中川晃教さんのインタビュー後半です。有料部分では『Seasons of love』というタイトルの裏テーマや、『ビューティフル』のお話も伺いました。
――シアトリカルなコンサートということですが、楽曲構成はどう考えていますか?
音楽という所でいうと、自分の揺るがない部分で伝えて、届けていきたいと思っています。歌の表現、歌の力でどこまでお客様の心を掴むことが出来るかという意味では、これまでの16年間の経験をしっかりと表現出来ると思っています。一方で、音楽の世界にいざなう曲の世界観。僕は日本人の独特な感覚だと思うんですが、宇宙を感じたり、香りを感じたり、そういう五感で日本人は古来から遊んできたと思うんですね。それは、俳句も古典芸能、伝統芸能もそうですよね。
デビュー前の17歳の時に、初めて韓国に行ったんですよ。その頃は、今の時代のような映画や芸能の交流はありえなかったですが、大学生同士が交流する日韓シンポジウムに、僕は高校生でしたが参加させてもらったんです。3日間行われたシンポジウムの最後の日に、「ミレニアム」という僕自身が書いた曲を、ピアノを弾きながら日本語で歌いました。それはちょうど2000年に向かっていた年だったので、1000年ごとに区切っていくということで、「ミレニアム」という曲を書いたんですね。
神様、優しく強く自分を抱きしめて
長く長くこの地球この場所で生きていけたら
神様、熱い涙がこの地球に降り注ぐ
それでもその熱い涙が抱きしめてくれるから
今の自分がある
こんなに小さな僕だけど
後ろを振り返らずに前へと歩んでいきます
長く長くこの地球でこの場所で過ごしていきたい
という何でもない当時の思いを歌った曲で、これは未発表曲なんです。それを初めて韓国の学生の前で歌った時に、日本人としてのアイデンティティを、ちゃんとその曲で表現したいと思いました。
僕、茶道をやっていたんです。煎茶でしたが、その時に自分がその時間から何を感じ取るかは自由だけれども、「これは日本人だからこそ感じられる感覚なんだ」という事を知るためにお茶をやり始めたような感覚があったんです。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、「season」という言葉に込められたもう一つの裏テーマや、『ビューティフル』公演などについて話してくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■わかりやすい日本ではなく、感覚や感性の中にあるアイデンティティを
■『ビューティフル』を終え、男優賞を頂いた後の「この時」でもある
■『ビューティフル』では、あらためて帝国劇場の大きさを感じました
■一番後ろのお客様とも、歌の力で距離を縮める事が出来ると思います
<中川晃教コンサート2017 ~Seasons of love~>
【名古屋公演】2017年9月14日(木) 中日劇場
【大阪公演】2017年9月24日(日) 新歌舞伎座
【東京公演】2017年10月1日(日) 明治座
http://www.akinori.info/contents/index.html
<関連リンク>
中川晃教オフィシャルサイト http://www.akinori.info/
中川晃教オフィシャルTwitter https://mobile.twitter.com/nakagawa1982aki
- 「共感によって生まれるエネルギーを感じてもらえたら」、『i be』古川雄大(下) 2022年4月30日
- 「あっという間!」、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』中川晃教・三浦涼介対談(下) 2022年4月8日
- 「初めまして」、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』中川晃教・三浦涼介対談(上) 2022年4月7日
※中川晃教さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは9月18日(月)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
<最新情報>
2017年11月4日~5日 新国立劇場 中劇場にて、中川晃教コンサート「I Sing」シリーズ開催決定
※ここから有料会員限定部分です。
■わかりやすい日本ではなく、感覚や感性の中にあるアイデンティティを
海外志向というか、音楽も洋楽を聞いていたし、好きなものも洋楽でしたし、そういうものにある種憧れていた僕自身が、どこかで自分が日本人らしさというものに気づいたならば、今の日常に感じていることを歌で表現する時に、もっとそこに個性というものを注ぎ込めるんじゃないか。むしろそれがないと、自分の夢を叶えることが出来ないんじゃないかと、高校生の時に思ったんですよ。そういうタイミングだったことと、韓国で歌ったことが自分の中で大きな気づきになっていくんです。日本人として見る世界を、今回コンサートをやるにあたって考え始めました。
――コンサートの構成を考える時に、高校生の頃のことを思い出したんですか?
そうなんです。思い出したということは大きいですね。だからこの場所でやることの意味が、僕の中にはあると念頭に考えると、朗読もすっと出てきました。何を朗読するかは当日までの秘密にしたいですが、それを読んでいると、すごくイマジネーションが掻き立てられるんです。僕もそうですから、きっと聞いているお客様も同じじゃないかなと思います。そのイマジネーションの中にある、わかりやすい日本ではなく、そういう潔いジャパンも僕は好きだけれど、もう少し感覚や感性の中にある日本人としてのアイデンティティというものを、改めてこの場所で、いい意味での緊張感、空気の力を借りながらコンサートが出来たらと思い立ち、朗読をやろうと思いました。
■『ビューティフル』を終え、男優賞を頂いた後の「この時」でもある
――今、自分がやりたいと思うものに、この世界観と通じるものが見つけられたからそれをやりたいという事でしょうか?
それがこのタイトルに結びついていることが、多分分かってもらえると思うんですよ。篠笛とか和楽器が入るという単純なコラボレーションももちろん良いと思いますが、もう少しそこにいい意味での満足感というか、「良いものを観たな」と思わせられたらいいなと思っていて、そこにはどうしても演出が必要になるんです。
――コンサートを観終わったときに、すべてが『Seasons of love』に繋がるような感じですか?
そうですね。あともう一つの裏テーマがあるんですが、「season」という言葉を単独で考えた時に、今の旬の魚はこのシーズンにしか食べられないと言うように、「season」という言葉をもう少し掘り下げるとさらに意味があるんです。今の自分は『ビューティフル』を終えた後だったり、賞を頂いた後ということもあって、色々なその時の特別な事柄をもってステージに立ち続けていますよね。そういう今のシーズン、今のこの季節、この時であること。
――タイミングというか「その時々」という感じですね。
もちろん、今回この曲と、朗読と、この流れをすべて観終えた時に、『Seasons of love』というタイトルに辿りつく、なるほどと思ってもらえるのも、まさに今だから届けられるんだと思います。これが例えば来年だったら、また違う『Seasons of love』にきっとなると思うんですよね。だからそうやって、僕達はどこか彷徨っているように勘違いしてしまうような時もあるし、実際に彷徨っているのかもしれないけれど、目的がない訳ではないですし、なかった目的も気づいたら誰かと共有することで、やってみようと思える気持ちになった時ってひとりじゃない。そう言うととても飛躍してしまいますが、その季節一つのタイミング、一つの時を感じ合える音楽の魅力や歌の魅力があるのかなと思います。
――きっとその「時」は3ヶ所の劇場でまたそれぞれ「時」が違うので、また違う何かが生まれるかもしれませんね。
そうですね!
■『ビューティフル』では、あらためて帝国劇場の大きさを感じました
――『ビューティフル』が始まっての思いを少し伺いたいのですが。(『ビューティフル』公演中にお話を伺いました)
『ビューティフル』どうでしたか? 楽しかったですか?
――とても楽しかったです!
久しぶりに帝国劇場でやらせて頂いたことが嬉しかったですね。あらためて劇場の大きさを感じました。開幕中は舞台の一番奥は見えないんですよね。当然お客さんの顔は見えないですが、最後のカーテンコールで照明がついた時に一番後ろも、前も横も全部が見えるじゃないですか。舞台稽古をやりながら、やはり「こういう空間なんだ」「こういう場所なんだ」という役者の感覚で捉えて、自分がどう見せるべきかという事をやってきている訳ですよね。自分の中に「帝劇ってこういう場所だったな」という事を改めて感じられたことに一つ喜びが持てた事が第一なんですが、同時に公演をやっていて、カーテンコールで一番後ろのお客さんを見た時に、「ああ、すごく遠い」とも思いました。
この距離を縮めること、そして距離はあるけれども、「遠い=どこかに置いていかれる」という気持ちにさせるのではなく、むしろ前のめりにさせるということ、これが自分のテーマでもあるなと思いました。ステージに立ち続けること、走り続けること、極め続けること、やり続けることと重なったんですよね。自分が遠いと感じたのは、単純に距離が遠いからであって、お客さんとかけ離れているとは思っていないですね。
――物理的な距離ですね。
そう。その物理的な距離を感じさせないぐらいの人間になりたい、表現者、エンターテイナーになりたいと改めて思ったんですよね。劇中では感じなかったんですが、最後のカーテンコールで強く感じました。そこには稽古中からこの作品と向き合ってきた時間と、中川晃教が歩んできた時間の2つの時間のシンクロがあるんですよ。それを話すとものすごく長くなるので(笑)。
■一番後ろのお客様とも、歌の力で距離を縮める事が出来ると思います
――では、また別の機会に伺います(笑)。『Seasons of love』はどの劇場も大きくて、帝国劇場に近い規模の劇場ですね。今のお話にも繋がっていくと思いますが、楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
ミュージカルはカンパニー全員で届けていくというのがミュージカルの醍醐味ですし、それこそが一番気配りをするポイントです。カンパニーの付き合いが表面的だったりすると、それは舞台の上ですべて出てしまいます。かといって仲が良すぎて馴れ合いになることが良いことではなくて、何か一つの芸に向かって、それぞれが自分のやるべき役割をちゃんと感じながら、見つめながら、やらなくてはいけない。でも舞台に立ち始めた瞬間は、もし誰かが何か違うことを行っても、それにちゃんと応えられるような阿吽の呼吸というものと、それだけの稽古を積み重ねてきているという自信を持ちながら、毎回新鮮にやっていく。今言ったことすべてがひとりでは生まれなくて、カンパニーだからこそ生まれる感覚なんです。でも、コンサートではそれをひとりで背負っていきます。
一番後ろにいる、物理的距離を感じるお客様とも、音楽や歌の力でその距離を縮めることが出来ると思っています。来てくれている全員に「また聞きに行きたい」と思ってもらえるような、そういう歌の力をちゃんと届ける場所がコンサートだと思うので、ぜひたくさんの方に足を運んで聞きに来て頂き、観て頂き、さらにミュージカルを観に行くきっかけにもなるようなコンサートになればいいなと思っています。
※中川晃教さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは9月18日(月)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
岩村さん、いつも読み応えのある記事と、美麗なお写真をありがとうございます。
岩村さんの撮られる中川さんのお写真は、中川さんの持つ繊細な内面が伝わって来るようで、いつも目を奪われています。
今回の緑をバックにしたお写真も、何枚かすごくお気に入りのものがあります。
また次回の記事とお写真も楽しみにお待ちしています。
季節の変わり目ですが、岩村さんもお身体に気を付けてお仕事頑張って下さいませ。
素敵な写真と分かり易い記事をありがとうございます。独特な世界観を持ったあっきーの音楽、いつも新しい何かを私達に届けてくれる未知の楽しさがもう、たまらないです。上、下に分けて掘り下げていただき、まさに今の『Seasons of love』を全身で浴びて感じてきたいと思います。
今回の劇場ならではが詰まった今度のコンサートが益々楽しみになりました♪
毎回思いますが、アイデアニュースさんのインタビューは読みごたえがありますね。
そして写真も中川さんがとても自然体で素敵だだなぁって思います。
こういう写真が撮れるからこそ、お話の内容も深く、他では聞けないようなことも出てくるのかな?
記事を読んで、今の中川さんが歌う「ミレニアム」がとても聞きたくなりました。
Seasons of loveに込めた中川さんの思いがインタビューにぎっしり詰まっているので、何度も読み返し、期待が高まっています。いつも素敵な記事と写真、とっても嬉しいです。有難うございます。
Seasons of love
今までのコンサートにない、新たなパフォーマンスが体感できるのを
とても楽しみにしてます。
『Seasons of love』のコンセプトなどを上手く中川さんから引き出して頂いた、とても興味深いインタビューでした。いつもながら岩中さんと中川さんの信頼関係からならではの内容になっていると思います。ありがとうございます。アーティストから発せられる滅多に知る事が無い本音が聞けた気がします。コンサートが更に楽しみになりました。
久しぶりのLIVE ACTということで、中川晃教さんの想いというか、頭のなか、かな?を見せてもらえそうでとても楽しみです。
長くファンをやって来ましたが、コンサートやライブではいつも新しいものを見せてくれてきたので「今度は何を見せてくれるんだろう?」というワクワク感で、何とかして行かなくちゃ!という気持ちになります。
シンガーソングライターだけでなく、ミュージカル俳優としても熟してきた今だからこそ見せてくれる世界なのだろうと思います。
とても楽しみですし、これからもずっと応援していきたいと思います。