小説家、北川恵海さんの70万部を超える大ベストセラー『ちょっと今から仕事やめてくる』が、青山隆役の飯島寛騎さん、ヤマモト役の鈴木勝吾さんのW主演でついに舞台化! 2019年6月13日(木)~6月23日(日)まで、東京・CBGKシブゲキ!! にて上演されます。繰り返されるハラスメントに擦り切れ、死んだように生きていた青山を救う、ヤマモトを演じる鈴木勝吾さんに、作品についてお話をうかがいました。
――小説が原作で、これまでに映画化やコミカライズという複数のメディアで展開されている作品ですね。ご出演が決まったときはいかがでしたか?
映画を見させていただきまして、お芝居もそうですし、作品のテーマもすごく素敵な映画だなと思いました。それで、舞台化のお話とともに「“ヤマモトという役を是非”ってお話が来てるよ」と言われて、「え、めっちゃいいじゃないですか! 出たいです」とお話をさせていただきました。だからすごく有り難かったですし、同時に、これを舞台で演るのも、ちょっと面白いかもしれないなと思いました。
――テーマ的には、長時間労働やハラスメント、ブラック企業など、現代日本社会の宿痾的な、結構重いものを扱った作品です。これらのテーマに取り組まれたご経験はありますか?
お芝居でこういうテーマはないかも。わかりやすく、こういう社会問題ということはないかもしれないですね。
――では、テーマ的には、はじめて向き合われることになりますね。
そうですね。でも、かいつまんでテーマを選んでしまうと、結局“どう生きていくことが幸せなのか?” ということだと思うんです。ブラック企業であったりとか、ハラスメント、そういうことに関しては題材でしかなくて、テーマは“どう生きていくのが幸せなのか”ということだと思っていて。なので、社会問題としての重さも当然そうなんですけど、そこは軽やかに「題材」として踏みつけて、むしろ、もっとその奥にあるテーマというものを、ちゃんと表出できるような舞台にできたら良いかなと思っています。
――W主演の飯島寛騎さんとは初共演ですか?
そうなんですよ、初共演させていただく形になります。今日会うのは2回目なんですけど、取材を1日一緒にやらせていただいています。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、共演者のみなさんの印象や、役柄への思いなどについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。4月9日(火)掲載予定のインタビュー「下」では、作品についてのほか、今年30歳になって思うところなどをお話しいただいたインタビュー後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■飯島さんは年齢と関係なく、役者という仕事に前向きに取り組んでいるのを感じる
■偶発的な瞬間に居合わせて、すぐ手を差し伸べられるヤマモトの人間性に興味がある
■ヤマモトは生き方全てを見つけた人間。ある意味、物語の中での「神」なんです
■ヤマモトが大阪弁をしゃべることの意味を。本当に届けたいものを精査して
<舞台『ちょっと今から仕事やめてくる』>
【東京公演】2019年6月13日(木)~6月23日(日) CBGKシブゲキ!!
(東京都渋谷区道玄坂2-29-5 ザ・プライム 6階)
公式サイト
https://www.chottoimakara.com/
Twitter
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<関連リンク>
ヒラタオフィス 鈴木勝吾
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- 2019年以前の有料会員登録のきっかけ 2020年8月18日
- 「演劇は拡散力では映像より弱い。でも素晴らしい」、鈴木勝吾インタビュー(下) 2019年4月9日
- 「ヤマモトは神」、『ちょっと今から仕事やめてくる』鈴木勝吾インタビュー(上) 2019年4月8日
- 「“即興音楽舞踏劇”とは、新しいジャンル」、『砂の城』池田純矢(上) 2022年10月13日
- エン*ゲキ#06 即興音楽舞踏劇『砂の城』、2022年10月・11月に東京と大阪で上演 2022年8月7日
- 「“ひりひり”しながら必死の稽古場。4日目に通しも」、鈴木勝吾・梅津瑞樹(下) 2022年6月10日
※鈴木勝吾さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは5月8日(水)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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■飯島さんは年齢と関係なく、役者という仕事に前向きに取り組んでいるのを感じる
――「青山隆」役として、鈴木さんの「ヤマモト」とガッツリ組むことになる、飯島さんの印象は?
まず、若い!(笑)。22歳でまず若いということと、本当に芸能人らしいスラリとした体型というところと、あとは、意志が強いというか、「僕はこういう風に思ってます」と、自分の思っていることを、すごく表現したい、言葉にしたいんだなと。だから、22歳という年齢とは関係なく、この人とお話したり、一緒に作劇していくというのは、すごく楽しい作業になりそうだな、と思っています。
――今日一日取材をこなしながら一緒に過ごされて、それほどに受け取られるものがあったのですね。
そうですね。でも、1時間でも話せば、大体人間は見えるというか。インタビュアーさんを介してですけども、お芝居というものをどう思いますか? ということを口々に話さなきゃならない環境の中で、やっぱり話し方であったり、ちょっとした休憩のときのやりとりだったりとかで、そこから見えてくるもの、意志の強さというか、役者という仕事に前向きに取り組んでいるというのはすごく感じます。会ってまだ2日目ですが、これから稽古だったり、また一緒に取材させていただくこともあると思いますし、もっとくだけた話もできる機会が増えていくと思うので、すごく楽しみですね。
■偶発的な瞬間に居合わせて、すぐ手を差し伸べられるヤマモトの人間性に興味がある
――演出の深作健太さん、脚本の田村孝裕さんと、一緒にお仕事をされたことは?
深作さん・田村さんともはじめてご一緒させていただきます。初めてだらけですね、今回は。
――そうなんですね。中島早貴さんとは、昨年の『ザ・池田屋!』で共演されましたね。
早貴ちゃんはそうですね。あれから結構、本当にみんな仲間とかで仲良くて、みんなでご飯行ったりとか、舞台を観に来てくれたりとかしてます。
――今作では役の上での直接の関わりはありそうですか?
原作とか映画を見ている限りでは、僕はほとんど青山にしか介入しないところがあって、逆にそれが見え方のギミックとして、“青山にしか見えないなにか”にも見えるというか。ファンタジーに見せるところもあったりして。
――公式ページのあらすじでは、青山とヤマモトの出会いを、過労のために駅のホームで意識を失い、電車にはねられそうになった青山をヤマモトが助けるという内容で一見サラリと触れていますが、「生死にかかわる、そんなことができるヤマモトは只者じゃない!」と思いました。
そうですね。僕もそれはすごく思っていて。後々わかったりするんですけど、よっぽどのなにか思い入れがある、結局本当に、“そう”できるヤマモトの人間性というのは興味があるというか、それに説得力を持たせるように、後半見えてくるところだったりをしっかり創っていかなきゃならないなと、すごく役者としては役作りを思いましたね。なんか、ちょっとしたことのように書かれているけど、なかなかそんなことは……。自殺する人がいて、それを助けようとする人もいるだろうけど、なにかあの偶発的な瞬間にたまたま居合わせて、すぐ手を差し伸べられるという、その「善意の瞬発力」というか、その一瞬に決意とか、手を伸ばせるというのはすごいことだなぁって思っています。
――たとえば、手を伸ばせる範囲で目の前の人が倒れたのであれば、ひょっとしたら反射的に手を伸ばすことはあるのかもしれませんが、このサラリと書かれた2人の出会いの出来事の、距離感ひとつで大分印象が変わる気がします。
舞台だと如実に見えるじゃないですか、空間というか。だからその舞台表現としての出会いの瞬間をどう描くのかなというのは、すごく興味がありますね。
■ヤマモトは生き方全てを見つけた人間。ある意味、物語の中での「神」なんです
――今現在、ヤマモトにどんなイメージをお持ちですか?
そうですね、ヤマモトは、年齢はほぼ青山と変わらないという設定の中で、なんというか、生き方を見つけた人間である、ということが一番大事だなとは思っています。だから、“どう生きていくのか”という、この作品の最終的に届けたいところを、登場人物の中で多分、全部知っている唯一の人なんですよね。だから、ある意味最初ファンタジーに見えるというところもそうだし……。でも最終的にもやっぱりファンタジーなんですよね。やっぱり「フィクションだな」というのがあるのは、もう生き方全てを見つけた人をゴールにしているから。なんと言いますか、ある意味、物語の中での「神」なんです。
――物語の“指針”のような?
そうです。これからまた、ヤマモトにも悩みは生まれて、ともどもに迷うこともあるだろうし、というところは描かないから……。なんですかね、結構、本当の思いはありつつも、わりとパーフェクト人間に見えるところがあるので、どう、そこに人間味持たせていくかなというのは、すごく課題だなと思っています。
――ヤマモトがパーフェクト人間に見えるところがある。
結局「なぜ助けたのか?」とか、ヤマモト自身にも理由があって、ヤマモトが青山の面倒を見てるということはあるんですけど、それにしても“そんなことする(できる)人”というところになってくるのがやっぱりあるし。最終的に、もう彼はわりと生き方を見つけて答えを出して行動していて、それで、青山にもなにも言わずに姿を消して、そっちに居たっていう、そこからまた青山がヤマモトを追っかけて、という話になっていたりしますけど。だから、存在自体が結構ファンタジー、実在の人間として描かれるんですけど、存在自体が結構ファンタジーな人間だなっていう風には思っていますね。
――いわゆる「できすぎでは?」というところでしょうか。
「できすぎ」というか、良いところを取っているな、という。だから、演劇版として、もちろん今回W主演ということもあって、ヤマモトにはヤマモトの“なにか”、というものを説得力として明確に示さないと、このテーマの重さに対してファンタジーが勝ち過ぎちゃうというか、フィクションが勝ち過ぎちゃうと面白くないな、というところがすごくあるので。僕もそうですし、本だったり、演出だったりというところでどういう風に? というのがすごく興味がありますね。
――映画ではラストで2人のその後の描写がありましたが、青山と関わったことによって、ヤマモトのその後の選択にも影響があったのかなと感じました。
そうなんですよね、きっと。青山が居てヤマモトが支えて、という大きな構図がある中で、物語になる面白さというのは、きっとヤマモトも変化している、というところで。青山の上司で部長の尾高と先輩の五十嵐が居ると思うんですけど、なにかしらその、青山にとっての必要な要素、悪い要素だったかもしれないけれど、必要な要素だったりするし、青山もまた、ヤマモトに影響を与えているところがあるというところが、舞台版でどう描かれていくのか、というのが、すごく興味がありますよね。これを経て、どういう風に演じていくのか、考えなきゃいけないので。でも、最初の一歩はやっぱりその、青山が、飯島くん演じる青山にとってのヤマモトっていうのがスタートラインだと思うので。そこでまた青山が変わっていく中で、ヤマモトがどう受け取るかというのは、稽古してみないと分からないですね。
■ヤマモトが大阪弁をしゃべることの意味を。本当に届けたいものを精査して
――ヤマモトの人物として、公式では、“大阪弁でいつでも爽やかな笑顔”と描写があります。舞台版でも話しことばは大阪弁になるのでしょうか?
多分なるんじゃないかと思っています。具体的にはまだわからないですけど、やる覚悟ではいますので、結構ハードルは高いな、とは思っています。大阪の何処かによっても、言葉が違いますし、だから劇において、どの程度それが精密である必要があるかということはすごく感じるかな。もちろんその、リアリティを出すために方言ってすごく大切なところがあり、「作品のこの人は大阪弁やから」というのもすごく大切だと思うんですね。でも実際、たとえば日本の邦画を見ていて、地方を舞台にした作品や、さらにずっと昔の作品で、「なに言ってるか分かんない」っていうことがあるわけですよ。
――リアルを追求すると、往々にしそういうことがありますね。
……であるならば、結局そこまではならないと思いますけど、方言を使う、今回の登場人物が大阪弁であるということの本当の意味を、本の中での意味をもう1回見つめ直した上で、取り組まなきゃなとは思いますね。リスクでしかないと思うので。大阪出身じゃない人に大阪出身を演らせるというのはリスクであって、それを越えたメリットが作劇中にある場合は、やっぱり必要だと思うんですけど。原作もあるので、いかんともし難いところもあると思いますけど、本当に届けたいものは何で、それに必要なものは何で、というのを、せっかく演劇バージョンにするのであれば、そういうところをいろいろ稽古の中でトライしたい部分もありますし、精査する部分もいっぱいあるなと思って、すごく楽しみにしています。
※鈴木勝吾さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは5月8日(水)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。