2015年初演の日本オリジナルのミュージカル『HEADS UP!』(ヘッズ・アップ!)が2017年12月14日(木)から神奈川・富山・長野・大阪・愛知・東京で上演されます。普段、表舞台に登場することのないバックステージで働く舞台スタッフの奮闘を描く、芝居・楽曲・ダンスと三拍子揃ったオリジナルミュージカルは、初演で第23回読売演劇大賞演出家部門優秀賞を受賞。「また観たい」という観客の要望に応えての再演です。この作品に「演出部 九条六平」役で今回、初めて出演されるオレノグラフィティさんにお話をうかがいました。
――今日のお稽古はダンスでしたが、お稽古が始まってどのくらいになりますか?
実際日数で言うと3日くらい、製作発表の時の歌稽古を入れて4日間ですね。
――製作発表の時の歌稽古は1日だけだったんですか?
前日の夜に1回でした。しかもスケジュールの関係もあって、全員がお稽古に来れた訳じゃなかったんですけど、再演なので皆さん楽曲を覚えていらっしゃるんですね。
――歌稽古が1回というのは、初参加組としては大変でしたね。
でも丁寧に教えていただきましたし、早めに音源もいただいていたので。
――楽曲もとてもノリが良くて耳馴染みが良いですね。
皆さん技術的にすごいと同時に、慣れてらっしゃるというか。僕、本格的なミュージカルに出演させていただくのは初めてなんです。シアターコクーンで『スーベニア』(2016年)という音楽劇に出して頂いたことがあるのですが、その時はピアノを弾く方がメインで、歌よりもお芝居の方が多かったんですけど、今回のようにナンバーでずっと繋ぎ続けるっていうのは初めてで。
――しかもこの作品は「バックステージ・ミュージカル」ということで、歌いながらセットを建て込んでいくそうですね。
面白いですよね! 建て込んで、バラして。一番まっさらな状態から始まって、元に戻っていく。初演は映像で拝見したんですけど、すごいですよね。実際生で観たら何が起こっているんだという感じでしょうね。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、「まさか一緒に舞台に立てる日が来るとは思ってなかったです」という共演者のみなさんなどについて伺ったお話など、インタビュー前半の全文と写真を掲載しています。11月10日掲載予定のインタビュー「下」では、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』に武田義信役で出演した時、かつらなので前髪だけ黒くしていて後ろは金髪だった…、切腹だと思ってたら「首だ」と言われて苦悶…、などの面白エピソードが次々出てきたインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■本当に舞台に長く関わっている方じゃないと演出できないし、書けないものだなと
■すごいですね。一幕で建て込むだけでもすごいのにね。それをバラすっていうのが(笑)
■橋本じゅんさん、アッキー(中川晃教)さん…、“面白格好いい”先輩たちしか居ない
■皆さん楽しんでらっしゃる。裏にはすごい努力はあるんですけど。そういう部分を学べたら
<ミュージカル『HEADS UP!』(ヘッズ・アップ!)>
【神奈川公演】2017年12月14日(木)~12月17日(日) KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
【富山公演】2018年1月20日(土) オーバード・ホール
【長野公演】2018年1月26日(金)1月27日(土) サントミューゼ 大ホール
【大阪公演】2018年2月2日(金)~2月4日(日) 新歌舞伎座
【愛知公演】2018年2月15日(木)2月16日(金) 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
【東京公演】2018年3月2日(金)~3月12日(月) TBS赤坂ACTシアター
※公式サイトに2015年の公演のダイジェスト映像が掲載されていましたので、共有させていただきます。
<関連リンク>
HEADS UP! 公式サイト
http://m-headsup.com
HEADS UP! Twitter
https://twitter.com/KAATHEADSUP
劇団鹿殺し
http://shika564.com/wordpress/?p=924
オレノグラフィティ Twitter
https://twitter.com/oreno_g
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※オレノグラフィティさんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは11月23日(木)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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■本当に舞台に長く関わっている方じゃないと演出できないし、書けないものだなと
――『HEADS UP!』は2015年が初演で、しかもオリジナルミュージカルなんですね。ラサール石井さんのスタッフさんへのリスペクトが込められた作品で。
そうですね。本当に舞台に長く関わっている方じゃないと演出できないし、書けないものだなと思います。
――構想は以前からお持ちで、でもなかなか理解を得られなくて、板にのせられなかったとお聞きしました。
実際、実現するとなったら大変ですもんね。クリアしなきゃならない問題はたくさんあるでしょうし。
――特にミュージカルというと、こうパーッと華やかだったり、悲劇的なドラマ展開で登場人物の誰かが亡くなったりという作品が日本ではよく上演されていますが、この作品は普段表舞台に出ないスタッフさんたちに焦点をあてたバックステージエンターテイメントということで、かなり異色のミュージカルですね。
たとえば悲劇的な物語で人が死ぬって事と、舞台の本番中にトラブルが発生するっていうのは、舞台人にとっては同じぐらいデカいことで(笑)。だからドラマって意味では『HEADS UP!』はすごく僕らにとっては「生死に関わる」ことというか。舞台セットを詰め込んだトラックの荷物が半分しか届かないとか、アウトじゃないですか、この時点で(笑)。
――作品を拝見しましたが、トラブルの二重苦三重苦がこれでもか!これでもか!と重なっていて、胃が痛くなりそうでした(笑)。舞台人としては、あって欲しくないシュチュエーションが山盛りで!
無茶苦茶ですよね(笑)。
■すごいですね。一幕で建て込むだけでもすごいのにね。それをバラすっていうのが(笑)
――ですから、舞台に関わっている人間にはものすごく面白い内容と思いますが、一般のお客様の反応は気になりませんか?
そうですね。でも初演の評判が凄いみたいで「やっぱり解るんだな」って思いましたね。僕らにしか解らないことなんだろうなと思っていましたけど、それが上手くエンターテイメントに昇華されているから、きちんと伝わる。そういう部分は莫大な工夫をされている。『HEADS UP!』は裏方さんに光をあてて「表側からは見えない部分があるんだよ」っていうことを見せてるんです。でもそんな舞台『HEADS UP!』を作り上げるために陰で試行錯誤する『本当の裏方さん』がいるわけで。その努力の量はきっと想像を絶すると思いますよ。
――キャストの皆さん自身が「裏方」として舞台を創るスタッフとして動く訳ですけれど、その皆さんを支える正真正銘の「スタッフ」の方々が、見えないところにちゃんといらっしゃるので、ちょっと不思議な入れ子構造というか。そのあたり他の作品と何か勝手が違うところがあったりするのでしょうか?
特殊は特殊ですね。まずキャストの皆さんはすごく軽快に簡単に面白おかしくポップに演ってらっしゃるけれど、ポップに見せるための創意工夫とその労力がすごい舞台だと。多分、玄人の人たちはそう思うだろうし、演劇を見慣れている方たちにも、多分それはすごく伝わる舞台だと思うんですよ。それがやっぱり評判を呼んだひとつの要因であると思いますし、しっかり伝わっているんだという気がします。だから自分もそれを体現するとなると、やっぱりすごく苦労するなと今から覚悟しています(笑)。
――バックステージものと呼ばれる作品はありますが、素舞台から始まって、セットを建て込んでいって、上演中のシーンもあって、そして幕が降りた後にバラシまで見せて素舞台に戻す、というのはそうそう無いと思います。
すごいですね。一幕で建て込むだけでもすごいのにね。それをバラすっていうのが(笑)。
■橋本じゅんさん、アッキー(中川晃教)さん…、“面白格好いい”先輩たちしか居ない
――例えば本当はバラシにしてもそれなりに時間がかかるモノですが、そこをエンタメとして「見せる」ためには時間内に納める工夫が必要で。
そうですよ、本当に。しかも段取りの中でテキパキやらないといけないし。
――その「作業」を演じつつ、何よりも観客を置き去りにしてはいけない訳で。
そうですよね、白鳥ですよ本当に。水面下で足を動かし続けているのに、すごく優雅に皆さん演ってらっしゃる。熟練の方のすごさを目の当たりにしています。今回は現場に、“面白格好いい”先輩たちしか居ないので、もうすごく勉強しようと思っています! いろんなものを盗まないと損だなと。
――“面白格好いい”先輩!
僕は橋本じゅんさんが「轟天」(『直撃!ドラゴンロック~轟天』1997年)の頃から拝見していたので、まさか一緒に舞台に立てる日が来るとは思ってなかったです。アッキー(中川晃教)さんもそうですし、哀川翔さん、ラサール石井さん、倉持裕さん、大空ゆうひさん、皆さん各分野の、僕が“目指すべき大人たち”が、沢山いらっしゃる現場。それぞれのプロフェッショナルで、しかも面白く生きてる、っていう方たちとご一緒できるこの舞台が、人生のひとつのターニングポイントになればいいなと思っています。こんなにすごい現場に居られることがなかなか無いから、本当に(笑)。しかも3月までずっと一緒に地方も行けるし。
■皆さん楽しんでらっしゃる。裏にはすごい努力はあるんですけど。そういう部分を学べたら
――地方公演もいろんなところに行かれますね。
僕も今、自分がこれからどう演劇に関わっていくのか考えないといけない時期だなと思っているので、それぞれの皆さん、こう、役者としてであったり、演出家としてであったり、もちろんスタッフさんであったり、どうやって日々楽しく生きているのかっていうことを、間近で見られたらなとは思ってます。
――「日々楽しく」というのは、ひょっとして前回インタビューさせていただいた時の、ふと立ち止まって「俺今何やってんだろう」という気持ちから派生していたり?
そうなんですね(笑)。やっぱりなんかね。「鹿殺し」って、ひたすらつっ走る劇団だから、公演中はなかなか気持ちに余裕がないんです。上手くしないと時間を作れないし、上手くしないと楽しむ余裕すら出てこない。でも「楽しさ」っていう部分は、すごく舞台上に出てくる気がするんですよね。『HEADS UP!』は特にそうだと思うんですね。皆さんが楽しんでらっしゃるから、お客さんも楽しいっていうのを体現してらっしゃる。もちろんその裏にはすごい量の努力はあるんですけど。そういう部分をすごく学べたらなと思ってます。
※オレノグラフィティさんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは11月23日(木)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
いつも読みごたえのあるインタビューをありがとうございます!
オレノグラフィティさんご出演のミュージカルHEADS UP!ものすごく楽しみにしています!