舞台『冬のライオン』が、2022年2月26日(土)から3月15日(火)まで東京芸術劇場 プレイハウスで上演されます。舞台『冬のライオン』は、英国王家の草創期、1183年に、イングランドの国王ヘンリー二世が居城としていたフランス中部のシノン城で、領土と跡目を誰が継ぐのか決着をつけるべく、一同に会した家族の会話劇です。ヘンリー二世を佐々木蔵之介さんが、王妃エレノア役は高畑淳子さんが、ヘンリー二世の愛妾でフランス王女のアレーは葵わかなさんが演じます。演出は、森新太郎さんです。
アイデアニュースでは、アレーの異母弟でフランス王のフィリップ役を演じる水田航生さんにインタビューしました。インタビューは、上、下に分けてお届けします。「上」では、稽古をしながら感じていること、フィリップのこと、森さんの演出のこと、共演の佐々木蔵之介さんのこと、フィリップと加藤和樹さん演じるリチャードとの関係性についてなどを伺いました。「下」では、『冬のライオン』の登場人物のこと、作品の中での人間関係、フィリップの思惑、佐々木蔵之介さんと高畑淳子さんが演じるヘンリーとエレノアを見ながら感じること、今この時期だからこそ、この作品を通して感じていただきたいこと、お客様へのメッセージなどを紹介します。
(※このインタビューは2月初旬にリモートで実施したものです)
――『冬のライオン』への出演が決まったときのお気持ちは、いかがでしたか?
『ゲゲゲの先生へ』で共演させていただいた佐々木蔵之介さんと、またご一緒できるということが本当に嬉しかったです。演出の森新太郎さんとも、いつかご一緒したいと思っていましたし、もちろん蔵之介さんをはじめとする皆さんとの共演も楽しみでした。プレイハウスに出させていただくというのも『ゲゲゲの先生へ』以来で、本当に光栄です。お話を頂いた時には『冬のライオン』という作品自体はまだ知りませんでした。最初は名前から、イギリスとフランスの、ちょっと史実的な、もしかしたらシェイクスピアみたいな難しい作品なのかな?という印象を持っていたので、身が引き締まる思いといいますか、「やれるのか、俺!?」という感じでした。
――稽古の前後で、心境の変化や作品のイメージが変わったところはありますか?
思った以上に「面白くて笑える作品だ」ということに、まずびっくりしました。一番最初の本読みのとき、まず森さんが「これはコメディーだから!」と言われたときに、みんなポカーンとなったんです。でも演っていく中で「確かにこれって、よく考えたらめっちゃコメディーシーンだな」と思ったり。実際に立って、演っているのを客観的に観ると、面白くて笑えるシーンが、意外と連続して起こっているという発見があったりしています。「人と人や家族間の、面白い、いざこざ」だと思って観ると、全然最初に思っていたものと違ったなという印象です。
――「家族間のいざこざ」。それが国家規模だという感じでしょうか?
王族の家族という話もあって、人と人が喧嘩するということが、国同士の戦争になったり、血が流れたり、誰かの領土を領有しようということになるという点では、全然今の家族とは違います。でも、そういうことを抜きにして考えたら、意外とその心の面が「本当はお父さんたちに愛して欲しかったんだよ」とか、僕(フィリップ)からしたら、父親の、ある意味復讐の相手として乗り込んでいって、「どうにかこいつらをギャフンと言わせて、僕たちの家族をもう1回表舞台にカムバックさせるんだ」みたいな。こういう気持ちや思い、感情には、とても共感できるんです。それをより大きくすると、こうなるんだなという感じです。
――ドロドロした真面目な台詞劇かな? と思っていました。でも、「コメディー」なのですね。
ドロドロといいますか、人と人との騙し合い、腹の探り合いみたいなところも、もちろんメインに描かれてはいます。でも、それと同じぐらいか、それに付随してというか、笑えるシーンが割と多いんです。台本を読んだときには感じられなかったけれども、森さんが作ろうとされているように読んでみたら「確かにこれって、結構面白い台詞だよね」とか。
例えば「実は、僕は策略を持っていて、その上でこう言ってます」 という台詞。本当は予想外だったのに「いえいえ、考えていましたよ」みたいな感じで言っていても、「絶対にコイツ、今考えついたでしょ!」というような、そういう裏が見えてくるんです。
――台詞から裏が見えたり、相手が考えたりしていることが透けて見えたりすることによる、可笑しみという感じでしょうか?
そういう滑稽さや愛おしさを、メチャメチャ感じます。この登場人物たちには。
――水田さんが演じられる、フランス王フィリップは、葵わかなさん演じるアレーの、異母の弟なんですか?
原作通り、僕(フィリップ)がアレーの弟になります。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、フィリップのこと、森さんの演出のこと、共演の佐々木蔵之介さんのこと、フィリップと加藤和樹さん演じるリチャードとの関係性についてなどインタビュー前半の全文を掲載しています。2月25日掲載予定のインタビュー「下」では、『冬のライオン』の登場人物のこと、作品の中での人間関係、フィリップの思惑、佐々木蔵之介さんと高畑淳子さんが演じるヘンリーとエレノアを見ながら感じること、今この時期だからこそ、この作品を通して感じていただきたいこと、お客様へのメッセージなどインタビューの後半の全文を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■“Siri”みたいにと森さんに言われて、誰よりもSiriを聞いて研究しなければと(笑)
■絶対に答えが返ってくる森さん。どの役に対しても、飛び抜けた演出プランがある
■大好きな佐々木蔵之介さん。醸し出されるセンスや、役者としての色気がすごい
■3回目の共演となる和樹くんと、稽古場で席が隣。日常会話を一番している相手かも
<『冬のライオン』>
【東京公演】2022年2月26日(土)~3月15日(火) 東京芸術劇場 プレイハウス
公式サイト
https://www.thelioninwinter.jp/
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■“Siri”みたいにと森さんに言われて、誰よりもSiriを聞いて研究しなければと(笑)
――歴史上で実在する人物を、これまでに演じられたことはありましたか?
去年、『東京原子核クラブ』で、ノーベル賞物理学者の朝永振一郎先生をモデルにした「友田晋一郎」という役を演じました。でもこれほど昔のというか、ヨーロッパ系で1100年代の人というのは初めてだと思います。
――実在の人物を演じるときに、意識されていることはありますか?
作品の色や、作品性にもよりますが、その人ありきで、その人の史実を伝えようという作品だと、とことんその人の写真や癖、どういう人だったか、周囲の人がこの人物のことをどう語っていたか、というところまで調べます。今回も、フィリップが「尊厳王」と言われていて、生涯どのようにフランスを大きくし、統治したかというところまで、ある程度調べました。でも実際に稽古に入ってみると、フィリップの人間性を深めるよりも、この『冬のライオン』という作品としてのフィリップという方が大事だと思ったので、そこまで細かく調べなくなりました。
――実在のフィリップよりも、『冬のライオン』という作品の中のフィリップに重点を置かれたんですね。
多分、観ていただいたらわかると思うのですが、中世ヨーロッパというよりも、現代に寄っているといいますか…。森さんが、それぞれの役へのオーダーで「○○みたいにやって」とおっしゃるんです。他の方は、「○○」のところが、今実際に生きている人だったりするのですが、僕の場合は「Siriみたいに言って」と。
――“Siri”ですか!?
森さんはわかりやすいヒントをくださるんです。その言葉を聞いたときに、僕は“Siri”を追求した方がいいと思ったので、ウィキペディアでフィリップを調べるのをやめました(笑)。森さんから、稽古の最初の2日目ぐらいに、時代背景や人物の関係性や、「アキテーヌ」がどこで、「ヴェクサン」がどこで、その時代のイギリスの領やフランス領はこれぐらい、などという説明をしていただいて。もちろん最低限の知識は理解した上での話ですが、個人的なところでは、誰よりも“Siri”を聞いて研究しなければと思いました(笑)。
■絶対に答えが返ってくる森さん。どの役に対しても、飛び抜けた演出プランがある
――森さんの演出を、実際に受けられていかがですか?
もちろん知識量や演出の方法も、本当にたくさん持っていらっしゃいますし、イメージといいますか、演出プランがとても細かく固まっている方です。しかも全ての役に精通していらして、それぞれに飛び抜けてちゃんとしたプランがあるので、すごいなと思っています。
――余すところなく、作品の世界を把握していらっしゃる感じでしょうか?
わからないことを聞いたら絶対に答えが返ってきますし、「これはこうだからこうなんだよ」というのを、とても簡潔にわかりやすく伝えてくださるんです。「今やったものより、こうやった方が人を惹き付けられるだろう」 ということも、ポンポン言ってくださって「確かにその通りだな」というオンパレードなので、まずは森さんのおっしゃったことをきっちり守った上で、プラスアルファとして、自分が考えつくものを稽古場で試していって、森さんがどう判断されるかなという感じです。
――森さんから指示があって、その上でアイデアを出していくのですか?
最初はもちろん何も言われずに「やってみて」なので、自分のアイデアや考えついたものをやるんです。でも、それを見て森さんが「今のこれは、こうだ」と、全部細かく、例えば、台詞の言い方やテンポ、立てるところはどこか、「このシーンはここを伝えなきゃいけないね」ということを、本当に細かく演出してくださるので、まずはそこからクリアしていく感じです。
■大好きな佐々木蔵之介さん。醸し出されるセンスや、役者としての色気がすごい
――『ゲゲゲの先生へ』以来の2回目の共演となる、佐々木蔵之介さんとは、いかがですか?
佐々木蔵之介さんのことが、大好きなんです。急に馬鹿みたいになっちゃいましたけど(笑)。今回は特に、ヘンリーとエレノア、蔵之介さんと高畑淳子さんの役は台詞量が多いので、稽古場でさりげなく普通の日常会話をちゃんとする機会は、正直あまりないんです。でもやはり板の上で、舞台上で稽古をされている姿を拝見すると、本当に勉強になることがたくさんあります。所々でちょっとした会話をさせていただいたり、ちょっとした気遣いなどで、座長として皆さんを盛り上げてくださっています。
今回、僕は蔵之介さんと「王」として対峙します。対峙したときに、何かつかめない感じや、声を荒げずに、雰囲気でフィリップをイラッとさせるものを発してくださって、お芝居の居方や雰囲気だけで説得力があるんです。醸し出されるセンスや、役者としての色気がすごいなと思っています。普段は飄々と、「何も考えてないんだよ」みたいな感じでおっしゃるんですけど。
■3回目の共演となる和樹くんと、稽古場で席が隣。日常会話を一番している相手かも
――ヘンリー二世の長男、リチャード役の加藤和樹さんとも、これまでに共演されていましたが、作品についてはなにかお話をされましたか?
和樹くんとは今回で3回目の共演です。稽古している中で、細々したことはお話してますけれど、そこまで作品については喋っていないかもしれません。でも、稽古場で隣の席なので、日常会話は和樹くんと一番していると思います。
――フィリップとリチャードの関係性が、当時のホモソーシャルの域を超えていたのでは? という一部の解釈がありますが、今回の『冬のライオン』の中でも、そのような描写があるのでしょうか?
そこは原作通りで、もちろん関係はあります。結構、肝になってきます。
――フィリップとして一番絡む人物は、どの役になりますか?
この人とだけ、というわけではないです。一番対峙することが多いのはヘンリーですが、意外と三兄弟は(ヘンリーの息子たち:リチャード、ジェフリー、ジョン)同じぐらいでしょうか。逆に女性陣とは、ほぼ絡まないんです。
――姉であるアレーとも絡まないのですか?
きょうだいなんですけど、ほぼ絡まないですね。
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