濱田めぐみさんのインタビュー後半。「王家の紋章」についての続きはもちろん、有料部分では、ソロミュージカル「Tell Me on a Sunday 〜サヨナラは日曜日に〜」についても伺いました。
■リーヴァイさんと話していると、器が大きすぎて半端がないんです
――製作発表で皆さんで歌ってみていかがでしたか?
緊張してしまって、声を合わせた感覚を感じることができなかったんです。それぞれの思いを同じ歌詞で歌うナンバーなので、本番ではもっと多種多様な状況になると思います。今日のナンバーは4重唱ですが、アレンジを変えて、1幕ではアイシスのソロになるんです。メンフィスを思って歌うビッグナンバーで、もう切なくて可哀想なんです。綺麗なメロディラインのなかに、突然マイナーな音が入ってきたり、ポジティブな音が突然入ってきたりするので、戸惑ってしまうのですが、恋しているときってそれぐらい気持ちが揺れているんですよね。ちょっと過敏になったり。それを、リーヴァイさんが無意識にキャッチしていらっしゃるんです。人間じゃないと思いましたね(笑)。
――人間じゃない?
人間感がないんですよ。とても人間らしい人なんだけれど、話していると、器が大きすぎて半端がないんです。ジュリー・テイモアさん、アンドリュー・ロイド=ウェバーさんなどもそう感じました。あのクラスの方って、地球の人じゃないな、間違ってここに来てしまったんじゃないかなって。明らかに違うんです。ビビビビって何か発していますね(笑)。
――すごいですね……。製作発表で濱田さんが歌っているとき、メンフィス(浦井さん)が後ろから見つめていました。
全然気がつかなかった! 製作発表でステージに立っているときに、「あ! 私、この弟をすごく愛している」と思った瞬間があったんです。どこの瞬間だったかは忘れてしまいましたが。それが、アイシス的な状況の女性の意識とリンクした瞬間だと思います。でも、そこにはいけない何かのハードルがあって、もどかしいという思いがありました。彼女を思ったときに、エリザベス1世が浮かんできて、同じ類いの魂なのかなと。エリザベス1世は政治と結婚したヴァージンクィーンと言われていましたが、少し似ているなと。だから、アイシスはきっと実際にエジプトにいたと思うんですよね。
――なるほど。歴史上にいた人物なんだろうと。
インスピレーションで、細川先生と芙〜みん先生がキャッチして書かれたんじゃないかと。いないわけがないと思います。きっとそういう人物はたくさんいたと思いますよ。
――確かにエネルギーに満ちた人がたくさんいたような気がしますね。
■テレビの考古学の番組を見ていたら、アイシスの気持ちに
先日、テレビの考古学の番組で、ミイラを見つけたと。それを普通に見ていたら、だんだん腹が立ってきたんです。アイシスの感覚ですよね。
――掘り起こすなと。
勝手に、誰の許可を得て、掘っているんだと。「お前らはツタンカーメンの子孫か!? 彼らからの許可を得ているのか!?」という気持ちになって、煮えくり返っていたんですが、これは私の感情じゃないと。この気持ちはアイシスの気持ちだと思いました。愛する人のミイラを出して、包帯を取って、生身をだすなんて、何てことを! 死んでも阻止しようと思って見守っているから、どれだけ呪ってやろうかという気持ちはすごいだろうなと。時を超えて現代に来る思いは半端ないですね。
――でも、エジプトの歴史に本当にそういう方がいたとしたら、濱田さんにそれぐらいのことを思わせますよね。折りに触れ、その感情を呼び起こさせそうです。
そうだと思います! だから、舞台上で自分が壊れないようにしないといけないですね。
<公演情報>
ミュージカル「王家の紋章」
【東京公演】2016年8月5日(金)~8月27日(土) 帝国劇場
プレビュー公演 2016年8月3日(水)、8月4日(木) 帝国劇場
<関連ページ>
帝国劇場『王家の紋章』のページ ⇒ここをクリック
濱田めぐみさん、HORIPROのページ ⇒ここをクリック
濱田めぐみさんのオフィシャルファンクラブ ⇒ここをクリック
- 「『王家の紋章』初演で、自分に欲があると確信した」、平方元基インタビュー(下) 2017年5月9日
- 「余白で自分らしさを出さなければ」、『王家の紋章』平方元基インタビュー(上) 2017年5月8日
- 原作世界を見事に再現、“よく知る登場人物”に再会したようなミュージカル「王家の紋章」 2016年9月22日
- 舞台上で自分が壊れないようにしないと、濱田めぐみインタビュー(下) 2016年5月27日
- ミュージカル「王家の紋章」に出演、濱田めぐみインタビュー(上) 2016年5月26日
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<プレゼント>
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■ソロミュージカル「Tell Me on a Sunday 〜サヨナラは日曜日に〜」絶賛稽古中
■ひとりで演じる新しいロイド=ウェバーの作品を紹介できるいい機会
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■ソロミュージカル「Tell Me on a Sunday 〜サヨナラは日曜日に〜」絶賛稽古中
――ソロミュージカル「Tell Me on a Sunday 〜サヨナラは日曜日に〜」についてもお伺いさせてください。
ありがとうございます。絶賛稽古中です。25〜26曲歌うのですが、切れ目がないんですよね。歌いながら、動きながら、喋りながら、70分間続くので、集中力の勝負ですね。
――新国立劇場の小劇場は、そこまで小さい劇場ではないですよね。
そうなんですか? それは大変ですね。さらに、舞台上に客席もあるので、ふっと見るとお客様がいらっしゃるんですよね。きっとそこに座られる方は、近しいファンの方だと思いますので、知った顔ばかりで「がんばれ!」という思いを受けながらやることになると思います(笑)。
――応援が手に取るように届きますね。
この作品は、すごくチャーミングで可愛いんです。ロイド=ウェバーが、いろんな大作を作ってきて、「エビータ」を作り終わったときに、ひと休憩して、ミニマムな手に届くような作品を作ろうと、ドン・ブラック(歌詞)と組んだ作品なんです。そのときは、「ソング&ダンス」という1幕が踊りで2幕が歌の作品だったんですが、2幕の評判がよかったので、ワイドにしたものが原型なんです。イギリス発の作品で、喧嘩の歌からはじまるのですが、それはイギリスでスタンダードなナンバーで、誰もが知っていて、口ずさむ曲だそう。日本では喧嘩からはじまったらお客さまがひいてしまうかもしれないので、演出の市川(洋二郎)さんが日本人の感情に添うようにアレンジをしています。夢を持って、イギリスからニューヨークに出てくる「エマ」という女性のお話です。彼女がなぜニューヨークに出て来るのかの理由づけもわかりやすく工夫しています。
――どんな物語ですか?
エマがいろんな人と恋愛をしていくんですが、相手がいると想定して、歌で物語を綴っていきます。1年間の物語で、春夏秋冬が描かれていて、男性4人と恋愛していきます。ストーリー的には何も変わることはなく、状況が変わることもないんです。ただ、エマが悩んで苦しむだけですが、最後にはこれではいけないと人格的に1歩大きくなって、前に踏み出し、大人になるというエンディングを迎えます。
――より私たちに近しい物語ですね。
そうなんです。だからやっていてキツイですね。恋愛パターンが4つあるので、お客様もどこかに共感するんじゃないでしょうか。ひとり分でひとつのミュージカルでもいいぐらいですが、それが4人分ですからね。同じ曲で歌詞が4パターンあったりするんです。もう、脳トレみたいですね。
――市川さんが「今までの濱田さんをぶっ壊す」と公式HPの対談でおっしゃっていましたが?
壊されるもなにも、もう、壊れてます(笑)。寄せ集めながらやっている感じで、壊すまでもなかったねと。
■ひとりで演じる新しいロイド=ウェバーの作品を紹介できるいい機会
――ひとり舞台というのはいかがですか?
もう……寂しいです。頼るところがないから。今まで、いかに共演者の方々に頼って、力をもらいながら、尚且つ、お客様の力ももらってやっていたのかということがわかりました。共演者の方々と横に回したものを、お客様と縦に回すようなイメージなんです。でも今回は、お客様と交流することも出来なくて。ひとりの女性を演じるのですが、自分で発信して、自分で完結する。それを、覗き穴で見ているような、垣間みてもらうような感じになりますね。そういう舞台はお客様も初めてではないでしょうか。お客様も見方を勉強しないといけないし、私もパフォーマンスの仕方を実践でやってみる、初めて同士。日本にとっては画期的な作品でもありますし、新しいロイド=ウェバーの作品を紹介できるいい機会になると思います。女優さんひとりで、どこの劇場でもやれる演目なので、いろんな方にチャレンジして頂きたいですね。いろんなパターンの「Tell Me on a Sunday 〜サヨナラは日曜日に〜」を作ってほしいと思います。私も見てみたいですし、根付けばいいなと思います。
――以前、安蘭けいさんがソロミュージカルをされていましたね。
そうでしたよね! 大変だったと思います。見にいけなかったんですが、よくやるなと思っていたんですよ。まさか自分がやるなんて(笑)。
――「Tell Me on a Sunday 〜サヨナラは日曜日に〜」はひとりのミニマムな世界で、「王家の紋章」は多くの共演者と帝国劇場という大きな劇場。対照的な作品が続きますね。
本当に真逆の作品だと思います。
――「Tell Me on a Sunday 〜サヨナラは日曜日に〜」公演中は、浦井さんと伊礼さんが中劇場で「あわれ彼女は娼婦」に出演されているんですよね。
公演後は3人で「王家の紋章」の稽古場に移動ですね(笑)。
――調べてみたら、上演スケジュールもほとんど一緒でした(笑)。昼夜で両方見ることが出来る日もありました。
ぜひご覧になって頂きたいです。
――最後に、「王家の紋章」を楽しみにしているお客様へメッセージをお願い致します。
原作ファンの方、ミュージカルファンの方をはじめ、日本全国の方が注目してくださっている今年の夏のひとつの話題だと思いますので、どういう舞台に仕上がっているかを見にきて頂きたいです。原作の持っている世界観を大切にしていきたいと思いますし、リーヴァイさんの曲と合わさったときに、どのような立体的なものに仕上がるのかすごく楽しみです。もう、キャストみんなが仲良しになっているので、この感じのまま盛り上げていきたいですね。まずは人間ドラマであること。そして、古代に生きていた人たちと現代に生きている人たちの違いも見どころですし、いろんな見方ができるように作りたいです。いろんなジャンルの方に見にきて頂いて、みんなに愛される作品に仕上がるように、お稽古を頑張りたいと思います。