今年8月に帝国劇場で上演されるミュージカル「王家の紋章」。アイシス役で出演する濱田めぐみさんにお話を伺いました。劇団四季で演じた「アイーダ」にも繋がりがあるそうです。興味深いお話が盛り沢山! 「上」「下」2回にわたってお届けします。(「下」は5月27日に掲載します)
■金髪の女の子がいて、王子がいて、古代に行って……
――製作発表を終えていかがですか?
原作ファンの方、ミュージカルファンの方はもちろん、キャストもアイドル出身の宮澤佐江さんや、声優の宮野真守さんなどいろんなジャンルから集結しているので、やはり注目度が高いと思いました。原作漫画はたくさんの方が読んだことがあるんじゃないでしょうか。全部は読んでいなくても、金髪の女の子がいて、王子がいて、古代に行って……というところは、誰もが知っている話だろうと思います。今日の製作発表の記事が世に出ることによって、さらに注目度が上がるんだろうなと。今の日本人が、子供の頃から手に取って何気なく見ている「ガラスの仮面」「ドラゴンボール」「ドラえもん」などと同じ、誰もが知る漫画のジャンル。日本の文化として根付いていて、文化の一部分なんだと思いました。いろんな方の思いや期待感がある作品ですね。
――原作物というと、「デスノート」も人気の作品でしたね。
あのときもすごかったですね。まず、どうやって死神をやるんだという部分がありましたから、また違った反響でした。ジャンルは違いましたが、同じぐらいの注目度というか、どちらも皆さんが気になる題材ですよね。
――浦井さんとは「デスノート」以来の共演ですね。
浦井くんとは同じ8月生まれで、誕生日が近いんです。「Songs for a new world」「二都物語」で共演したときに、お互いお祝いしましたね!今回も8月だからまた祝いあえるかなと楽しみです。夏になると共演する機会が多いですね(笑)。
■「アイーダ」大阪公演で作った「図書館」に「王家の紋章」が
――「王家の紋章」は、私も子供の頃に読んでいるのですが、いろいろ気になります。
やっぱり気になりますよね。もし舞台の仕事をしていなくて、全く違うところで「王家の紋章」の舞台化と聞いたら、「え!? どうなるの!?」と頭にかすめますよ。
――濱田さんはいつ頃読まれたんですか?
小さいときにも読んだ記憶はあるのですが、ハマって読んだのは「アイーダ」大阪公演のときです。大阪公演のときは劇場とホテルの往復だったので、ホテルに帰って何もやることがないんですよ。その時は韓流ドラマをみていたり、ジムに通ったりしていたんですが、カンパニーで「王家の紋章」が流行って。「図書館」というのを作るんですが、みんな定住しているから、買った本を読んだら図書館に入れるんです。
――そこでみんなで借り合うんですね?
そうです。誰の本かわかるように本に名前を書いて、誰が持って帰っているかがわかるようにリストにも作って。「リアル図書館」です(笑)。休演日には5冊ずつぐらい借りて持って帰ってました。
――「王家の紋章」を持ち寄った人がいたんですね。
多分、本屋でまとめ買いしてきたんだと思います(笑)。最初に10巻ぐらい買ったら、みんな気になりだしてきて、「じゃあ、もう、買っちゃえ!」と誰かが(笑)。みんなでハマりましたね。
――「アイーダ」のときだとリンクしますよね?
ものすごくリンクしました。物語の状況的には全然違いますが、時代感や文化という背景が、実際に舞台で体感しているものと似ていましたから。読みながら共感しました。
――アイシスに共感したそうですね。
そうなんです!
<公演情報>
ミュージカル「王家の紋章」
【東京公演】2016年8月5日(金)~8月27日(土) 帝国劇場
プレビュー公演 2016年8月3日(水)、8月4日(木) 帝国劇場
<関連ページ>
帝国劇場『王家の紋章』のページ ⇒ここをクリック
濱田めぐみさん、HORIPROのページ ⇒ここをクリック
濱田めぐみさんのオフィシャルファンクラブ ⇒ここをクリック
- 「『王家の紋章』初演で、自分に欲があると確信した」、平方元基インタビュー(下) 2017年5月9日
- 「余白で自分らしさを出さなければ」、『王家の紋章』平方元基インタビュー(上) 2017年5月8日
- 原作世界を見事に再現、“よく知る登場人物”に再会したようなミュージカル「王家の紋章」 2016年9月22日
- 舞台上で自分が壊れないようにしないと、濱田めぐみインタビュー(下) 2016年5月27日
- ミュージカル「王家の紋章」に出演、濱田めぐみインタビュー(上) 2016年5月26日
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<プレゼント>
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■舞台上の世界になると、思いや苦しみや悲しみが体に入ってくる
■古代の人のアナログな感覚のところまで行けたら
■私、もしかしたらエジプトに相当いたんじゃないかと(笑)
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■舞台上の世界になると、思いや苦しみや悲しみが体に入ってくる
――それは「アイーダ」をされていたことが影響してたんでしょうか?
そうだと思います。本来、私自身は何に対しても執着心がないんです。自分がやった役も終わったら手放してしまうので、どうぞ他でやってくださいというくらい。いっそ何もやらないで、いつまでもお家で犬と遊んでいたい(笑)。でも、舞台の上の激動の世界になるとキャッチできるというか、思いや苦しみや悲しみが体に入ってくるんですよね。そういう体質で、舞台上の空間に入ると、次元が違うんだと思います。だから、「アイーダ」をやってリアルな感情を体感していると、遥かな量の感覚や嫉妬、妬み、喜びなどを経験して、そのキャラクターのなかでシンパシーが湧いてくるんです。アイシスというキャラクターで言うと、この人の悲しみや苦しみがわかるという感覚。
――「念」の部分ですね。
キャッチすることができるんです。そのフィルターでものを見ると、共感しますね。原作を読んでいると、そこには書かれていない、もしかしたら彼女が思っている裏の心の部分がふっと湧いてきたりするんです。先日スチール撮影をして思ったのは、やはり女性だから、愛する人の子供が欲しいと思ったときに、このお腹の中にメンフィスの子供を宿したいという母性があると思うんです。その思いがあるからこそ、国を守りたいと思う気持ちが生まれるんじゃないかと。メンフィスが父性で国を守るのに対して、アイシスが母性で包んで絶対にこのエジプトだけは守りたいと思う。原作に描かれていない部分でも、自分が生のアイシスという女性を通して感じる部分もあると思います。彼女の人間の部分が、舞台上で生々しく、赤裸々に描かれると思いますが、アイシスという女性を描いていこうねとリーヴァイさんとも話しているんです。綺麗な部分は残しつつ、オブラートに包んで、荻田さんと相談しながら作っていきたいと思っています。
■古代の人のアナログな感覚のところまで行けたら
古代の人は基本的には生きることに長けていた人たちで、戦いや本能で生きている部分があると思うんです。そういう部分も魂に兼ね備えたうえでの恋愛だと。だから結構ハードルが高いなと思います。現代の人の恋愛感とは全く違うと思いますね。きっと、パピルスなどに書いて手紙交換をしていたんでしょうね。壁画の前で待ちますとか、洞窟で待っているけど、待ち人来らずとか。そういうアナログな感覚のところまで行けたらいいなと思います。
――アイシスは現代にも行く役ですし、そういうところも面白いですね。全キャストと関われるんじゃないでしょうか?
多分そうですよね! 私が現代にいくときにライアンさんが「アプローチする」と言ってました(笑)。アイシスは占星術を使い、地の動きも、気候も全てのことを網羅していると思います。今の時代に信じられないようなことを、例えば重力も操って、当たり前にやるんじゃないかと。時空を越えて行こうとする機動力の源はメンフィスですよね。愛しい人を自分はミイラとなって守っていたのに、現代のキャロルたちが弟の墓を暴いたことで、そこを掘り返すなんてと。ミイラになっても彼女の念は現代にいたということだから、「アイーダ」と通じるところもありますね。彼女はこの作品のキーパーソン。作品を彩る骨格は各々のキャラクターがまっすぐに立っていて、空気感、神聖さは、アイシスが担当していると思います。
――そもそも、アイシスがいなければ、ふたつの時代は絡み合っていかないですね。
星の動きを操れる女性だと思うので、そういうものを駆使して現代にくるというのは、すごい機動力だなと。死を覚悟して、自分の弟を返せとくるんですからね。現代に来て、恨みをはらして、過去に戻った場合、運命が変わっていたりするのかしら。パラレルワースドというか。リーヴァイさんとどういう曲調のナンバーにするかと話していたときにも、そういう話になったんです。アイシスという女性の立ち位置や、彼女がどう思って国を大切に思っているか、今後どういう風に繋げていこうかと思っているか。さらに、普通の文明は栄えて廃れていくものだけれど、エジプト文明は文明が最高潮のときに一度終わっていることなど、いろんな話をしたんです。
――そういうお話も曲に生かされていくんですね。
デモテープを聞かせて頂いたんですが、すごく素敵な曲ができました!
■私、もしかしたらエジプトに相当いたんじゃないかと(笑)
――アイーダといい、王家の紋章といい、古代エジプトがお似合いですね。
エジプトに興味がないと思っていたんですが、もしかしたら、あまりに舞台上に居すぎて飽きてしまっているのかもしれないですね。興味が失せてしまい、もう卒業と手放してしまうと興味が湧かないんです。経験しつくしてしまっているから。少し経験して手を引っ込めると、もっと探求したいと思って、例えばヨーロッパや中国に行きたいというのはあるんですが。エジプトに対してはそれがほとんどないので、相当いたんじゃないかと(笑)。
――ものすごく詳しかったりするかもしれませんね。あそこを曲がると……とか(笑)。
あそこでパピルスを売っていてね……とか、それぐらいすごく馴染みすぎている気がします(笑)。
――こういうお話になると思っていなかったので、びっくりしています(笑)。
私もびっくりです(笑)。なんでこんな話をしているんだろう。びっくりしてしまいますよね。
――作品って面白いなと思いました。内容についてだけでなく、そこからインスピレーションを受けるものがあるんですね。
この話から外れられないですね。