのと同じだから。

「人間って何のために生きるんだっけ?」なんてよく言ったりしますけど、僕は「生きるために生きてるだけでしょ、みんな」と思います。食事をしなければ生きられない、睡眠をとらければ生きられないのと同じように、「僕の作品」を創り続けないと生きていけないんです。だから、この8月に向けて作品創りを続けてきたのも、やっぱりこの作品を生まなければいけない、生まなければ僕は生きていけないという思いでしたし、だから必然であったと思います。今もこのコロナ禍でもちろん大変な中ですが、究極のことを言うと、僕にとってはコロナ禍が終わろうが終わるまいが関係ないんです。もちろん元の世界に戻れば嬉しいですけれど、でも元の世界に戻らなかったとしても、もっとひどい状況になったとしても、例えば明日いきなり戦争が始まって地球が1週間後に終わると言われたとしても、それでも僕は多分、何も変わらないと思うんです。それは、それが僕にとってできることだから。だから、客席を50%にされたら50%で採算取れるように作品を組み直せばいいし、「お客さまを入れてはいけません」と言われたら、お客さまを入れずにできることを考えればいい。どんな状況であれ、お客さまに届けるという行為をやめることはできない。それは生きることと同義だから、ということです。なので、すごく楽観しています。

――以前「死んだように生きているのなんて、つまらないじゃない?」とお話頂いたことを思い出しました。

気持ちとしては、あの当時から何も変わっていないです。

池田純矢さん=撮影・NORI
池田純矢さん=撮影・NORI

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“「僕らにとって作品創りは命」、『-4D-imetor』池田純矢インタビュー(上)” への 1 件のフィードバック

  1. ミナト より:

    いつもとても素敵な記事をありがとうございます。
    またアイデアニュースさんの記事を読めて嬉しいです。
    こちらはいつもインタビューが深くて丁寧で、しっかり読み物として楽しませて頂けるので
    心から嬉しく思っています。
    お写真もとても素敵で、どのお写真も大好きです。

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