脚本・演出を手掛ける前川知大さんによる、水木しげるさんの作品へのオマージュの舞台『ゲゲゲの先生へ』が、2018年10月8日(月祝)から10月21日(日)まで東京芸術劇場プレイハウス、ほか、松本、大阪、豊橋、宮崎、北九州、新潟で上演されます。日常に妖が存在する世界で、観客に近い目線で物語に携わる、忠(タダシ)役の水田航生さんにお話を伺いました。
――「ゲゲゲ」とくれば、『ゲゲゲの鬼太郎』と、思わず口にするほど有名な作品ですが、水木しげるさんの作品に関して何か思い出はありますか?
そうですね、『ゲゲゲの鬼太郎』は、小学校のとき林間学校に行くときのバスの中で、ビデオで見たのを覚えています。
――作者である水木しげるさんのお名前は?
はい、もちろん知っていました。
――今回の作品は水木しげる作品へのオマージュとお伺いしています。
水木しげるさんの伝記ではないんですけど、生き様を描くみたいな、水木しげるさんが生み出した作品を元に新作を創ろうと思っています。
――ご出演が決まったときのお気持ちは?
まず、演出の前川知大さんとご一緒出来るのをずっと夢見ていた部分もあったので、そこが嬉しかったのと、やっぱりこのお三方、佐々木蔵之介さん、松雪泰子さん、白石加代子さんをはじめとする、素晴らしい役者たちの中で演れるというのが。自分がどこまで出来るんだろうっていうすごいプレッシャーも感じながら、でも、自分が持てるものすべて発揮して、戦っていかなきゃなという、身が引き締まる思いでした。
――そうそうたるメンバーが集った俳優陣ですが、今まで共演されたことがある方はいらっしゃいますか? 出演作を拝見すると、佐々木蔵之介さんと白石加代子さんは、2017年に出演されたNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』にお名前がありますね。
そうです!実は、『ひよっこ』で、佐々木蔵之介さんとは一瞬だけ同じシーンがあって、絡ませて貰ったんです。僕はテレビ局のアシスタントプロデューサー役で、有村架純さん演じる、みね子をスカウトするんです。それで、その店の従業員の皆さんが出てくる中で、一瞬だけ。だから、実は台詞は交わしているんですよね(笑)。
――そうだったんですね! その頃すでに、今作のお話はあったのでしょうか?佐々木さんと直接お話されたりとかは?
お話はまだなかったですね。蔵之介さんとも、そのときもう本当に一瞬だけだったので。今回も、『ひよっこ』のときの話もまだしてないです(笑)。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、この作品の脚本・演出を担当する前川知大さんが主宰する劇団「イキウメ」がすごく好きだという水田航生さんがイキウメの『天の敵』公演を観た時のエピソードや、この作品で前川さんがどのように稽古を進められているかについて語ってくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。10月2日掲載予定のインタビュー「下」では、水田さんが演じられる「忠(タダシ)」役について伺ったほか、最近の出演作『ZEROTOPIA』について語ってくださった内容など、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■映画『太陽』で「イキウメ」を知って。「こんな本書く人、どんな人なんだろう?」って
■脚本・演出の前川知大さんは、どんどんディスカッションをされる方で、稽古がすごく面白い
■すごいフィクションなんだけど、それがあたかもノンフィクションのように見える
■全く知らなかった人の人生をこの一週間で知るって、すごく結構面白いことだなぁって
<舞台『ゲゲゲの先生へ』>
【東京公演】2018年10月8日(月・祝)~10月21日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
http://www.geigeki.jp/performance/theater177/
【長野公演】2018年10月27日(土)~10月28日(日) まつもと市民芸術館 主ホール
https://www.mpac.jp/event/drama/25514.html
【大阪公演】2018年11月2日(金)~11月5日(月) 森ノ宮ピロティホール
http://www.piloti-hall.jp/kouen/kouen_details.php?kc=201807040002
【愛知公演】2018年11月9日(金)~11月11日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
https://www.toyohashi-at.jp/event/performance.php?id=522
【宮崎公演】2018年11月14日(水) メディキット県民文化センター 演劇ホール
http://www.miyazaki-ac.jp/PDFupload/files/cal201811.pdf
【福岡公演】2018年11月17日(土)~11月18日(日) 北九州芸術劇場 大ホール
http://q-geki.jp/events/2018/gegege-sensei/
【新潟公演】2018年11月22日(木)~11月23日(金・祝) りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
http://q-geki.jp/events/2018/gegege-sensei/
<公式サイト>
『ゲゲゲの先生へ』
https://www.gegege-sensei.jp/
東京芸術劇場のページ
http://www.geigeki.jp/performance/theater177/
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水田航生オフィシャルブログ
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- 「『冬のライオン』は、愛があふれている作品」、水田航生(下) 2022年2月25日
- 「フィリップは、“Siri”みたいにと」、『冬のライオン』、水田航生(上) 2022年2月24日
- 2019年以前の有料会員登録のきっかけ 2020年8月18日
- 浜中文一と室龍太、上口耕平と水田航生で、ミュージカル『ダブル・トラブル』2022-23冬 2022年10月7日
- 『盗まれた雷撃 パーシー・ジャクソン ミュージカル』、2022年9月・10月に東京・京都で上演 2022年6月20日
- 「『冬のライオン』は、愛があふれている作品」、水田航生(下) 2022年2月25日
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■映画『太陽』で「イキウメ」を知って。「こんな本書く人、どんな人なんだろう?」って
――先程もお名前がでましたが、脚本・演出の前川知大さんを大変尊敬されていらっしゃると伺いました。
前川さん主宰の「イキウメ」さんをすごく好きなんです。「イキウメ」さんに出会ったのが、映画の『太陽』(2016年)という作品に出演したのがきっかけです。公演の映像を見たりして、そこで初めて知ったんですけど、それから公演がある度に拝見していて、すごい感動したり、感銘を受けたりしていたので、なんと言うか、「いや、こんな本書く人、どんな人なんだろう?」みたいなところから、どんどん前川さんにハマって…、じゃないですけど(笑)。いろいろ前川さんのインタビューを読んだり、Twitterもフォローさせて貰っていろいろ(笑)。いまは、あんまりそういう気持ちを持って稽古場にいるのは、良くないって思っていて、一応、役者と演出家という関係性の中で、しっかりと意見を言い合って演ろうとは思っているんですけど。
――「イキウメ」さんがお好きという熱がものすごく伝わってきました!ずっとリスペクトされていたんですね。
いやもう「イキウメ」さんがすごい好きだ!っていうので、そこが入りではありました。
――今回ご一緒される以前に、前川さんとお話されたことは?
ある、かな? でも多分、割と毎回観に来てくれる役者だなっていうのは、思っててくれてたんじゃないのかな(笑)。『天の敵』(2017年)という作品を観に行ったときに、終わった後にすっごい興奮しちゃって、そのときもあまり前川さんと面識なかったのに、「あれは、こうで、こうですよね!」とか、ものすごい勢いで感想を言って、「いや、あのシーンが、最初のクッキングシーンがまずあるっていうのが匂いがもう、ずっと残っちゃって!」とかいうのを、すごく仲良い友達みたいな感じで前川さんに矢継ぎ早に言っちゃって(笑)。若干前川さんが「すごいな、おい、大丈夫か」みたいな感じだったのを、なんとなく覚えています…(笑)。
――では、今回はその前川さんが脚本・演出ということですから、役者としても夢見た場所という感じですね。
ご一緒したかった方と、ご一緒させてもらえるっていうのは、本当にそうそうないことですし、ありがたいことだなっていうのは思います。本当に感謝です。
■脚本・演出の前川知大さんは、どんどんディスカッションをされる方で、稽古がすごく面白い
――前川さんのお書きになった戯曲をお読みになったときに、どんな印象を受けられましたか?
初見は水木しげるさんの知識があまりなく読んだんです。本に出てくる水木しげるさんの原作短編は読ませてもらってはいたんですけど、それぞれ全く違う短編を、こうやって繋げる巧妙さはやっぱりさすがだな、っていうのと、一体これはどうやって表現するんだろう?っていう、ちょっとこう、楽しみもありで。前川さんも、割と「ノリで書いた」っていうのをすごくおっしゃるから、「これ、どうやって演るんだろうね」みたいな(笑)。前川さんは、どんどんディスカッションをされる方で、ご自分が想像していないものを、どんどん欲していらっしゃるというか。そこはすごい面白いですね、もう稽古自体が。
――完成した台本はありますが、そこからさらに演者・スタッフの皆さんとのディスカッションを経て、さらにブラッシュアップされるのですね。
前川さんが書いてはいるけれども、ご自身が思っていないような役者からの意見だったり、スタッフさんからの意見だったりが出ると、「なるほど、そういうのがあるんだ」っていうのを、すごい柔軟に取り入れる方です。
■すごいフィクションなんだけど、それがあたかもノンフィクションのように見える
――お稽古は始まったばかりだと思いますが、既にそういうこなれた雰囲気が醸成されているんですね。
そうですね。最初の方はまったく台本読みもほとんどせずに、前川さんが資料をいっぱいくださって、授業みたいな感じで「水木しげるさんとは?」みたいなところから始まりました。本について1ページ、1ページ、みんなで何時間もかけて話すっていうのが、僕自身初めてで。でもだからこそ、前川さんのワールドって、すごいフィクションなんだけど、それがあたかもノンフィクションのように見えるっていうのは、ここまで綿密な計画を持って、すごいディスカッションをして、共通認識を全員で持っているから、それがまったくの嘘に見えないんだなっていうのをすごく感じました。稽古最初の、本当に1日、2日で(笑)。
――これから皆さんで作品世界を構築されていく訳ですけど、まずは土台を造るために、カンパニー全員のヴィジョンを、その1日、2日かけてのディスカッションで完全に一致させてズレもブレないようにという感じで。
そうです。だから、「この世界ではこれが常識だよね」とか、「これはこういうことが起こった後の世界だから」みたいなのって、もう本当に想像を巡らすしかないんですけど、それを本当に細かいところから。だから、大げさなことを言ったら「このときに匂った匂いはこういう匂いだよね」ぐらいなものから(笑)、全部組み立てていってるので、そこがすごいなぁ!って感じはありますね。
■全く知らなかった人の人生をこの一週間で知るって、すごく結構面白いことだなぁって
――皆さん本当に同じ認識、同じ場所からスタート出来るということですね。
そうですね。もちろん、水木しげるさんについての知識は差があったんですけど、僕もそんなに詳しくなかったので、それを全部刷り込んでくださるのは本当にありがたいです。やっぱり、ここ1週間だけでも、水木しげるさんのことを結構詳しくなりました(笑)。全く知らなかった人の人生をこの一週間で知るって、すごく面白いことだなぁって。そこにはやっぱり戦争も絡んでいたりとか、いろんなことがあって。その時代の状況も絡んでいるし、本当に歴史の勉強みたいなものにも繋がります。
――水木しげるさんご自身のエピソードで、強く印象に残ったものはありますか?
『水木しげる伝』という、上・中・下3巻セットの本があって、1冊500ページくらいあるやつを全部読んだんです。やっぱり1巻は、戦争体験が事細かに書かれているのが結構くらいました。ちょうど同じ時代の『永遠の0』も結構読んでいたので、同じラバウルという戦地の話だし、元々知ってた知識もあったからこそ、割と階級が上の人たちの話じゃなく、最前線の、まったくのもう「当たって砕けろ」の人たちの話が生でリアルに書かれていたから。でも水木しげるさんが書くと、絵のタッチもそうなんですけど、そこにはやっぱりユーモアがあって。実はこの作品でも、みんなで話し合いながら、戦争体験っていうのは、それを知っている、知っていないっていうのは絶対に大きいなっていうのを感じました。そこがすごい印象に残っていますね。
※水田航生さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは11月1日(木)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
水木しげる先生の作品は、恥ずかしながら「ゲゲゲの鬼太郎」しか存じませんでしたが、今回のインタビューを読んで、ぜひ水木先生について調べてみたいと思いました。分厚い『水木しげる伝 上・中・下巻』を読みきる自信はありませんが(笑)、その世界観に近づければと思います。
いつも素敵なインタビューとお写真ありがとうございます。「ゲゲゲの先生へ」楽しみにしています。(^ ^)
水田航生さん。華やかな西洋ミュージカルから日本現代劇、王子様的なドラマなど幅広い演技でいつも楽しませてもらいハート撃ち抜かれています!
これからも永く応援していきたい貴重な俳優さんです。頑張って下さい。