「龍さんは私を一番知っている方」、『エリザベート』愛希れいかインタビュー(上)

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

元宝塚歌劇娘役トップの愛希れいかさんにインタビューしました。2018年11月に『エリザベート―愛と死の輪舞―』で宝塚を退団。退団後初の舞台は、2019年6月から8月に帝国劇場で上演される東宝版『エリザベート』で、宝塚と同じくエリザベート役で出演します。宝塚月組で、龍真咲さんと珠城りょうさん、ふたりのトップスターとコンビを組み、6年5ヶ月にわたり娘役トップを務めました。可憐な娘役から自立した女性までを演じ分け、男役を従えて踊っても際立つ存在感。(上)では、ふたりのトップスターと組んだ月日を経ての変化などを振り返っていただきました。

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

――宝塚時代を振り返ると、今どんな思いがありますか?

小さい頃から本当にすごく入りたくて、将来の夢が宝塚に入ることでした。小学校低学年位から10年間くらいの夢ですね。宝塚に入れただけでも夢が叶ったのに、たくさんのことをさせていただいて、青春という感じでした。本当に自分もたくさんの夢を見させていただきました。お客様に夢と希望を与えるお仕事ですが、自分が一番夢を見させていただいた場所だと思います。

――入団して最初は男役で、娘役に転向してすぐに娘役トップになりましたよね。どんな10年間でしたか?

本当に、10年も宝塚にいるとは思わなかったです。男役は10年と言われるので、入団当初は10年目からだと思っていましたが、娘役に変わった時点で10年はいられないかもしれないなと思ったんです。でも、娘役に変わって、それでもこれだけ居させてもらって、いろいろなことが本当にありましたが、自分の中でも、振り返ってみたらあっという間でした。もう10年なんだと言う気持ちで卒業しました。

――やり切った感じは?

やり切った感じはありました。こんなに、たくさんの役をさせていただき、男役と娘役を経験させていただいたこともそうですし、本当にいろいろなことを経験させていただいたので。娘役にしては少し変わった役や場面もありましたし、本当にたくさんさせていただいたなと思います。枠にとらわれずにやらせてもらえた事は、その時は大丈夫かなと不安もありましたが、今になって、やって良かった、やらせていただいて幸せだったなと思います。

――龍さんと珠城さん、ふたりのトップさんの相手役をされました。龍さんが退団のとき、残られたのが嬉しかったです。「まだ行かないで」と思っていたので。

ありがとうございます。

――おふたりの相手役の方との時間を振り返っていただきたいのですが、龍さんと珠城さんは男役としてのタイプも全く違いますし、学年も違うおふたりですが、まず龍さんとの時間はいかがでしたか? 娘役に転向して、娘役トップになり、龍さんの相手役にという状況でしたね。

龍さんは、トップとして相手役をさせていただく前に一緒に組んだ時から、気にかけてくださっていて、すごく面倒を見てくださっていた方です。私が娘役に変わることも、「絶対に娘役に変わりや」とおっしゃってくださって。ありえないくらいに迷惑ばかりをかけたので、私の良いところもそうですが、悪いところやだめなところも全部知っていると思います。私のことを一番知っている方だと思います。

<取材協力>
スタイリスト:Die-co★
トップス ¥50000、パンツ ¥65000/Chicca Lualdi(アッカドゥエ)(03-5451-3670)
シューズ ¥43000/L’AUTRE CHOSE(T-Square Press Room)(03-5770-7068)
ブレスレット/スタイリスト私物

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、龍真咲さんと珠城りょうさんと、それぞれどのようにトップのコンビを組んでいたのかなどについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。3月26日(火)掲載予定のインタビュー「下」では、宝塚退団公演で出演した『エリザベート―愛と死の輪舞―』に続いて、2019年6月から東宝版の『エリザベート』に出演し、同じエリザベート役(花總まりさんとダブルキャスト)を演じることについて、どのようなエリザベートを演じたいと思っているのかなどについて語ってくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■自分が思う普通の娘役だけではいけない、ぶつかれるくらいにならなければ

■(龍さんが)「自分の色をもっと出しなさい」と言ってくださった

■直感的なもので、やはり私はまだ続けるべきなんだ、今じゃないんだと

■(珠城さんは)本当に昔からトップさんの器を持っていらっしゃった

<ミュージカル『エリザベート』>
【東京公演】2019年6月7日(金)~8月26日(月) 帝国劇場
公式サイト
https://www.tohostage.com/elisabeth/

<関連リンク>
愛希れいか アミューズオフィシャルウェブサイト
http://artist.amuse.co.jp/artist/manaki_reika/
愛希れいかTwitter
https://twitter.com/manaki_official
愛希れいかinstagram
https://www.instagram.com/manakireika_official/

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愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■自分が思う普通の娘役だけではいけない、ぶつかれるくらいにならなければ

――龍さんの相手役の時、自分の中で目指す娘役像や、こういう風にやっていきたいというものはありましたか?

最初はそれを考える余裕すらなく、言われるままに「はい」と聞くばかりだったのですが、龍さんはすごくおしゃれですし、フェアリー的だったり、ちょっと新しい感じのファッションセンスだったので、その横で一緒にいるには、自分が思う普通の娘役だけではいけない、ぶつかれるくらいにならなければと思いました。龍さんは、「自分の色に溶け込んで欲しくない」とおっしゃっていたので。

――龍さんのカラーではないんですね。

自分の色を出す、それがわかったときに面白いものができると。「自分ひとりでも立てるようにしなさい」とも言われていました。そういう意味では、龍さんに負けないようにしなければと思い、色々と自分も個性を出さなければいけないともがいていました。

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

■(龍さんが)「自分の色をもっと出しなさい」と言ってくださった

――その個性を見つけていく作業は、どうやって見つけて行ったんですか?

龍さんが道は作ってくださっていました。「こっちだよ、あっちだよ」という風に。

――細かい事は言わないという感じですか?

そうですね。細かい事は言わずに、自分で考えさせてくれる時間をいただいていたので、答えが見つかるまではフラフラしていました(笑)。でも、自分の答えが見つかった時はジャッジをしてくださいますし、本当によくわかっていらっしゃるので、だめな時は私が落ちてしまわないようにちゃんと捕まえてくださっていました。

――愛希さんのショースター感が素晴らしくて、男役を率いて踊れる、あの格好良さを持つ娘役さんはなかなかいないなと拝見していました。そういう格好いい女性や、自立した女性を表現できたのは、龍さんとの時間が大きいということですよね。

前半は本当に寄り添うということを意識していましたが、龍さんも「寄り添うだけではないんじゃない?」と言ってくださったのは、本当に大きいと思います。寄り添うことを極めるのも大切だと思っていたのですが、「そうじゃないよ。自分の色をもっと出しなさい」と言ってくださったのは、大きいですね。

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

■直感的なもので、やはり私はまだ続けるべきなんだ、今じゃないんだと

――退団会見で、理事長が「珠城さんを支えてほしいと要望した」と話していましたが、そのことを劇団から言われて、決断するときにどういう風に考えましたか?

龍さんは4年半トップをされましたから、自分もそれ以上することを想像したことがあまりなかったです。その間にもたくさんの経験をさせていただいてきましたし、「自分はどうしたらいいんだろう」とすごく悩みましたね。単純に年齢的なことや、自分が次のステップに行くことなども、正直いろいろと考えたので悩みましたが、珠城さんと話をする機会もありましたし、いろいろなことがあって続けると決めたんです。でもやはり、あの時に自分が辞めていたら、『エリザベート―愛と死の輪舞―』という卒業作品にも出会えませんでしたし、もしかしたら今お世話になっているアミューズさんにも出会えなかったかもしれない。そう思うと、何かあったんだろうなと思うんです。それは自分でも、こうだからと言うよりは直感的なもので、やはり私はまだ続けるべきなんだ、今じゃないんだと。

――なるほど。

「どうしてですか?」と言われると、不思議でうまく言えなくて。やはり珠城さんと組ませていただいて、相手役をさせてもらえるようになって、学ぶことや新しい発見もたくさんありました。それこそ、珠城さんと組んでからの役は、振り切った役がとても多かったですし。それは今になって、やって良かった、宝塚でやれて良かったと思います。

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

■(珠城さんは)本当に昔からトップさんの器を持っていらっしゃった

――珠城さんとの時間も違った魅力でしたよね。最初は、今まさに成長している男役と、それを支えるお姉さんっぽいコンビが新鮮でしたし、それが1公演ごとに変化していくのが面白くて。学年は珠城さんがひとつ上ですが、一緒にいて変化はありましたか?

俄然普段は、珠城さんが、がっつりお姉さんなんですよ(笑)。「ちゃぴ! 早く! こっちだよ!」という感じで、私がついていくタイプなんです。でも、やはり舞台になったら自分がしっかりしなければいけないという意識を持っていましたし、初めて龍さんの相手役をしたときの不安とか、龍さんのことも近くで見させていただいていたので、珠城さんもトップになってきっとすごく不安だろうなと。年齢も若いということもあり、学年も近いし、そういう様子も近くで感じていたので、支えなければという思いで、舞台では自分が引っ張る位でやらなければと思ってやっていました。

でも正直なところ、舞台から降りると、最初からむしろ助けていただいていました(笑)。トップになって成長するというよりは、昔からやはりトップスターの器なんだなと。だから、私が育ててもらっていました。しっかりしなければと思っていましたが、最後の最後まで完全に支えてもらっていましたね(笑)。珠城さんは、本当に昔からトップさんの器を持っていらっしゃったと思います。

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

愛希れいかさん=撮影・岩村美佳

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“「龍さんは私を一番知っている方」、『エリザベート』愛希れいかインタビュー(上)” への 3 件のフィードバック

  1. ゆってぃ より:

    宝塚在団中は、愛希さんの舞台を観るのが一番の楽しみでした。
    ジュリエットの可憐さ、アントワネットの気高さ、ルイ14世のお茶目さなど、本当に公演ごとにいろいろな顔を見せていただきました。
    またショーでは場面を引っ張る力強いダンスが大きな魅力でした。
    退団公演であったエリザベートを再びどのように演じていくのか、後半の記事が楽しみです。

  2. まぬ より:

    ちゃぴちゃんの、ますますの
    ご活躍をお祈りしています。

  3. いぬぶ より:

    ちゃぴちゃんの大々ファンです。宝塚時代の踏み込んだ思出話が読めてとても嬉しいです。後半も楽しみにしています。
    色紙とサイン、当たりますように‼️

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