「幕を下ろす時、絶対的に希望をお伝えできる作品」、彩吹真央インタビュー（下）

2021年10月21日（木）から10月30日（土）まで、よみうり大手町ホールで上演される舞台『五番目のサリー』〜The Fifth Sally〜に、五重人格のヒロイン、サリー・ポーター役で出演する彩吹真央さんのインタビュー、後半です。出演は、彩吹さんのほか、仙名彩世、小野妃香里、藤田奈那、中河内雅貴、大山真志、荒井敦史、井澤勇貴、小寺利光、駒田一のみなさんです。インタビュー「下」では、共演者の印象、コロナ禍で感じたエンタテーンメントの存在価値、新規感染者数が増えていくなかで舞台に立っていた時に感じたこと、舞台に立ち続ける想いなどについて伺いました。

――今回共演の皆様はいかがですか？

女性陣は、ご一緒したことがあるのは小野妃香里さんで、仙名彩世さんと藤田奈那さんは初めましてです。ゆきちゃん（仙名さん）は、宝塚時代もご一緒していないですが、歌も踊りもお芝居もできる、凄腕女役さんというイメージがあります。キャスティングを見た時に嬉しかったです。

――娘役トップになる前に『ME AND MY GIRL』のマリア公爵夫人をされて、最高でしたね。

拝見してはいないですが、やはり達者な人にしかできない役じゃないですか。そしてトップにもなって、退団されてからも活躍をされて、これはとても楽しみな共演だなと思います。藤田さんもすごくお芝居に出られていて共演が楽しみな方。小野さんは、『楽屋』でもご一緒しましたし、今まで3回ご一緒しているので、私の良いところもというと恐縮ですが、悪いところもご存じです。そして、男性でいうと駒田一さんは、ご縁が深くて。おふたりがいてくださって、素晴らしい共演者の方々がいらっしゃって、安心して務めさせていただけるんじゃないかなと思います。駒田さんも、私の良いところも悪いところもご存じですし、私のいろいろな涙も見ていらっしゃる方だから、遠慮なくできると思います。あとは、マサ（中河内雅貴さん）と真志（大山真志さん）は共演したことがあります。このふたりも、踊りも踊れて歌えるのにストレートプレイなのかと（笑）。

――キャストの並びを見ると、ミュージカルかなと思ってしまいます（笑）。

そうですよね（笑）。プロデューサーが、「これだけ歌える人が揃っているから、ちょっとでも歌えたら嬉しいなぁ」と仰っていましたが、荻田さんがどのように演出されるかですね。荒井（敦史）さん、井澤（勇貴）さん、小寺（利光）さんは初めてで、すごくいろいろな作品に出られて活躍されている方々ですよね。ミュージカルを軽視するわけではないですが、これがミュージカル作品ならば、こんな感じで歌われたり踊られたり、表現するんだろうなということが、だいたい想像がつきますが、ストレートプレイなので、皆さんがどういうお芝居をされるんだろうと、いち共演者としてはすごく楽しみです。駒田さんも、ミュージカルでしかご一緒していませんが、ストレートプレイでご一緒できるのが新鮮だなと思います。すごく贅沢ですね。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、コロナ禍で感じたエンタテーンメントの存在価値、新規感染者数が増えていくなかで舞台に立っていた時に感じたこと、舞台に立ち続ける想いなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

＜有料会員限定部分の小見出し＞（有料会員限定部分はこのページの下に出てきます）

■「今日の新規感染者数」が増えていくなか、現実として受け入れられず…

■エンターテインメントがなかったら生きていけない、と思ってくださる方がいる限り

■コロナという目に見えない敵と、ずっと戦い続けるんだろうなと思います

■自分自身を見つめ直す『五番目のサリー』。絶対的に希望というものをお伝えできる

＜舞台『五番目のサリー』〜The Fifth Sally〜＞
【東京公演】2021年10月21日（木）～10月30日（土）　よみうり大手町ホール
公式サイト：
https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/the-fifth-sally

＜キャスト＞
彩吹真央
仙名彩世、小野妃香里、藤田奈那
中河内雅貴、大山真志、荒井敦史、井澤勇貴、小寺利光
駒田一

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■「今日の新規感染者数」が増えていくなか、現実として受け入れられず…

――最近のお気持ちを伺いたいのですが、今はいろいろと大変な状況ですが、どんな風に日々の精神を調整されていますか？

昨年からですが、最初の緊急事態宣言が出て、みんな一斉に足を止めて、公演が復活した時には、まだ波がある時に公演していました。果たして舞台に立っていいのかなとか、例えばSNSなどで、「解禁されました。観に来てください」と言っていいのかなとか、正直思ったことが何度もありました。でもそれは私だけじゃなくて、こういうお仕事をされている方は、一度は思ったことがあると思います。特に、前回の『プリンス・オブ・マーメイド』の時は、テレビで放送される「今日の新規感染者数」という数字が、1000人、2000人、3000人と増えていくなかで、本当に映画のように、現実の物として受け入れられなかったです。舞台に立つことは仕事でもあり責任を伴うことですが、観に来てくださる方も命がけで来てくださるわけじゃないですか。本当に、こんな世の中に誰がしたと、誰を憎んでも仕方がないのですが、悩むというより虚しくなった瞬間が、今回はすごくありました。

■エンターテインメントがなかったら生きていけない、と思ってくださる方がいる限り

でも、そこでやはり一番元気にしてくれるのは舞台であり、舞台を観に来てくださるお客様であり、お客様の拍手によって、舞台に立って良かったなと思いますし、立っていいんだなと、特に前回の作品の時には思いました。1年半やってきて、慣れてしまった部分があった頃に、すごく感染者が増えたので、もう一度、エンターテインメントの存在価値みたいなものを考えました。綺麗事ではないですが、人の命に関わることですから。例えばオリンピックをやる時に賛否両論があったように、エンターテインメントに対してもそう思われる方が、もしかしたらいらっしゃるかもしれない。でも、エンターテインメントがなかったら生きていけない、と思ってくださる方がいらっしゃるのも確かだから、私たちは、その方々がひとりでもいらっしゃる限り、劇場にひとりでも足を運んでくださる方がいらっしゃる限り、舞台に立ち続けようと、改めて思いました。

■コロナという目に見えない敵と、ずっと戦い続けるんだろうなと思います

みんなが1年半手探りでやってきて、いろいろなことを学んで公演をやってきました。この10月にどういう状況になっているかわかりませんが、荻田さん演出の中、私達出演者とスタッフはまた新たなチャレンジをすることになります。そして、コロナという目に見えない敵が、無くなることがあるのかわかりませんが、ずっと戦い続けるんだろうなと思います。でも、戦ったその後には、お客様に拍手を頂いているので、お客様に拍手を頂ける限りは、本当にこの仕事はやり続けていきたいです。

■自分自身を見つめ直す『五番目のサリー』。絶対的に希望というものをお伝えできる

ーーそういう強い思いで取り組む『五番目のサリー』になりますね。

『五番目のサリー』は、サリーが主役ではありますが、サリーが生きづらくなった時に別人格が生まれて多重人格になっていったという理由があります。誰もが生きづらくなっている今、この作品を観ていただけたら、「個」の自分を、自分自身というものを大切に思い、見つめ直す機会になるんじゃないかなと思います。きっと、幕を下ろす時には、絶対的に希望というものをお伝えできるはずなので、誰もがしんどい思いをしている時期ですが、だからこそ自分自身を大切にするために、それを今、改めて感じていただくために、この作品を観ていただけたら嬉しいです。

ーーありがとうございました。

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